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120: 修羅場家の日常 02/10/28 16:50 ID:2wR4CHXo

まっすぐ歩けないどころか、目を開けてるのも辛い。
更になんとも気分が悪く、便器があればいつでもOK状態。
でも、顔が赤くならないタイプの俺。

飲み屋で一人あたり生5杯、日本酒1升飲んだ帰りの道中
軽快に車を飛ばしていた。前方の空気が赤い。どうやら検問のようだ。
慌ててコーヒーをグビっと一飲み、
耳にかかっていたタバコが口元に送られる。
必要以上に慌てないのが肝心だ。
警官の姿が見えてくる。何度経験しても緊張が走る。




酔いが吹っ飛ぶ瞬間である。
警官「すいませーん。」
オレ「飲酒検問ですかぁ?」
先んずればなんちゃらである。
警官「そうなんです。ご協力をお願いします・・・」
ここが大事だ。警官の台詞が終わる前に
あくまで笑顔で爽やかに、しかも大胆に行動する事が勝利を導く。
友好的で協力的な犯罪者は普通はいない。
ふーーーー! 大きく息を警官の顔に吹きかける。
「ご協力ありがとうございました。」その台詞が出るはずだった。
今までは常にそうだったのだから・・・・
しかし、その日は警官の顔が曇ってしまった。
飲みすぎだ。


121: 修羅場家の日常 02/10/28 17:02 ID:2wR4CHXo

脳は普段では考えられないような速度で状況確認に入った。
よくみると車の前に赤いコーンまで置かれているではないか。
そんなものまで置いて徹底的にやっているのは見たことがない。
よく考えると、その道で飲酒検問を見るのも生まれて始めててある。
そう、飲酒検問ポイントは避けて帰宅しているのに。
飲みすぎだけではない。どうやらかなり高いノルマが
今日にふられているようである。

警官から目線をはずすわけにはいかない。
今、弱みを見せると必ずコロされてしまう。

にらみ合いが続いた。

警官「すごいコーヒーの匂いがしますね。」
やはりアルコールの匂いと断定できていない。
顔色は普通だし、頭は必シで背もたれに押さえつけ固定している。
台詞に曇りもなく、息も尋常ではないくらい率先して吐いた。
この前提で、いままでは息の匂いの前に無罪を勝ち取ってきたのだから、
目の前の警官が自分の鼻に自信が持てないのは当然である。




122: 修羅場家の日常 02/10/28 17:03 ID:2wR4CHXo

俺「今、コーヒーを飲んでいますからねぇ。」
台詞は成功だ。他人事のような響きができた。
さあ、目線をコーヒーにくばるという、一大イベントである。
慌てるな、慌てるな、ゆっくりとゆっくりとコーヒーに目線を落とした。
勇気を出せ、急げ、再び警官の目を見るのは、
犯罪者には至難の業である。ここは脳への命令は急げが最も適切だ。
怪訝そうな表情の警官の顔が再び視野に入る。

「行って良いですか?」この台詞が言いたい。
はやくこの場から逃げたい。
だが、この台詞を言うと必ず、
「ちょっと手間をかけるけど、いちよう検査してもらえるかな。」
とつながってしまう。
逃げたり、避けたりする人間を追いかけたいのは当然の心理だ。

好奇心旺盛な野次馬

この定義を警官から与えてもらうしか生きて逃れる方法はない。
まとわりつかれると、払い除けたくなるのも人間の心理だ。
警官の目をじっと見続ける俺。
次の指示を下さい、の表情を崩すわけにはいかない。

背中を冷たい汗が流れる。


123: 修羅場家の日常 02/10/28 17:07 ID:2wR4CHXo

警官の口がついに開いた

「いっていいよ」

勝った。
なんとか今日も俺は生きていた。
若かりし日、戦場の中で
常に生シの隣り合わせで生きてきて、今思う。

戦争に意味など何もないと。

戦後の今、平和が訪れ、タクシーという便利な
手段が用意されるようになった。
なんとも幸せな時代になったものである。


6人乗りの1BOXで全員あわせて130万円。


124: 修羅場家の日常 02/10/28 17:22 ID:tWKzcwaI


氏ね。飲酒運転するやつは。


125: 修羅場家の日常 02/10/28 17:29 ID:rquTU5rl

>>124
あなたのご意見に心から賛同いたします。


引用元: 見てしまった!!すごい修羅場14