1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 19:21:07.88 ID:Va9LszH40
ヤンキー「きたねーww」

ヤンキー2「こいつこんなとこに住んでるのか、ほんとに人間なの?」

女「っぐ」キッ

ヤンキー「なんだその目は、人間様にたいしてよぉ」ゲシッ

女「っぐ!こ、殺してやる!」

ヤンキー「おーこわww」

男(ホームレス狩りだ・・・止めなきゃ・・・)

男「お、おい・・・や、やめろよ!」

ヤンキー「あ?んだこら、坊主文句あるか?」

引用元: 男「君、女ホームレスなの?」 


 

ルポ 若者ホームレス (ちくま新書)
飯島 裕子 ビッグイシュー基金
筑摩書房
売り上げランキング: 54,411
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 19:25:28.81 ID:Va9LszH40
男「あ、あわわ・・・」

ヤンキー2「こいつびびってるぞww」

ヤンキー「お前もしばかれたいんか、なぁ」バシッ

男「っ・・・っ」

ヤンキー2「なきそーww」

女「・・・」

男「・・・だぞ」

ヤンキー「んー?聞こえない、もう一度」

男「あ、あや」

ヤンキー「は?」

男「あ、あやまるなら、い、今のうちだぞっ」ウルウル

ヤンキー「・・・」

女「・・・」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 19:32:48.90 ID:Va9LszH40
男「だ、大丈夫ですか」

女「・・・」

男「え、えっと、ホームレスなの?」

女「・・・」

ヤンキー「っぐ・・・」

女(ヤンキーが倒されてる・・・一体いつやられた・・・)

男「も、もしそうなら、う、うちにきませんか!ご飯とかごちそうするので!」

女「っ・・・?」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 20:42:52.32 ID:UdAV7I2EO
男「……」テクテク

男「ん……?」

「ははは、女だよ女!」

「しかも可愛いぞ、これはマワすしかねぇだろ」

「おらっ、来いよ!」

「抵抗すんな、クズ!」

バキッ

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 20:44:23.76 ID:UdAV7I2EO
男(あれは……!)

男「っ!」タッ

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 20:46:41.38 ID:UdAV7I2EO
男「はぁ、はぁ……」

「あぁ?」

「んだテメェ」

男「警察に電話した」

「……っ!」

「チッ、クソがっ」

タタタ……

男「……」

女「ぅぅ……」ブルブル

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 20:52:45.38 ID:UdAV7I2EO
男「大丈夫ですか」

女「ぅ……」ビクッ

女「ぅぁ……っ」

男「逃げないで、大丈夫だから」

男「傷が酷い、ちょっと待って」

女「……っ」

男「染みるかも知れないけど、ウェットティッシュで……」フキフキ

女「んっ……」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 21:01:53.58 ID:UdAV7I2EO
男「……」フキフキ

女「……」

男「ふぅ、血は落ちましたね」

女「……っ」

男「それにしても、服も酷く汚れてますね……」

男「ウチ、ここから近いんですが、お風呂入りますか?」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 21:18:46.99 ID:UdAV7I2EO
ガチャッ

女「……」ホカホカ

男「ふふ、気持ちよかったですか?」

女「……」コク

男「そうですか、それは良かった」

男「シャンプーのいい匂いがしてます」

女「ぅ……」モジモジ

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 21:29:17.37 ID:UdAV7I2EO
男「……」

女「……」モジモジ

男(……恥ずかしがり屋なのか、もしくは、)

男(喋れないのか……)

グゥー

男「!」

女「ぅ……」カァァァ

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 21:34:37.05 ID:UdAV7I2EO
女「もぐもぐっ」

男「お腹空いてたんですね」

女「……」カァァァ

男「良いですよ、いっぱい食べてください」

男「量は沢山ありますんで」

女「……」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 21:41:45.33 ID:UdAV7I2EO
女「……」フリフリ

男「え、書くものですか?」

男「……はい」

女「……」カキカキ

スッ

男「何々……?」

『助けてくれて、お風呂に入れてくれて、ご飯も頂いて、ありがとう』

『そろそろ行きます、本当にありがとう』

男「……」

女「……」ニコ

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 21:45:14.38 ID:UdAV7I2EO
男「……帰るところは、あるんですか?」

女「……」

カキカキ  スッ

男「……」

『何とかなります』

『今までも、そうしてきました』

男「……」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 21:55:49.26 ID:UdAV7I2EO
男「……」

男「……いや」

男「それは危ないです」

男「最近、この辺りで色々な暴行事件が多発しているんです、あなたも危なかったでしょう」

女「……」

男「いいですよ、もう少しここにいても」

男(……と言うか)

女「……」ウルウル

男(守りたい)

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 22:04:16.55 ID:UdAV7I2EO
女「……」カキカキ

『気持ちは本当にありがたいし、嬉しいけど、やっぱり行きます』

男「なんでですか」

『今日会ったばかりの人に、そんな迷わk』

男「僕は大丈夫です」

男「……と言うか、もう少しここにいて欲しい」

男(おい、なんでこんなこと言ってるんだ、僕は……?)

男「あなたの役に立ちたい」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 23:07:43.54 ID:UdAV7I2EO
女「……」

カキカキ

『本当に、いいんですか?』

男「うん、君が良ければ」

女「……」

『ありがとう』

男「……!」

女「……」ニコ

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 23:11:43.55 ID:UdAV7I2EO
男「じゃ、じゃあ……」

男「何か、したいこととか、見たいものとか、ありませんか?」

女「……」

男「ない、ですか……?」

女「……」カキカキ

『人の温もりを感じたい』

男「!?」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 23:13:53.23 ID:UdAV7I2EO
男「っ、っ」

男(そ、それってどういう……)

男(まさか、そんな……)

男(いや、僕は何を……、まだ今日会ったばかりの人と……っ!)ドキドキ

ピト

男「!」

男(横に寄り添って座って……)

女「……」ニコ

『あったかい』

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 23:18:40.37 ID:UdAV7I2EO
男「……」

女「……」

男(ああ、僕は何て……)

男「……ありがとう」

女「?」

男「君みたいな、純粋な人に会えて良かった」

女「……??」

男「……ふふ」ニコ

女「……」

女「……」ニコ

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 23:31:06.00 ID:UdAV7I2EO
女「……」

男「……」

男(温もりを感じる……)

男(何だ、この気持ち)

男(今まで、こんなすぐに人に打ち解けたことなんか……)

男「……」チラ

女「……」ニコ

男「!」ドキッ

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 23:39:43.95 ID:UdAV7I2EO
男「ぅ……」ドキドキ

男(な、なんだこの感じ……)

男(す、すごく、胸が……)

男(……)

男(そんなこと言ってる場合じゃないよな)チラ

女「……」

男(なんで、あんなところにシートで家作って、一人で寝て……)

男(……)

男(聞かないほうが、いいかも知れないな……)

女(あったかい)

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 23:42:37.97 ID:UdAV7I2EO
男(僕は、この人を元気にしたいと)

男(笑顔を見たいと思った)

男(それだけだから……)

男(……僕に出来ることは、何だろう)

男「……」

ギュ

男「!?」ビク

女「すぅ……」

男「……」

男「ふふ」

男「風邪ひくよ」ファサ

女「……すぅ、すぅ……」ギュゥ

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 23:50:27.36 ID:UdAV7I2EO
……

……

チュン チュン

男「……」

男「ん……」

男(朝か……)

女「すぅ、すぅ……」ギュ

男「……ふふ」

男(よっぽど疲れてたんだろうな、ゆっくり寝かせておいてあげよう)

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/13(火) 23:58:42.69 ID:UdAV7I2EO
……

……

女「すぅ、すぅ……」

女「……」

女「……?」

女「!!」ガバッ

女「……」

女(そうだ、ここは、昨日助けてもらって……)

女「……?」スンスン

男「あ、おはよう」

男「丁度いま、朝ご飯作ったから、一緒に食べようか」

女「……」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 00:17:28.81 ID:FT/sfNPXO
男「あ、後それと、歯ブラシとかも買ってきたから……」

男「勝手にごめん」

男「……でも、もし良かったら、使って」

女「……」

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 01:27:42.51 ID:eTizVPJ50
男「じ、じゃあ朝ごはん食べよっか」

男「誰かに食べさせたことなんて無いから」

男「自信は無いけどね」アハハ

女「…………」フルフル

女「…………」カキカキ

『二人で食べたらきっと美味しいよ』

女(そう…誰かと一緒にご飯を食べるなんていつぶりだろ…)

男「それじゃテーブルに行こっか」

94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 01:35:25.59 ID:FT/sfNPXO
男(い、今……)

男「声、出るようになったの……?」

女「……っ」

男(驚いた表情してる……、やっぱり、元々話せなかったんだ)

女「……」カキカキ

『なぜだか分からない……けど、久々に声が出たよ』

男「なんで……」

女「……」

『あんまり美味しかったから、声出ちゃったのかなぁ?』

男「……」

女「……」ニコ

107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 01:56:25.17 ID:FT/sfNPXO
……

……

男「ふぅ、ごちそうさま」

女「ぅ……」

男「?」

『あんまり美味しかったから、食べすぎて苦しい』

女「……」

男「……ふふ」

男「ソファで横になる?」

女「……」コク

男「それじゃ、毛布を……」

グイ

男「え?」

『一緒に』

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 02:05:12.90 ID:FT/sfNPXO
男「え……」

女「……」

男「……」ドキドキ

……ドサッ

111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 02:19:00.13 ID:FT/sfNPXO
ギュゥ

ムニュゥ

男「……っ」

男(後ろから、抱き締められてる……)

男(……ヤバい、心臓がバクバク言って……)バクバク

男(……後ろで何を考えてるんだろうか)

男(……)

男(何にせよ)

男(ものすごく、あったかい……)

114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 02:27:11.81 ID:FT/sfNPXO
男(し、しかし……)

ムニュ ムニュ

男(やっばい……)

男(柔らかくて暖かいものにカラダ中が包まれてる)

男(気を保て)

男(平静に、平静に)

男(……)

……

……

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 03:00:37.91 ID:FT/sfNPXO
男「くぅ…」

男「…ん」

男「…」

男(…また寝てしまってた)

ファサ

男「ん…」

男(毛布…)

男「!!」ガタッ

男(あ、あの人は…!?)

125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 03:18:26.12 ID:FT/sfNPXO
男(ま、まさか、もう家を出…)

男(…ん?)クンクン

男(甘い匂い…?)

ガチャッ

女「…」

男「…!」

男「良かった、出て行っちゃったのかと思ったよ…」ホッ

女「…」

カキカキ

『お礼にと思って、おやつにケーキ焼いたの』

『驚かせようと思ってたのに、起きちゃったね』

女「…」ニコ

137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 03:55:52.63 ID:FT/sfNPXO
女「…」

『お金、全然持ってないから、すごく安っぽい感じになっちゃったけど…』

『良かったら、食べてね』

男「もちろん!」

140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 03:58:49.92 ID:FT/sfNPXO
男「…あの、ケーキを頂く前に」

女「?」

男「…」

男「君の名前を教えて欲しい」

女「…」

『女、だよ』

男「女、さん…」

『あなたは?』

男「男、です」

女「…」ニコ

143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 04:12:49.66 ID:FT/sfNPXO




男「あむ」

男「んむんむ…」

女「…」ジーッ

男「…」

男「うまい」

男「メチャクチャうまい」

男(…あったかい味がする)

144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 04:14:24.50 ID:FT/sfNPXO
男「僕もたまに焼くけど、全然こっちの方が美味しいです」

女「…」ニコ

『良かった』

男「…」

男「…さい」

女「?」

男「作り方、教えて下さい」

145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 04:16:35.75 ID:FT/sfNPXO
男「…」

男(あの、ケーキを食べる僕を見る、満足そうな顔…)

男(あれは、多分…)

男(僕の家を出て行ってしまう、サインなんだ…)

男(…)

男(嫌なんだ、まだ)

男(もう少し、長く)

男(少しでも、一緒に…)

147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 04:19:29.04 ID:FT/sfNPXO




女「…」

男「へぇ、こんなの入れるんですか」

『うん』

『入れるタイミングも重要で、これでふんわりしっとり仕上がるんだよ』

男「そうなんだ…」

男「すごい本格的だ…」

男「僕も見習わなくちゃ」

女「…」クスクス

男「!」

148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 04:22:44.43 ID:FT/sfNPXO
男(少しだけど、声出して笑ってる)

男(女さんが…)

女「…」カキカキ

『また、ちょっと声出たよ』

『これはきっと、楽しいから』

『心が明るくなってるからだと思う』

『ありがとう』

男「…」

男「女さん」

女「…?」

ギュッ

女「…っ」

149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 04:24:10.02 ID:FT/sfNPXO
男「もっとここに居てよ」

男「出て行かないで」

男「ずっと傍にいてよ」

女「…」

男「…」ギュゥ

152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 04:27:42.97 ID:FT/sfNPXO
男(女さんっ…!)

男「…」

男「ここにいれば、もっと笑わせてあげられる」

男「何があったのか知らないけど、ずっと不自由なんかさせない」

男「満足な生活ができるかは分からないけど…」

男「傍にいて欲しい」

男(今が、幸せなんだ…)

男(終わらせたくないんだ…っ)

女「…」

155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 04:32:55.21 ID:FT/sfNPXO
『ありがとう』

男「…」

『でも、できない』

男「…」

『私は、ずっとここには居られない』

男「…」

『でも、本当に、色々、楽しかっ…』

チュッ

女「んっ…?」

156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 04:34:58.45 ID:FT/sfNPXO
男「…」

男「…」

男「…ごめん」

159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 04:43:44.80 ID:FT/sfNPXO
女「…」

男「…」

女「…」

男「…」

160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 04:45:16.88 ID:FT/sfNPXO
女「…」カキカキ

男「…」

男「え…」

『ごめんなさい』

『もう、今すぐ出て行きますね』

『ありがとう』

男「なんで…」

267: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 19:43:29.41 ID:FT/sfNPXO
女「…」

男「…っ」

男(なんて、悲しそうな顔を…)

女「…」ペコ

男「待って…」

女「…」テクテク

男「待って…っ」

269: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 19:46:35.17 ID:FT/sfNPXO
ガッ

女「…っ」

男「なんで、…なんでっ」

男「すぐに行かなきゃならない理由は何ですか」

男「僕がキスしたから…?」

男「もしそうなら、もうしませんし、謝ります」

男「下心なんてない」

男「ただ、純粋に、あなたともっと一緒に…」

272: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 19:50:43.26 ID:FT/sfNPXO
女「…ぅ」

男「…はっ」

男「す、すいません…」スッ

男(腕を強く握ってしまっていた…)

女「…」

275: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 19:56:42.30 ID:FT/sfNPXO
男「…」

女「…」

男「…」

女「…」

276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 19:57:56.38 ID:FT/sfNPXO
男「…」

男「あ、あの…」

男「せめて…」

男「理由だけでも、教えてもらえませんか…?」

278: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 20:02:37.19 ID:FT/sfNPXO
女「…」

『だって、私』

男「…」

『家、ないから』

280: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 20:06:55.11 ID:FT/sfNPXO
男「え…」

男「…」

男「君、女ホームレスなの…?」

『うん』

282: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 20:09:42.82 ID:FT/sfNPXO
『そうなった理由は、あまり言いたくないけれど…』

『帰るところ、ないの』

『だから…』

『あまり、私に構わないで』

283: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 20:11:48.01 ID:FT/sfNPXO
男「…」

男(まさか、とは思っていたけど…)

男(本当に、そうだったんだ…)

男(…)

男(…そんなことより)

男「それ、変だよ」

285: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 20:14:24.24 ID:FT/sfNPXO
男「帰るところがないから、家がないから、構わないで…?」

男「なんでそうなるの」

男「それなら、余計に…」

『そういうわけには、いかないと思うの』

287: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 20:21:11.60 ID:FT/sfNPXO
『帰るところがないなら、ここに居ればいい、と言ってくれようとしたんだよね?』

男「…そうだけど」

男「それの何が間違って…」

女「…」

『ちょっと、見て』

男「え?」

女「…」スルスル

男「!!」

男「な、何を…っ?」カァァァ

289: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 20:26:55.99 ID:FT/sfNPXO
パサッ

男「ぅ…っ」

男「…」チラッ

男「…」

男「…!」

男「こ、これ…」

男(カラダ中に、傷とアザ…)

302: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 20:55:59.51 ID:FT/sfNPXO
『いきなり気持ち悪いもの見せて、ごめんね』

『これのほとんどは、私が小さいときに、親につけられた傷なの』

305: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 21:04:32.37 ID:FT/sfNPXO
『あまり詳しくは、言わないけど…』

『私、愛されたことがない』

『学校もろくに行ってなくて、まともな教育も受けてない』

『あんまり、他人と関わらない方がいい人間だと思うの』

313: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 21:20:48.23 ID:FT/sfNPXO
『私といて、楽しい気分になれると思ってもらえてるのは、嬉しい』

『でも、いつまでもそうじゃない』

『これからしばらくここに居させてもらっても、』

『私が本当はどんな人間か』

『どれだけ暗い心を持っているか』

『どれだけ知識がないか、頭が良くないか』

『そういうものしか見えてこないと思う』

『私は、あなたみたいな良い人に、迷惑をかけたくないの』

323: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 21:35:14.45 ID:FT/sfNPXO
『住む世界が違う』

『きっと、近いうちに分かる』

『だから、私は…』

『ケーキを上手に作れる女の子、として覚えていて?』

『それだと何だか可愛いから、ふふ』

『…これ以上いると、それも変わっちゃうから』

『今度こそ本当にさようなら』

『…本当に、助けてくれて、ありが』

ギュゥ

女「んっ…!」

男「…」

324: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 21:39:52.16 ID:FT/sfNPXO
女「ぁ…」

男「…さっきは無理やりしちゃったけど、今度はちゃんと聞きます」

男「僕にキスされるのは、イヤですか…?」

女「…」

女「…」ウルウル

チュッ

332: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 21:56:21.53 ID:FT/sfNPXO
女「んっ…」

ギュゥ

女「んんっ…」

女「んっ…」ポロ ポロ

335: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 22:04:55.34 ID:FT/sfNPXO
女(だめだって言ってるのに、何でこの人は…)

女(嫌われるのが怖くて、それだけがいつも怖くて…)

女(いつもいつも冷たく、心は凍らせておくように心がけていたのに…)

女(この人のせいで…)

女(溶かされそう…)

342: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 22:28:11.35 ID:FT/sfNPXO
男「…」スッ

女「…」

『まだ、会って1日しか経ってないのに、2回もキスしちゃったね』

男「…」

345: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 22:33:02.53 ID:FT/sfNPXO
女「…」

『あなたのことは好き』

『だけど、私はもう行きます』

『これは変わらない』

『変えられない』

『ごめんね』

350: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 22:47:15.87 ID:FT/sfNPXO
男「…」

男「うん、分かったよ」

男「ごめんね、散々引き止めて」

男「…」

男「でも、最後に一つだけ」

男「…もう一度だけ」



チュッ

359: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 23:00:03.01 ID:FT/sfNPXO








「…」

「ねぇ、パパー」

「んー?」

「パパの初恋の人ってどんな人ー?」

「…」

「誰よりも清らかで優しくて、美しくて、笑顔が素敵な…」

「ケーキを、上手に作れる女の人だったよ」




おわり。

371: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/14(水) 23:05:09.82 ID:FT/sfNPXO
「ママはー?」

「…ふふ」

「誰よりも正義感が強くて、面白くて、優しくて、心の暖かい…」

「美味しい朝ご飯を作ってくれる男の人だったよ」







ほんとの、おわり。