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414: 1 2010/09/12(日) 04:52:28.44 ID:Kd5WzAli0
一年経って俺はようやく一つの作品を仕上げた。 
一般人に比べたら遥かに安い給料で、 
どうにかこうにか日々を凌ぎ、やっとの思いで上げた作品だった。 

今までで一番出来のいい作品だったが、もう俺にはこれが最後の砦だった。 

これを上手く連載につなげることが出来たら、穏やかにT先生のもとを離れることが出来るし、
自分も独り立ちできる。

T先生のいる出版社とは今まで自分が書いてきてボツを食らった作品を見せたりして
打ち合わせをしてきたけど、T先生とは正直縁を切りたかったので、
別の、更にグレードを落とした出版社に持っていくことにした。

422: 1 2010/09/12(日) 04:59:55.92 ID:Kd5WzAli0
今まで培ってきた技術を全て詰め込んだ作品だった。
トーンも背景も入れまくり、素人に見せたら「すげええええ」と言わせる自信は今でもある。

作品のレベルは上がっている反面出版社のレベルは落としたんだ。
これはもう絶対に上手くいくだろう。
中学生が小学生のテストに挑むようなものだと、尊大なことを思った。
その確信があった。自信も。

出版社の編集に原稿を手渡し、
「すごい」と驚く顔になる瞬間を見るため、俺は下唇をかみながら編集の顔を凝視した。


しかし、編集の表情は特に変わらず、代わりに俺にこう言った。


「君、いくつ?」

423: 1 2010/09/12(日) 05:03:34.78 ID:Kd5WzAli0
「え?」

唐突な質問にどきりとした。
俺は既にその時26歳になっていた。

漫画家志望がサバを読むというのはよくある話だったが、
今後この人ときちんとした人間関係を築くつもりならウソはいけない。
俺は正直に「26歳です」と答えた。


「おほぉ〜w結構いってるねw」


心臓が冷たくなった。

425: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:05:24.16 ID:CRJw6rwf0
26でも30でも受賞してるやつはしてるから
色んな所に持ち込めばよかったんじゃないかと

426: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:06:11.87 ID:EaFBCmw60
>>1が時々見せる
出版社を格付けして見る姿勢は正直ちょっといただけない

427: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:06:39.51 ID:OlShyhTV0
同じ原稿何社も持っていったりできるもんなのか

428: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:07:03.65 ID:VDTcXNKt0
成功している漫画家の大半が16〜20でプロを目指しているということもあり
25までにデビュー出来なければ、限界と考えられる場合も  by13ハロワ

うわああああああああ

431: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:07:55.67 ID:CRJw6rwf0
>>427
俺の友達は週ジャンに持ち込んで駄目だったけど
週マガに持ち込んだら担当付いたよ、俺もそんなだ

ある雑誌の賞では駄目だったから別の賞に送ったら
受賞できたし、原稿は一つの会社のものじゃないよ

432: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:10:42.08 ID:m1Qrfmc+0
担当との相性もあるだろうしあっちこっちに持ち込んだほうが良さそうだよな
よくわからん漫画が急に人気になったりもするし

433: 1 2010/09/12(日) 05:10:50.75 ID:Kd5WzAli0
漫画家に年齢なんて関係ない…というのは一応事実だが、
暗黙のボーダーラインがあるのもまた事実だ。

ジャンルによってそのラインは異なるが少年漫画なら大体25歳だと言われている。
25歳までにデビュー出来なければ、その先も厳しいだろう…というわけだ。
これは割と一般的に知られていることだし、俺も知っていた。

しかし、ここにくる時にはそのことを全く考えてはいなかった。
なぜなら俺は一応25歳までに「佳作」を獲ることには成功していたわけだし、
そういった意味ではレールには乗っていたからだ。
しかし、今までの出版社との関わりを全て絶ち、ゼロからのスタート、
「初めて現れる男」となった俺は、新人としては年齢を重ね過ぎていたのだ。


編集は「よく描けているけども…」と渋い顔をして俺の原稿をパラパラとめくり続けた

436: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:15:47.21 ID:CRJw6rwf0
青年系の漫画家挙げて歳なんて関係ないって言う人もいるけど
青年漫画じゃ30代スタートってのも普通によくある話だからな

少年漫画は描き手が若くないと少年の気持ちになれないってのも
一つの理由にされてる感じだし仕方ないっちゃ仕方ないのかな…

442: 1 2010/09/12(日) 05:20:10.97 ID:Kd5WzAli0
編集は終始暗く、
「特に言うことがない」というのをごまかすために、
何かを喋っている…という感じだった。
その言葉の中に好意的なものはなかった。

「アシスタントはしてるの?」と訊かれたので
「T先生ってご存知ですか?」と答えたら。
「ああ〜〜!もちろん知ってるよ!」と上機嫌になった。
彼が好意的になった唯一の瞬間だった。
その時ほどT先生と自分との差を実感したときはなかった。

こともあろうに俺は「悔しいな」とは思わず「凄いな、T先生は」と思ってしまったのだ。


そして編集が別れ際に言った台詞。
「これどうする?賞に出す?
出したとしても…まぁ奨励賞ってとこだと思うけど。
次の作品描くなら打ち合わせには応じますよ」

446: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:24:19.94 ID:xgKVmaGg0
プロまでの道が複雑過ぎて才能有る新人がどんどん潰れていってそう

455: 1 2010/09/12(日) 05:28:14.32 ID:Kd5WzAli0
その言葉にダメを押された俺は、
「いえ…、いいです。もうちょっと考えて見ます」
と小さく笑って自分の原稿を手元に手繰り寄せた。

今日、またイチからやり直すつもりではいたけど、
多分連載用ネームを切る…というところまでは一気にいくと思ってた。
原稿のレベル自体は上がっているのだから自惚れではない筈だった。
それなのに俺に突きつけられた現実は「再び奨励賞からの出直し」。

あのテンションの低い編集と打ち合わせを重ね、賞に出し、
何とか佳作か入選を獲り、そして連載用ネームを切り、
担当編集を通して、今度は編集長にokをもらって…

…って、一体どれだけの時間がかかるっていうんだ?

それまでずっと俺はあの現場でアシスタントを続け、この生活なのか?

そして、帰りの電車、窓に映る自分の顔を見つめながらこう思った。


「俺…、才能ねーんだ」

459: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:30:11.69 ID:VDTcXNKt0
ああ……

480: 1 2010/09/12(日) 05:35:46.74 ID:Kd5WzAli0
自分の降りるべき駅に着いたが、そのまま終点まで行ったのを覚えている。
そして何でもいいから気分転換に遊ぼうと思ったが、
全く俺には自分を持ち上げられるだけの発想が光らなかった。
金もなかった。

町の花壇の柵に腰を掛けて、携帯を無意味にいじった。

まだ返信していなかったメールに気付く。
友人からのメール。
「今度晴れて結婚することになった。ぜひ式に来てください」
という内容のもの。


目に涙が浮かんだ。
俺は行けない。

夢に敗れても友達は友達。
でも「今なにやってるの?」「漫画は順調?早く読ませてよ」
たったこれだけの質問が怖くて、俺は友人の晴れ舞台を見守ることを拒絶してしまった。


家に帰ったのは朝方だった。

482: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:36:13.29 ID:BDmGjLuX0
これを漫画にしろよ
バクマン読んで夢見てる奴にこういう現実もあると突きつけてやれよw

484: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:38:10.72 ID:zk5KfcJm0
これが現実か

504: 1 2010/09/12(日) 05:45:51.98 ID:Kd5WzAli0
ひとつの出版社でダメでも別の出版社に持ち込め。
…というのはよく言われていること。
今手元にある原稿も別のところに持ち込めば光がさすかもしれない。
現に回る出版社の候補は色々あった。
3つくらいは回ってみようと思っていたのだ。

しかしあの編集のあの態度に打ちのめされた俺は、急に自分の原稿がつまらないもののように思えてきた。
一年間も掛けて仕上げた力作。
この一年、この作品が俺の全てだった。
しかし、この作品は誰の目にも留まらず、
誰からも読まれない。誰も必要としていない作品だった。
この作品を呼んだのはこの世界でたったの二人。俺と編集さん。
そのためだけの作品となってしまった。


持ち込みする気力を失ってしまった俺は、処分するつもりで別の雑誌にその原稿を投稿したが、
授賞する確立は低かったし、授賞したとしてもその道のりを考えると辟易とした。

つまり、これが俺の最後の作品。
夢は破れた。

518: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:51:06.74 ID:tZYoZMTy0
日本のマンガレベルの高さが異常というのはあるが
こんなにも報われないものかね?
さすがにいたたまれなくなってくるわ

527: 1 2010/09/12(日) 05:55:47.06 ID:Kd5WzAli0
翌週にはアシスタントの仕事があった。
もはや俺の獲る道は一つだった。
アシスタントを辞める。漫画業界からも身を引く。
26歳職歴なしだけど、あの現場に一年耐えた俺ならどんなブラックでもやっていけるだろう。
今はただ、本当にただ、「俺は今〜〜やってるよ!」と胸を張って言える何かが欲しかった。

今までの自信満々の頃の俺を知ってる知人にはしばらく会いたくないけど、
いつか自分に自信が持てるようになったら連絡を取ろう。
一発逆転なんて夢は無くても。
慎ましやかな人生で良いから生きていこう。
まずはハローワークにでも登録しようか。

…そう思うと、割と清清しい気分になれた。

そして翌週の仕事日。
アシスタントさん全員とT先生の前で「仕事をやめます」ときっぱりと伝えた。

541: 1 2010/09/12(日) 06:03:03.41 ID:Kd5WzAli0
虚を突かれたという感じでT先生は「え?どうして?」と言った。
「見切りを付けました。漫画家は諦めて就職します」と答えたら、
それ以上は何も言わなかった。
周囲のアシスタントさんも何も言わなかった。
俺は依然最も叱責される回数が多かったし、
他のアシスタントさんには単なる逃げ口上のように響いたのかもしれないけど、
その言葉にウソはなかったから凛として発言できたんだと思う。


そして俺は完全なニートになった。

気が抜けて一ヶ月くらいは何となくハロワの募集ページを見るだけの日々を送っていた。


そんな時に再び、一本の電話が鳴り響く。

552: 1 2010/09/12(日) 06:08:49.67 ID:Kd5WzAli0
「おめでとうございます。当社に応募いただきましたあなたの作品が入選に選ばれました」


なんですと!!?



それは最後のあの原稿を投稿した出版社からだった。
26歳職歴なし…これは本当に社会にギリギリなんとかまだ頑張ればカムバックできるかもしれない状態だ。
今、引き返せばまだ…、でも…、でも…。


希望は時として絶望以上に残酷だったりする。



次章 そして破滅へ編



943: 1 2010/09/13(月) 12:37:30.94 ID:JrcmVwWj0
別の雑誌に投稿したことで俺の作品が入選を獲った…ということには本当に驚いた。
「雑誌によって評価は異なるから色んな所に持ち込んだ方がいい」という意見はよく耳にしていたが
正直そんなことは信じていなかったからかもしれない。
大抵、一人に見せてダメなものは何人に見せてもダメな筈だ。

しかし、まさかわが身にそういうことが起きるとは思っても見なかった。

本当に大袈裟だけど、まるで神様が「もうちょっとだ、頑張れ」と引き返す俺の背中を引いてくれたような、
そんな気さえした。
なんてことだ…これから就職活動に本腰を入れようとした矢先に…。


引き返すか…それともこの流れに身を任せるか…
意外と悩みはしなかった。

授賞の連絡を受けた際、俺はその編集さんと一度お会いするという約束を取り付けたからだ。

947: 1 2010/09/13(月) 12:50:02.26 ID:JrcmVwWj0
突然の電話でびっくりしたということもあり、会う約束の日は電話のあった翌日に設定してしまった。

初めての訪問にはいつも一時間くらい前に到着するようにして、
近場の喫茶店やコンビニで時間を潰すのがクセになっていたが、
この日は時間ギリギリに伺ったのを覚えている。

編集さんは俺より年齢が下の若い男性で、新米編集だった。


そのせいかこちらにとても気を遣い、なんていうか作家扱いしてくれているというような感じだった。
気を遣われるのは苦手だとか今までずっと思ってたけど、
その編集さんの丁寧な態度に触れ、その考えは覆った。
今まで俺が出会った、どの編集さんよりも腰が低く丁寧な編集さんで、
俺はその人と話をするということが本当に居心地良かった。


その日は顔合わせのみ…というような簡単な挨拶だけにとどまった。
編集さんの「次は新作ネームを描きましょう」という言葉に思い切って
「連載用ネームでもいいですか?」ときいたところ、
「もちろんokですよ。読み切りを載せても結局最終的にやることは同じことですからね。
連載を狙っていきましょう!」と言ってくれた。


また連載用ネームが切れる。

その日の帰りの電車は、本当にいろんなことを考えた。

951: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 12:54:32.23 ID:/F4WeF1Z0
新人編集者は地雷だってバクマン。先生が言ってた

952: 1 2010/09/13(月) 12:55:45.21 ID:JrcmVwWj0
先にも述べたけどその時俺は26歳だった。
27歳になるまでは約半年間の猶予があった。
その半年を、最後の夢の猶予にしようか…と思った。

捨てた命が思いもかけず蘇ったような、そんな心地がして、
なんていうか凄く爽やかな気分だった。
夢を諦めるということが怖くなくなっていたからかもしれない。
まるで18歳の一番最初の頃のような、あの新鮮な気持ちが蘇ったような気分だった。


そして俺は再びその半年間アシスタントをすることを決意した。
といってもT先生の下に戻るというわけではなく、新しい現場を探す方向で考えた。

953: 1 2010/09/13(月) 13:04:43.98 ID:JrcmVwWj0
業界の人には有名過ぎる某アシスタント募集掲示板にて色んな作家さんの求人を見た。
どこの求人の条件もT先生の現場に比べたら給料も高く、拘束時間も短かった。

正直お金が稼げるなら現場はどこでも良かったんだけど、
やはり行くからには役に立ちたいし、あまりにレベルの高過ぎる現場はまたゼロからスタートになりそうで敬遠した。

「イチからやってやるぜ」というかつての若い気力は、この時にはすでに枯れていた。

そして、これは同じような経験をした人にしか分からないような感情かもしれないけど
煌びやかな道を行く作家さんの下にも行きたくはなかった。

当時はまだ『バクマン』は連載していなかったけど、もし当時連載していたとしても
俺は読むことが出来なかったんじゃないかと思う。


かくして、俺はマイナー誌の作家の元でアシスタントをすることになった。

961: 1 2010/09/13(月) 13:14:58.15 ID:JrcmVwWj0
出迎えてくれたのはS先生。(※アルファベットは適当です)


S先生の下には二人のレギュラーアシスタントがいた。
Eさん:22歳・女・かわいい
Fさん:35歳・男・中背中肉・いつもにこにこしてる

俺は3人目のレギュラーアシスタントとなった。


これも業界の人にとっては常識的な話だけど、
アシスタントの世界も割と狭いので、俺はT先生とつながりがある人がいたらどうしようかと内心びくびくしていたけど、
結局それは杞憂に終わった。

S先生は40歳の大台に乗っていたけど、いかつい感じは一切なく、
見るからに温和な人で、内面的にもその通りの人だった。


早速俺が書いた背景を「上手い」と褒めてくれたし、Eさん、Fさんも「上手いねえ〜」と互いに盛り上がってくれた。



アシスタント現場にもこんないい現場があるんだ…!!


衝撃だった。

969: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 13:27:06.34 ID:JrcmVwWj0
その日からの俺の日常は今までの暗黒期がウソのように輝き始めた。
いつも何かにせかされているような、あのドス黒いモヤが晴れ渡っていた。


その新人編集さんとの打ち合わせや、アシスタント、
どこに行っても皆が優しかった。
仕事も楽しく取り組めた。


ただこれまでのように、今までの友達とはもう意識的に連絡は取らなくなっていった。
詰まるところ俺を今まで苦しめてきたのは、俺がこうありたいと願う「体裁」だとうすうす気付いていたからだと思う。
俺は俺の痛い恥ずかしい過去を知る人間と距離を置き、全て新しい人間関係に身を投じ、
その心地よさに溺れていった。

俺が何より楽しいと感じていたのは、Eさんとの時間だったのかもしれない。
Eさんはとにかく明るく、可愛かったので、長く作業が続く日でも全く苦にならなかった。


どれくらいからきちんと意識し始めたのは分からないけど、
もしかしたら出会ったその日のうちに、俺はもうEさんのことが好きになっていたのかもしれない。

977: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 13:37:12.02 ID:P7uq1eip0
実際ここまでだと、好きな業界で好きな事しながら生きていけてるんだから
まぁそれなりに悪くない人生にも思える

978: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 13:38:19.39 ID:JrcmVwWj0
アシスタントというのは、もう四六時中ずっと同じ空間にいるわけで、
それが殆ど毎日となると、身の上話など殆どしてしまうケースが多い。
出身地から中学の部活。高校は?恋愛は?兄弟は?仲は?趣味は?
嫌いな食べ物は?他人の許せない行為は?などなど。

中でも当然真っ先に話題に上るのが漫画の話。


Eさんは俺と同じく少年漫画家志望だった。
しかもメジャー路線。
S先生が連載していたのは少年誌とも青年誌とも言い難いマイナー誌で、
一体どうしてそんな子がここにアシスタントに来たんだろう?という疑問を最初は持ったが、
彼女曰く、友人の紹介らしかった。
アシスタントの世界は本当に裏で色んな人が色んな人と繋がってる。

俺がアシスタントに入り、3ヶ月くらいが経った頃だろうか。
俺とEさんはそれとなく一緒に帰るようになり、
それから急速に仲が良くなっていった。

そして、自分の中で設けた期限、半年はあっという間に経過した。

979: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 13:39:54.25 ID:TE+MY3fT0
もうその時点で人生謳歌してるよ 俺だったらもう死んでもいい

982: 1 ◆XvrFsyLRro 2010/09/13(月) 13:47:53.26 ID:JrcmVwWj0
半年を掛けて作った自分の連載用ネームは、自分でも納得のいく出来だった。
しかし、これを担当編集が編集長に持っていったところ、ボツになった。

当然ショックだった。
いわゆる典型的少年漫画から少し斜めに外したような路線で、
でも自分が心から書きたいと思っていた内容だったからだ。

そして、もう一つ、この頃自分の中で結構大きな問題だったのが、
Eさんと俺の差だった。


Eさんは22歳にして既にデビュー済み、読み切りも何度か載せ、
人気もある程度獲得し、連載用ネームを切っている最中だった。

Fさんも関してはマイナー誌で少ないページの連載を持っている人で、
現場で俺は圧倒的な劣等性だったのだ。

S先生を交え、彼らが時たま繰り広げる「上での会話」に何とか俺も参加したい…と思っていた。


ネームはボツになったが、俺は就職活動に向かわなかったし、この生活を捨てはしなかった。


そして俺は27歳になった。

983: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/13(月) 13:52:58.96 ID:25/dLGVp0
あぁ・・・やっぱりボツになったのか・・・

つか連載しても他のアシしてる漫画家っているんだな。

引用元:・続・漫画家を目指した俺が崩壊するまでを粛々と語る



24:00更新【4/4】俺「進路どうする?」親友「俺はミュージシャンになるぜ!」俺(カッコイイ…)漫画家を目指した俺が、崩壊するまでを語るへ続く


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