【ミリマス】ファーストキスは突然に【みななお】

1: ◆OYYLqQ7UAs 2017/05/23(火) 21:46:02.36 ID:McRNmRV4o

ミリマス、みななおSSです。

当SSはキャラ崩壊等が含まれる可能性があります。
あと百合です。今回はガッツリ百合です。

どうかそういったものが苦手な方は回れ右をお願いいたします。



2: ◆OYYLqQ7UAs 2017/05/23(火) 21:47:04.93 ID:McRNmRV4o

 私、横山奈緒にとって、週に一度のその時間は至福の時間といっても過言やない。
 いやまあ、ちょーっと行き過ぎてる部分もあるけどもやな、でもそれは確かに至福の時間なんや。

「回鍋肉と青椒肉絲、海老炒飯に肉団子、干焼蝦仁、棒棒鶏、小籠包……デザートには杏仁豆腐を準備してるよ!」

 目の前のおっきなテーブルにぎょうさん並んでんのは、美奈子のお手製の料理の数々。
 プロデューサーさんの胃袋に対する質量攻撃で事務所でも有名な美奈子やけど、私達アイドルに対してはそこまで度を越した量は作ってへん……と思う。
 確かに見た感じは壮観やと思うくらいの量なんやけど、そもそも私達はお仕事以外でもレッスンで体動かしてるから、これが意外とぺろりと入ってまうんや。
 美奈子自身も、プロデューサーさんとは違って私達はスタイル維持せなあかんの分かってるし、そこはちゃんと手加減してるんとちゃうかな。

「いやー、ホンマいつ見ても幸せな光景やな」

 週に一度、私は美奈子の家でご飯をご馳走にいつの間にかなってしもた。
 多分最初は、家帰っても作る気せーへんし、でも暖かいご飯食べたいなー、って思っただけやったんやと思う。
 それが美奈子のご飯の美味しさやら、嬉しそうな顔やらに絆されてしもて、気づいたら週一の恒例行事になったんや。
 さすがにこんだけ食べさしてもろてタダメシってわけにはいかんから、無理矢理お金は払っとるけどな。それでも、ホンマの値段の半額以下や。

「じゃあ私も失礼して、と」

 向かいの席に美奈子が座って、私の方を見て笑う。
 私はそれに笑い返して、示し合わしたみたいに手を合わせる。

「「いただきます!」」

 そろった二つの声に、やっぱ誰かと食べるご飯はええなあ、なんて心が暖かくなるんは、気恥ずかしくて言ったことはあらへんけども。



13: ◆Jnlik0MEGA 2017/05/23(火) 21:56:49.86 ID:E2VO/5Op0


>>2
佐竹美奈子(18) Da

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横山奈緒(17) Da

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3: ◆OYYLqQ7UAs 2017/05/23(火) 21:47:36.72 ID:McRNmRV4o

「ふはーっ、お腹いっぱいやぁ…ごちさうさま、美奈子!」

「お粗末さま! 奈緒ちゃんはたくさん食べてくれるから、私もつくりがいがあるよ~」

 それから美奈子と他愛のない事を話しながら、出された料理をデザート含めて完食した。
 そういえば、このことを女子会って言うたら莉緒に怒られたんよなあ、なんでやろ。女の子が集まってご飯食べて話すんやから立派な女子会やと思うんやけど。

「あ、そうだ。奈緒ちゃんはこれ食べたことある?」

 美奈子がそう言って思い出したように厨房から持ってきたのは、なんや赤くてトゲトゲした、木の実みたいなもんやった。

「え、初めて見るわ。なんなんこれ?」

「ライチって、聞いたことない?」

「あ~! これがそうなん!? 皮付きで見るんは初めてやわ」

 手に取ってみれば、硬い皮の感触が伝わってきて、とても皮ごとでは食べれそうやない。
 しばらくライチを手の中でこねくり回してから、皮を剥いていく。硬い皮の中から瑞々しい白い果肉が出てきて、それがまるで宝石みたいやった。
 おそるおそる一口かじってみたら、期待を裏切らへん瑞々しさと甘さが口の中に広がって、一発で気に入ってしもた。

「これ美味しいなぁ! なんやこんな美味しいもんあるんやったら、もっと早く出してーなー」

「試しに買ってみたんだけど、気に入ってもらえてよかった~。今度はもっとたくさん仕入れておくね!」

 そう言うて笑顔のまま、美奈子もライチを食べ始める。
 ライチの果汁のせいなんかな、そんな美奈子の唇がつやつやしとって、なんだか一瞬目を奪われてしもた。



4: ◆OYYLqQ7UAs 2017/05/23(火) 21:48:07.08 ID:McRNmRV4o

「? 奈緒ちゃん、どうかした?」

「へっ!? いや、なんでもあらへんよ!?」

 その視線に気づかれたことがめっちゃ恥ずかしくて、それをごまかすように次のライチに手を伸ばす。
 ライチもぎょうさん食べとるのが嬉しいんやろけど、こっちの気も知らずニコニコって笑ってる美奈子が、ほんの少しだけ恨めしい。

 結局その後早足でライチを食べ終えて、私は帰ることにした。
 そうでもせんと、考えていたことが美奈子に見透かされそうで、ちょっとだけ怖かったんや。

 *

 それから一週間後、恒例の美奈子との食事会。今日もテーブルの上には色とりどりの料理がぎょうさん並んどる。
 ただ私の心の中はといったら、先週のことがまだ尾を引いとって、表面上はごまかせてるはずやけど、中々美奈子のことを直視できんかった。

「なんか元気ないなー。い~っぱい食べて元気だそ、奈緒ちゃん!」

「そ、そやな! なんや疲れてるのかもしれへんし、今日はぎょうさん食べるで~!」

 せやけどとりあえず、今は料理に集中することにする。
 美奈子の美味しい料理をぎょうさん食べれば、この気持ちも吹き飛んでしまうやろ、と思いながら。



5: ◆OYYLqQ7UAs 2017/05/23(火) 21:48:45.95 ID:McRNmRV4o

 結果として、その希望的観測は脆くも崩れ去ってしもた。
 確かに食べとる間はそのことも忘れとったけど、ふと美奈子の方を見た時に決定的な出来事が起きてしもて……。
 あれはたしか麻婆豆腐食べとる時のことやったと思うんやけど、唇に付いたタレを舐め取ろうとしたんやろな。
 美奈子が舌で唇をこう、ぺろってなぞるように舐めて……それがちょうど目に入って、完全に意識が戻ってしもたんや。

 目を奪われて、それに気づいてまた目線を外して、そこでテーブルの傍らにウーロン茶があることに気づいた。
 これで一息つけるわ、と手を伸ばして息もつかずにグイっと飲み干す。
 あれ、ウーロン茶なんて今日飲んでたやろか? と疑問が頭の中に浮かんできたんと、美奈子がなんか言うとるな、と思ったんと、意識がふっと遠のいたのはほぼ同時のことやった。

 *

「はぇっ!?」

 次に私が目を覚ましたとき、最初に目に入ったんは見慣れた自分の部屋の天井。
 そしてすぐに襲ってきたんは自分でもびっくりするほどの頭痛と、左半身に感じる重みと熱やった。

「っつ、頭いたぁ……あれ、いつの間に帰って……!?」

 頭痛に顔をしかめながら左のほうを向くと、そこにはなぜか私の左腕に抱きついたまま眠っとる美奈子の姿。
 劇場で歌ってて機材トラブルで曲が止まってもうたときでもこんなに混乱しなかった、ってくらいの混乱に頭の中グルグルしてたら、ちょうどよく美奈子が目を開いた。
 いや、それがちょうど『良く』はないってことは、普通に考えればわかることやったんやけど。



6: ◆OYYLqQ7UAs 2017/05/23(火) 21:49:13.07 ID:McRNmRV4o

「ん……あ、わっほ~い、奈緒ちゃんおはよ~」

 寝起き直後も直後で少しふにゃふにゃした声でそう言うた美奈子を、不覚にも可愛えなぁ、なんてのんきに思いながら、気になることを聞いてみた。

「お、おはようさん美奈子。……そ、そんでな、私なんも覚えてへんのやけど」

 理由はわからへんけど、きっとなんでか意識失ってもうた私を美奈子が部屋まで送ってきてくれたんやろう。
 そんで時間が遅かったかなんかで、一緒に寝てもうたんやろな。うん、それだけ、それだけやきっと。

「あっ、そうだよね覚えてないよね! えっと……え、っと…………」

 美奈子らしくない、尻すぼみに小さくなっていく声。それと反比例するように真っ赤になっていく顔。
 それで大体のことを悟れないほど、私かておぼこやない。
 ……お母さん、お父さん、アニキ、私は彼氏より先に彼女ができてしまいそうや。

「はぁ……美奈子~、なんか軽いもんでも作ってや~」

「あ、う、うん! じゃあキッチン失礼するね!」

 私がそう言うと、しめたとばかりに美奈子がバタバタとベッドから出てキッチンへと駆けてった。
 相変わらず頭はガンガン痛いし、これからのことも考えることだらけやけど、不思議と嫌ではないんよなあ。
 まあ美奈子の唇見とった時点で、遅かれ早かれこうなる運命やったんかな。

 そう考えると……美奈子に何したんか覚えてないんがもったいないなぁ。



7: ◆OYYLqQ7UAs 2017/05/23(火) 21:49:46.51 ID:McRNmRV4o

 *

【奈緒の記憶の欠落部分】

 あの時奈緒が口にしたのはウーロン茶ではなく、食事中の話の流れで美奈子が持ってきた紹興酒。
 唇に向いた自分の目線をごまかすことばかりに意識が向いていた奈緒には、その独特の匂いも、美奈子の止めようとする声も入らなかったようで、そのままぐいっと飲み干してしまったのである。
 酒に慣れていない奈緒がそんなものを飲んでしまったものだから、一気にばたんきゅーというわけだ。

 翌日がオフであることを知っている美奈子は、早朝に仕込みがあって音も立つ佐竹家に止めるよりも、奈緒の家まで送っていくことを選択し、なんとかかんとか奈緒の部屋、その奥にあるベッドまで奈緒を連れて行くことに成功した。

「奈緒ちゃん、ベッドだよ~」

「ん~、美奈子~」

 意識が戻りつつあるのか、美奈子の名前を呼びながらも、身体に力が入らずにそのままベッドに横たえられる奈緒。
 しかしその手は美奈子の手をしっかりと握ったままだ。

「困ったなぁ、これじゃ帰れないよー……」

 とは言うものの、つながれた手を見つめる美奈子の手は嬉しそうに細められている。
 だがニコニコとしたその笑顔が次の一瞬、驚きに染まる。



8: ◆OYYLqQ7UAs 2017/05/23(火) 21:50:14.43 ID:McRNmRV4o

「わわっ!」

 握られた二人の手を見ていて力が抜けていたのか、それとも無意識ではもはや抵抗するつもりもなかったのか。
 酔っ払いと化した奈緒に引っ張られて、ベッドの上、奈緒の横に引っ張りこまれてしまった。
 まださっき奈緒を寝かせたばかりのベッドはひんやりとしていて、しかしそれが故に、美奈子に奈緒の温もりを一層伝えることになった。
 もっとも、その温もりを美奈子が堪能できたかというと、非常に疑問が残るのだが。

「えっ、ちょ、奈緒ちゃ」

「美奈子……めっちゃ美味しそ」

「んんっ!」

 酔いのせいか、それともこの状況を正しく認識しているからなのか、とろんとした目で美奈子を射抜く奈緒。
 酒によって上気したその顔色に美奈子が不意に見とれてしまったその瞬間、奈緒は美奈子の頭の後ろに手を回し、引き寄せる。
 突然のことに抵抗する間もなく、美奈子の唇と奈緒の唇が触れ合う。
 とはいえそれは触れ合う、といえるほど優しげなものではなく、美味しそう、という奈緒の言葉通り、まるで貪るような激しさを孕んだものだった。

「ん、は……っ」

 それは奈緒の中に秘められた獣性、いわゆるSっ気によるものか、それとも単に悪酔いゆえか、はたまた旺盛な部類に入るであろう奈緒の食欲が変換されたのか。



9: ◆OYYLqQ7UAs 2017/05/23(火) 21:50:40.31 ID:McRNmRV4o

 苦しげに息継ぎを行ってしまうほどに激しいそのキスは、やがて当然のように舌を絡めあうものへと変化していく。
 それに対して拒否もせず、拙いながらも応えているのは、幸か不幸か、美奈子にそういう適正があったのだろう。
 奈緒への好意、秘めたMっ気、そして何より、自分が食べられていると錯覚するほどに求められていることが、美奈子には何よりも嬉しかった。
 それは自分の料理を食べてもらえる嬉しさにも似て、しかし全く異なる喜びであり、悦びであった。

「みな、こぉ……」

 奈緒の舌が美奈子の口内を隅々まで蹂躙し、味わいつくしていく。
 さっきまで食べていた料理の残滓を求めるかのようなその動きはしかし、まるで蛇のようにねっとりとした動きで。
 息継ぎの合間に名前を呼ばれたのが更なるトリガーとなって、ゾクゾクと美奈子の背筋を悦びが這い上がっていく。

「なお、ちゃん……」

 もはやここまで来てしまえば美奈子も自分から止めるなどという思考は失われていた。
 自分を求める奈緒の舌に少しでも応えたくて、ただひたすらに奈緒の舌に自分のそれを絡ませようと追いかけていく。
 息継ぎの一瞬だけ目を開けば、薄目を開けた奈緒の顔が間近にある。
 その顔はどこか艶っぽくて、どこか格好良くて、それでいて可愛くて。



10: ◆OYYLqQ7UAs 2017/05/23(火) 21:51:06.41 ID:McRNmRV4o

(Super Lover歌ってるときの奈緒ちゃんも、こんな顔してたかも)

 急激な現実の変化についていけなくなった心の逃避でもあるのだろうか、美奈子は心のどこかが笑えるくらい冷静にそう思ったのを自覚した。
 とはいえそれもすぐに、激しい動きとは裏腹に甘く感じるような奈緒の舌の感触に塗りつぶされてしまうのだが。

「ぷは、ぁ」

 そして何分舌を絡めあっただろうか。
 美奈子にはもはや何時間もの長さにも感じられたようで、しかし数秒の間の出来事だったかのようで、正確な時間間隔などどこかに飛んでいってしまっていた。
 ともあれやがて唐突に、奈緒が唇を離し、腕の中から美奈子を解放したことで、その甘い甘い一時は終わりを告げることとなった。
 どこか名残惜しそうな表情の美奈子と、ヴァンパイアのように淫靡に微笑む奈緒と、二人の唇の間に唾液の橋が、蛍光灯の明かりを受けて銀色に煌き、そして切れる。

(もしかして、このまま……)

 その煌きに目を奪われたのもつかの間、これから起こりうることを想像して美奈子が身を固くする。
 美奈子とてそれが想像できないほど初心ではないし、奈緒が相手なら、という思いもあるが、それと覚悟とはまた別の話である。
 そして得てして、現実というものは覚悟なんぞ知らぬとばかりのタイミングで襲い来るのであって。



11: ◆OYYLqQ7UAs 2017/05/23(火) 21:51:32.33 ID:McRNmRV4o

「美奈子……」

「わ、わっほい!?」

 先ほどまで以上に細められた目で美奈子の瞳を射抜く奈緒。
 その視線に意味の分からぬ言葉が美奈子の口から発せられるのとほぼ同時、奈緒の手が美奈子の肩に乗せられる。
 その意味を汲み取り、ぎゅっと目を瞑って覚悟を決める美奈子。
 頭の中は、今日汗かいたのにな、とか、さっきのキスはちょっと紹興酒くさかったな、とか、そんなことばかりがぐるぐると渦巻いている。

「……おやすみ~」

「えぇっ!?」

 だというのに、である。
 当の奈緒はそんなことをのたまって、そのままストンと夢の世界へ飛んでいってしまう。
 その速度たるや正に、妄想の世界へ飛んでいく百合子のごとし、であった。

「…………」

 それはもちろん、美奈子が、あの元気印たる美奈子が、絶句という反応を返さざるを得ないのも致し方ないというものだろう。

「……ばか」

 そういいながら奈緒の左腕に抱きついてみれば、さっき襲ってきた驚きの連続で心の方が疲れていたのか、美奈子にも眠気の波がやってき始める。
 もちろん心臓の鼓動はドキドキと休まりそうにないが、それが収まるにつれて眠気の方が勝っていくだろう。
 そんな美奈子が、今度は素面のときに、と逆襲を企てていることなど、眠りの淵に沈んだ奈緒には、知るよしもないことだったのであった。



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【ミリマス】ファーストキスは突然に【みななお】
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         コメント一覧 (3)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年05月24日 11:59
          • 最近ミリマスのSSが増えて来て嬉しい
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年05月24日 12:21
          • 美奈子の無自覚ドスケベボデーすこすこ
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年05月29日 17:45
          • みななお増えろ

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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