4: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/26(金) 22:33:51.61 ID:spD+gxp8
土曜のとある日、部室にて

歩夢「なんかいろいろな所から怒られそうな名前だね……」

璃奈「大丈夫、コミケとかで売るわけじゃないから」璃奈ちゃんボード『目そらし』

歩夢「けど、なんで同好会メンバーの乙女ゲームなの?」

璃奈「私がSIFで作った格闘ゲームが好評で、第二弾のテーマを募集したら、乙女ゲームで同好会メンバーとの疑似恋愛を体験したいって意見が多かった」

歩夢「男の人とのデートは怖いけど、同好会メンバーなら同性だからってこと?」

璃奈「たぶん?」璃奈ちゃんボード『はてな』

6: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/26(金) 22:39:37.43 ID:spD+gxp8
歩夢「あと、私がテストプレイヤーでいいの? 私もあんまり恋愛シミュレーションは触れてないよ?」

璃奈「あんまり、ってことは、やったことあるんだね。歩夢さんなら、やったことあるかと思ってたんだ。……クソゲーのを」璃奈ちゃんボード『迷推理』

歩夢「そのクソゲー部分が否定できないよ……」

璃奈「少しでも知ってくれてれば平気。あと、このゲームの主人公モデルは歩夢さん」

歩夢「え、私なの?」

璃奈「ヒロインモデルを事前にアンケート取ったら、歩夢さんが一番だったから。……だめだった?」璃奈ちゃんボード『うるうる』

歩夢「アンケートなんていつのまにとってたの? そう思ってもらえているのは光栄だけど、なんだか少し恥ずかしいね」

7: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/26(金) 22:47:12.58 ID:spD+gxp8
歩夢「あ。あと、一言言って欲しかったかな?」

璃奈「確かに、事前に説明すべきだった。ごめんなさい」璃奈ちゃんボード『シュン』

歩夢「ううん、怒ってるわけじゃないから大丈夫だよ。ただ、さっきも言ったけど少し恥ずかしいなって」

璃奈「ならよかった」璃奈ちゃんボード『ほっ』

歩夢「さっそくこのパソコンで始めればいいかな?」

璃奈「お願いします。ディスコトップある『ときめき』ってアイコンをクリックしてくれれば起動する。そのあとは、コントローラーでオッケー」

歩夢「わかったよ。じゃあ、はじめるね?」カチカチッ

9: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/26(金) 22:54:25.54 ID:spD+gxp8
『せつ菜「ときめき! ニジガクメモリアル!」』

歩夢「あ、せつ菜ちゃんの声だ」

璃奈「手伝ってくれたゲーム制作同好会曰く、乙女ゲーの攻略対象はフルボイスらしい。なので、タイトルコールだけにとどまらず、しずく座長監修のもと、今回の攻略対象の三人にはすごい量のセリフを読んでもらってる」

歩夢「フルボイス!?」

璃奈「うん。あと、その他にも、モブに演劇部の皆さんや声劇同好会、BGMにはミアちゃんや侑さんをはじめとした音楽科の皆さん、そして、シナリオは文芸同好会、ゲーム内イラストはイラスト同好会と色々な方々の協力を得て完成している」

歩夢「すごい多くの人が関わってた」

璃奈「そのおかげでいい物ができた」璃奈ちゃんボード『ドヤッ』

13: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/26(金) 23:05:45.48 ID:spD+gxp8
歩夢「けど、そんなすごいゲームの一人目のプレイヤーが私でいいの?」

璃奈「むしろ、歩夢さんじゃないとだめ。このゲームの主人公はある意味歩夢さんなので、歩夢さんから見てゲーム内の三人が自然に見えれば、それだけ普段の三人を再現できているということになる」

歩夢「ちなみに攻略対象は誰なの?」

璃奈「せつ菜さん、愛さん、果林さん。実はこっちも事前にアンケートを取ってあって、それを基に今回はこの三人を攻略対象に選んだ。まだテスト版だから果林さんルートまでできてないので、今回歩夢さんには愛さんとせつ菜さんを攻略してほしい」

歩夢「つまり、あとで果林さんも攻略することになるんだね。結構大変そう」

璃奈「……攻略データは引き継げるようにするから共通ルートはスキップできる……はず……」璃奈ちゃんボード『目そらし』

17: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/26(金) 23:16:05.48 ID:spD+gxp8
歩夢「ふふ、ごめんね。冗談だよ。私でよければ、3週とも喜んで協力させてもらうね」

璃奈「うん」

璃奈(ごめん、歩夢さん。3週じゃすまないかも……)

璃奈「じゃあ、あらためてスタート」

『侑「名前を教えてね」』

歩夢「あ、侑ちゃんの声!」

璃奈「侑さんは今回このゲームのパラメーター管理役……いわゆる友人ポジションとして出てきてもらう。その流れでナレーションもお願いした」

21: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/26(金) 23:27:55.12 ID:spD+gxp8
歩夢「侑ちゃんも出るんだね」

璃奈「もちろん、歩夢さんと言ったら侑さんだもん」璃奈ちゃんボード『エッヘン』

歩夢「ふふっ、そっか」コウリャクタイショウジャナイノハチョットザンネン

璃奈「あらためて、名前、誕生日、あと血液型も入力お願い」

歩夢「うん。えっと、名前は上原歩夢で、誕生日は――――――」

『侑「よし、じゃあ行こうか、私たちの学園へ――――――」

 ~OP~『虹色passions!』

24: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/26(金) 23:36:12.95 ID:spD+gxp8
歩夢「あ、始まった――――――わぁ! OPの三人のイラストすごい可愛い! あ、侑ちゃんも! この後ろ姿は私かな。うわぁ……こう見ると少し恥ずかしいね//////」

璃奈「制作時間の関係で本編の使いまわしだから軽いネタバレにはなっちゃうけど、ゲーム制作同好会との協議の結果、やっぱりOPははずせなかった」璃奈ちゃんボード『葛藤』

歩夢「大丈夫! OPなのにクリア後追加の隠しキャラが普通にいるゲームとかもめずらしくないよ!」

璃奈「……それはどうなの?」璃奈ちゃんボード『困惑』

歩夢「あ、OP終わった」

璃奈「ここからプロローグ。プロローグが終わったら、歩夢さんがニジガサキ学園の2年生としてSIFまでの約半年間の高校生活を謳歌してもらう」

26: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/26(金) 23:45:21.28 ID:spD+gxp8
歩夢「カタカナ表記なんだね。半年間かぁ、長いのか短いのかわからないや」

璃奈「たぶん、普通にプレイすれば1周5時間程度? 2週目からは既読イベントのスキップ機能もあるからもう少し短くなる」

歩夢「……これ、本当に所謂同人ゲーム?」

璃奈「大丈夫。今はソシャゲで有名な〇月の同人サークル時代の最初の作品も文庫本20冊分くらいのシナリオになるらしい」

歩夢「……文庫本1冊って何文字くらいなの?」

璃奈「せつ菜さん曰く、基本10万字前後だって」璃奈ちゃんボード『びっくり』

歩夢「何それ怖い」

29: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/26(金) 23:49:27.73 ID:spD+gxp8
璃奈「もちろん、このゲームはそんなに長くないから大丈夫。じゃあ、改めてプロローグをどうぞ」

歩夢「うん。よし、今日は練習はないし、頑張って二人とも攻略しちゃうよ」ピッ

『この物語はフィクションです。
実在の人物・団体・公式とは関係ありません』

歩夢「あ、OP後だけど、これもちゃんと出るんだ」

歩夢(実在の人物には関係ある気がする……)

――――――
――――
――

40: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/27(土) 22:07:11.48 ID:TK+Q/+5n
『その日、私は夢を見ていた。

 幼い日の夢だった。

歩夢(主人公。以下歩夢)「うう……侑ちゃん、どこにいるの……?」

 人込みで幼馴染みの侑ちゃんとはぐれ、道端で泣いていると、声をかけられた。
 
「だいじょうぶ?」

歩夢「え?」

 目の前に誰かがいる。けど、はっきりと顔は見えない。』

――――――

歩夢「あ、しずくちゃんの声だ」

璃奈「しずくちゃんはこのキャラの幼少期担当」

歩夢「シルエットからしてせつ菜ちゃんかな?」

――――――

41: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/27(土) 22:20:10.37 ID:TK+Q/+5n
『「まいご?」

歩夢「うん」

 幼い私は、素直に答えた。

 泣きじゃくる私に、その子は泣かないでと言って、慰めようとしてくれている。

 それでも、泣き止まない私。

 その子は「そうだ!」と言うと、私の手を引いて走り出した。

 私はその子に手を引かれるままについて行き、そして、着いたのは公園の奥にある。林の奥にできた小さな広場。

 広場の中央に真上から太陽が差し込み、周りの木の陰も相まって、まるで、そこだけがスポットライトで照らされているようだった。

「ここ、私の秘密基地なの。いつもここで歌ってるんだ。あと、近くにある高校の教会の鐘の音も聞こえてくるんだよ。なんか言い伝えがあるんだって」

42: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/27(土) 22:28:32.75 ID:TK+Q/+5n
 そう言うと、その子は歌い始めた。たしか、その頃に流行っていたアイドルソングだったと思う。

 私はその歌声を聞いて、とても上手だと思った。
 
 そして、何より、歌っているその子がとても楽しそうで、キラキラしていて、とてもかっこいいと思った。

 泣いていたことも忘れ、私はその子の歌に夢中になっていた。

 歌い終え、ポーズを決めたその子に、惜しみない拍手を送る。

「イエーイ! ありがとう! みんなー、大好きだよー!」

 そう言って、私に手を振った後に、その子は改めて近づいてきた。

「どうだった?」

歩夢「かっこよかった! キラキラしてた!」

43: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/27(土) 22:39:42.12 ID:TK+Q/+5n
「そっか、よかった。私ね、ふんだんお父さんとお母さんが厳しいから、あんまり御家とかじゃこういうことできないの。だから、あなたが最初のお客さん」

歩夢「そうなの? せっかく上手なのに」

「ありがとう。だから私、高校生になったらスクールアイドルになりたいんだ」

歩夢「すくーるあいどる?」

「うん!」

 そして、女の子が勢いよく頷くと同時に、私の名を呼ぶ声が聞こえてきた。

 侑ちゃんだ!

 私は駆け出そうとしたが、立ち止まって、その子の方を見る。

「お友達、探してるよ。行ってあげな」

44: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/27(土) 22:45:48.39 ID:TK+Q/+5n
歩夢「うん。また、御歌聞かせてね?」

 私がそう言うと、その子は一瞬驚いたような表情をした後に、大きく頷いた。

「うん! また聞きに来てね!」

 そして、侑ちゃんと合流し、そのまま帰宅した後に気が付いた。

歩夢「お礼、言い忘れちゃった……」

歩夢(けど、またあそこに行けば会えるよね……)

 そして、私はこの後暫く後悔することになる。

 次の日も、その次の日も、その公園に行ってもその子に会えなかった。

 あの子の声は聞こえず、たまに聞こえてくる鐘の音だけが広場に響いていた。

46: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/27(土) 22:56:43.34 ID:TK+Q/+5n
 そして――――――いつまでもその子に会えなかった私はいつしかそこに通わなくなり、そのままそれを忘れてしまっていた。

「――――――て」

 ――――――声が、聞こえた――――――。

「――――――きて」

 とても聞きなれた、私の大好きな声。

「――――――起きて!」

 体の揺れる感覚と共に、私は目を覚ます。

 まだ瞼の重い目で隣を見ると、侑ちゃんが私の顔を覗き込んでいた。』

――――――

歩夢「あ、イベントスチル! この主人公を覗き込む侑ちゃんのイラスト可愛いね!」

璃奈「イラスト同好会の皆、すごい頑張ってくれた」

――――――

47: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/27(土) 23:17:51.63 ID:TK+Q/+5n
『歩夢「寝ちゃってた? ごめんね、侑ちゃん」

侑「大丈夫。歩夢の可愛い寝顔を堪能させてもらってたYO!」』

――――――

歩夢「すごい! 私の名前を自然に呼んでる! 本当に普段侑ちゃんに呼ばれてるみたい!」

璃奈「そこも皆とすごいがんばった。どんな名前だろうと、自然に呼んでくれる」璃奈ちゃんボード『ドヤッ(二回目)』

――――――

『侑「けど、今日見た子も可愛かったなぁ! 優木せつ菜ちゃん! スクールアイドルだって! 知らなかったね!」

歩夢「あ……うん」

侑「今も少し調べたんだけどね――――――」

 その後の侑ちゃんの言葉は、正直話半分だった。

50: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/27(土) 23:47:02.69 ID:TK+Q/+5n
 私も、優木せつ菜ちゃんを見て、胸のときめきを抑えられなかった。

 そして、同時に思い出していた。

 あれが、スクールアイドル。

 幼い日に出会ったあの子があこがれた存在――――――。

――――――

璃奈「せつ菜さんのスチルが入ってプロローグは終了」

歩夢「この衣装と場所……時期は違うけど、私がせつ菜ちゃんと出会ったときの再現だ……」

璃奈「侑さんから聞いた話を踏まえつつ、乙女ゲームの王道的プロローグをゲーム制作同好会が考えてくれた」

歩夢「もう、侑ちゃんったら勝手に色々しゃべって////」

璃奈「この後から……4月の始業式から本編がスタート。攻略メンバー三人との出会いが待っている。パラメーターやスケジュール管理もそこから」璃奈ちゃんボード『眼鏡クイッ』

歩夢「そうなんだね。三人とどんな出会い方をするんだろう。楽しみだなぁ」

51: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/27(土) 23:49:07.82 ID:TK+Q/+5n
今日はここまで

一応【――――――】で区切ってはいますが、ゲーム内と現実の歩夢と璃奈の会話、皆さん見やすいですかね?

もし、何かより見やすい方法とかあれば教えて欲しいです。

62: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/28(日) 12:18:39.39 ID:HXSbBNjK
 
ゲーム―――――――――――

 その日、私は夢を見ていた。

 幼い日の夢だった。

歩夢(主人公。以下歩夢)「うう……侑ちゃん、どこにいるの……?」

 人込みで幼馴染みの侑ちゃんとはぐれ、道端で泣いていると、声をかけられた。
 
「だいじょうぶ?」

歩夢「え?」

 目の前に誰かがいる。けど、はっきりと顔は見えない。』

部室―――――――――――

歩夢「あ、しずくちゃんの声だ」

璃奈「しずくちゃんはこのキャラの幼少期担当」

歩夢「シルエットからしてせつ奈ちゃんかな?」

65: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/28(日) 22:25:07.70 ID:HXSbBNjK
ゲーム――――――――――――――――

『今日から新学期。

 なんだか昨日、いろいろあってあんまり寝れなかったなぁ。

 そういえば、侑ちゃん起きれてるかな?

 どうしようかな?
(※ここから各所で様々な選択肢が出てきます。あなたの選択によって、
登場人物たちの好感度が上下したり、物語で様々なイベントが起こります。
また、選択肢により、画面左上のパラメーターが上下するよ。
パラメーターは行動でも変動するから、【ストレス】をためすぎないようにしながら行動してね)

リアル――――――――――――――――

歩夢「あ、選択肢。えっと……【起こしに行く】、【モーニングコールをする】……かぁ。こういうのを見ると乙女ゲームって感じするね」

67: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/28(日) 22:31:51.68 ID:HXSbBNjK
璃奈「この辺りはチュートリアル。この後パラメーターとスケジュールの説明がある」

歩夢「パラメーターは、左上に出てる、【ダンス】、【魅力】、【歌唱力】、【学力】、【ストレス】、の5つだね?」

璃奈「うん。主人公はこれからスクールアイドルになるから、アイドルとして【ダンス】、【魅力】、【歌唱力】を鍛えてあげて貰う。さらに学生だから勉強して【学力】も上げなきゃいけない」

歩夢「それは忙しそうだね」

璃奈「学園ラブコメだから、どれも大切。きっちりとスケジュール管理をして欲しい。けど、頑張りすぎると【ストレス】もたまる」璃奈ちゃんボード『ばたんきゅー』

歩夢「この【ストレス】を管理しながら恋に恋愛に勉強も頑張るんだね」

68: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/28(日) 22:41:05.09 ID:HXSbBNjK
璃奈「うん。……あ、注意点として、パラメーターは各キャラの攻略にも大きく関わってくる。最終イベント終了時に好感度が足りてても、該当パラメーターが必要値に達してなければ告白はされないで、問答無用でバッドエンド」璃奈ちゃんボード『\(^o^)/オワタ』

歩夢「このゲーム、思ったより難易度高そう……」

璃奈「大丈夫、ある程度余裕をもって遊んでもクリアはできるようになっている」

歩夢「そうなんだね。とりあえず……起こしに行ってみようかな? ゲーム内だけど、侑ちゃんを起こしに行くなんて久しぶりで嬉しくなっちゃうな」

璃奈「普段はモーニングコールしてるって聞いてる」

歩夢「うん。侑ちゃん、朝は弱いんだ」ピッ

璃奈「侑さん、せつ菜さんに指摘されて訂正したけど、開発会議で歩夢さんを毎日起こしてるって言ってた」

歩夢「そうなの? もう、侑ちゃんったら見え張っちゃって……せつ菜ちゃんに後でお礼言っておかないと」ポムポム

璃奈(少し怒ってるんだろうけど、全く怒ってるように見えない……)

70: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/28(日) 22:52:30.42 ID:HXSbBNjK
ゲーム―――――――――――――――

 新学期に遅刻したら大変だから起こしに行こう。

 おばさんに言って家に上げもらい、侑ちゃんを起こしに行くと、侑ちゃんは既に制服に身を包んでいた。

侑「あ、歩夢。おはよー!」

歩夢「おはよう、侑ちゃん。起きてたんだ」

侑「実はろくに寝てないんだよねー。昨日はあの後スクールアイドルの動画漁っちゃって」

歩夢「もう、侑ちゃんったら。駄目だよ、ちゃんと寝ないと!」

71: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/28(日) 23:05:34.70 ID:HXSbBNjK
侑「いいじゃん。今日はどうせ学校午前中だけだよ」

侑「でさでさ! 学校でお昼ご飯食べたらさ、さっそく、部室まで行ってみない?」

歩夢「部室?」

侑「うん! スクールアイドル同好会の部室! 私も音楽科のロングホームルーム終わったらすぐに行くからさ、食堂で待ち合わせして、お昼食べよう。部活ある生徒のために今日からやってるんだって!」

侑「そしたら、スクールアイドル同好会の部室に突撃だー!」

リアル――――――――――――――――

歩夢「あ、侑ちゃん最初から音楽科なんだね」

73: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/28(日) 23:21:37.05 ID:HXSbBNjK
璃奈「うん。シナリオの関係上、侑さんは最初から音楽科で、攻略対象の三人もスクールアイドル同好会の部員ということになってる。少し出番あるメンバーもいるけど、あとはたまに背景にいるかもだけどほぼ出てこない」璃奈ちゃんボード『探してみてね(チラッ』

歩夢「たしかに、私たちは13人もいるから、全員出演してたらゲームのシナリオ膨大になっちゃいそう」

璃奈「そういうこと。メインはあくまで攻略対象三人との出会いからイチャイチャ」

歩夢「い、イチャイチャ//// あ! さっそく放課後まで時間が進んだよ////」

璃奈「うん。ここから、順番に攻略対象と出会える」

璃奈(想像して照れてる歩夢さん、可愛い。どんな想像したんだろ?)

74: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/28(日) 23:37:42.56 ID:HXSbBNjK
ゲーム――――――――――――――

校内、廊下

侑「ふ―、おいしかった!」

歩夢「うん、おいしかったね」

侑「じゃあ、腹ごしらえも済んだし、さっそくスクールアイドル同好会にレッツ――――――」

女生徒「あ、高咲さーん。まだ学校いたんだね。ホームルーム後に先生が探してたよー」

侑「え?」

 音楽科の子の話しかけられ、先生に呼ばれたと聞いた侑ちゃんはイヤそうな顔をした。

75: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/29(月) 00:02:03.45 ID:THXNpWqW
歩夢「もしかしたら急ぎの用事かもしれないよ? 行って来たら?」

侑「……うん。しょうがないから行ってくる。終わったら連絡するから、歩夢はスクールアイドル同好会について調べておいてよ」

 侑ちゃんの背中を見送って、廊下を歩く。

 調べるって言っても、何を調べればいいんだろう?

 ……なんて考えながら歩いていると、不意に目の前の部屋のドアが開いた。

歩夢「え?」

 出てきた誰かとぶつかり、後ろに倒れそうになり、思わず目を瞑る私。

 しかし、その前に目の前の人物に腰を抱きかかえられ、引き寄せられる。

 そして、目を開けると、そこにあったのは、少し分厚そうな眼鏡と、その奥に見える、綺麗な灰色の瞳だった。

76: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/29(月) 00:07:43.89 ID:THXNpWqW
 あれ? この瞳――――――

 そして、バチリと彼女と完全に目が合うと、彼女は少し赤くなり、バッと離れた。

 分厚い眼鏡のせいで彼女の目元がよく見えなくなる。

 私を助けてくれたのは、黒いおさげの女生徒だった。

 リボンの色は私と同じなので、おそらく二年生。

???「だ、大丈夫ですか!?」

歩夢「う、うん……」

???「申し訳ございません。少し急いでいたもので。お怪我は有りませんか?」

 頭を下げる彼女に、私は慌てて頭を上げてもらうように言う。

77: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/29(月) 00:16:34.92 ID:THXNpWqW
 悪いのはこっちも同じ。

歩夢「大丈夫です。こっちもごめんなさい。私も少し考え事してたんです」

???「そう言っていただけると幸いです、上原歩夢さん」

 彼女は少し安心したように小さく息を吐いた。

 対して、私は名前教えたかな? と首をかしげる。

 そんな私を見て、彼女はクスリと笑みを零した。

???「生徒会長なので。この学校の生徒は皆さん把握しています。……そうだ、申し遅れました。私は――――――“中川菜々”と申します」

リアル――――――――――――――――

歩夢「“菜々”ちゃんだ! スチルの顔のアップ、眼鏡をかけてたはずなのに、すごくかっこよくってドキッとしちゃったよ!」

璃奈「うん。もうせつ菜さん=菜々さんってもう校内には広まってるから今回ゲームでもその二重生活を再現させてもらった」

歩夢「たしかに、あの時のせつ菜ちゃんの秘密を知ってたのは私たちだけだもんね。今思い返すと、秘密の共有って、なんだかドキドキワクワクしちゃう」

79: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/29(月) 00:22:50.92 ID:THXNpWqW
璃奈「うん、今回はそのドキドキワクワクを味わえるようにしてある」

歩夢「ってことは、他の子たちに内緒にしながら菜々ちゃんモードとせつ菜ちゃんモードでたのし――――――」ハッ!

璃奈「……どうしたの、歩夢さん?」璃奈ちゃんボード『(・・?』

歩夢「ねえ、璃奈ちゃん? 確認しちゃうけど……デートスチル、菜々ちゃんモードとせつ菜ちゃんモードの二種類用意されてるとい思うんだけど、それって一周で回収できるようになってる?」

璃奈「……」璃奈ちゃんボード『すっとぼけ』

歩夢「……4週確定かぁ……」

璃奈「ち、ちゃんと攻略キャラの好感度引継ぎ機能もつけるから……」璃奈ちゃんボード『目そらし』

歩夢「……さあ、次は愛ちゃんかな? 楽しみだなぁ」(遠い目)

89: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/29(月) 22:09:52.08 ID:THXNpWqW
リアル――――――――――

歩夢「菜々ちゃんはそのまま去って行ったね。私は……あ、選択肢が出た。中庭と……屋上?」

璃奈「うん。結局どっちも行くことになるから言うけど、この2か所で愛さんと果林さんに会うことになる」

歩夢「あ、最初に一気に会えるんだね……あれ? 果林さんルートは完成してないんじゃ……」

璃奈「果林さんルートは完成してないだけで、共通ルートのイベントは全部入ってる」

歩夢「じゃあ、途中までは果林さんも攻略は可能なんだ?」

璃奈「うん。因みに歩夢さんだからぶっちゃけちゃうけど、ここで全員に会えるのは尺の都合」

歩夢「いつまでも会えないのもやきもきするしいいんじゃないかな? うーん……どっちにしよう……」

璃奈「どっちを優先してもこの後の展開には影響はないから、適当でもOK」

歩夢「それを聞いて安心したよ。うん、じゃあ、中庭にするね」ピッ

91: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/29(月) 22:27:39.69 ID:THXNpWqW
ゲーム―――――――――――――

 中川会長と別れた私は、中庭に来た。

 そして、ベンチに座って、中川会長のことを思い出す。

 ……あの眼、見たことある気がする。

 けど……どこでだろう……?

SE「ドタドタドタドタドタドタ」

歩夢「……?」

 背後から騒がしい音か聞こえてきて、私は振り返った。

 そこからは、まるでアニメや映画でも見ているような、一瞬の出来事だった

93: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/29(月) 22:35:53.76 ID:THXNpWqW
猫「にゃぁあ!」

 振り返ると同時に、背後にたたずむ校舎の空きっぱなしだった窓から白い猫が鳴き声と共に飛び出してきた。

歩夢「猫!?」

 宙を飛ぶ猫を見て、私は驚いた。

 何で猫がこんなところに?

???「こらぁああああ! 待て待てぇえ!」

 そして、その跡を追うように窓から勢いよく飛び出してきた金髪で、運動しやすそうな服装の女生徒。

 彼女は走ってきた勢いのままに窓枠に足をかけて、猫を追って飛んだのだ。

94: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/29(月) 22:48:29.97 ID:THXNpWqW
???「愛さん! きっちり猫をキャッチ!」

 彼女は空中で白猫をキャッチすると、そのまま地面に膝をついて着地した。

???「なんてね!」

 彼女は立ち上がると猫を抱き直し、自分の方に猫の顔を向けて抱き上げた。

???「やっと捕まえたよ、はんぺん! 愛さんから逃げようなんて、10年早い!」

 彼女はそう言いながら、どこかやんちゃそうな、満面の笑みを浮かべた。

???「ちなみにだけど、さっきのは『きっちり』と『キャット』と『キャッチ』をかけた――――――あっ! こらっ!」

 そこまで言いかけると、彼女の腕の中の猫が暴れ、腕の中から飛び出した。

 そして、そのまま猫はベンチに座る私の膝の上へと飛び乗った。

 ……避難所にされた?

95: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/29(月) 22:57:33.11 ID:THXNpWqW
 猫はそのまま私を見上げて「にゃぁ」と一鳴きして彼女の方へ振り返った。

 それにつられて顔を上げると、目の前の彼女と目が合う。

???「ごめんね。はんぺんを追うのに夢中で。びっくりさせちゃった?」

 彼女の言葉に、私は首を横に振った。

 彼女は「ならよかった」と言うと、私の膝の上で彼女を見上げる猫の顎を撫でた。猫もおとなしく撫でられる。

???「シャンプーしようとしたら逃げられちゃってさ。ここまで追いかけっこしてきたんだぁ。わかったよ、はんぺん。もうシャンプーは今日は諦めるから、戻ってご飯にしよう」

 彼女がそう言うと、猫は一つ鳴いておとなしく彼女に抱きかかえられた。

???「ありがとね。そこに居てくれて助かったよー。えっと……初めましてだよね?」

96: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/29(月) 23:12:02.58 ID:THXNpWqW
 私は頷いて、名前を名乗った。

歩夢「私、上原歩夢。普通科の2年生」

???「あ、2年生なんだ! じゃあじゃあ、アタシと一緒! アタシは宮下愛っていうんだ! こっちは猫のはんぺん!」

 そう言うと、彼女は先ほどはんぺんに向けたような、やんちゃそうな、眩しい笑顔を見せた。

リアル――――――――――――

歩夢「うわぁ、このスチルの愛ちゃんの笑顔すごくいい! 愛ちゃんの良さがすっごく出てる。はんぺんも可愛いね! まるで本物をそのまま絵にしたみた」

璃奈「はんぺんに関しては、私のはんぺんフォルダが火を噴いた」璃奈ちゃんボード『ドヤッ』

歩夢「ふふ、璃奈ちゃん提供なんだね。あ、愛ちゃんもはんぺんも行っちゃった……。「今度お礼するねっ」だって。何してくれるんだろう?」

97: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/29(月) 23:22:40.83 ID:THXNpWqW
璃奈「メタなこと言うと、移動と部室が解放されればはんぺんは直ぐに会える。【ストレス】を減らすミニゲームがあるから、是非やってほしい」

歩夢「そうなんだ。すごい楽しみ! どんなゲームかな?」

璃奈「それは解放されてからのお楽しみ」璃奈ちゃんボード『にやり』

歩夢「じゃあ、最後に果林さんに会いに行こうかな。というよりも、屋上しかいけないもんね」

璃奈「強制イベントは御愛嬌と言うことで……」

歩夢「ふふ、大丈夫。さっきも言ったけど、ランダムエンカウントよりも確実に出会える方がいいと思うよ」

璃奈「そう言ってもらえると嬉しい」璃奈ちゃんボード『ほっ』

歩夢「果林さんとの出会いはどんなだろう。楽しみだね」

104: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/30(火) 22:58:53.03 ID:jzj5kffL
ゲーム―――――――――――――――

 愛ちゃんが去り、侑ちゃんとの一方的な約束を思い出した私は屋上へと向かうことにした。

 高いところから見渡せば。もしかしたら練習している様子が見えるかもしれない。

 そして、屋上の扉を開けると、春の陽気が私を包み込んだ。

 ぽかぽかしてきもちいいなぁ。

 そんなことを考えながら屋上に足を踏み入れると、屋上には先客がいた。

 ガラスフェンスによりかかり、スマホを見つめる女生徒が一人。

 とても――――――綺麗な女性。

 リボンの色で3年生ということはわかるが、同じ高校生にはとても見えないほど大人っぽかった。

105: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/30(火) 23:15:46.59 ID:jzj5kffL
???「あら、こんにちは」

 私がそのお姉さんに見蕩れていると、その視線に気付いたのか、こちらを向いた彼女に声をかけられる。

 私は少し慌てて挨拶を返す。

???「すごい熱心に見られていたから、気付いちゃったわ。もしかして、私のファンかしら?」

 気付かれたとは思ったけど、私は思ったよりもずっと凝視してしまっていたみたい。

 恥ずかしいなぁ……。

歩夢「ごめんなさい。綺麗な方だなって……あっ」

 慌てて思わず本音が出てしまった。

 私が羞恥で赤くなっていると、「あら、ファンではないみたいね」とお姉さんはクスリと笑みを零した。

107: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/30(火) 23:27:16.63 ID:jzj5kffL
???「けど、綺麗って言ってもらえるとうれしいわ、ありがとう」

 そう言ってゆっくりと近づいてきたお姉さんは私の頬に手を当てた。

???「あなたも……とても可愛いわよ」

 そして、私の目を見つめながらもう一度、妖艶な笑みを浮かべる。

歩夢「あ、ありがとうございます」

 私は緊張からぎこちなくお礼を言うと同時に、お姉さんのスマホがなった。

 お姉さんはごめんなさいねと私に断って、スマホを確認する。

 そして、「あら、行かなきゃ」と呟いた。そして、

果林「私の名前は朝香果林と言うの。縁があればまた会いましょ」

 そう言って、果林さんは屋上から出て行った。

 あ、自己紹介するの忘れた……。

109: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/30(火) 23:45:54.11 ID:jzj5kffL
リアル―――――――――――――――――

歩夢「うーん……果林さんのスチル、綺麗だし、すごい似てるんだけど……なんかゲームの果林さん、たらしっぽいね……なんか若干イメージと違うなぁ……」

璃奈「私もそうなんだけど、結構外だとファンの子にサービスで似たようなことはしてるらしい。綾小路さんとか」

歩夢「あ、そうなんだ……。けど、確かに第一印象と今の果林さんの印象て、だいぶ違うかも」

璃奈「私も開発会議で同好会メンバー以外の皆の話を聞いてて少しびっくりした」

歩夢「じゃあ、今は私たちは果林さんにとって身内って思われてるってことかな? そう考えると、なんだかうれしいね」

璃奈「うん」璃奈ちゃんボード『ニッコリン』

歩夢「あ、ゲーム内で侑ちゃんから連絡来た。えっと、先生のミスでプリント渡され忘れたんだね。何か悪いことしたみたいじゃなくてよかった」

110: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/11/30(火) 23:52:00.41 ID:jzj5kffL
歩夢「あ、ゲーム内で侑ちゃんから連絡来た。えっと、先生のミスでプリント渡され忘れたんだね。何か悪いことしたみたいじゃなくてよかった」

璃奈「次は侑さんと合流して、部室に向かってもらう。そこで、主人公がスクールアイドルになってから共通ルートがスタートするから、7月になるまでに攻略対象を決めてもらう」

歩夢「うーん……2週しなきゃいけないし、最初はせつ菜ちゃんにしようかと思ってるけど、どうしようかなぁ……」

璃奈「時間はまだある。共通ルートでもデートとかちょっとしたイベントはちゃんとあるから、ゆっくり考えて」

歩夢「そうさせてもらおうかな? とりあえず、続き、進めるね」

132: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/04(土) 21:27:14.74 ID:RRr6aQiy
 

リアル―――――――――――――――――

歩夢「侑ちゃんと合流してからあっさりと部室について、同好会に入ることになったね。攻略対象三人の自己紹介も、普段の三人のスクールアイドルとしての自己紹介と一緒だし」

璃奈「うん。そういう意味では、ゲームを通して三人について知って行かなきゃ意味がないから、ここは最小限にしている」璃奈ちゃんボード『ゲームをしようぜ(キリッ)』

歩夢「あ、選択肢が出てきた。誰と話すかかぁ……」

璃奈「ここでも全員と話すことになるから誰でもOK!」

歩夢「じゃあ、せつ菜ちゃんから順番に話そうかな?」

129: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/04(土) 21:03:07.49 ID:RRr6aQiy
ゲーム――――――――――――――――

せつ菜「上原さん、今日から新しい仲間としてよろしくお願いしますッ!」

歩夢「よろしくお願いします。えっと……優木さん?」

せつ菜「あ、是非せつ菜とお呼びください!」

歩夢「うん、ありがとう。よろしくね、せつ菜ちゃん。私のことも歩夢でいいよ」

せつ菜「はい! 歩夢さん!」

 せつ菜ちゃんはライブの時に見せていたような眩しいくらいの無邪気な笑顔が似合う女の子。

せつ菜「あ、そういえば歩夢さん、一つ尋ねたいのですが……」

131: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/04(土) 21:20:29.68 ID:RRr6aQiy
歩夢「うん、何かな?」

せつ菜「私たち、一度お会いしたことありませんか?」

歩夢「えっと……せつ菜ちゃんとはこうして顔を合わせては初めましてだと思うけど……あ、もしかしたら、昨日のライブ見てたからじゃないかな?」

せつ菜「見てくださっていたのですか?」

歩夢「うん、とってもかっこよかったよ」

せつ菜「ありがとうございます。そう言っていただけると光栄です」

 せつ菜ちゃんはそう言うと、少し考える様なそぶりを見せた。

せつ菜「やっぱり、覚えては……」

134: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/04(土) 21:36:33.76 ID:RRr6aQiy
 
歩夢「え? 何か言った?」

せつ菜「いえ、何でもありません」

 私が聞き返すと、せつ菜ちゃんは何でもないと首を横に振った。

歩夢「そっか。あ、じゃあ私からも聞いていい?」

せつ菜「はい、何でしょうか!?」

歩夢「なんで優木せつ菜って名乗ってるの、中川会長?」

せつ菜「!?」

リアル――――――――――――――――

歩夢「ここであっさりバラしちゃうんだね」

璃奈「無駄に引っ張っても仕方がない。このゲームで重要なのは恋愛であって推理じゃない」璃奈ちゃんボード『ぶった切り』

136: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/04(土) 22:02:28.89 ID:RRr6aQiy
歩夢「あ、だからさっき「せつ菜ちゃんとは」って言い方したんだね。ゲーム内のせつ菜ちゃん慌てだしちゃった」

璃奈「誰にもバレてない状況なのに主人公に目を見ただけで看破されたから」

歩夢「主人公はさっき菜々ちゃん状態だけど至近距離で目を見たから気付いたんだよね?」

璃奈「うん、ここも少しご都合主義だけど、ゲームだから御愛嬌でお願い」璃奈ちゃんボード『うるうる』

歩夢「うーん、私は特に気にならないから何とも言えないかなぁ。あ、せつ菜ちゃんとコショコショ話始めた」

138: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/04(土) 22:22:24.30 ID:RRr6aQiy
ゲーム―――――――――――――――――

せつ菜「歩夢さん、このことは内緒でお願いします。どこから私の正体が両親に漏れるかわからないので……」

歩夢「ご両親、厳しいの?」

せつ菜「はい……あまりいい顔はきっとしませんね……。両親ともに真面目なので……」

 どこの両親も厳しいんだなぁ……ウチと侑ちゃんの家が甘いのかな?

歩夢「わかった。誰にも言わないよ」

せつ菜「ありがとうございます!」

 二人だけの秘密、せつ菜ちゃんには悪いけど、なんだかワクワクしちゃうな。

139: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/04(土) 22:37:32.92 ID:RRr6aQiy
歩夢「次は誰と話そうかな?」

 【愛ちゃんと話す】
 【果林さんと話す】

→【愛ちゃんと話す】

 次は愛ちゃんと話そう。

愛「あ、歩夢。改めて、これからよろしくね! 愛さんのことは気軽に愛って呼んでよ!」

歩夢「うん、よろしくね、愛ちゃん」

 愛ちゃんは太陽のような眩しい笑顔の似合う女の子。
 
愛「じゃあじゃあ、さっそくだけど、手を上げて?」

歩夢「手?」

141: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/04(土) 22:57:40.21 ID:RRr6aQiy
 私は首をかしげながら愛ちゃんに言われた通りに手を上げた。

愛「ってことで、ハイタッチしたらはい、タッくさん友達できたね!」

 私とハイタッチした愛ちゃんは「なんちゃって」と言いながら人懐っこい笑みを浮かべた。

愛「今のは『ハイタッチ』と『はい、たっ』くさんにかかったダジャレになってるんだー」

歩夢「あ、なるほど!」

愛「今のは愛さんのコール&レスポンスなんだー。お客さんに対する呼びかけって言えばいいのかな? やるとお客さんと一体になれる感じがしてやる気もめっちゃ上がってやるぞーって気持ちになるし、楽しいよー!」

歩夢「そうなんだね」

愛「うん! だから歩夢もコーレスは絶対早めに決めた方がいいよ!」

142: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/04(土) 23:12:33.24 ID:RRr6aQiy
歩夢「わかった、考えてみるね!」

 さっそくスクールアイドルの先輩である愛ちゃんにアドバイスを貰っちゃった。コール&レスポンスかぁ……。私はどんなのがいいかな?

 なんて考えていると、不意に足に柔らかい感触があった。

 下を見ると、はんぺんが私の足にすり寄っていた。

はんぺん「にゃぁ」

愛「お、はんぺんも「よろしく」ってさ」

歩夢「そっか、こちらこそよろしくね!」

はんぺん「にゃあ」

愛「はんぺんは主に部室か中庭にいるから見かけたら遊んであげてね」

 ※【部室】もしくは【中庭】ではんぺんにタッチするとミニゲームで遊べます。
   部室ではおもちゃではんぺんと遊べ、中庭だとはんぺんを撫でまわせます。
   遊ぶと【ストレス】が大幅に減少するので、疲れた時ははんぺんと遊びましょう。

148: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/05(日) 22:44:13.46 ID:nZqpSJ9f
リアル―――――――――――――――

歩夢「あ、これでミニゲームが解放されるんだね」

璃奈「うん。はんぺん可愛いから、是非プレイしてほしい。もちろん、どうしてもミニゲームだから時間はかかるので、普通にプレイするなら普通に休憩も同じくらいにストレスは回復するから自分のプレイスタイルで選んで欲しい」璃奈ちゃんボード『にゃん』

歩夢「あとでさっそくプレイさせてもらおうかな。けど、その前に果林さんとお話ししなきゃ」

璃奈「果林さんも会話で特殊コマンドが解放されるから、ちゃんと覚えてね」

歩夢「あ、果林さんでも解放されるんだ」

璃奈「うん。そっちは【ストレス】と【魅力】に関連するから、うまく活用して、ゲームを進めて欲しい」

歩夢「【ストレス】と【魅力】かぁ……温泉とかサウナかな?」ピッ

璃奈(当たらずとも遠からず……)

149: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/05(日) 22:56:12.35 ID:nZqpSJ9f
ゲーム―――――――――――――――――

果林「また会ったわね。改めまして、私は朝香果林。名前を聞きそびれちゃってたわね」

 果林先輩は妖艶な笑みの似合う大人っぽい女性。

歩夢「上原歩夢です。よろしくお願いします、朝香先輩」

果林「果林でいいわ。あまり苗字だと呼び慣れてないの。せっかくだから先輩呼びも禁止しちゃおうかしら」

歩夢「き、禁止ですか?」

果林「ええ。私たち同好会メンバーはね、仲間だけどライバルなの」

歩夢「仲間だけど……ライバル」

果林「そう。私たちは全員がソロアイドル。先輩も後輩もない、切磋琢磨し合う対等な関係。あなたももう私のライバルなのよ」

151: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/05(日) 23:11:53.87 ID:nZqpSJ9f
 無理強いはしないけどね、と果林さんは悪戯っぽい笑みを浮かべた。その様子すら大人っぽい。

???「こら、果林ちゃん。あんまり後輩の子を揶揄ったらおこだよ?」

果林「あら、ごめんなさい、エマ。この子の反応がついつい可愛くて」

エマ「もう……果林ちゃんったら……」

 呆れたように言う、女性。

 果林さんは妖艶な雰囲気の女性ならこちらは穏やかな雰囲気の落ち着いた大人の女性。

 外国人の方だ……。

 私が呆然としているとその女性は私の方を見て、にっこりと微笑んで自己紹介をしてくれた。

エマ「こんにちは、わたしはエマって言うの。歩夢ちゃんだったよね。ようこそ、スクールアイドル同好会へ」

153: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/05(日) 23:29:40.96 ID:nZqpSJ9f
歩夢「はい。よろしくお願いします」

果林「エマは私の親友で、いろいろとお世話を焼いてくれる、同好会の皆のお母さん的存在よ。私もよく世話になっているわ。人を癒す天才だから、遠慮なく甘えなさい」

エマ「果林ちゃんの言う通り、わたし、みんなの役に立つのが好きなんだ。皆がエモエモで尊みの極みな存在になるためのお手伝いしちゃうよー! 何かあったら、遠慮なくわたしに言ってね。なんでもしてあげちゃう!」

歩夢「はい、何かあったらよろしくお願いします、エマさん」

 ※部室で【エマさんにお願い】を選ぶと、エマさんが癒してくれるよ。
  【ストレス】が少し減って、【魅力】が少し増えるから、癒されたいときは
エマさんにお願いをしてみよう。

リアル――――――――――――――――

歩夢「エマさんは癒しどころなんだね。休憩するほどじゃないけど、少し【ストレス】を減らしたい時用の調整コマンドってことかな」

璃奈「うん。さっき(>>73)も少し説明したけど、一部メンバーは侑さん同様にサポートキャラとして登場してもらってる。エマさんはまさに歩夢さんの言う通りのサポートコマンド用キャラクター。パワ〇ロでいうメンタルトレーニング」璃奈ちゃんボード『怪我率0%』

154: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/05(日) 23:38:59.45 ID:nZqpSJ9f
歩夢「ごめん、璃奈ちゃん……名前は知ってるんだけど、野球ゲームはW〇iのメ〇ャーしかやったことなくて……」

璃奈「W〇i……メ〇ャー……」璃奈ちゃんボード『あっ(察し)』

歩夢「あ、全員と自己紹介が終わったら解散になって、家まで場面が飛んだ。侑ちゃんとの会話なんだね」

璃奈「うん。これでパラメーター管理が解放された。同時に、ここからは【メニュー画面】が開放される。そこで侑さんの顔のアイコンを選択すれば、侑さんがその時の好感度情報を教えてくれる」

ゲーム『侑「今はこんな感じだよ!」』

歩夢「本当だ。三人のデータページが出てきた。それに、それぞれのページで顔のアイコンの上に小さいハートマークが出てる項目がある」

璃奈「このハートは好感度が上がれば少しずつ大きくなるから、それが背景に薄く浮き出てる点線まで大きくなれば好感度MAX」

璃奈「さらに、メニュー画面ではセーブはもちろん、その週の行動や、周回プレイ済みだったらチャートとか確認できる。前周までに獲得したスチルも確認できるので、細かくチェックしてほしい」

156: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/05(日) 23:48:25.10 ID:nZqpSJ9f
歩夢「あ、説明も出たね。……えっと……【行動コマンド】が【休憩】、【ボイトレ】、【ダンス】、【柔軟】、【勉強】、【バイト】、【電話】……結構多いね」

璃奈「あと、休日には【デート】や【おでかけ】、など、専用コマンドが出てくる。予定や行事は画面にデフォルト表示されてるスケジュール画面で確認して欲しい」

璃奈「ちなみにはんぺんやエマさん、あとこれから出るサポートキャラは【おでかけ】中に会える。【デート】は一日潰れるけど、それ以外のコマンドなら休日は三回まで行動できるから、有効に活用してね」

歩夢「思ったよりも本当に本格的……。私、うまく攻略できるかな?」

璃奈「歩夢さんなら、大丈夫。それに、これは所詮ゲーム。うまくプレイできるかよりも楽しんでほしい」璃奈ちゃんボード『やって見せろよ、マ〇ティー!』

ナントデモナルハズデス

セッツー……ダト……?

歩夢「……セリフとボードと合ってないよ? ……あと何か聞こえなかった?」マ〇ティーッテダレ?

璃奈「……間違えた」璃奈ちゃんボード『てへぺろ』

162: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/06(月) 23:14:37.90 ID:daJQHZha
リアル――――――――――――――

歩夢「とりあえず、練習は3つを順番にやって……4月第1週が終わった初めての休日だね」

璃奈「練習もいいけど、公園やショッピングモールへ出るのもおすすめ。新しい出会いがある」璃奈ちゃんボード『わくわく』

歩夢「じゃあ、アドバイス通りに公園とショッピングモールに向かおうかな」

ゲーム―――――――――――――――

【公園】

 春の公園はポカポカして気持ちいいなぁ。潮風も最高。

 私の他にも公園内には散歩をしている人や、写真を撮っている人、運動をしている学生、清掃のボランティアをしている女の子。

 色々な人がいるなぁ、なんて思いながら公園を散歩していると、どこからともなくお昼のチャイムが聞こえてきた。

 小腹もすいちゃったし、何か食べようかなぁ……

???「いらっしゃいませ~! かわいいかすみんの作る、特製コッペパン! ほっぺが落ちちゃうほどおいしいですよぉ~! お昼ご飯にいかがですかぁ?」

163: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/06(月) 23:17:48.88 ID:daJQHZha
歩夢「ん?」

 コッペパンかぁ、お昼ご飯にいいかも。

 聞こえてきた声のほうへ振り向くとキッチンカーがあった。

 中で働く三角巾を巻いた女の子と目が合う。

かすみ「あ、そこのお姉さん! かすみん特製コッペパンいかがですか? おいしいですよぉ~」

 声の主には、見覚えがあった。あれ? この子確か……。

かすみ「あれ? 歩夢先輩じゃないですかぁ!」

 そうだ! この子は入学式直後にスクールアイドル同好会に入部した中須かすみちゃん。

歩夢「かすみちゃん、こんにちは。アルバイト?」

164: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/06(月) 23:24:27.50 ID:daJQHZha
かすみ「はい! かすみんコッペパンが大好きなので、このコッペパン屋でアルバイトしているんです。看板娘として頑張ってますよ! 元々常連だから店長さんとも仲がいいので、スクールアイドルとしての宣伝もしていいって言われてるんですよぉ!  ……そうだ!」

 かすみちゃんはそう言うと、キッチンカーの中にいるらしい店長さんに話しかけた。

 そして、話し終わったかすみちゃんは手にコッペパンを持ってキッチンカーから降りて私の方までやってきた。

かすみ「これ、宣伝とお近づき印です! 近くに来た際はぜひ御贔屓に!」

歩夢「え、いいの?」

かすみ「はい! 因みに、かすみん印のコッペパンは栄養もばっちりです! 食べたら体の調子が良くなること間違いなしですよぉ!」

歩夢「それ、大丈夫なの?」

 歩夢は【かすみん特製コッペパン】を手に入れた。

 ※コッペパン屋で買える【かすみん特製コッペパン】はメニューの【アイテム】コマンドから
  食べることができます。食べると選択したステータスを1上昇させることができ、
  1周で合計15個まで食べることが可能なので、有効活用しましょう。

175: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/08(水) 22:00:27.51 ID:zwVR07uq
【ショッピングモール】

 映画館やお洋服屋など、たくさんのお店があって、よく侑ちゃんと遊びに来るけど、今日は一人。

 いつも行くお洋服屋さんでも行こうかなと思っていると、声が聞こえた。

???「あ~、歩夢ちゃんだ~」

 聞き覚えがある声に振り返る。

???「やっほ~、彼方ちゃんだよ~」

歩夢「彼方さん? その格好は……」

 そこに居たのは先輩の近江彼方さん。お昼寝が大好きな頑張り屋さん。

176: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/08(水) 22:12:21.28 ID:zwVR07uq
 彼方さんは黒いローブを羽織って小さな店舗スペースの前に立っていた。

歩夢「占いの館……?」

 普段もこのショッピングモールには来ていたはずなのに、初めて気が付いた。こんなお店もあったんだ。

彼方「うん、そうだよぉ。彼方ちゃんは~、休日はここで占いのアシスタントのアルバイトをしてるんだよ~」

歩夢「アルバイトなんですね。お疲れ様です。……あれ? けど中に人がいないような……」

彼方「いや~、先生奥にいるんだけどね? 人見知りさんなんだぁ。だから人前に出てこないの。奥にはいるから、お客さんが来たら私経由で先生が占って、私経由でその結果をお客さんに伝えてるんだ~」

 そう言ってインカムを見せる彼方さん。

181: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/08(水) 22:34:11.20 ID:zwVR07uq
歩夢「えぇ……」

 それ大丈夫なのかなぁ……。

彼方「ん? はい。え、いいんですか~?」

 彼方さんはインカムで数回話したのちに、私に言う。

彼方「歩夢ちゃん、よかったら占って行かないかって」

歩夢「え?」

彼方「先生が私のお友達ならお試しでだってさ~。先生の占い意外と当たるって評判なんだよ~。もちろん、私もお客さんのプライバシーは守るからさぁ」

 彼方さんはそう言うと、私を店舗の中へ引っ張っていく。

183: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/08(水) 22:46:45.34 ID:zwVR07uq
 私も女の子で、占いには人並みに興味があるのでおとなしく着いて行く。

 そのまま暗い雰囲気のカーテンで仕切られた部屋に連れて来られた。

 一応カーテンから透けて人影が見えるので、彼方さんの言う通り、占い師さんは奥にいるみたい。

彼方「先生は相性占いとか、恋愛相談とか、人の縁に関わる占いが得意なんだぁ。試してみてよ」

 せっかくだし、新しく友達になった同好会メンバーのことを聞いてみようかな。

私は……

 【二面性のある同級生と仲良くなりたい】
 【元気なダジャレ好きの同級生のことが知りたい】
 【大人っぽい先輩のファンになりそう】

 ピッ

184: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/08(水) 22:54:10.93 ID:zwVR07uq
 【二面性のある同級生と仲良くなりたい】

彼方「りょうかーい。では先生、お願いしま~す」

 ………………………………

彼方「ふむふむ……うん、占い結果が出たよ! 先生曰く――――――」

【占い結果】
 学力:まだ足りないよ
 魅力:まだ足りないよ

彼方「だってさー。その子と仲良くなるかはこれからの歩夢ちゃんに期待だね。因みに今週は魅力が上がりやすいからチャンスだって~」

 ※占いの館に来ると、キャラクター攻略に必要なパラメーターと、攻略のためのアドバイスをくれます。
  同時に、その週に効率的な練習や、おすすめのデートスポットを教えてくれたりもするので、有効活用しましょう。

186: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/08(水) 23:02:21.51 ID:zwVR07uq
彼方「こんな感じかなぁ。満足いただけた?」

歩夢「はい、参考になりました」

彼方「よかった。前にせつ菜ちゃんを占った時は「あなたの運命の人は真夏にマフラーを巻いて雪だるまと一緒に現れるなんて」とんでもない結果が出ちゃって……」

 私は乾いた笑いを浮かべた。なんだろうその結果は……。

彼方「じゃあ、近くに来たらまた寄ってよ。タイミングが合えばご飯も行きたいな。ここ、おすすめの台湾料理屋さんが入ってるんだ~、安くて美味しいんだよ~」

 私は是非と返事をしてその場を離れた。

 ~移動~

194: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/09(木) 22:01:50.76 ID:IOAWGmVn
リアル―――――――――――――――――

歩夢「えっと、そのままショッピングモール探索することになったと思ったら演劇部部長さんボイスの書店員に声かけられて、求人冊子を貰ったね」

璃奈「うん、これで【バイト】も解禁されたから、チュートリアルは完全終了。お疲れ様」璃奈ちゃんボード『ここからが本番だ!』

歩夢「バイト先は……【本屋さん】、【もんじゃ屋さん】……【モデル】……【台湾料理屋さん】? えっと……彼方さんの言っていたところかな? あ、【台湾料理屋さん】他の所より時給が高い。けど……」

璃奈「うん、歩夢さんの想像の通り。それぞれのバイト先には対応する攻略対象が来やすい」

歩夢「やっぱり……つまり、【台湾料理屋さん】は対応キャラの好感度は稼げないけど時給が高いんだね……なら」ピッ

璃奈「【本屋さん】にするってことは、1周目はせつ菜さんで確定?」

歩夢「うん。せつ菜ちゃんは2周しなきゃだし、せつ菜ちゃん(1週目)→愛ちゃん→せつ菜ちゃん(2周目)の順番でやろうかなって。早速せつ菜ちゃんをデートに誘っちゃった」

195: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/09(木) 22:17:44.98 ID:IOAWGmVn
璃奈「いいと思う。好感度はガンガン上げるべき」

歩夢「うん、ここからは私の力で頑張るね。とは言っても、私も乙女ゲームはやり慣れてるわけじゃないから、細かくセーブはしないと。幸いセーブスロットは多いから、ここからは1週間ごとにセーブして……で、今週はたしか魅力が上がりやすいから柔軟と、一回バイトに行って……」

璃奈(歩夢さん、予想以上に乙女ゲームを知っている?)

歩夢「あ、デート前に、お洋服も買わなきゃ……デート日曜日でよかった……。えっと……【キュート】、【アクティブ】、【シック】、【セクシー】……服も凝ってるんだね」

璃奈「ここは服飾同好会監修。簡略化してるけど、元ネタもこんな感じらしい」

歩夢「うーん……せつ菜ちゃん相手だし、やっぱりキュートな感じかなぁ。この前に一緒に出掛けた時に可愛い系の服褒めてくれたし」ピッ(フクヤヲセンタクシナガラ)

璃奈「お出かけしたんだ、どこに行ったの?」璃奈ちゃんボード『へぇ~、デートかよ』

196: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/09(木) 22:28:04.96 ID:IOAWGmVn
歩夢「ふふ、そうだね。デートかも? せつ菜ちゃんおすすめのアニメ映画見に行ったんだ。本当は2年生皆で行くつもりだったんだけど、私とせつ菜ちゃんしか都合が合わなかったの」

璃奈「そうなんだ。映画、面白かった?」

歩夢「とっても面白かったし、感動して泣いちゃった。そしたら原作も気になっちゃって、せつ菜ちゃんは貸してくれるって言ってくれたんだけど、原作の漫画全部揃えちゃったの。えっと……このピンクのロングスカートと、上着を買っちゃおうかな。あ、このピンクのハートのネックレスも可愛い。どうしようかなぁ……」

璃奈「いいなぁ、私も歩夢さんとデートしたい」璃奈ちゃんボード『おねだり』

歩夢「うん。私でよければ今度遊びに行こう。……あ、いろいろしてたらもうデート当日……よかった。本当に2周で済みそう」

璃奈「え?」

198: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/09(木) 22:40:22.24 ID:IOAWGmVn
ゲーム『せつ菜「一緒におでかけする際はどっちの私がいいですか?」』

歩夢「こうして最初に菜々ちゃんとせつ菜ちゃんで選ぶんだね。よかった、デートごとに完全ランダムとかじゃなくって……じゃあ、1周目は――――――」

ゲーム―――――――――――――――――――
【せつ菜ちゃんの格好がいいかな】
【菜々ちゃんの格好がいいかな】

ピッ

【菜々ちゃんの格好がいいかな】

菜々「わかりました。では、次回以降お出かけする際は、菜々モードの私で来させていただきます」

 私は頷いた。

菜々「では、行きましょう。私、今日の映画楽しみにしていたんです」

199: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/09(木) 23:26:42.46 ID:IOAWGmVn
【映画館内】
菜々「足元暗いので、お気をつけてください」

 菜々ちゃんはそう言うと、私に手を差し出してくれて、席まで先導してくれた。

菜々「映画、とっても楽しみです。楽しみすぎて、今日眠れなかったんですよ」

歩夢「ふふ、そうなんだ」

菜々「はい! あ、映画が始まりますよ!」

――――――――――
――――――――
――――――

201: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/09(木) 23:35:01.21 ID:IOAWGmVn
【喫茶店】
菜々「最高でした! 特にラストのあのシーン! 原作でも元々評判は良かったのですが、映像になると、BGMも相まって、さらに感動的なシーンに! しかも声優さんの配役もぴったりで――――――」

菜々ちゃん、こんな顔してはしゃぐんだなぁ、聞いてるこっちまで楽しくなってくるし、菜々ちゃんが本当に作品が大好きなことが伝わってくる。

なんて思いながら話を聞いていると、菜々ちゃんがハッとした。

菜々「ごめんなさい。私、好きな物のことになると夢中になって話してしまうんです」

【もっと聞かせて欲しいな】
【楽しそうにしゃべっている様子が可愛くて聞いてなかった】

ピッ

【もっと聞かせて欲しいな】

202: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/09(木) 23:39:14.76 ID:IOAWGmVn
菜々「……ありがとうございます。では続きなのですが、実は映画序盤の戦闘シーンも――――――」

 そのまま暫く、私は楽しそうに話す菜々ちゃんの話を聞き続けた。

菜々「歩夢さん、今日はありがとうございました。では、また学校で」

歩夢「うん、また明日ね」

 菜々ちゃんと出かけた。
 少し仲良くなれた気がした。

4月第3週
月曜日 【勉強】
火曜日 【バイト】
水曜日 【勉強】
木曜日 【柔軟】

216: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/11(土) 22:52:30.79 ID:94D6BFI1
~木曜日、放課後~

 今日も疲れたなぁ。

菜々「あ!」

菜々「歩夢さん、一緒に帰りませんか?」

【一緒に帰ろう】
【ごめん、急いで帰らないと……】

ピッ

【一緒に帰ろう】

菜々「はい!」

217: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/11(土) 23:05:11.39 ID:94D6BFI1
【帰り道】

菜々「どうですか? 練習にはそろそろなれましたか?」

歩夢「ううん。だからやっぱり菜々ちゃんたちはすごいなって」

菜々「ふふ、ありがとうございます。けど、歩夢さんもすごいです。とても頑張って練習しているのが見ていてわかります。私も負けていられません」

歩夢「そう言ってもらえるとうれしいな。これからも頑張るね」

菜々「はい! 切磋琢磨して互いを高め合いましょう!」

 菜々ちゃんはそう言って眩しい笑顔を向けた。

 こんなにすごい菜々ちゃんも頑張ってるんだ、私も頑張ろう。

218: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/11(土) 23:10:16.52 ID:94D6BFI1
金曜日 【柔軟】

~金曜日 昼休み~

侑「あ、歩夢!」

愛「歩夢、やっほ~」

歩夢「侑ちゃん! 愛ちゃん!」

侑「愛ちゃんとお昼一緒に食べようってなってね、歩夢もどう?」

【一緒に食べる】
【ごめん、用事があるんだ】

ピッ

【一緒に食べる】

220: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/11(土) 23:21:54.70 ID:94D6BFI1
愛「よっし、『愛』さんと『相』席だ!」

侑「あはははははははは」

歩夢「侑ちゃん……相変わらず笑いのツボが赤ちゃんなんだから……」

【学食】

歩夢「何を食べようかな?」

【Aランチ】(サンドイッチ)
【Bランチ】(焼き魚定食)
【Cランチ】(ハンバーグ定食)
【今日はお弁当持参】

ピッ

【Bランチ】(焼き魚定食)

221: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/11(土) 23:32:26.14 ID:94D6BFI1
愛「あ! 歩夢もBランチ? 愛さんと一緒だ!」

歩夢「うん、お魚おいしそうだなって」

侑「さっそく食べようよ」

一同「「「いただきます!」」」

侑「愛ちゃんってお魚の食べ方綺麗だよね」

愛「でしょでしょ? おばあちゃんがお魚食べるの上手でね、かっこいいなぁ、って思ってさ。頑張って練習したんだ~」

歩夢「確かに、お魚上手に食べれる人ってかっこいいかも」

愛「でしょでしょ? もう愛さん皆と学食来るたびに焼き魚定食にしようかな、褒められるのに『アジ』を占めちゃった! 魚だけに!」

歩夢「今日のお魚、サバだけどね」

侑「あはははははははは」

222: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/11(土) 23:36:53.63 ID:94D6BFI1
リアル――――――――――――――

歩夢「……侑ちゃん、これ本当に笑ってない?」

璃奈「うん、大爆笑だった」璃奈ちゃんボード『(爆)』

歩夢「けど、今思い返すと、侑ちゃんたまに腹筋痛そうにしてる日あった気がする。なんで皆がこんなことをしてるって気が付かなかったんだろう……」

璃奈「それは皆で歩夢さんには内緒にしようって……あ」

歩夢「え? 私に内緒って……なんで?」

224: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/11(土) 23:43:37.47 ID:94D6BFI1
璃奈「……元々歩夢さんにテストプレイしてもらうつもりだったから、予備知識ない方が率直な意見もらえるかなと」璃奈ちゃんボード『シーッ』

歩夢「確かにそうかも。自分が関わったとしたら贔屓目で判断しちゃいそう」

璃奈「うん。だから公平な目で見てもらうために皆に内緒にしてもらった」

歩夢「そうだったんだね。よし、皆のために、ちゃんと公平な目で見るようにするね」

璃奈「歩夢さん、ありがとう」璃奈ちゃんボード『感謝』

璃奈(……なんとか誤魔化せたけど、危なかった)

璃奈(自分で気付いちゃったら仕方がないけど……もう一つの目的が、まだ果たされてないから、それまでは自然にプレイしてもらう必要がある)

226: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/11(土) 23:51:30.81 ID:94D6BFI1
歩夢「あと、侑ちゃん居たから思わず一緒にご飯食べちゃったんだけど、こういうご飯イベントとかはランダムイベントかな?」

璃奈「うん。好感度高い人が優先されるけど、今は初期だからほぼランダム。好感度がもっと高まれば攻略対象のみに誘われるようになる」

歩夢「うーん……じゃあ本当は断った方がいいのかな? けど、侑ちゃんや愛ちゃんたちともご飯食べたいし――――――あ! 璃奈ちゃん! せつ菜ちゃんと二度目のデートの約束できたよ!」

璃奈「今度は……アミューズメント施設?」

歩夢「うん! せつ菜ちゃん、ゲームセンターとか結構好きだからゲーム内でも喜んでくれるかなって」

璃奈「流石歩夢さん、せつ菜さんの好みを熟知してる」

璃奈(……このまま行けば直ぐにもう一つの目的も達成できそう……)

 璃奈は部屋の隅に置かれた監視カメラをちらりと見た。

227: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/11(土) 23:53:45.83 ID:94D6BFI1
短いですが今日はここまで。

次回はゲーセンデートの予定です。

本日もお付き合いいただきありがとうございました

235: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/12(日) 23:25:22.50 ID:J6Ote5Im
ゲーム―――――――――――――――――
日曜日 デート

菜々「ごめんなさい、遅くなりました」

歩夢「ううん、私も今来たところだよ?」

菜々「そうでしたか。とはいえ、お待たせしてしまったのも事実です。次回は私の方が歩夢さんを待っていますね!」ペカー

歩夢「うん、ありがとう」

菜々「では参りましょうか」

【アミューズメント施設】

菜々「ふふ、こういうところに来ると、ワクワクしてしまいます。歩夢さん、本日は何をして遊びますか?」

236: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/12(日) 23:35:30.48 ID:J6Ote5Im
【ボウリング】
【ダーツ】
【ビリヤード】
【ゲームセンター】

ピッ

【ゲームセンター】

菜々「ゲームセンターですね。私、あんまり行ったことがないので楽しみです?」

【移動】

菜々「ふふっ、ゲームセンター。最近はアニメのフィギュアなども置いてあるので、気になってはいたのですが、一人で入るのには勇気がありませんでした。……しかし! 今日は歩夢さんが一緒なので、もう何も怖くありません!」

238: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/12(日) 23:44:16.38 ID:J6Ote5Im
 菜々ちゃんが楽しそうで何よりだな。

 あ、菜々ちゃん、さっそくクレーンゲームの景品をジッと見つめてる。

 アニメのキャラクターのフィギュアかな?

 どうしよう?

【獲ってあげる】
【自分のぬいぐるみを獲る】
【そんなことよりアイドルなんだからダンスだよ!】

ピッ

【獲ってあげる】

240: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/13(月) 00:00:19.42 ID:ZIHTDPJd
歩夢「菜々ちゃん、これ、私がプレイしてみてもいい?」

菜々「え?」

歩夢「ちょくちょく侑ちゃんとゲームセンター来るから、クレーンゲームは得意なの」

菜々「いいのですか?」

歩夢「うん。うまく取れるかはわからないけど、頑張るね!」

 フィギュアはあんまりやらないけど、基本は一緒だから、大丈夫、獲れる。

242: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/13(月) 00:11:38.04 ID:ZIHTDPJd
リアル――――――――――――

璃奈「あ、ちなみにここからはミニゲーム。シンプルだから、基本的に獲れるようにはなってるけど、油断はしないでね?」

歩夢「あ、ランダム判定じゃなくてミニゲームなんだね。バランスキャッチすればいいかな?」

璃奈「……バランスキャッチ?」

歩夢「真ん中を両アームで掴む持ち方のことだよー。現実のゲームセンターだと基本的にアームの爪いじられちゃってるからできないけど」

璃奈「あ、それで大丈夫。侑さんから聞いてたけど、歩夢さん本当に詳しいんだ」

歩夢「侑ちゃんゲームセンタ―行くとお菓子のクレーンゲームとかで散財しちゃうから……あと、このイベントみたいにせつ菜ちゃんと一緒に行くことも増えたから、フィギュアとかの獲り方自然と覚えちゃった」

歩夢「あ、ゲームでも景品獲れた!」

璃奈「これで菜々さんの好感度爆上がり」

243: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/13(月) 00:15:15.04 ID:ZIHTDPJd
>>242は無視でお願いします。


リアル――――――――――――

璃奈「ちなみにここからはミニゲーム。シンプルだから、基本的に獲れるようにはなってるけど、油断はしないでね?」

歩夢「ランダム判定じゃなくてミニゲームなんだね。バランスキャッチすればいいかな?」

璃奈「……バランスキャッチ?」

歩夢「真ん中を両アームで掴む持ち方のことだよー。現実のゲームセンターだと基本的にアームの爪いじられちゃってるからできないけど」

璃奈「うん。それで大丈夫。侑さんから聞いてたけど、歩夢さん本当に詳しいんだ」

歩夢「侑ちゃんゲームセンタ―行くとお菓子のクレーンゲームとかで散財しちゃうから私が練習したの。……あと、このイベントみたいにせつ菜ちゃんと一緒に行くことも増えたから、フィギュアとかの獲り方自然と覚えちゃった」

歩夢「……やった。ゲームでも景品獲れたよ!」

璃奈「これで菜々さんの好感度爆上がり」璃奈ちゃんボード『グッb』

246: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/13(月) 00:19:15.50 ID:ZIHTDPJd
ゲーム―――――――――――――――――
菜々「歩夢さん! ありがとうございます! フィギュア、家宝にします!」

歩夢「大げさすぎるよ」

菜々「そんなことありません! 私がプレイしたらきっといくらお金を次ぎ込んでも獲れなかったと思います!」

歩夢「練習すれば誰でも上手になれるよ」

菜々「そういうものなのでしょうか……」

菜々「では、私にコツを教えてくれませんか? 私も自分で景品を獲得してみたいです」

歩夢「うん! 私でよければ」

菜々「ありがとうございます!」ペカー

 この後めちゃくちゃ散財した。

菜々「歩夢さん、今日はありがとうございました。では、また学校で」

歩夢「うん、また明日ね」

 菜々ちゃんと出かけた。
 少し仲良くなれた気がした。

253: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/13(月) 22:37:15.89 ID:ZIHTDPJd
ゲーム―――――――――――――
土曜日1 【ショッピングモール】

彼方「占いの館へようこそ~、歩夢ちゃん。今日も来てくれてありがとうね~」

彼方「じゃあ、さっそく、今日の占い行ってみようか? 何を占う?」

【生徒会長とアニメ鑑賞がしたい】
【部室棟のヒーローともんじゃ焼き食べたい】
【美人読モの着せ替え人形になります】

ピッ

【生徒会長とアニメ鑑賞がしたい】

彼方「りょうかいだぜぇ~。では先生、お願いしま~す」

………………………………

彼方「ふむふむ……うん、占い結果が出たよ! 先生曰く――――――」

254: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/13(月) 22:40:55.40 ID:ZIHTDPJd
【占い結果】
 学力:あと少し必要かな
 魅力:まだ足りないよ

彼方「だってさ~。せつ菜ちゃんは勉強が得意だし、図書室で勉強を教わるのもいいかもしれないね~。因みに今週は歌唱力が上がりやすいみたいだよ」

彼方「あと、これ先生が毎回占いの館を使ってくれているお礼だって、上手く活用してね」

 彼方から【服屋の30%オフ券】をもらった。

彼方「またきてねぇ~」

【移動】

256: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/13(月) 22:47:04.40 ID:ZIHTDPJd
土曜日2 【バイト】

 今日は休日だし、少し長めにバイトを頑張るよ。

菜々「すみませ~ん! 『私の幼馴染がこんなに可愛いわけがない』ってラノベの最新刊を――――――」

歩夢「はーい。あ、菜々ちゃん、いらっしゃいませ」

菜々「え!? あ、歩夢さん!? なぜこんなところに!? いえ、あと今のタイトルはですね――――――」

歩夢「この間からバイトしてるの。菜々ちゃんは商品お問い合わせだよね? ごめんね? タイトルよく聞き取れなかったからもう一度いいかな?」

 菜々ちゃん、すごい慌ててる。きっと大人気な本なんだ。

 まだバイト始めたばかりとは言え、品出しに集中しちゃってたなぁ。もっとお客さんに声かけられても大丈夫なようにならないと。

258: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/13(月) 22:52:56.38 ID:ZIHTDPJd
菜々「いえ、大丈夫です! やっぱり来月発売だった気がしたので!」

歩夢「そうなの?」

菜々「はい!」

菜々「危なかった……横着して近所で済まそうとしたのがいけませんでした。今度からちゃんとゲー〇ーズまで買いに行かなければ……」ボソボソ

歩夢「ん? やっぱり探してる?」

菜々「いえ、大丈夫です!」

歩夢「そう? 何か御用がございましたらお声かけくださいね、お客様」

菜々「……なんか、いいですね。今の……」

歩夢「え?」

 菜々ちゃんはその後すぐに帰って行った。
 少し顔が赤かったし風邪でも引いたのかな?

266: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/14(火) 23:01:00.85 ID:hFOsEGuK
ゲーム―――――――――――――
日曜日 【電話 侑ちゃん】

侑「歩夢? どうしたの?」

【侑ちゃんと遊びたい】
【私の評判を教えて】
【おしゃべりしよう】

ピッ

【侑ちゃんと遊びたい】

侑「ん? 私と遊ぶ―――――――

プツン

268: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/14(火) 23:08:21.98 ID:hFOsEGuK
【セレクトメニュー】

ピッ

【ロード】

ピッ

日曜日 【電話 侑ちゃん】

侑「歩夢? どうしたの?」

【侑ちゃんと遊びたい】
【私の評判を教えて】
【おしゃべりしよう】

ピッ

【私の評判を教えて】

270: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/14(火) 23:12:54.33 ID:hFOsEGuK
侑「歩夢の評判だね。私が聞いてる限り、今はこんな感じだよ」

中川菜々:仲の良い友人(ハートの大きさ、中)

宮下愛:部活仲間(ハートの大きさ、極小)

朝香果林:後輩(ハートの大きさ、極小)

近江彼方:可愛い後輩

エマ・ヴェルデ:後輩

中須かすみ:先輩

侑「ほかに何か用事はある?」

271: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/14(火) 23:21:56.34 ID:hFOsEGuK
【侑ちゃんと遊びたい】
【私の評判を教えて】
【おしゃべりしよう】

ピッ

【侑ちゃんと遊びたい】

侑「ん? 私と遊ぶの? うん、いいよ。歩夢とデートだ」

侑「何をしたい?」

【ショッピングモールで買い物】
【アミューズメント施設で遊ぶ】
【部屋で勉強】

ピッ

【ショッピングモールで買い物】

272: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/14(火) 23:26:05.05 ID:hFOsEGuK
侑「わかった、すぐに支度するね」

【移動】

【ショッピングモール】

侑「あ、歩夢! 最近練習で靴駄目になってたでしょ? このスニーカーとか似合うんじゃない?」

 侑ちゃんの手には私が好きそうなデザインの、【ダンスのパラメーター】が上がりそうなスニーカーがあった。

 どうしよう? (値段、手持ちの約1/3)

【買う】
【買わない】

ピッ

【買わない】

侑「そっか。じゃあ、別のお店に行こうか」

 そのまま侑ちゃんとウィンドウショッピングを楽しんだ。

279: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/15(水) 20:57:58.37 ID:NKeXXA/J
【月曜日 バイト】

【発生イベント(月) 昼休み】

彼方「あ、歩夢ちゃんだ~」

果林「こんにちは、歩夢」

エマ「歩夢ちゃん、やっほ~」

歩夢「皆さん、こんにちは」

彼方「これから三人でお昼食べに行くんだ。歩夢ちゃんもどう?」

【ご一緒させてください】
【すみません、用事が……】

ピッ

【ご一緒させてください】

280: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/15(水) 21:08:01.81 ID:NKeXXA/J
彼方「そうこなくっちゃ」

果林「じゃあ行きましょうか」

エマ「皆でご飯、楽しみだね」

【学食】

歩夢「何を食べようかな?」

【Aランチ】(おにぎり、豚汁定食)
【Bランチ】(焼き魚定食)
【Cランチ】(焼肉定食)
【今日はお弁当持参】

ピッ

【Aランチ】

281: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/15(水) 21:13:58.25 ID:NKeXXA/J
エマ「あ、歩夢ちゃん。わたしと一緒だ。おにぎり、おいしくてやばたにえんだよね!」

歩夢「や、やばたにえん?」

果林「気にしちゃ駄目よ。この子、愛に教えてもらった日本語使いたがっているだけだから」

彼方「また標準語以外教えて……これはまた愛ちゃんにお説教だぜぃ」

 またって、愛ちゃん……。

彼方「そう言えば、歩夢ちゃん、最近よく私のバイトしてる占いの館に来てくれるんだよ~」

果林「あら、そうなの? 彼方のバイトしてる占いの館、話題になってるから私も話は聞いたことあるわ。よく当たるらしいわね?」

283: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/15(水) 21:32:45.67 ID:NKeXXA/J
彼方「うん。おかげさまで繁盛してるからお給金もいいんだ。本当に助かってるよ~」

エマ「バイトかぁ……わたしもバイト始めようかなぁ……」

果林「あら? 何か欲しい物でもあるの?」

エマ「うん! 日本でいい炊飯器を買って帰って、故郷の家族においしいおにぎり握ってあげたいなって。一番好きなのはパンの耳だけど、日本のお米もおいしいし。あ、向こうに帰るまでは皆におにぎり差し入れするね!」

彼方「……エマちゃんは本当に家族思いだねぇ」

果林「……私……絶対毎年エマに新米送るわ……」

284: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/15(水) 21:40:25.53 ID:NKeXXA/J
【火曜日 柔軟】
【水曜日(祝日) 柔軟】
【木曜日 柔軟】

【発生イベント(木) 放課後】

歩夢「今日も疲れたな……あ! 菜々ちゃん」

 どうしようかな?

【お茶に誘う】
【一緒に帰る】
【声をかけずに帰る】

ピッ

【お茶に誘う】

歩夢「菜々ちゃん!」

286: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/15(水) 21:48:49.65 ID:NKeXXA/J
菜々「歩夢さん、お疲れ様です。歩夢さんも今帰りですか?」

歩夢「うん。ねえ、菜々ちゃん。良ければお茶して帰らない?」

菜々「お誘いありがとうございます。けど、申し訳ありません。今日はこの後用事がありまして……またお誘いください」

歩夢「うん、わかった。また明日ね」

菜々「はい、また明日」

 菜々ちゃんにお誘いを断られちゃった。

 今日はこのまま帰ろう。

288: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/15(水) 21:55:43.55 ID:NKeXXA/J
【金曜日 勉強】

【発生イベント(木) 祝日練習後】
歩夢「今日も疲れたな……あ! 果林さん」

 どうしようかな?

【お茶に誘う】
【一緒に帰る】
【声をかけずに帰る】

ピッ

【声をかけずに帰る】

 今日は一人で帰ろう。

290: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/15(水) 22:10:08.26 ID:NKeXXA/J
【5/2 土曜日 GW1日目】(2020年)
歩夢「今日からGWだ、何しよう……」

電話「~♪」

あ、電話だ。

歩夢「もしもし?」

侑「あ、歩夢? 急なんだけど、良ければ二年生皆で遊びに行かない? 愛ちゃんと遊園地行きたいって話してたんだ」

【行く】
【行かない】

ピッ

【行く】

歩夢「うん、行きたい」

侑「そうこなくっちゃ! じゃあ、私も支度するから一旦切るね」

 皆で遊園地に行くことになった。早く支度しなきゃ。

305: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/18(土) 22:09:19.55 ID:MJtzEdlX
【遊園地】
侑「遊園地なんて久しぶりだね! ワクワクしちゃうよ!」

愛「『遊』園地に『ゆう』ゆ参上?」

侑「あはははははははははははっ」

歩夢「侑ちゃん……」

せつ菜「私も遊園地はあまり来ないのでワクワクします!」

歩夢「侑ちゃんも言ってたけど、私も久々なんだ。だから、私もすごくワクワクしてる」

せつ菜「ふふ、皆さん同じですね」

306: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/18(土) 22:23:33.91 ID:MJtzEdlX
愛「じゃあ、最初は何に乗ろうか?」

【ジェットコースター】
【観覧車】
【おばけやしき】
【コーヒーカップ】
【バンジージャンプ】
【ヒーローショー】

ピッ

【ヒーローショー】

歩夢「見て侑ちゃん、ヒーローショーだって、懐かしいなぁ……子供の頃、侑ちゃんと一緒によく見てたよね」

侑「うん。かっこよかったよね、仮〇ライダーとか」

せつ菜「な、懐かしいですね」ソワソワソワソワ

308: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/18(土) 22:36:49.81 ID:MJtzEdlX
歩夢「あ」

 せつ菜ちゃんそわそわしてる。見たいのかな?

愛「愛さんたまにみるよー? お店にくる親子連れのお客さんでちっちゃい子供が人形持ってたりするし、そういう子との話題作りの一環のつもりだったんだけど、見てたら結構面白くて」

歩夢「じゃあ、せっかくだからヒーローショーも観てみる?」

せつ菜「賛成です! ジャンルは違えど、同じ舞台に立つ者同士、何か参考になることもあるかもしれません!」

歩夢「ふふ、じゃあ行こうか。愛ちゃんと侑ちゃんもそれでいい?」

愛「いいよー」

侑「さんせー」

せつ菜「それでは、行きましょう!」

310: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/18(土) 22:49:55.45 ID:MJtzEdlX
【ヒーローショーステージ】
怪人「ふははははははははは! 今日はこの遊園地を恐怖のどん底に陥れてみせましょう!」

司会のお姉さん「キャー! 大変よ! 怪人が遊園地に現れちゃったわ!」

 ショーの内容は、ステージに現れた怪人をヒーローが倒すというよくある内容みたい。

 随分としゃべりが紳士的な怪人だなぁ。

怪人「おとなしくしていれば、無駄に危害は加えません。さて、では今日はこの会場にいるあなたたちの中から一人攫って行って怪人を生み出すとしましょう。今日の獲物は……」

 そう言って、客席を歩き回る、怪人。

 私の近くに来た。

 私の隣に座っている女の子がターゲットなのかな?

311: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/18(土) 23:00:47.38 ID:MJtzEdlX
怪人「よし! 今日攫うのはあなた――――――――――」

 怪人がそこまで言うと、隣の女の子は目に大粒の涙を貯めて今にも泣きそうになっている。

 困っているであろう怪人と目が合った(着ぐるみだけど)。

 思わず、私は無言でうなずいた。

怪人「と見せかけて! 隣に座っているあなただ! 戦闘員たち! この女性をステージまでエスコートしてさしあげなさい!」

戦闘員「イィーッ!」

歩夢「きゃー、助けて―」(棒読み)

313: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/18(土) 23:09:41.95 ID:MJtzEdlX
 心配そうな目で私を見つめる女の子と目が合うが、私はにこりと微笑んで見せた。
 
 そして、戦闘員さんたちにエスコートされる私を愉快そうに見つめる愛ちゃんと、眼を輝かせるせつ菜ちゃんと侑ちゃん。

 愛ちゃん、動画撮らないで。

 戦闘員の人たちに丁寧にエスコートされながらステージに上がる私。

 そのまま怪人の隣に誘われる。

怪人「さて、レディ。今日はどうしてこの遊園地に?」

歩夢「えっと、友人たちと遊びに……」

怪人「それはそれは……。では、楽しんでいたところを申し訳ないですが、あなたはこれから怪人に―――――――」

314: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/18(土) 23:22:18.60 ID:MJtzEdlX
???「待ていッ!」

怪人「ッ!」

ヒーロー「悪しき星が天に満ちるとき、大いなる流れ星が現れる。その真実の前に、悪しき星は光を失いやがて落ちる……! 人、それを……『裁き』という!」

怪人「な、何者です!」

ヒーロー「貴様に名乗る名前などない!」

 名乗らないんだ……なんて思っていると、司会のお姉さんにステージの端に移動させられる。

 そして、暫くヒーローと怪人の戦いが続き、戦いは拮抗した。この怪人さんは強い怪人さんみたい。

316: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/18(土) 23:30:30.17 ID:MJtzEdlX
司会のお姉さん「大変! このままじゃ怪人を倒せない! 怪人を倒すには必殺技を放つしかないわ! けど、ヒーローは誰かが一緒にいないと必殺技を放てないの! 誰か、ステージで一緒にヒーローと必殺技を放ってくれる子―いたら手を上げてー!」

子供たち「「はい」」「僕やるー」「私―!」「はーい!」

せつ菜「はい!」

愛「あ、せっかくだからアタシもーwww」

侑「はいはーい!」

 ちょっ、侑ちゃんたちまで子供に交じって手を上げてる。

司会のお姉さん「お、せっかくだし、この人質のお姉さんのお友達に助けてもらおうかな? じゃあ、―――――――」

【元気そうなお姉さん!】
【金髪のお姉さん!】
【ツインテールのお姉さん!】

318: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/18(土) 23:42:46.97 ID:MJtzEdlX
……

……

……

……

……

【クイックメニュー】ピッ

【クイックセーブ】ピッ

【戻る】ピッ

司会のお姉さん「お、せっかくだし、この人質のお姉さんのお友達から選ぼうかな? じゃあ、―――――――」

【元気そうなお姉さん!】
【金髪のお姉さん!】
【ツインテールのお姉さん!】

ピッ

【元気そうなお姉さん】

司会のお姉さん「お、せっかくだし、この人質のお姉さんのお友達から選ぼうかな? じゃあ、【元気そうなお姉さん】! ステージまでお願いします!」

319: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/18(土) 23:48:30.74 ID:MJtzEdlX
せつ菜「はい!」

 眼を輝かせながら戦闘員にエスコートされてステージまで来たせつ菜ちゃん。

 ……ヒーローのお助けなのに戦闘員がエスコートするんだね……。

ヒーロー「助力感謝する!」

司会のお姉さん「これで条件が揃ったわ! 皆もステージのヒーローとお姉さんと一緒にせーので必殺技のヒーロービームを放ってね! せーの!」

ヒーロー、せつ菜「「ヒーロービーム!」」

怪人「ぐわぁあああああああああああああああ! クッ、なんというダメージ……! 今日は引きましょう。この雪辱はいつか必ず果たします!」

322: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/18(土) 23:50:45.67 ID:MJtzEdlX
ヒーロー「正義は勝つ!」

 そのままヒーローがせつ菜ちゃんに手を差し出し、せつ菜ちゃんは嬉しそうにヒーローと握手をしていた。

 こうして、ヒーローショーは子供たちの拍手で幕を閉じた。

せつ菜「いやー、熱かったですね! 愛さん、あとでその動画私にください!」

愛「OK! グループに貼っておくね」

侑「いいなぁ、ヒーローかっこよかったし、私も見てみようかな?」

 うん、ヒーローショーは皆にも好評だったみたい。

 次はどのアトラクションに行こうかな?

335: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/20(月) 22:51:07.62 ID:l+urgwTq
【ジェットコースター】
【観覧車】
【おばけやしき】
【コーヒーカップ】
【バンジージャンプ】

ピッ

【ジェットコースター】

歩夢「次はジェットコースターに乗りたいな」

せつ菜「ジェットコースターいいですね!」

愛「よし、突撃だー!」

336: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/20(月) 23:01:24.74 ID:l+urgwTq
…………
………
……

侑「二人乗りなんだね」

 誰と乗ろう?

【愛ちゃん】
【せつ菜ちゃん】
【侑ちゃん】

ピッ

【せつ菜ちゃん】

歩夢「せつ菜ちゃん、一緒に乗らない?」

せつ菜「はい! 是非!」

338: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/20(月) 23:16:55.84 ID:l+urgwTq
侑「あーあ、歩夢に振られた~」

愛「愛さんはゆうゆとだね。愛さんと相席だよ、ゆうゆ」

侑「あはははははは」

せつ菜「侑さん……」

 そのダジャレ、前も聞いた気がするのに、侑ちゃんまた爆笑してる……。

せつ菜「さて、私たち番ですね。一番前ですか……少々怖いですね……」

歩夢「ジェットコースターって一番前が一番怖くないらしいよ?」

せつ菜「そうなんですね。あ、歩夢さん、今日ミニスカートですし、ちゃんと抑えてくださいね?」

339: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/20(月) 23:24:21.73 ID:l+urgwTq
歩夢「うん、ありがとう。せつ菜ちゃん」

『はっしゃしま~す!』

せつ菜「動き出しましたね。ジェットコースター……得意ではないので少し怖いです。歩夢さん、手……握っててもいいですか?」

歩夢「うん、いいよ」

せつ菜「ありがとうございます。ふふ、とても心強いです」

 もう目の前には頂上が迫っていた。

 そして、一瞬の頂上からの景色を楽しんだ後に、私たちは落下するのだった。

歩夢「きゃあああああああああ!」

せつ菜「うわぁああああああああ!」

侑「うわぁあああああああ!」

愛「ひゃっほぉおおおおおおお!」

340: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/20(月) 23:31:50.87 ID:l+urgwTq
…………
………
……

愛「あ~、楽しかった」

侑「ジェットコースター、やっぱり気持ちいね」

歩夢「うん、景色もよかったね」

 次のアトラクションに移動しようとすると、こっそりとせつ菜ちゃんが話しかけてきた。

せつ菜「歩夢さん、ありがとうございました。歩夢さんが隣に居てくれたおかげで、あまり怖くありませんでした。またジェットコースターに乗るときは隣に乗っていただけると嬉しいです」

 そう言って、はにかんだせつ菜ちゃん。

342: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/20(月) 23:36:19.55 ID:l+urgwTq
歩夢「こちらこそ、私でよければまた一緒に乗ってほしいな」

 私がそう言うと、せつ菜ちゃんは嬉しそうな表情をしてくれた。

せつ菜「はい、約束です」

 せつ菜ちゃんと少し仲良くなれた気がした。

 次はどのアトラクションに行こうかな?

【観覧車】
【おばけやしき】
【コーヒーカップ】
【バンジージャンプ】

ピッ

【観覧車】

350: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/21(火) 23:16:50.21 ID:XoF/JnFJ
歩夢「最後は観覧車だね」

侑「そろそろ暗くなってくるし、夜景も楽しみだね」

せつ菜「ここからだとスカイツリーも東京タワーも見えるみたいですよ」

愛「いいじゃんいいじゃん。楽しみ~」

侑「あ、二人乗りと四人乗りのゴンドラがあるんだね、どうしようか?」

 誰と乗ろう?

【愛ちゃん】
【せつ菜ちゃん】
【侑ちゃん】
【ヒトリダケナンテエラベナイヨー】

351: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/21(火) 23:26:50.01 ID:XoF/JnFJ
ピッ

【ヒトリダケナンテエラベナイヨー】

歩夢「私、皆と乗りたいな」

愛「いいねいいね! 頂上に着いたら皆で写真撮ろうよ!」

侑「楽しみだね」

せつ菜「頂上に着くまでに、ベストポジションを探さなくては……」

…………
………
……

「いってらっしゃいませ~」

侑「歩夢と観覧車なんて久しぶりだね、いつ以来かな?」

愛「愛さんも観覧車なんて久しく乗ってなかったよー」

せつ菜「私も小さい時以来でしょうか? 今日は皆さんと乗れて嬉しいです」

353: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/21(火) 23:31:37.35 ID:XoF/JnFJ
歩夢「うん、私も嬉しいな。……あ、もう少しで頂上」

せつ菜「えっと、ベストポジションは……」

愛「あ、こっちの景色最高だよ!」

侑「ホントだ! ほら、歩夢、せつ菜ちゃん、寄って寄って」

せつ菜「は、はい!」

愛「じゃあ撮るよ、撮るよ~? 1+1は~?」

「「「に~」」」

パシャ

354: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/21(火) 23:37:46.56 ID:XoF/JnFJ
リアル――――――――――――――

歩夢「あ、スチル回収できた。この三人のイラスト素敵だなぁ。主人公の顔はわざと光を入れてるんだよね?」

璃奈「うん。やっぱり乙女ゲームは感情移入できなきゃだめだから。歩夢さんの顔を入れる案もあったけど今回は光でぼかす方を採用した」

歩夢「うん。それでいいと思う。私の顔でも個人的には嬉しいけど、それだとゲームの評価としてマイナスじゃないかな? このゲームは主人公=プレイヤーじゃなきゃだよ」

璃奈「流石歩夢さん。わかってくれると思っていた」

歩夢「ふふ、テストプレイヤーだもん。その辺りはちゃんと評価しちゃうよ?」

璃奈「OK、望むところ」璃奈ちゃんボード『どんとこい』

璃奈「けど、ここでせつ菜さんを選ばなかったのは何で?」

355: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/21(火) 23:47:23.57 ID:XoF/JnFJ
歩夢「うーん……直感って言えばいいかな? まだ、なんとなく二人で乗る好感度に達してない気がしたんだ。二人きりになって気を使わせて好感度下がる……ううん、せつ菜ちゃんだから好感度は下がらないかな? けど、ストレスたまるみたいなペナルティは有りそうだなって」

璃奈「なるほど」

歩夢「あと、私が皆で観覧車に乗りたかっただけ。前に二年生全員で遊園地に行ったんだけど、楽しかったなぁ。今度は同好会の全員で行きたいなぁ」

璃奈「私も行きたい」璃奈ちゃんボード『wktk』

歩夢「うん。皆の予定合わせて行こう。じゃあ、遊園地も終わったし、このままゲームを……あれ? まだ選択してないのに休日練習に行ってる?」

璃奈「あ、それ強制イベント。そのイベントでパフォーマンス練習が解放される」

歩夢「基礎が終わったって判断?」

璃奈「うん。実は柔軟で上がる【魅力】の数値はダンスレッスンやボイトレの【ダンス】、【歌唱力】に比べて上がりにくかった。もちろん、ストレスもたまらないように調整はされてたよ」

357: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/21(火) 23:52:03.12 ID:XoF/JnFJ
歩夢「そうなんだ」

璃奈「けど、これが解放されたことにより、【魅力】がぐんと上がるようになって、さらにほんの少しだけど歌唱力とダンスも同時に上がる。その代わりに、【ストレス】も他の練習に比べてたまりやすいから注意が必要。柔軟もなくなるわけじゃないから、うまく使い分けてね」

歩夢「じゃあ、試しに一回やってみようかな? ……うわっ、本当だ……【魅力】がこれまでよりたくさん上がったけど、【ストレス】が一気にたまっちゃった……」

璃奈「そんな時は……」

歩夢「そっか、はんぺんの出番だね。ストレスそんなにたまらなくて、はんぺんの所に行きそびれちゃってたから楽しみだな」

璃奈「はんぺんに癒されて、その後の攻略も頑張って」璃奈ちゃんボード『グッb

歩夢「うん、せつ菜ちゃんと水族館デートの約束もできたし、このまま攻略進めちゃうよ」

璃奈ちゃんボード『ファイトだよ!』

367: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/23(木) 22:35:33.26 ID:xR6GNM17
ゲーム――――――――――――――
【5/4 月曜日 GW3日目】(2020年)

【駅前】

せつ菜「歩夢さん!」

 待っていた私を見つけるなり駆け寄ってくるせつ菜ちゃん。

せつ菜「お早いですね……私も少し早めに来たはずなのに」

歩夢「ふふ、また私が待つ側だったね」

せつ菜「むぅ……次は私が早く来ますよ」

せつ菜「あ、今日の服、とても可愛らしいですね。まるで小説の中のヒロインのようです」

 やった、せつ菜ちゃんに服装を褒められちゃった。

せつ菜「では、行きましょうか」

369: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/23(木) 22:44:36.33 ID:xR6GNM17
【水族館】

せつ菜「ふふ、水族館なんて久しぶりです。どこに行きますか?」

【ペンギンをみたいな】
【お魚見に行こうよ】
【ふれあいコーナー】

ピッ

【ペンギンをみたいな】

歩夢「あ、ペンギン。見たいなぁ」

せつ菜「ペンギンコーナーですね。行きましょう」

370: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/23(木) 22:52:14.37 ID:xR6GNM17
【ペンギンコーナー】

歩夢「ふふ、よちよち歩きで可愛いなぁ」

せつ菜「歩夢さん、あそこは下からペンギンが泳いでるのを見れるみたいですよ、行ってみましょう」

 そう言って私の手を引くせつ菜ちゃん。

 そして、大きな水槽の真下に来た。

せつ菜「屋上なのを利用してるんですね。飛べないはずのペンギンが、まるで空を飛んでいるみたいです」

歩夢「うん、とっても気持ちよさそうだね」

371: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/23(木) 22:59:38.97 ID:xR6GNM17
せつ菜「はい! あ、せっかくなので二人でこのペンギンたちをバックに写真撮りませんか?」

歩夢「うん、撮りたい!」

せつ菜「では撮りましょう。……では、セルフィ―にして……歩夢さん、撮りますよ。ハイチーズ!」

 パシャ

せつ菜「ふふ。後でチャットに貼っておきますね」

歩夢「うん、ありがとう」

 この後、二人で水族館を楽しんだ。

372: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/23(木) 23:01:17.17 ID:xR6GNM17
せつ菜「とっても楽しかったですね」

歩夢「うん、私も楽しかったよ」

せつ菜「歩夢さん、あとこれ……」

 せつ菜ちゃんが差し出してきたのは、ペンギンのぬいぐるみ。

歩夢「え、いいの?」

せつ菜「はい、お土産屋さんで熱心に見られてたので。今日お付き合いいただいたお礼です。受け取ってください」

歩夢「ありがとう。大切にするね」

せつ菜「そうして頂けると、私も嬉しいです」

せつ菜「では、歩夢さん。お家までお送りします」

 せつ菜ちゃんが送ってくれることになった。

374: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/23(木) 23:08:09.96 ID:xR6GNM17
ごめんなさい。
菜々モードなのにせつ菜になってました。
投降し直します。

ゲーム――――――――――――――
【5/4 月曜日 GW3日目】(2020年)

【駅前】

菜々「歩夢さん!」

 待っていた私を見つけるなり駆け寄ってくる菜々ちゃん。

菜々「お早いですね……私も少し早めに来たはずなのに」

歩夢「ふふ、また私が待つ側だったね」

菜々「むぅ……次は私が早く来ますよ」

菜々「あ、今日の服、とても可愛らしいですね。まるで小説の中のヒロインのようです」

 やった、菜々ちゃんに服装を褒められちゃった。

菜々「では、行きましょうか」

375: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/23(木) 23:11:17.22 ID:xR6GNM17
【水族館】

菜々「ふふ、水族館なんて久しぶりです。どこに行きますか?」

【ペンギンをみたいな】
【お魚見に行こうよ】
【ふれあいコーナー】

ピッ

【ペンギンをみたいな】

歩夢「あ、ペンギン。見たいなぁ」

菜々「ペンギンコーナーですね。」

【ペンギンコーナー】

歩夢「ふふ、よちよち歩きで可愛いなぁ」

菜々「歩夢さん、あそこは下からペンギンが泳いでるのを見れるみたいですよ、行ってみましょう」

 そう言って私の手を引く菜々ちゃん。

 そして、大きな水槽の真下に来た。

菜々「屋上なのを利用してるんですね。飛べないはずのペンギンが、まるで空を飛んでいるみたいです」

歩夢「うん、とっても気持ちよさそうだね」

376: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/23(木) 23:21:26.41 ID:xR6GNM17
菜々「はい! あ、せっかくなので二人でこのペンギンたちをバックに写真撮りませんか?」

歩夢「うん、撮りたい!」

菜々「では撮りましょう。……では、セルフィ―にして……歩夢さん、撮りますよ。ハイチーズ!」

パシャ

菜々「ふふ。後でチャットに貼っておきますね」

歩夢「うん、ありがとう」

 この後、二人で水族館を楽しんだ。

菜々「とっても楽しかったですね」

歩夢「うん、私も楽しかったよ」

菜々「歩夢さん、あとこれ……」

 菜々ちゃんが差し出してきたのは、ペンギンのぬいぐるみ。

歩夢「え、いいの?」

菜々「はい、お土産屋さんで熱心に見られてたので。今日お付き合いいただいたお礼です。受け取ってください」

歩夢「ありがとう。大切にするね」

菜々「そうして頂けると、私も嬉しいです」

菜々「では、歩夢さん。お家までお送りします」

 菜々ちゃんと一緒に帰ることになった。

377: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/23(木) 23:31:39.71 ID:xR6GNM17
【帰り道】

菜々「ふふ、帰るのが惜しくなりますね」

 せっかくだから、何か聞いてみようかな?

【生徒会って大変?】
【好きなアニメ】
【恋愛について】

【好きなアニメ】

歩夢「菜々ちゃんってどんなアニメが好きなの?」

菜々「好きなアニメですか……たくさんありますが、最近はバトルアクションものが熱いですね。友情! 努力! 勝利! 主人公が仲間と共に修行をしたり、戦いで励まし合ったりしているのを見ると、胸が熱くなって、元気がない時であろうと、やるぞって気持ちが湧いてくるんです」

 アニメのことを語る菜々ちゃん、本当に楽しそう。

379: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/23(木) 23:42:51.58 ID:xR6GNM17
歩夢「ふふ、おすすめあったらまた教えてね」

菜々「はい! 今度アニメ化する作品があるので、歩夢さんがよければ原作を読んでいただけると嬉しいです。お貸しするので。作品のあらすじなのですが――――――」

 話していたら、あっという間に自宅の前に着いた。

菜々「今日は楽しかったです。歩夢さん、また遊びましょう」

【自宅】

歩夢「あ、せつ菜ちゃんからメッセージだ」

せつ菜『歩夢さんのおかげで、今日はとても素敵な一日になりました。また遊んでいただけると、とてもうれしいです』

 よかった。せつ菜ちゃんも楽しんでくれたみたい。

 せつ菜ちゃんと少し仲良くなれた気がした。

380: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/23(木) 23:48:11.29 ID:xR6GNM17
【5/4 火曜日 GW4日目 休日練習:パフォーマンス練習】

【5/5 水曜日 GW最終日】

【電話 侑ちゃん】

侑「歩夢? どうしたの?」

【侑ちゃんと遊びたい】
【私の評判を教えて】
【おしゃべりしよう】

ピッ

【私の評判を教えて】

侑「歩夢の評判だね。私が聞いてる限り、今はこんな感じだよ」

中川菜々:親友(ハートの大きさ、大)
宮下愛:仲のいい友達(ハートの大きさ、中)
朝香果林:可愛い後輩(ハートの大きさ、小)
近江彼方:仲の良い後輩
エマ・ヴェルデ:可愛い後輩
中須かすみ:少し頼りになる先輩

侑「ほかに何か用事はある?」

【ない】

侑「わかった。またね」

381: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/23(木) 23:50:31.88 ID:xR6GNM17
【ショッピングモール】

彼方「占いの館へようこそ~、歩夢ちゃん。今日も来てくれてありがとうね~」

彼方「じゃあ、さっそく、今日の占い行ってみようか? 何を占う?」

【生徒会長とアニメ鑑賞がしたい】

彼方「OK! では先生、お願いしま~す」

………………………………

彼方「ふむふむ……うん、占い結果が出たよ! 先生曰く――――――」

【占い結果】
 学力:あと少し必要かな
 魅力:あと少し必要かな

彼方「だってさ~。デートに誘った時の成功確率が上がってるよ。放課後に帰りに見かけたら積極的に話しかけてみるといいね。因みに今週は学力が上がりやすいみたいだよ」

彼方「またきてねぇ~」

382: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/23(木) 23:55:39.02 ID:xR6GNM17
【公園】

かすみ「コッペパン屋へようこそ~。歩夢先輩コッペパンいかがですか?」

【かすみん特製チーズコッペパン(ダンス)】
【かすみん特製ハニーコッペパン(歌唱力)】
【かすみん特製野菜コッペパン(魅力)】
【かすみん特製ベリーコッペパン(学力)】

ピッ

【かすみん特製ベリーコッペパン(学力)】

かすみ「ありがとうございます~」

【戻る】

かすみ「またかすみんに会いに来てくださいね~」

393: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/25(土) 22:14:12.86 ID:yGkMLGiu
ゲーム――――――――――――――――
【昼休み】
歩夢「あ、せつ菜ちゃん」

せつ菜「歩夢さん、こんにちは」

歩夢「こんにちは。これからお昼?」

せつ菜「はい。生徒会室で昼食です。その後簡単な書類を片付けようかと」

歩夢「そうなんだ」

 どうしよう

【仕事を手伝う】
【そのまま別れる】

ピッ

【仕事を手伝う】

394: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/25(土) 22:22:39.31 ID:yGkMLGiu
歩夢「そのお仕事、私じゃお手伝いできないかな?」

せつ菜「え? いいんですか?」

歩夢「うん。せつ菜ちゃんにはいつもお世話になっているし、そのお礼になればなって」

せつ菜「助かります。では、生徒会室まで行きましょう」

リアル―――――――――――

歩夢「あ、璃奈ちゃん。画面が変わったら直ったけど、ここ校内なのにせつ菜ちゃんのまんまだよ。主人公もせつ菜ちゃん呼びのままだね」

璃奈「見落としてた、まだまだ未熟……。ありがとう、歩夢さん。完成までに直しておく」璃奈ちゃんボード『( ..)φメモメモ』

396: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/25(土) 22:34:04.06 ID:yGkMLGiu
【生徒会室】

菜々「ごちそうさまでした。歩夢さんにいただいた卵焼き、絶品でした。家の卵焼きはだし巻きなのですが、甘い卵焼きもおいしいですね」

歩夢「ありがとう。良ければまたおかず交換しようね」

菜々「はい、是非」

おいしいって言ってもらえて嬉しいな。

菜々「では、歩夢さん。早速ですが、書類整理をお願いしてもいいですか? 私が判を押した書類があるので、それを仕分けしてほしいんです。こうして――――――」

 説明を聞いて理解した私は、そのまま書類整理を始めた。とはいっても、本当に簡単なお仕事で、隣に座った菜々ちゃんから判を押した書類を受け取って分けてファイリングしていくだけの簡単なお仕事。

 ものの数分で終わってしまった。

397: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/25(土) 22:48:32.03 ID:yGkMLGiu
菜々「ありがとうございます、歩夢さん。おかげで手早く終わらせることができました」

歩夢「よかった。けど、私もたいしたことはしてないよ?」

菜々「そんなことありません。仕分けとファイリングって一人でやっていくとどうしても効率が悪くなってしまうので、歩夢さんがいてくれてとても助かりました」

 そう言ってくれると嬉しいな。

歩夢「私でよければいつでもお手伝いするよ」

菜々「はい。その時は頼らせていただきます」

菜々「では、あとはこのファイルたちをそこの棚にしまうだけです」

歩夢「じゃあ、私も持つよ」

 ツルッ

歩夢「あ――――――」

399: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/25(土) 23:01:30.92 ID:yGkMLGiu
 私が立ち上がった瞬間、何かを踏んだらしく、足元が滑った。

 転ぶ。

 私は反射的に目を瞑った。

 同時に菜々ちゃんの声と共に手を引っ張られた。

菜々「歩夢さん!」

 そして、抱きしめられる感触と共に私は倒れた。

 痛みはない。むしろ、柔らかい感触に包まれている。

 目を開けると、私の目の前に赤いリボンが映った。

 そして、顔を上げると、目の前に菜々ちゃんの顔があった。

 私はどことなく幼さの残るその整った顔立ちに、少し見蕩れてしまった。

400: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/25(土) 23:05:13.16 ID:yGkMLGiu
菜々「歩夢さん、大丈夫ですか?」

 心配そうに私を見つめている菜々ちゃん。

 我に返った私は、慌てて起き上がる。

歩夢「ごめんね、菜々ちゃん。助けてくれてありがとう。怪我してない?」

菜々「はい、問題ありません。自分、鍛えてますから」

 キリッと決め顔をした後に、なんちゃってと少しおどけて見せる菜々ちゃん。

菜々「私は本当に大丈夫です。歩夢さんこそ、お怪我はありませんか?」

 私も大丈夫と言うと、菜々ちゃんは安堵の息を吐いた。

菜々「よかった……」

402: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/25(土) 23:16:03.30 ID:yGkMLGiu
 菜々ちゃんは私の足元からプリントを拾い上げた。

菜々「足元にプリントが滑り落ちていたんですね。私も気付きませんでした」

 立ち上がった菜々ちゃんに、私は再度助けてくれたお礼を述べた。

菜々「私は当然のことをしたまでです。お礼を言われるようなことなど」

歩夢「けど、それじゃ私の気が済まないよ。だから……」

【助けてくれたお礼にお弁当を作る】
【助けてくれたお礼にコッペパンをおごる】
【助けてくれたお礼に映画に誘う】

ピッ

403: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/25(土) 23:22:26.36 ID:yGkMLGiu
【助けてくれたお礼にお弁当を作る】

菜々「え、本当ですか!? 約束ですよ、楽しみにしてます!」

 菜々ちゃんはとても喜んでくれた。

 こんなことでお礼になるなら、明日のお弁当はいつもより気合を入れて作らなきゃ

【翌日 昼休み】

菜々「歩夢さん、とっても美味しいです。この卵焼きも、唐揚げも絶品です!」

 お弁当は菜々ちゃんにとても喜んでもらえた。

 菜々ちゃんと少し仲良くなれたような気がした。

404: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/25(土) 23:30:02.14 ID:yGkMLGiu
【水曜日 バイト】

歩夢「いらっしゃいませ~」

菜々「歩夢さん、バイトお疲れ様です」

歩夢「菜々ちゃん! 来てくれたの?」

菜々「はい、参考書を買いに。そしたら歩夢さんの姿が見えたので」

歩夢「ふふ、ありがとう。古文の参考書?」

菜々「はい。私、古文は結構好きなんですよ。昔話は昨今の漫画やラノベの参考になっているものも多いですし、その様な物語を沢山読みたいなと思って勉強していたら古文自体が好きになっていたんです」

歩夢「すごいね。私は古文少し苦手だから授業だけで精一杯だよ」

405: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/25(土) 23:34:37.04 ID:yGkMLGiu
菜々「でしたら、次の日曜日、図書館で一緒に勉強をしませんか。私でよければお教えしますよ?」

【ぜひお願いします】
【その日は用事が……】

ピッ

歩夢「是非お願いします」

菜々「はい、お任せください!」

 得意げに胸を張る菜々ちゃんに私はおかしくなってクスリと小さく笑みを零す。

歩夢「頼りにしてるね、菜々先生」

菜々「せ、先生!?」

407: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/25(土) 23:37:44.90 ID:yGkMLGiu
少し大げさに驚いた菜々ちゃんに、私は首を傾げた。

そんな変なことを言っただろうか?

菜々「いえ……なんでもありません。先生……悪くないですね……」

 そのまま何かを呟きながら、顔を少し赤くして菜々ちゃんは帰って行った。

 本当に風邪じゃないのかな?

 日曜日に菜々ちゃんとデートの約束をした。

416: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/27(月) 22:10:15.21 ID:Fzml3yyy
【日曜日】

【図書館】

歩夢「菜々ちゃん、こんにちは。待たせちゃったかな?」

菜々「歩夢さん、私も今来たところなので大丈夫です」

歩夢「そっかよかった」

菜々「あ、歩夢さん、今日の服装もとても可愛らしいですね。まるで物語のヒロインみたいで素敵です」

 やった、菜々ちゃんに服装を褒められた。

菜々「では、中に入りましょうか」

…………
………
……

417: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/27(月) 22:24:38.14 ID:Fzml3yyy
菜々「ここの文は、手紙になっているので、丁寧語で――――――」

 菜々ちゃんの説明はわかりやすく、苦手と思っていた部分が少しずつ解るようになっていった。

歩夢「とってもわかりやすかった。ありがとう菜々ちゃん」

菜々「お役に立てたようで何よりです。あ、あとよろしければこれをお使いください。私が前に使っていた参考書です。それぞれの文法をとても丁寧に解説してくれているので、苦手意識を持っている歩夢さんにはピッタリかと思います」

歩夢「え? いいの?」

菜々「はい! 私はもう使うこともないので、必要とする人に使っていただいたほうがいいかと思いまして。もちろん、歩夢さんさえ良ければですが」

歩夢「ありがとう。使わせてもらうね」

418: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/27(月) 22:35:52.55 ID:Fzml3yyy
この後もう少し菜々ちゃんと勉強をした。

【一時間後】

 少し疲れて来たな……。

集中力の途切れてきた私はふと隣で勉強をする菜々ちゃんの方を見た。

菜々ちゃんの集中は切れた様子がなく、集中して参考書の問題を解いている。

 この間も思ったけど、どちらかと言えば可愛い顔立ちの筈なのに、真剣な表情は本当にかっこいいなぁ。

私がそう思っていると、私の視線に気付いたのか、菜々ちゃんが私の方を向いた。

菜々「歩夢さん、どうかなさいましたか?」

【少し疲れちゃって】
【菜々ちゃんの顔がかっこよくて見蕩れちゃった】
【えっと、この問題の解き方教えて(誤魔化す)】

420: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/27(月) 22:55:20.31 ID:Fzml3yyy
【菜々ちゃんの顔がかっこよくて見蕩れちゃった】

菜々「え!?」

 顔を赤くして椅子を倒す菜々ちゃん。

司書「図書館ではお静かに」

菜々「すみません、すみません」

 司書さん謝った菜々ちゃんは座り直すと、顔を赤くし、私を睨みながら変なことを言わないでくださいと注意された。

 本当のこと言っただけなんだけどなぁ……。

…………
………
……

422: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/27(月) 23:08:10.09 ID:Fzml3yyy
【夕方】

菜々「今日はありがとうございました」

歩夢「こっちこそ、お勉強教えてくれてありがとう」

菜々「あの、よろしければもう少し遊んで帰りませんか? まだ夕方ですし……もちろん、歩夢さんさえよければなのですが……」

【もう少し遊ぶ】
【帰る】

ピッ

【もう少し遊ぶ】

菜々「やった! じゃあ、そこの公園でも散歩しましょう」

424: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/27(月) 23:38:22.23 ID:Fzml3yyy
【公園】

菜々「今日はかすみさんのコッペパン屋さんいませんね……」

歩夢「菜々ちゃんもかすみちゃんのコッペパン買うの?」

菜々「はい! かすみさんはたまにコッペパンを差し入れしてくれますし、私も売り上げに貢献しようかと思いまして、見かけたら買うようにしています」

歩夢「そうなんだ。菜々ちゃんこの公園はよく来るの?」

菜々「家から近いのでランニングコースにしています。小さい時もこの公園が私の基本的な遊び場でしたね」

歩夢「そうなんだね。私も小さい時、たまに来てたんだ。もしかしたら、小さい時に会っていたかもしれないね」

菜々「そう……ですね……」

425: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/27(月) 23:42:15.12 ID:Fzml3yyy
菜々「やっぱり、覚えてませんよね……」

 菜々ちゃんが小さく何か付け足したが、聞こえなかった私は首を傾げた。

歩夢「?」

菜々「いえ、なんでもありません。あ、あと公園はニジガクの生徒もよく利用してますよ? 部活、ボランティア、あとかすみさんみたいにバイトしている方も見ますね。歩夢さんもたまに来てみたら誰かいるかもしれませんよ?」

歩夢「そうなんだ。じゃあ、時間あるときに来てみるよ」

 公園の情報を菜々ちゃんが教えてくれた。

 この後もう少ししゃべって、暗くなったところで菜々ちゃんが家まで送ってくれることになった。

427: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/27(月) 23:49:56.67 ID:Fzml3yyy
【帰り道】
菜々「ふふ、帰るのが惜しくなりますね」

 せっかくだから、何か聞いてみようかな?

【生徒会って大変?】
【優木せつ菜の名前の由来は?】
【恋愛について】

ピッ

【優木せつ菜の名前の由来は?】

菜々「由来ですか? 以前お話しした好きな作品の好きなキャラクターから名前をお借りしました。とってもかっこいい方なんですよ? 幼い時に自らを救った存在に憧れてその憧れの存在を目指して進む主人公の戦いの物語で――――――」

歩夢「ふふ、本当にその人のこと大好きなんだね」

菜々「はい! 歩夢さんにも是非見ていただきたいです。一期、二期と劇場版とで少し長いのですがよろしければ!」

歩夢「うん、今借りてる作品が見終わったら借りようかな?」

菜々「はい!」

428: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/27(月) 23:55:53.64 ID:Fzml3yyy
 話していたら、あっという間に自宅の前に着いた。

菜々「今日は楽しかったです。歩夢さん、また遊びましょう」

【自宅】

歩夢「あ、せつ菜ちゃんからメッセージだ」

せつ菜『歩夢さんのおかげで、今日はとても素敵な一日になりました。またお出かけしてくださるとうれしいです』

 よかった。せつ菜ちゃんも楽しんでくれたみたい。

 せつ菜ちゃんと少し仲良くなれた気がした。

437: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/29(水) 23:25:31.68 ID:SIALDW7Z
【イベント発生(月) 放課後】

歩夢「今日も疲れたな……あ! 菜々ちゃん」

 どうしようかな?

【お茶に誘う】
【一緒に帰る】
【声をかけずに帰る】

ピッ

【一緒に帰る】

歩夢「菜々ちゃん!」

菜々「歩夢さん、お疲れ様です。歩夢さんも今帰りですか?」

歩夢「うん。ねえ、菜々ちゃん。良ければ一緒に帰らない?」

438: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/29(水) 23:49:34.72 ID:SIALDW7Z
菜々「はい! 是非!」

歩夢「ふふ、じゃあ帰ろうか」

 菜々ちゃんと一緒に帰ることになった。

【帰り道】

菜々「そう言えば歩夢さん。ニジガサキ学園の端にある小さな教会ってご存じですか?」

歩夢「教会? ニジガクにそんなのあったっけ?」

菜々「はい。もう使われていないものですし、普段はカギが掛かっているようなので知らないのも無理がないと思います」

歩夢「そうなんだね、教会かぁ……けど、何で使われなくなっちゃったの?」

菜々「ニジガクは設立当初から留学生を多く受け入れていたようでして、そう言う生徒のために作ったようです。しかし、ニジガクもマンモス校になり、留学生も増えたのに加え、この辺りに住む外国人に増えたので、より大きな教会を近所に作って移転したようです」

440: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/30(木) 00:02:18.74 ID:AX/VWO+u
歩夢「確かに、簡単に校内に関係ない人を入れるわけにはいかないもんね。じゃあ、そこまで大きな教会ってわけではないの?」

菜々「みたいです。私が小さい時はたまにその音が聞こえてきたりしたのですが、今はめっきり聞こえずで……少し寂しい気もします」

歩夢「鐘の音かぁ、聞いてみたかったなぁ」

菜々「綺麗な音でしたよ、私もまた聞いてみたいです」

 ……あれ? そう言えば幼い時にそんな話をあの子から聞いたような……。

菜々「歩夢さん、どうかしましたか?」

歩夢「ううん、何でもない」

菜々「そうですか。それでですね、何でこの話をしたかと言うと、OGの方曰く、学園の創始者の方がそこで運命の方と再開して結ばれたらしいのです。なので、そこで好きな方に告白をすると永遠に結ばれるという噂が流れていたことがあるらしいですよ。ロマンチックなお話ですよね!」

442: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/30(木) 00:09:12.19 ID:AX/VWO+u
>>440
訂正
誤:菜々「そうですか。それでですね、何でこの話をしたかと言うと、OGの方曰く、学園の創始者の方がそこで運命の方と再開して結ばれたらしいのです。なので、そこで好きな方に告白をすると永遠に結ばれるという噂が流れていたことがあるらしいですよ。ロマンチックなお話ですよね!」


正:菜々「そうですか。それでですね、何でこの話をしたかと言うと、OGの方曰く、学園の創始者の方がそこで運命の方と再会して結ばれたらしいのです。なので、そこで好きな方に告白をすると永遠に結ばれるという伝説があったようなんです。ロマンチックなお話ですよね!」

443: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/30(木) 00:16:07.28 ID:AX/VWO+u
歩夢「そうだね。……あと、正直菜々ちゃんがそういうお話に興味を持ってることに驚いてる」

菜々「こういうお話は嫌いじゃありません。伝説なんて、夢があって素敵じゃないですか。因みに、ニジガクは新設校なのに当時から学校の怪談もあるらしくて、曰く建築工事の際に――――――」

歩夢「うわぁ! いらないいらない。その素敵な教会の伝説だけで十分です!」

菜々「ふふ、冗談ですよ、ちょっとした茶目っ気です」

歩夢「もう、菜々ちゃんったら!」

 そのまま菜々ちゃんとしゃべりながら帰った。

444: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/30(木) 00:16:56.57 ID:AX/VWO+u
短いですが、今日はここまで。

明日も投降予定です。

451: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/30(木) 23:12:15.63 ID:AX/VWO+u
【金曜日 放課後】

歩夢「今日も疲れたな……あ! 侑ちゃん」

 どうしようかな?

【お茶に誘う】
【一緒に帰る】
【声をかけずに帰る】

ピッ

【一緒に帰る】

歩夢「侑ちゃん、一緒に帰らない?」

侑「うん、一緒に帰ろう」

 侑ちゃんと一緒に帰ることになった。

452: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/30(木) 23:18:39.55 ID:AX/VWO+u
【帰り道】

侑「ねえ、少し寄り道して帰らない?」

歩夢「うん、いいよ」

侑「じゃあ、公園行こうよ。かすみちゃん、今日バイトらしいから」

【公園】

かすみ「あ、侑先輩。歩夢先輩、いらっしゃいませ~。かすみんに会いに来てくれたんですか?」

侑「エプロン姿もかわいいYO!」

かすみ「えへへ、ありがとうございます!」

侑「歩夢、最近練習頑張ってるから、今日は私がおごるよ」

歩夢「ありがとう。どれにしようかな?」

453: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/30(木) 23:34:48.53 ID:AX/VWO+u
【かすみん特製チーズコッペパン(ダンス)】
【かすみん特製ハニーコッペパン(歌唱力)】
【かすみん特製野菜コッペパン(魅力)】
【かすみん特製ベリーコッペパン(学力)】

ピッ

【かすみん特製野菜コッペパン(魅力)】

かすみ「ありがとうございます~」

侑「かすみちゃんのコッペパンはおいしいからついつい食べちゃうんだよね」

かすみ「もう! 侑先輩ったら! 可愛いかすみんをおだててもコッペパンしか出ませんよ? 一個おまけしちゃいます!」

455: 名無しで叶える物語(なっとう) 2021/12/30(木) 23:59:40.36 ID:AX/VWO+u
 【かすみん特製野菜コッペパン(魅力)】を貰った。

かすみ「またかすみんに会いに来てくださいね~」

 そのまま侑ちゃんとしゃべりながら帰った。

【土曜日】

今日はお休みだ。

電話「プルルルル」

ピッ

歩夢「もしもし?」

菜々「歩夢さん。こんにちは。突然すみません。明日なのですが、一緒に勉強をしませんか?」

歩夢「勉強?」

【うん、しよう】
【明日は用事が……】

ピッ

【うん、しよう】

菜々「ふふ、ありがとうございます。では、また明日」

 菜々ちゃんとデートすることになった。

465: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/01(土) 23:12:37.53 ID:pNH1X+0b
リアル――――――――――――

歩夢「菜々ちゃんからのお誘いがあったけど、そろそろ七月かぁ……彼方さんの占いの館行って……よし、魅力があと少しだって。学力も明日に菜々ちゃんと勉強すれば届くかな? ……あ、侑ちゃんに聞いたらハートの大きさももう少しでMAXになるよ」

璃奈「ちなみに夏休みにはすぐに重要イベントの合宿がある。それからすぐに最終イベントのSIF.。合宿は好感度と能力値を稼ぐ最後にして最大のチャンス」璃奈ちゃんボード『命、燃やすぜ!』

歩夢「だから夏までにってことだったんだね」

璃奈「うん。夏休みだったら多少なら修正が効くから」

歩夢「だったら、もう少し共通ルートで遊べばよかったかな? 果林さんや愛ちゃんとのイベントもまだまだたくさんあるだろうし……」

璃奈「けど、最初に菜々さんに決めたからこそここまで順調」

歩夢「そうだね。そう考えるとよかったのかな? じゃあ、このまま侑ちゃんと遊びに行っちゃおう」ピッ

466: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/01(土) 23:29:54.39 ID:pNH1X+0b
璃奈「侑さんだけでなく、その他の彼方さんやエマさんとのイベントもまだまだある」

歩夢「すごいね。たくさん遊べそう」

璃奈「うん。ファンの皆にたくさん遊んでほしくて頑張ってる」璃奈ちゃんボード『むん』

歩夢「じゃあ、皆の頑張りの結晶を一番に遊べてる私はすごい幸せ者だね。ありがとう」

璃奈「こっちこそ、こうして長々とテストプレイに付き合ってくれてありがとう。歩夢さんが遊んでくれてるおかげで、修正箇所も洗い出せてる」璃奈ちゃんボード『ぺこりm(__)m』

歩夢「長々って……あ、もうお昼なんだね。9時に集合したからもう3時間もプレイしてるんだ……」

璃奈「3時間でもう終盤だから少し想定より早いかも。場合によっては好感度の上昇を抑えて昼休みと放課後のイベントの発生頻度を上げるか検討しなきゃいけない。ということは、GWのイベントも――――――」

468: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/01(土) 23:37:25.31 ID:pNH1X+0b
歩夢「璃奈ちゃん。考えるもいいけど、一旦休憩してお昼買いに行かない?」

璃奈「あっ、ごめんなさい。それに関しては大丈夫。私が説明もなく歩夢さんを呼び出した。だから、そのあたりも準備してある」璃奈ちゃんボード『準備は万端』

歩夢「準備?」

ドア「コンコン」

歩夢「え? 誰か来た?」

璃奈「どうぞ」

エマ「こんにちはー。エーマーイーツで~す。なんちゃって」ガチャッ

彼方「ふっふっふっ、お昼持ってきたぜぃ」

470: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/01(土) 23:43:53.74 ID:pNH1X+0b
歩夢「エマさん? 彼方さん?」

璃奈「ぐっどたいみんぐ」璃奈ちゃんボード『グッb』

エマ「ふふ、歩夢ちゃん。ちゃお~。お昼の差し入れだよ~」

歩夢「わぁ、サンドイッチ。美味しそう。けど、何でお二人が?」

彼方「璃奈ちゃんに今日ゲームのテストプレイしてもらうって聞いててね~。ゲーム開発に関わった身としてはちゃんとプレイしてもらいたいからお昼の差し入れを買って出たんだよぉ~」

エマ「あと、彼方ちゃんに料理教わってたの。唐揚げ、彼方ちゃんに教えてもらいながら作ったけど、自信作なんだ~」

璃奈「とってもいい匂い」璃奈ちゃんボード『お腹ぐぅ~』

エマ「どう、歩夢ちゃん? わたしのアテレコ、変じゃないかな?」

471: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/01(土) 23:56:37.42 ID:pNH1X+0b
歩夢「変じゃないですよ。寧ろとっても上手で、普段のエマさんみたいで、自然で聞きやすいです」

エマ「よかったぁ! 頑張ってしずくちゃんに指導してもらった甲斐があったよぉ」

彼方「彼方ちゃんは?」

歩夢「彼方さんもとってもお上手です」

彼方「それはよかったんだぜぃ」

エマ「じゃあ、早く食べよう。菜々ちゃん攻略しないとだもんね」

彼方「お紅茶とコーヒー持ってきたけど、どっちがいい? 準備しておくから、手を洗っておいで~」

璃奈「ありがとう、彼方さん、エマさん。私は紅茶で。……歩夢さんは?」璃奈ちゃんボード『(・・?』

472: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/02(日) 00:10:00.93 ID:V+GIQSgq
歩夢「……」ガメンヲミツメナガラ

璃奈「……どうしたの、歩夢さん?」璃奈ちゃんボード『(・・?』

歩夢「……ううん、何でもない。彼方さん、私はコーヒーでお願いします」

彼方「OKなんだぜぃ。彼方ちゃんにまかせろ~」

エマ「彼方ちゃんはカフェイン入ってないの入れるね」

彼方「ありがとう、エマちゃん」

歩夢「ふふ、行こうか、璃奈ちゃん」ピッ

【クイックメニュー】

【クイックセーブ】

ゲーム「セーブが完了いたしました」

483: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/04(火) 22:41:58.59 ID:1D2cSK+v
リアル―――――――――――――――

エマ「じゃあ、頑張ってね!」

彼方「歩夢ちゃん、ファイトだぜぃ。彼方ちゃんたちは遠くから見守ってるよ」ガチャ

歩夢「ごちそうさまでした、おいしかったです」

璃奈「ありがとうございました」璃奈ちゃんボード『m(__)m』

歩夢「よし、ご飯もちゃんと食べたし、続きも頑張っちゃうよ」

璃奈「がんばれ、歩夢さん」璃奈ちゃんボード『ファイト―! イッパーツ!』

【メニュー】

【ロード】

484: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/04(火) 23:01:49.78 ID:1D2cSK+v
ゲーム―――――――――――――――
【日曜日】

【図書館】
歩夢「そろそろ待ち合わせ時間だ」

???「お姉さん、ちょっといいですか?」

 菜々ちゃんを図書館前で待っていると、声をかけられた。

ナンパ師(CV中須かすみ)「お姉さんお綺麗ですね、避ければこの後僕とお茶でも……」

リアル――――――――――――――――
歩夢「(必死に笑いを堪えている)」プルプル

璃奈「やった、受けた」璃奈ちゃんボード『してやったり』

歩夢「プッ……が外見……チャラそうな男性なのに、声がかすみちゃんのせいで、すごい……面白いことになってれる……」プルプル

璃奈「ナンパ師5人くらい作って一番登場頻度低くしたレアなネタ枠を引き当てるとは、歩夢さん持ってる」璃奈ちゃんボード『グッb』

歩夢「何でネタ枠……いいや、進めるね」(回復した)

486: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/04(火) 23:17:38.50 ID:1D2cSK+v
ゲーム――――――――――――――――――
歩夢「すみません、私待ち合わせしてて……」

ナンパ師「僕は君に運命感じたんだ! だからぜひ君のこと――――――」

菜々「私の大切な方に、何かが御用でも?」

 私が困っていると、菜々ちゃんが現れ、私をかばうように前に立ち、ナンパ師を睨みつける。

ナンパ師「僕はその子に運命を感じたんだ! これから僕と彼女の物語が――――――」

菜々「始まりません。始まるのは私と彼女のデートです!」

ナンパ師「クッ、どうやら君は僕のヒロインじゃなかったようだ。次のヒロインを探しに行こう」

 行っちゃった。……次のヒロインって……。

488: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/04(火) 23:30:52.33 ID:1D2cSK+v
菜々「すみません、歩夢さん! 私が遅れたばかりに……」

歩夢「ううん、遅刻してないよ。それに、ちょっとおもしろかったし」

菜々「あなたという人は……。じゃあ、気を取り直して入りましょうか」

菜々「あ、歩夢さん! 今日の服装もとても可愛らしいですね。まるで物語のヒロインみたいで素敵です」

 やった、菜々ちゃんに服装を褒められた。

菜々「では、中に入りましょうか」

…………
………
……

490: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/04(火) 23:43:36.11 ID:1D2cSK+v
菜々「ここの問題はこの公式を使って――――――」

 菜々ちゃんの説明はわかりやすく、苦手と思っていた部分が少しずつ解るようになっていった。

歩夢「とってもわかりやすかった。ありがとう菜々ちゃん」

菜々「お役に立てたようで何よりです」

歩夢「次の問題も間違えちゃってるんだ。この問題も、今聞いた公式で合ってる?」

菜々「この問題はそれに加えて――――――」

 この後もう少し菜々ちゃんと勉強をした。

491: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/04(火) 23:49:34.81 ID:1D2cSK+v
【一時間後】

 少し疲れて来たな……。

 集中力の途切れてきた私はふと隣で勉強をする菜々ちゃんの方を見た。

 菜々ちゃんの集中は切れた様子がなく、集中して参考書の問題を解いている。

 この間も思ったけど、どちらかと言えば可愛い顔立ちの筈なのに、真剣な表情は本当にかっこいいなぁ。

 私がそう思っていると、私の視線に気付いたのか、菜々ちゃんが私の方を向いた。

菜々「歩夢さん、どうかなさいましたか?」

【少し疲れちゃって】
【菜々ちゃんの顔がかっこよくて見蕩れちゃった】
【えっと、この問題の解き方教えて(誤魔化す)】

ピッ

【菜々ちゃんの顔がかっこよくて見蕩れちゃった】

493: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/04(火) 23:53:27.38 ID:1D2cSK+v
菜々「……まったくもう……そんなことばっか言っていると、本気になっちゃいますよ?」

 顔を赤くして、ジト目で私を見つめながら言う菜々ちゃん。

 本当のこと言っただけなんだけどなぁ……。

…………
………
……

【夕方】

菜々「今日はありがとうございました」

歩夢「こっちこそ、お勉強教えてくれてありがとう」

菜々「あの、よろしければもう少し遊んで帰りませんか? まだ夕方ですし……もちろん、歩夢さんさえよければなのですが……」

【もう少し遊ぶ】
【帰る】

ピッ

【もう少し遊ぶ】

菜々「やった! じゃあ、アミューズメント施設に行きませんか?」

494: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/04(火) 23:57:49.69 ID:1D2cSK+v
【アミューズメント施設】

菜々「何をして遊びましょうか?」

ピッ

【ゲームセンター】

菜々「ゲームセンターですね。楽しみです! 早く行きましょう」

【移動】

菜々「ふふっ、ゲームセンター。この間あらためて一人で入ろうとしたのですが、やはり私にはまだハードルが高かった。……しかし! 今日も歩夢さんが一緒なので、もう何も怖くありません!」

 菜々ちゃんが楽しそうで何より。

 あ、菜々ちゃん、さっそくクレーンゲームの景品をジッと見つめてる。

 アニメのキャラクターのフィギュアかな?

 どうしよう?

【獲ってあげる】
【自分のぬいぐるみを獲る】
【そんなことよりアイドルなんだからダンスだよ!】

ピッ

【獲ってあげる】

495: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/05(水) 00:02:56.71 ID:lQzd3xHb
歩夢「菜々ちゃん、これ、私がプレイしてみてもいい?」

菜々「いいえ、今日は私がプレイしてみます!」

歩夢「そっか、頑張ってね、菜々ちゃん! 私、応援するよ」

菜々「歩夢さんの応援があれば百人力です!」

【数分後】

菜々「やった、獲れました!」

歩夢「おめでとう!」

菜々「歩夢さんの指導と応援のおかげです!」

 菜々ちゃんとても嬉しそう。やり方教えてあげてよかった。

菜々「次の景品も頑張りますよ!」

歩夢「私も何かやろうかな?」

 このあとたくさん散財した。

497: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/05(水) 00:10:51.93 ID:lQzd3xHb
【可愛いぬいぐるみ】を手に入れた。

 菜々ちゃんと少し仲良くなれた気がした。

 この後菜々ちゃんが家まで送ってくれることになった。

【帰り道】

菜々「ふふ、帰るのが惜しくなりますね」

 せっかくだから、何か聞いてみようかな?

【生徒会って大変?】
【テストが不安】
【恋愛について】

ピッ

【恋愛について】

499: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/05(水) 00:21:16.07 ID:lQzd3xHb
菜々「れ、恋愛についてですか!? えっと……そうですね……。恥ずかしながらそういう経験は今までないですね……。なので……難しいですね」

歩夢「難しいんだね」

菜々「はい。一番の問題かもしれません。だって――――――」

菜々「いえ、やっぱりなんでもありません」

 話していたら、あっという間に自宅の前に着いた。

菜々「今日は楽しかったです。歩夢さん、また遊びましょう」

【自宅】

歩夢「あ、せつ菜ちゃんからメッセージだ」

せつ菜『歩夢さんのおかげで、今日はとても素敵な一日になりました。またデートをしていただけると嬉しいです。恋愛については……考えてみます』

 よかった。せつ菜ちゃんも楽しんでくれたみたい。

 せつ菜ちゃんと少し仲良くなれた気がした。

509: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/06(木) 22:36:06.09 ID:nhwxBzam
【月曜日 休み時間】
菜々「歩夢さん」

歩夢「あ、菜々ちゃん」

菜々「ちょうどよかった。お探ししてたんです」

歩夢「何か用事?」

菜々「来週の日曜日、良ければ映画を見に行きませんか?」

歩夢「映画?」

菜々「はい! 以前お貸しした作品が公開になりまして」

歩夢「あ、言ってたね」

菜々「はい。なので、是非一緒に観に行ければと」

 どうしよう。

510: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/06(木) 22:49:52.46 ID:nhwxBzam
【一緒に行く】
【その日は用事が……】

ピッ

【一緒に行く】

歩夢「うん、一緒に観に行こう」

菜々「ふふ、ありがとうございます。また後程、詳しい予定を詰めましょう。楽しみにしていますね」

歩夢「うん、私も楽しみにしてるね」

菜々ちゃんとデートの約束をした。

511: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/06(木) 22:55:55.17 ID:nhwxBzam
リアル――――――――――――――――

歩夢「で、デートの約束をしたと思ったら、テストが終わって部室で合宿の話になったね」

璃奈「うん。もうそろそろ終わりが近い」

歩夢「合宿終わったらもうSIFに飛ぶ感じ?」

璃奈「うん。だから今回のデートがたぶんラストデート」

歩夢「ラストデートかぁ……大丈夫かなぁ?」

璃奈「歩夢さんのプレイを見る限り、たぶん大丈夫だと思う。合宿という最終イベントもあるし」

歩夢「璃奈ちゃんにそう言われると少し安心するよ……」

513: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/06(木) 23:10:11.23 ID:nhwxBzam
璃奈「けど、油断は大敵」

歩夢「うん、ちゃんと好感度とステータスは最後まで上げるようにするね」

歩夢「って言っている間にもうデートの日だ。彼方さんの占いでも、もう数値は足りてるみたいだし、侑ちゃんの好感度チェックもよし。服装も、現実で遊びに行ったときに菜々ちゃんが可愛いって言ってくれた服装に近いものにしたし……大丈夫かな?」

璃奈「うん、ゲーム内の菜々さんから服装も褒められたね。実はこれも地味に好感度UPしてる」

歩夢「そうなんだ。良かった……。あ、映画後の選択肢に一つ増えてるものがある」

璃奈「それも好きになられた証拠」

514: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/06(木) 23:18:57.44 ID:nhwxBzam
ゲーム―――――――――――――
【喫茶店】
菜々「最高でした! ヒロインの声優さんの配役もぴったりで! 特に最後のヒロインの主人公への感情をぶつけるシーンなど――――――。あとの私がこの作品を好きになった理由なのですが、ヒロインが歩夢さんにそっくりで――――――」

菜々ちゃんは今回も大満足だったようで、聞いてるこっちまで映画の興奮を思い出せる。それに改めて菜々ちゃんが本当に作品のことを大好きなことが伝わってくる。

なんて思いながら話を聞いていると、菜々ちゃんがハッとした。

菜々「ごめんなさい。相変わらず夢中になってしまって……」

【もっと聞かせて欲しいな】
【楽しそうにしゃべっている様子が可愛くて聞いてなかった】
【ヒロインと私、どっちが可愛かった?】

ピッ

【ヒロインと私、どっちが可愛かった?】

515: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/06(木) 23:35:25.29 ID:nhwxBzam
歩夢「私とヒロイン、どっちが可愛いって思った?」

 我ながら意地悪な質問をしたと思う。

菜々「え?」

 呆気にとられた表情の菜々ちゃんに同じ質問をぶつけてみた。

歩夢「私とヒロインの女の子、どっちが可愛いって思った?」

菜々「え、いや……そんなの……さっき思いっきりしゃべっちゃったじゃないですか……」

歩夢「え? 菜々ちゃん沢山しゃべってたけどどこのこと?」

菜々「もう……あなたって人は……駄目です。内緒です。」

歩夢「え~」

菜々「ふふ、聞き逃した方が悪いんですよ」

 そのまま暫く、私たちは喫茶店でおしゃべりを続けた。

518: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/06(木) 23:49:58.37 ID:nhwxBzam
菜々「歩夢さん、今日はありがとうございました。お家まで送ります」

 菜々ちゃんが送ってくれることになった。

【帰り道】
菜々「歩夢さん、この間質問された【恋愛について】、私なりに考えてみたんです」

 菜々ちゃんはそのままゆっくりと語り始めた。

菜々「私、ちっちゃい時からずっと忘れられない人がいるんです。その人のおかげで私は今もスクールアイドルをやっていると言っても過言ではありません。訳あって一度しか会えなかったのですが、私はその人にもう一度会いたいと思い続けていました」

歩夢「訳?」

菜々「突然父親の転勤が決まったんです。数年前にお台場に戻ってきたんですけどね。そして、そのごたごたでその人のことすら忘れていたのですが、最近その人を思い出す機会が……出会いがありまして。そして、この間の質問をされて考えながら思ったんです。その人を想い続けていたこの気持ちも恋だったのだ、と」

 菜々ちゃんは少し臭かったですかね、と照れたように付け足した。

 私は首を横に振った。

歩夢「そんなことないよ。寧ろ、素敵なお話だなって。菜々ちゃんはその懐かしい気持ちと同じ気持ちになれる子に出会えたんだね」

519: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/06(木) 23:55:40.61 ID:nhwxBzam
菜々「……はい。そうなんですよ。しかも相手には気付かれていないようでして……」

歩夢「じゃあ、気付いてもらえるように頑張らないとね。私も応援するよ!」

菜々「ありがとうございます。手ごわい相手なので、とても心強いです」

菜々「どうして気付いてくれないんでしょう……」ボソリ

歩夢「ん? 何か言った?」

菜々「なんでもありません」

歩夢「そっか、誰のことかなぁ……」

話していたら、あっという間に自宅の前に着いた。

菜々「今日は楽しかったです。歩夢さん、また遊びましょう」

520: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/06(木) 23:56:54.66 ID:nhwxBzam
【自宅】

歩夢「あ、せつ菜ちゃんからメッセージだ」

せつ菜『歩夢さんのおかげで、今日はとても素敵な一日になりました。またデートをしていただけると嬉しいです』

 よかった。せつ菜ちゃんも楽しんでくれたみたい。

 せつ菜ちゃんと少し仲良くなれた気がした。

 さあ、明日から合宿だ。頑張るよ!

530: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/08(土) 23:07:46.88 ID:IhmvN9st
ゲーム―――――――――――――――
【部室】

侑「合宿だぁ!」

せつ菜「うぉおおおおおおお! 合宿! これぞ青春! 燃えますね!」

果林「とはいっても、学校なのだけどね」

かすみ「どうせなら海辺の別荘とかが良かったですぅ……」

エマ「わたしは皆とならどこでも楽しそうだからこれはこれで」

彼方「学校なら朝寝坊し放題だねぇ」

愛「カナちゃん、寝坊はいかんぞ~」

歩夢「ふふ、楽しい合宿になりそうだね」

※合宿中はパラメータの上昇値が通常より多くなります。
 最後の追い込みをしましょう。

531: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/08(土) 23:35:50.06 ID:IhmvN9st
リアル――――――――――――――――
璃奈「とは言っても、歩夢さん最後の追い込み必要ないくらいにはステータスがあるからイベント消化だけでほぼ充分。難易度、少しいじった方がいいかも」璃奈ちゃんボード『ムムム』

歩夢「とりあえずいつも通りパフォーマンス練習したけど、確かにいつもよりステータスが上がっている気がするね。合宿は合計何回練習ができるの?」

璃奈「3日間で午前午後の2回ずつできるから、計6回。歩夢さんはちゃんと合宿前にはんぺんと遊んで【ストレス】を減らしてきてるから全部の日程練習しても問題ない」

歩夢「そうなんだね。それを聞くと、次にやる愛ちゃんルートではもう少し余裕をもって遊べる気がする」

璃奈「私はそうやって自分の遊び方を模索するのもこの手のゲームの楽しみだと思ってる」

歩夢「そうだね。あ、初日の練習は終了だね。えっと……あ、主人公、くじで料理当番に選ばれた。あとは……彼方さんとかすみちゃん?」

璃奈「手作りご飯イベントはやっぱり鉄板。お弁当イベントと少し被るけど、出来立てを食べてもらえるわけだし話が少し変わってくる」

532: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/09(日) 00:01:15.16 ID:SuysAFc/
…………
………
……

侑「おいしかった~! 彼方さん、最高だったよ~」

愛「かすかすのデザートも最高だったなぁ。流石コッペパン屋の看板娘!」

かすみ「かすかすじゃなくてかすみんですぅ! しかも、デザートとコッペパン関係ないじゃないですか!」

 かすみちゃんと愛ちゃんの漫才に皆が笑っていると、不意に横から袖口を引っ張られた。

せつ菜「歩夢さん。卵焼き今回もとても美味しかったです」

歩夢「ふふふ、良かった。前にせつ菜ちゃんが甘目の卵焼きをおいしいって言ってくれたの覚えていたの。せつ菜ちゃんのためにこっちの味付けにしてよかった」

せつ菜「……ありがとう、ございます……とっても嬉しいです……」

 せつ菜ちゃんは少し顔を赤らめながら私にお礼を言った。

 甘目が好きなんて、少し子供っぽいとか思って恥ずかしがってるのかな? 私も甘目が好きだから気にすることないのに。

533: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/09(日) 00:03:06.93 ID:SuysAFc/
【合宿二日目 午前、パフォーマンス練習】

【合宿二日目 午後、パフォーマンス練習】

【合宿三日目 午前、パフォーマンス練習】

【合宿三日目 午後、パフォーマンス練習】

【合宿三日目 夕方練習後】

侑「皆! 私、おっきなライブをやりたい!」

エマ「おっきなライブ?」

侑「うん! ずっと考えてたんだ! 皆だけじゃない、この辺のスクールアイドルも皆誘って、ファンも、スクールアイドルを知らない人だって楽しめるイベントがやりたい! 私の自慢のアイドルである皆のことをいろんな人に見てもらいたい! 大好きをぶつけあいたい!」

かすみ「なんですかそれ! すっごくおもしろそうじゃないですかぁ! かすみんの可愛さをたくさんの人に伝えるチャンスですし!」

534: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/09(日) 00:05:49.41 ID:SuysAFc/
エマ「おもしろそうだね」

彼方「まるでお祭りだねぇ」

愛「いいじゃんお祭り! 愛さん、お祭り大好き!」

侑「そう、そうだよ! スクールアイドルとスクールアイドル好き皆のお祭り! 名付けて、スクールアイドルフェスティバルだよ!」

 侑ちゃんの言葉に、皆がとても楽しそうだと賛成の声を次々と挙げた。

せつ菜「まったく……そんな大きな計画……ワクワクするじゃないですか!」

果林「ふふ、私も、全力で歌って、たくさんの人たちを魅了してみせるわ!」

 大きなライブかぁ……。

 大丈夫かな? 私、まだ普通のライブすらやったことないのに……。

554: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/14(金) 22:25:04.17 ID:0F2Av6Q/
【深夜】

 寝れないなぁ……今日は最終日なのに……。

 時刻は既に、12時を過ぎていた。

 皆は既に眠っているようで、静かな寝息だけが研修室に木霊している。

 このままじゃ眠れる気がしないし、寝返りの音でもしかしたら皆を起こしちゃうかもしれない。そう思った私は起き上がって、そのまま皆の眠る研修室から出ることにした。

【屋上】

 波の音を聞きながら、深夜だというのに光り輝く東京のビル群をぼーっと見つめる。

菜々「歩夢さん」

 不意にかけられた声。

 振り向くと、菜々ちゃんが立っていた。

556: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/14(金) 22:37:54.77 ID:0F2Av6Q/
歩夢「……どうしたの? 寝ないと、明日に響よ?」

菜々「それはこちらのセリフです。どうしたのですか?」

歩夢「うん。少し不安になっちゃって……私、まだステージに立ったこともないから。こんな私がステージに立ってもいいのかなって」

菜々「なんだ、そんなことですか」

歩夢「むぅ……そんなことって、何度もステージに立っている菜々ちゃんには――――――」

菜々「わかりますよ。私だって、初めてはあったんですから……」

歩夢「……ごめんね。変なこと言って」

菜々「何をおっしゃるんですか、その想いは当然のものです」

歩夢「ありがとう。……ねぇ、菜々ちゃんの最初のステージはどんな感じだったの?」

菜々「私の……ですか?」

558: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/14(金) 22:52:41.90 ID:0F2Av6Q/
菜々「そうですね……スクールアイドルとして初めてステージに立った時は、それはもう緊張しましたよ?」

歩夢「菜々ちゃんでも?」

菜々「はい! けど、前に話した忘れられない人が、私の歌を聞いて「かっこよかった! キラキラしてた!」と言ってくださったんです。その私の初めてのファンに恥じないパフォーマンスをするために、全力で歌って踊りました。一人でも多くの人に私の大好きが届くようにと」

歩夢「大好きが……か。確かに、届いたよ。私にも、侑ちゃんにも。だから私はここにいるの」

菜々「そう言っていただけると、本当にうれしいです。その大好きを届けたくて、私はスクールアイドルをしているのですから」

 そして、菜々ちゃんは私に問いかけた。

菜々「歩夢さんは……届けたいものは有りますか?」

歩夢「私は……」

559: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/14(金) 23:00:19.31 ID:0F2Av6Q/
【強くなれる、変われるんだという思いを届けたい】
【どんな状況でも諦めない心を、希望を皆にも届けたい】(選択不可能:ステータス不足)
【たくさんのありがとうを皆に届けたい】(選択不可能:ステータス不足)
【わからない】

……………………

ピッ

【強くなれる、変われるんだという思いを届けたい】

菜々「あるじゃなくですか、素敵な、皆さんに届けたい想い」

菜々ちゃんはそう言うと、私の前に跪き、私の手を取った。

菜々「大丈夫です。私が保証します。歩夢さんのその想いは、きっと歩夢さんの歌を聴く皆さんの心に届きます。だって――――――歩夢さんはこんなにも私の心をすでに動かしているんですから――――――」

そう言うと、菜々ちゃんは私の手の甲にキスをした。まるで、物語の騎士のように。

562: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/14(金) 23:08:38.39 ID:0F2Av6Q/
 そして、菜々ちゃんは私を見上げ微笑んだ後、立ち上がるのだった。

歩夢「ありがとう、菜々ちゃん。励ましてくれて」

菜々「いえ、あの日のお返しをしただけです」

歩夢「え?」

菜々「いえ、なんでもありません。では、そろそろ戻りましょうか」

歩夢「うん」

 その後、決意を新たに、私は練習に励んだ。

 そして――――――

564: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/14(金) 23:18:11.21 ID:0F2Av6Q/
【SIF 当日】

 今日はSIF、皆とのライブ。そして――――――私にとって初めてのライブ。

せつ菜「歩夢さん! さあ、行きましょう!」

 私はせつ菜ちゃんと同じ会場でスタート。たぶん、侑ちゃんが気を使ってくれたんだと思う。

 私に手を伸ばすせつ菜ちゃんの手を取り、私は大きく頷いた。

歩夢「うん!」

 せつ菜ちゃんに手を引かれ、ステージに上がる。
 
 観客席には、すでにたくさんのお客さんで溢れ返っていた。

 沢山のお客さんが見守る中、私はせつ菜ちゃんに紹介された。

 そして、簡単な紹介が終わった後に、私はマイクを通し、会場のお客さんたちに話しかけた。

歩夢「こんにちは、上原歩夢です。早速ですが聞いてください。『Say Good-Bye 涙』」

565: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/14(金) 23:26:27.94 ID:0F2Av6Q/
リアル――――――――――――――

歩夢「この辺りはだいぶ変わってるんだね」

璃奈「あくまでこのゲームは恋愛シミュレーションゲームだから、少しイベントに特殊性と、各ステータスに曲を対応させて貰った」

歩夢「あ、やっぱり。これ全部私の歌だよね?」

璃奈「うん。で、この歩夢さんの曲をBGMにこのルートで回収したスチルを確認できる」

歩夢「こうしてみると、スチルの回収少ない気がする……もう少し、彼方さん、エマさんたちと交流すればよかったかな?」

璃奈「菜々さんのスチルこれだけ回収してれば十分な気がする……1周でフルコンプだし……」璃奈ちゃんボード『目が点』

歩夢「あ、曲が止まった。……よかった。SIF、大成功だったんだね。じゃあ、次はいよいよ――――――」

璃奈「うん、クライマックス」璃奈ちゃんボード『ドキドキ』

566: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/14(金) 23:31:47.93 ID:0F2Av6Q/
ゲーム――――――――――――

【校内】

 SIFが終わり、この後打ち上げの予定だけど、興奮冷めやらない私は最後までステージの撤収作業をしている侑ちゃんたちが戻ってくるまでの間、校内を散歩していた。

 先ほどまでの歓声が嘘のように、校内は静まり返っている。

 ああ、本当に楽しかったなぁ。

 スクールアイドルになってよかった。

 そんなことを考えながら、歩いていると、不意に窓の外に見慣れない建物が見えた。

 なんだろう、あの建物は?

 何かに導かれるように、私はその小さな建物を目指し、歩き始めるのだった。

568: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/14(金) 23:41:11.52 ID:0F2Av6Q/
【教会】

 建物の前にたどり着いた。

 月明かりに照らされたその建物の屋根には、十字架が立てられていた。

歩夢「ここって、もしかして菜々ちゃんが言ってた――――――」

 伝説の教会?

 入れるのかな?

 私は教会のドアに手をかけ、引いてみた。

 カギは、かかっていなかった。

 私はそのまま覗き込むように、教会の中に入る。

歩夢「……うわぁ……綺麗……」

 教会の中に入った私の目の前には、綺麗なステンドグラスが月明かりに照らされてキラキラと輝いていた。

 描かれているのは、王子様とお姫様。

569: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/14(金) 23:49:56.91 ID:0F2Av6Q/
 たしか、ここで学園の創始者の方が運命の人と再会して結ばれた。

 運命の人―――――――か。

 ある人の顔が思い浮かんだ。

「歩夢さん」

 背後から、不意に聞こえた声。

 私は振り向いた。

 菜々ちゃんが、そこには立っていた。

菜々「歩夢さん」

歩夢「菜々ちゃん……」

 私の前まで歩み寄る菜々ちゃん。

菜々「ここにいたんですね」

歩夢「うん。この建物が気になっちゃって。菜々ちゃんは?」

菜々「私は、ここに来れば歩夢さんに会える気がして」

570: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/14(金) 23:54:05.89 ID:0F2Av6Q/
歩夢「私に?」

 菜々ちゃんは頷いて、少し神妙な面持ちになる。

菜々「歩夢さん、まず最初にお礼を言わせてください」

歩夢「え?」

菜々「幼い時のあの日、あの公園の、森の中の小さなステージで、私の歌を聞いてくれて、私の初めてのお客さんになってくれて、私の初めてのファンになってくれて、本当にありがとうございました。そのおかげで、優木せつ菜は今ここにいるのです」

歩夢「え? 公園の森の中の小さなステージ? それって……」

 私も忘れていた、あの子だけとの思い出。

 じゃあ――――――

歩夢「菜々ちゃんが忘れられない人って、もしかして、私?」

菜々「はい。歩夢さん、あなたのことです。最初にぶつかった時、そして、部室でお会いした時も何も覚えていない様子だったので、他人の空似かと思っていたのですが、侑さんから後に幼い時の歩夢さんの写真を見せてもらって、確信しました」

571: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/14(金) 23:59:41.80 ID:0F2Av6Q/
歩夢「そうだったんだ。ってことはつまり……」

 菜々ちゃんの好きな人って……

菜々「そこから先は、私に言わせてください」

菜々「歩夢さん。大好きという言葉は、私にとってとても大切な言葉なんです。スクールアイドルも、歌も、アニメも、この学校も、全部大好きなんです。
もちろん、歩夢さんのことも大好きでした。けど――――――今は大好きじゃ収まらないんです。
歩夢さん。貴女のことを……愛しています。私の愛してるを受け止めてくれませんか?」

 私は――――――

【頷く】
【キスで答える】
【断る】

ピッ

【キスで答える】

574: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/15(土) 00:06:53.74 ID:TaBQSKt1
 私は何も答えず、菜々ちゃんの唇に、私の唇を合わせた。

 すぐに離れて、菜々ちゃんの顔を見ると、呆気にとられたような顔をした後に、少し呆れたように微笑んだ。

菜々「……ふふ、全くあなたという人は……可愛い顔をしていつも私をドキドキさせて……」

菜々「お返しです」

 そして、私の顔へ菜々ちゃんの顔が近づいてきて――――――

 もう一度私たちの影が重なると同時に、優しい鐘の音が一つ教会に響のだった。

583: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/16(日) 22:05:43.18 ID:J15me4HT
ゲーム―――――――――――――

【エピローグ】
 あれから、数年の時経った。

 私と菜々ちゃんはその後スクールアイドルをしながら順調に交際し、高校、大学と卒業し、社会人となった今もお付き合いをしている。

 交際期間がそろそろ長いので、侑ちゃんは「早く歩夢のウェディングドレス姿が見たい」なんて茶化してくるが、私もまだ社会人一年目が終わったばかりだ。それを着るのは、まだ先の話だろう。

 ちなみに私は本屋さんでのバイトを通して本を好きになったのをきっかけに、編集者となった。そして、二年目にして、やっと一人の作家さんの担当になれた。

 まあ、その作者さんが私の知り合いだから担当にしてくれたって言うのはあるけど……。

 私はこれからその作家さんと打ち合わせをするために、彼女の仕事場兼自宅であるマンションへと来ていた。

 真夏だから、本当に暑かった。早く建物の中に入りたい。私が急ぎ足でマンションのエントランスに入ると、そこは極寒だった。

歩夢「寒い!」

 私は思わず声を出して驚いてしまった。

管理人「あ、上原さん。こんにちは」

 私の声に反応して、マンションの管理人さんが現れた。私はカバンから普段ひざ掛けにしている恋人のイメージカラーのストールを首に巻きながら会釈した。

585: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/16(日) 22:12:41.63 ID:J15me4HT
管理人「ごめんね、今このエントランスのエアコン壊れちゃってて……もう少しで業者が来ると思うんだけど……」

歩夢「そうなんですね」

 私がエレベーターを待ちながら管理人さんと話していると、正面口から宅配業者の配達員さんが私の背後を通り、宅配ボックスに何かを入れようとしている。

 その宅配ボックスはまさに、私が今から向かう部屋の宅配ボックスだった。

歩夢「あ、その荷物、受け取っちゃいます」

 配達員さんは少し疑いの目で私を見た後に、管理人さんを盗み見た。
 
 管理人さんが頷くと、配達員さんは私に荷物を預けた。

 雪ダルマ型のダンボールで、宛名書きには氷菓製造メーカーの名があった。

 たぶん、私が懸賞で応募したもの。

586: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/16(日) 22:19:29.76 ID:J15me4HT
私はそのままそのダンボールを持って目的の部屋へと向かう。

エレベーターも廊下もエアコンの壊れているエントランスと違って程よい温度になっている。首のストールがうっとおしい。

部屋の前へ着くと、私は少しはしたないと思いつつも、肘を使って呼び鈴を押した。

それからすぐに中から聞こえた足音と、玄関のロックが開く音。

玄関の戸を開けて、私を見て驚いた彼女の顔を見て、高校時代の先輩のセリフを思い出した。

「「あなたの運命の人は真夏にマフラーを巻いて雪だるまと一緒に現れるなんて」とんでもない結果が出ちゃって……」

 私はまだ我に返らない彼女に向かって、微笑んで言うのだった。

歩夢「占い、当たってたみたいだね」

END

591: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/16(日) 22:35:41.15 ID:J15me4HT
リアル――――――――――――――――

ゲーム『開花宣言(ED)』

歩夢「あ、EDも私の曲なんだ」

璃奈「うん、サビの歌詞が恋愛ゲームのEDぽいなって思って。仮に歩夢さんがヒロインのモデルじゃなくても使わせてもらってた。そんな曲を歌える歩夢さんはヒロインにふさわしい」璃奈ちゃんボード『グッb』

歩夢「もう、璃奈ちゃんったら、褒めても何も出ないよ? 昨日たまたま作ったクッキー以外はね」

璃奈ちゃんボード『やったー!』ピョーンピョーンガタガタ

歩夢「三次のおやつにしようね」

璃奈「うん。そして、菜々さんルートクリアー」ドンドンパフパフ

歩夢「無事にクリアできてよかったよー。まさか最初の彼方さんの発言がこんな形で回収されるなんて」

璃奈「せつ菜さん曰く、好きなラノベのオマージュらしい」

593: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/16(日) 22:45:36.18 ID:J15me4HT
歩夢「そうなんだ。せつ菜ちゃんが作家さんになってるっていうのもなんだか似合ってるね」

璃奈「エンディングは攻略対象の皆さんがこんな感じがいいと考えてくれたのをゲーム制作同好会の皆さんが形にしてくれた。因みに告白のセリフもせつ菜さんが自分で考えたんだけど、どうだった?」

歩夢「うん、すっごくドキドキしちゃった。シンプルなんだけど、それがすっごい良くって……菜々ちゃんらしくて、せつ菜ちゃんらしい告白だった」

璃奈「だからキスで答えた?」璃奈ちゃんボード『ヒューヒュー』

歩夢「もう、先輩をからかうんじゃありません。けど、そうだね。うん……ああやって一生懸命気持ちを伝えられたらこっちだってちゃんと答えなきゃってなるよ。あのセリフを言った菜々ちゃんも――――――ううん、このゲームを作った璃奈ちゃんたち皆がすごい」

璃奈「そう言ってもらえると、私たちも頑張って作ってよかったって思う」璃奈ちゃんボード『ニッコリン』

595: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/16(日) 22:56:01.89 ID:J15me4HT
歩夢「ふふ。じゃあ、さっそく愛ちゃんルートに行こうかな」

歩夢「ちょっと確認したいこともあるし」ボソリ

璃奈「歩夢さん、今何か言った?」

歩夢「ううん。なんでもないよ。じゃあ、2周目の愛ちゃんルートはじめるね」

ゲーム―――――――――――――

 このまま2周目を始めますか?

【はい】
【いいえ】

ピッ

【はい】

侑「よし、じゃあ行こうか、私たちの学園へ――――――」

 ~OP~『虹色passions!』

ピッ

【スキップ】

596: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/16(日) 22:57:36.37 ID:J15me4HT
今日はここまで

次回から、愛さんルートです。

共通ルートは軒並みスキップになるので菜々ルートより短くなると思います。

本日もお付き合いいただきありがとうございました。

608: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/19(水) 22:00:51.27 ID:+bLmQJI6
リアル―――――――――――――――

歩夢「えっと……【プロローグ】から【第一週最初の休日】まで会話はひたすらスキップして……かすみちゃんのコッペパンを一つもらって……あれ? これもしかして一周目のアイテムも引継ぎしてる?」

璃奈「うん。余程の重要アイテム以外は引継ぎ可能。コッペパンもそう言う意味じゃあくまで補助程度だから引き継げるようにした」

歩夢「そうなんだ。愛ちゃんルートだと何が必要ステータスなんだろう?」

璃奈「さっそく彼方さんの所だね」

ゲーム―――――――――――――

【ショッピングモール】

映画館や洋服屋など、たくさんのお店があって、よく侑ちゃんと遊びに来るけど、ピッ

【スキップ】

610: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/19(水) 22:27:16.34 ID:+bLmQJI6
彼方「先生は相性占いとか、恋愛相談とか、人の縁に関わる占いが得意なんだぁ。試してみてよ」

 せっかくだし、新しく友達になった同好会メンバーのことを聞いてみようかな。

私は……

 【二面性のある同級生と仲良くなりたい】
 【元気なダジャレ好きの同級生のことが知りたい】
 【大人っぽい先輩のファンになります】

 ピッ

【元気なダジャレ好きの同級生のことが知りたい】

彼方「りょうかーい。では先生、お願いしま~す!」

………………………………

彼方「ふむふむ……うん、占い結果が出たよ! 先生曰く――――――」

【占い結果】
 学力:まだ足りないよ
 ダンス:まだ足りないよ

彼方「だってさー。歩夢ちゃんのこれからに期待だね。因みに今週は歌唱力が上がりやすいみたいだよ」

 ※占いの館に来ると、キャラクター攻略に必要なパラメーターと、攻略のための
アドバイスをくれます。同時に、効率的な練習や、おすすめのデートスポットを
教えてくれたりもするので、有効活用しましょう。

611: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/19(水) 22:30:51.46 ID:+bLmQJI6
彼方「こんな感じかなぁ。満足いただけた?」

歩夢「はい、参考になりました」

彼方「よかった。前に愛ちゃんを占った時は「プロポーズはどんな場所よりも高い場所から飛び降りながらすると叶う」とかとんでもない結果が出ちゃって……」

 私は乾いた笑いを浮かべた。まったく意味が解らない……。

彼方「じゃあ、近くに来たらまた寄ってよ。タイミングが合えばご飯も行きたいな。おすすめの台湾料理屋さんが入ってるんだ~」

 私は是非と返事をしてその場を離れた。

 ~移動~

613: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/19(水) 22:36:04.55 ID:+bLmQJI6
リアル―――――――――――――――――

歩夢「で、また演劇部部長さんボイスの書店員に声かけられて、求人冊子を貰ったね。
今回はもちろん【もんじゃ屋さん】を選ぶね」

璃奈「うん、愛さんと言ったらそこ」

歩夢「そうだよね。あ! 今回はバイト選択ですぐにイベントが発生したよ」

画面『愛「歩夢!? おばあちゃんが言ってたバイトに応募してくれた子って歩夢のことだったんだ~! うわぁ~愛さん感激! よろしくね!」』

歩夢「愛ちゃんのおかげでバイトがあっさり決まっちゃった。流石はゲーム……」

璃奈「けど、歩夢さん実際に愛さんのお店でたまにお手伝いしてるじゃない。私はまだお店会ったことないけど、侑さんとせつ菜さんが歩夢さんが居る時に行ったって写真見せてくれた」

歩夢「もう、侑ちゃんもせつ菜ちゃんも勝手に写真撮って……それだってたまたまだよ? 遊びに行ったときに愛ちゃんの家のお店が忙しくなって、人手もない日だったから食材の下準備とかお手伝いしたのがきっかけでね。それ以来頼まれたら、たまにお手伝いしてるの」

璃奈「うん。愛さんから聞いてる。愛さんのお婆さんにすごい気に入られてるとも」

614: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/19(水) 22:43:56.85 ID:+bLmQJI6
歩夢「そうなの? 気に入って頂けてるなら嬉しいな。あ、明日はデートだからお洋服買わないと……」

璃奈「さっそくデートの約束とは、歩夢さん順調」

歩夢「二周目だし、サクサク攻略しちゃうよ。えっと……愛ちゃん相手だし、【アクティブ】、な感じかなぁ。愛ちゃんと遊ぶときはそんなところが多いし」ピッ(フクヤヲセンタクシナガラ)

璃奈「歩夢さんは愛さんと遊ぶときはどんなことしてるの? せつ菜さんと同じ感じ?」璃奈ちゃんボード『(・・?』

歩夢「うーん……せつ菜ちゃんと遊ぶ時とはだいぶ変わるかなぁ。この間はドー〇シティのローラースケート場行ったよ。璃奈ちゃんも誘われてたんだよね?」

璃奈「うん。それは私も誘われた。けど、かすみちゃんたちとの先約があって」

歩夢「ふふ、一年生皆も仲がいいね。三時のおやつの時に何をして遊んだか聞かせて欲しいな」

璃奈「是非聞いて欲しい。あ、歩夢さん。デート当日になった。今回はどこを選択したの?」

歩夢「最初はカラオケだよ。愛ちゃんカラオケも好きだから」

璃奈「……やっぱり本人を知ってると強い……」

615: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/19(水) 22:44:23.16 ID:+bLmQJI6
今日はここまで。

次回はカラオケデートです。

625: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/22(土) 20:57:18.97 ID:0DM3fOND
ゲーム―――――――――――――――

【休日 カラオケ店前】

愛「歩夢、お待たせ」

歩夢「愛ちゃん、おはよう」

愛「うん、おはよう。じゃあ、入ろうか。愛さん楽しみで楽しみで」

歩夢「私も、カラオケ久しぶりだから楽しみ」

【カラオケ店内】

愛「さっそく何か頼もうか。喉がカラッカラじゃ歌えないからね! カラオケだけに! 歩夢、何飲む?」

歩夢「もう、愛ちゃんったら……お茶でお願いします」

愛「はいは~い。……あ、お茶とコーラお願いしまーす」

歩夢「じゃあ、さっそく歌おっかな」

 何を入れよう?

626: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/22(土) 21:06:32.94 ID:0DM3fOND
【ラブソング】
【流行のアイドルソング】
【童謡】

ピッ

【童謡】

 あ、懐かしい。これ入れちゃおうかな。

愛「えぇ……森のくまさん……?」

 イントロが流れ始め、歌いだすと、愛ちゃんは困惑していた。

 少し失敗しちゃったかな?

628: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/22(土) 21:15:16.10 ID:0DM3fOND
リアル―――――――――――――

歩夢「あー……やっぱり好感度高くないとダメかぁ」

璃奈「えぇ……」璃奈ちゃんボード『困惑』

歩夢「何でだったかな……。懐かしい曲の話になって、愛ちゃんとノリでこういう曲歌った時があったから笑ってくれるかなって」

璃奈「そんなことがあったんだ……」璃奈ちゃんボード『目が点』

歩夢「普段は流行のアイドルソングとか歌うからそれだったかなぁ……」

璃奈「それはまたカラオケデートに誘って確認してみてね」

歩夢「そうするね。けど、次はダーツに行こうかな? 愛ちゃんに教えてもらったことあるから、ゲームでも好感度上がりそう」

璃奈「歩夢さん、現実でも結構せつ菜さんや愛さんとデートしてる……。じゃあ、アミューズメント施設にゴー」璃奈ちゃんボード『おー!』

631: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/22(土) 21:26:54.95 ID:0DM3fOND
璃奈(だから愛さん、この選択肢入れたんだ……)

ゲーム―――――――――――――――――

【日曜日 アミューズメント施設入口】

愛「ごめん、歩夢。愛さん遅くなった?」

歩夢「ううん、私も今来たところだよ」

愛「そっか。よかったぁ~。愛さん、歩夢のこと待たせちゃったかと思ったよ~」

歩夢「じゃあ行こうか」

愛「よーし、たくさん遊ぶぞ~!」

【アミューズメント施設】

愛「遊ぶ場所たくさんあってワクワクするよね。歩夢、何して遊ぶ?」

 今日は……

632: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/22(土) 21:41:10.42 ID:0DM3fOND
【ボウリング】
【ダーツ】
【ビリヤード】
【ゲームセンター】

ピッ

【ダーツ】

愛「ダーツだね。愛さん、はりきっちゃうよ~! 1,2,3ダーッ!」

歩夢「ははは……」

【移動】

愛「さあさあ、さっそく遊んでこうか」

【なんかクールでかっこいいね】
【ルール教えて】
【ダーッと投げる。ダーツだけに】

ピッ

【ルール教えて】

634: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/22(土) 21:59:21.27 ID:0DM3fOND
歩夢「ルール教えて欲しいな」

愛「OK、OK! 愛さんが丁寧に教えちゃうよ! テイって投げるだけじゃ駄目だからね! まずはね――――――」

 愛ちゃんはその後本当に丁寧にルールや投げ方を教えてくれた。

 暫く投げた後――――――

愛「歩夢もだんだん慣れて来たね~。投げる姿、かっこいいよ」

【優秀な先生がいるからかな?】
【愛ちゃんの方がかっこいいよ】
【今なら愛ちゃんにも勝てるかな?】

ピッ

636: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/22(土) 22:05:56.78 ID:0DM3fOND
【優秀な先生がいるからかな?】

歩夢「優秀な先生がいるからだよ」

愛「嬉しいこと言ってくれるね! よし、も少し練習したら一勝負と行こうか!」

 この後たくさん愛ちゃんと遊んだ。

愛「歩夢、今日は楽しかったよ! また遊ぼうね!」

歩夢「うん、また明日ね」

 愛ちゃんと出かけた。
 少し仲良くなれた気がした。

644: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/24(月) 22:06:45.64 ID:yeSjrP7p
ゲーム―――――――――――――

~木曜日、放課後~

 今日も疲れたなぁ。

歩夢「あ! 愛ちゃん」

愛「お、歩夢。一緒に帰らない?」

【一緒に帰ろう】
【ごめん、急いで帰らないと……】

ピッ

【一緒に帰ろう】

645: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/24(月) 22:18:25.76 ID:yeSjrP7p
愛「よし、帰ろう! カエルが鳴くから帰ろう」

【帰り道】

愛「どう? そろそろ練習慣れた?」

歩夢「まだまだかな……。一緒に練習してると、愛ちゃんたちってすごいなって毎回思うよ」

菜々「いやー、照れるねぇ。それほどでもないよ~。けど、歩夢だってすごい頑張ってるじゃん。愛さんも負けてられないなぁ、ってなるよ」

歩夢「そう言ってもらえるとうれしいな。これからも頑張るね」

愛「頑張れ! 愛さんも、もっとガンガン頑張るよ!」ナンチャッテ……

 愛ちゃんはそう言って眩しい笑顔を向けた。

 こんなにすごい愛ちゃんも頑張ってるんだ、私も頑張ろう。

647: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/24(月) 22:23:08.64 ID:yeSjrP7p
【金曜日 昼休み】

菜々「あ、歩夢さん!」

愛「歩夢、やっほ~」

歩夢「菜々ちゃん! 愛ちゃん!」

菜々「愛さんとお昼一緒に食べようってなりまして、歩夢さんもどうでしょうか?」

【一緒に食べる】
【ごめん、用事があるんだ】

ピッ

【一緒に食べる】

649: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/24(月) 22:30:08.45 ID:yeSjrP7p
愛「よしよし、『愛』さんと『相』席だよ!」

菜々「ははは……(失笑)」

歩夢「愛ちゃん……」

 ここに侑ちゃんがいないでよかった……。

 大変なことになってた……。

【学食】

歩夢「何を食べようかな?」

【Aランチ】(サンドイッチ)
【Bランチ】(煮魚定食)
【Cランチ】(焼肉定食)
【今日はお弁当持参】

ピッ

650: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/24(月) 22:41:06.37 ID:yeSjrP7p
【Cランチ】(焼肉定食)

愛「あ! 歩夢もCランチ?」

歩夢「うん。一緒だね」

愛「だねだね。愛さん、モーレツにお肉食べたくてさ。牛だけに!」

歩夢「ははは……」

菜々「ふふ……それではいただきましょう」

一同「「「いただきます!」」」

愛「うーん。ご飯が進む! この甘辛のたれがいいよね!」

菜々「そうですね。少しはしたなくも感じますが、ご飯を掻込みたくなりますね」

愛「だよねだよね! 日本人でよかったってなるよ!」

歩夢「ふふ、愛ちゃん。そんな急いで食べると、のどに詰まっちゃうよ?」

 三人でのランチを楽しんだ。

652: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/24(月) 22:45:52.47 ID:yeSjrP7p
【土曜日 休日1 ショッピングモール】

彼方「占いの館へようこそ~、歩夢ちゃん。今日も来てくれてありがとうね~」

彼方「じゃあ、さっそく、今日の占い行ってみようか? 何を占う?」

【生徒会長とアニメ鑑賞がしたい】
【部室棟のヒーローともんじゃ焼き食べたい】
【美人読モの着せ替え人形になります】

ピッ

【部室棟のヒーローともんじゃ焼き食べたい】

彼方「OK! では先生、お願いしま~す」

………………………………

彼方「ふむふむ……うん、占い結果が出たよ! 先生曰く――――――」

653: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/24(月) 22:55:50.52 ID:yeSjrP7p
【占い結果】
 学力:まだ足りないよ
 ダンス:まだ足りないよ

彼方「だってさ~。今週は学力が上がりやすいみたいだよ」

彼方「あと、これ先生が毎回占いの館を使ってくれているお礼だって、上手く活用してね」

 彼方から【アミューズメント施設の無料券】をもらった。

彼方「またきてねぇ~」

【土曜日 休日2 電話 侑ちゃん】

 プルルルル、ガチャ

侑「歩夢? どうしたの?」

【侑ちゃんと遊びたい】
【私の評判を教えて】
【おしゃべりしよう】

ピッ

655: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/24(月) 23:02:23.14 ID:yeSjrP7p
【私の評判を教えて】

侑「歩夢の評判だね。私が聞いてる限り、今はこんな感じだよ」

中川菜々: 部活仲間(ハートの大きさ、極小)
宮下愛:仲の良い友人(ハートの大きさ、中)
朝香果林:後輩(ハートの大きさ、極小)
近江彼方:可愛い後輩
エマ・ヴェルデ:後輩
中須かすみ:先輩

侑「ほかに何か用事はある?」

ピッ

【侑ちゃんと遊びたい】

侑「ん? 私と遊ぶの? うん、いいよ。歩夢とデートだ」

侑「何をしたい?」

656: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/24(月) 23:10:40.75 ID:yeSjrP7p
【ショッピングモールで買い物】
【アミューズメント施設で遊ぶ】
【部屋で勉強】

ピッ

【ショッピングモールで買い物】

侑「わかった、すぐに支度するね」

【移動】

【ショッピングモール】

侑「あ、歩夢! この伊達メガネ、歩夢に似合いそうだよ」

 侑ちゃんの手には私が持っている服に合いそうな、【学力と魅力のパラメーター】が上がりそうな伊達メガネがあった。

 どうしよう? (値段、手持ちの約2/3)

658: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/24(月) 23:22:33.12 ID:yeSjrP7p
【買う】(アイテムに30%オフクーポンがあります)
【買わない】

ピッ

【買う】

歩夢「買っちゃおうかな。ちょっと待ってて」

 チャリーン

 アリガトウゴザイマシター

歩夢「侑ちゃん、どう? 似合ってる?」

侑「似合ってる! 歩夢、可愛いYO!」

 そのまま侑ちゃんとウィンドウショッピングを楽しんだ。

 学力と魅力が少し上がった。

671: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/27(木) 21:38:03.44 ID:QOQngbF0
ゲーム―――――――――――――

【日曜日 バイト】

 今日は、初めての休日のバイト。

 がっつりバイトしちゃうよ!

愛「はい、歩夢! これ、三番テーブルさんにお願い」

歩夢「はーい。……お待たせいたしましたー。ウーロン茶とコーラです」

お客1「ありがとうございます」

お客2「お嬢ちゃん見ない顔だね。新人さん? 可愛いねぇ」

愛「でしょでしょ? アタシの友達なんだー」

 キッチンから別のお客さんにもんじゃを持ってきた愛ちゃんが言う。

お客2「愛ちゃんの友達かぁ、頑張ってね。ほら飴ちゃん。休憩時間に食べな」

歩夢「あ、ありがとうございます」

672: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/27(木) 21:44:08.72 ID:QOQngbF0
お客3「じゃあ、おっちゃんはビールおごったる。一緒に飲もう」

歩夢「未成年なので……」

 愛ちゃんの友人という言葉に反応し、常連さんなのだろう。お客さんたちに次々と話しかけられる。

 私が困っていると、愛ちゃんが私を庇うようにスッと前に立った。

愛「歩夢はアタシの友達なんだから、お誘いはアタシを通してください。あと、ナンパも禁止!」

 そう言うと愛ちゃんは店内からブーイングを受ける。

愛「ほらほら、皆さん! もんじゃ焦げるからとっとと食べる! お婆ちゃんのもんじゃ、残したら許さないからね!」

 常連さんたちが返事をし、愛ちゃんは私の手を引いて厨房へと戻る。

愛「ごめんね、歩夢。皆いい人なんだけど、ああやってぐいぐい来るからさ……」

674: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/27(木) 21:51:53.06 ID:QOQngbF0
歩夢「ううん、大丈夫だよ。皆さん楽しそうで、いいお店だなって思うし、それに、こうやって助け舟出してくれたじゃない」

愛「歩夢……」

歩夢「ふふ、まだまだ新人だけど、常連さんのこととか早く覚えて、このお店の一員になれるように頑張るから、よろしくお願いしますね、先輩」

 少しおどけながら言うと、愛ちゃんは少し顔を赤くした。

愛「不覚にも、少しときめいた……」

 愛ちゃんの呟いた言葉は常連さんたちの談笑する声にかき消されて聞こえず、私は首を傾げた。

 少し疲れたのか、この後働いている間、愛ちゃんの顔は少し赤かった。

676: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/27(木) 22:04:01.48 ID:QOQngbF0
リアル――――――――――――

歩夢「ダーツとバイトで、少しずつだけど好感度稼げてるかな?」

璃奈「バイトのイベント、実はある程度好感度行かないと発生しないようになってるから大丈夫」璃奈ちゃんボード『グッb』

歩夢「そっか、ならよかった。あ、あとダーツデートのスチル! 愛ちゃんが後ろから密着して指導してる感じなのかな? かっこよかった」

璃奈「そう言ってくれると、イラスト同好会の子も喜ぶ。元の写真見て血涙流してたけど……」

歩夢「え? 元の写真?」

璃奈(あ、やば……)

璃奈「……うん。果林さん提供の、歩夢さんが愛さんにダーツの投げ方指導されてる写真」

677: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/27(木) 22:12:27.20 ID:QOQngbF0
歩夢「え? じゃあ最初に行った時に撮られたのかな? もう、果林さんたら……」ソンナニミッチャクシテタカナ?

璃奈「最初は二人と行ったの?」

歩夢「少し前のユニット練習の日にね。あの日は侑ちゃんが音楽科の補修で居なくて、しずくちゃんとせつ菜ちゃんも用事があって早く帰っちゃって、部室でゆっくり帰り支度してたら戻ってきた二人に誘われたの」

璃奈「そうなんだ」

歩夢「うん。璃奈ちゃんには写真見せたことなかったっけ? ダーツ投げる二人、かっこいいよ」スマホミセナガラ

璃奈「愛さんも果林さんもかっこいい」璃奈ちゃんボード『キラキラ』

歩夢「だよね。私も二人みたいにかっこよく投げれたらなって思うんだけどまだまだへたくそで……せっかく果林さんお下がりのマイダーツも貰ったのに」

璃奈「果林さんのお下がりのマイダーツ」璃奈ちゃんボード『・・;』

歩夢「うん。そもそもで、果林さんがモデルの撮影の時にダーツをする機会があって、その時に投げてたら面白くてハマっちゃったんだって」

679: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/27(木) 22:31:57.74 ID:QOQngbF0
璃奈「開発会議の時にそう言ってた。果林さんが「どうせなら自分たちのハマってることをできるようにして、よりリアルの自分たちがしそうなデートに近づけて欲しい」って」

歩夢「ふふ、果林さんらしいね。でね、話を戻すと、身近にダーツ仲間が欲しいからってまず愛ちゃんを誘って、その後たまたま私を誘って、って感じみたい」

歩夢「あと、二人ともビリヤードも上手だよ。ダーツは愛ちゃんが勝ち越してて、ビリヤードは果林さんが勝ち越してるんだって。果林さんルートやる時はビリヤードに行ってみようかな。完成、楽しみにしてるね」

璃奈「うん。頑張って完成させる」璃奈ちゃんボード『むんっ!』

歩夢「あと、バイトの描写。たしかに最初愛ちゃんの家のお店お手伝いしたときこんな感じだった。少し懐かしくなっちゃった」

璃奈「この辺りはちゃんと愛さんや愛さんのお婆さんに歩夢さんの初日の様子を聞いた」

歩夢「そうだったんだね。そこに、少し愛ちゃんがときめいちゃいそうなセリフを足したってことかな? ……愛先輩♡」

璃奈「歩夢さん、可愛い」璃奈ちゃんボード『ときめき』

歩夢「……もう二度と言わない//// ゲーム再開するね////」

璃奈「次はGW!」璃奈ちゃんボード『お楽しみは、これからだ!』

688: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/29(土) 21:00:34.98 ID:CLIv3Ac1
【5/1 土曜日 GW1日目】
歩夢「今日からGWだ、何しよう……」

電話「~♪」

あ、電話だ。

歩夢「もしもし?」

侑「あ、歩夢? 急なんだけど、良ければ二年生皆で遊びに行かない? 愛ちゃんと遊園地行きたいって話してたんだ」

【行く】
【行かない】

ピッ

【行く】

歩夢「うん、行きたい」

侑「そうこなくっちゃ! じゃあ、私も支度するから一旦切るね」

 皆で遊園地に行くことになった。早く支度しなきゃ。

689: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/29(土) 21:04:40.41 ID:CLIv3Ac1
【遊園地】
侑「遊園地なんて久し―――――――」

ピッ

【スキップ】

何に乗ろうかな?

【ジェットコースター】
【観覧車】
【おばけやしき】
【コーヒーカップ】
【バンジージャンプ】
【ヒーローショー】

ピッ

【ヒーローショー】

歩夢「あ、ヒーローショーだって、懐かしいなぁ……子供の頃、侑ちゃんと一緒によく見てたよね」

ピッ

【スキップ】

せつ菜「それでは、行きましょう!」

691: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/29(土) 21:11:38.18 ID:CLIv3Ac1
【ヒーローショーステージ】

怪人「ふははははははははは! 

ピッ

【スキップ】

司会のお姉さん「お、せっかくだし、この人質のお姉さんのお友達から選ぼうかな? じゃあ、―――――――」

【そこの元気そうなお姉さん!】
【金髪のお姉さん!】
【ツインテールのお姉さん!】

ピッ

【金髪のお姉さん】

司会のお姉さん「お、せっかくだし、この人質のお姉さんのお友達から選ぼうかな? じゃあ、【金髪のお姉さん】! ステージまでお願いします!」

692: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/29(土) 21:22:58.04 ID:CLIv3Ac1
愛「お、愛さんだね! 愛さんが『コラ』ッて『懲ら』しめてあげよう!」

 侑ちゃんの爆笑をBGMに、子供たちに手を振りながら愛ちゃんが戦闘員と共にステージに上がってきた。

 ……ヒーローのお助けなのに戦闘員がエスコートするんだね……。

ヒーロー「助力感謝する!」

司会のお姉さん「これで条件が揃ったわ! 皆もステージのヒーローとお姉さんと一緒にせーので必殺技のヒーロービームを放ってね! せーの!」

ヒーロー、愛「「ヒーロービーム!」」

怪人「ぐわぁあああああああああああああああ! クッ、なんというダメージ……! 今日は引きましょう。この雪辱はいつか必ず果たします!」

ヒーロー「正義は勝つ!」

695: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/29(土) 21:52:04.26 ID:CLIv3Ac1
 愛ちゃんはヒーローの方を向き、顔の高さまで手を上げて見せた。その手の上げ方で察したのか、ヒーローはそのまま愛ちゃんとハイタッチをした。

愛ちゃんの顔は嬉しそうだった。

こうして、ヒーローショーは子供たちの拍手で幕を閉じた。

せつ菜「熱かったですね! 愛さんうらやましいです!」

愛「いやー、楽しかった! 子供たちがヒーローごっこする気持ちが少しわかっちゃった!」

侑「いいなぁ、ヒーローかっこよかったし、私も見てみようかな?」

 うん、ヒーローショーは皆にも好評だったみたい。

 次はどのアトラクションに行こうかな?

【ジェットコースター】
【観覧車】
【おばけやしき】
【コーヒーカップ】
【バンジージャンプ】

ピッ

【コーヒーカップ】

703: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/30(日) 22:07:11.24 ID:tSVF5XU4
歩夢「コーヒーカップとか、どう?」

愛「いいねいいね! 愛さん結構好きなんだ」

せつ菜「では、行きましょう」

【コーヒーカップ乗り場】

歩夢「誰と乗ろうかな?」

【愛ちゃん】
【せつ菜ちゃん】
【侑ちゃん】

ピッ

【愛ちゃん】

歩夢「愛ちゃん、一緒に乗らない?」

愛「愛さんを御指名とは、歩夢お目が高いね! ぐるぐる回しちゃうよ!」

704: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/30(日) 22:18:26.16 ID:tSVF5XU4
侑「あーあ、歩夢に振られた~」

せつ菜「侑さんは私とですね! 愛さんに負けないくらい回しちゃいますよー!」

係員「次のお客様、どうぞ~!」

愛「さあさあ、乗ろうか。歩夢、少し段差になってるから、気を付けてね」

 そう言って、先に乗って私に手を差し出す愛ちゃん。

歩夢「ありがとう」

 私はその手を取って愛ちゃんの向かいへと座った。

愛「ガンガン回しちゃうから、きつかったら言ってね!」

【お手柔らかにお願いします】
【はーい。カップだけにね】
【酔っちゃうから回さないで!】

706: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/30(日) 22:30:37.04 ID:tSVF5XU4
【はーい。カップだけにね】

愛「あははははは! なるほどね、単位かぁ! よーし、いっぱい(一杯)回しちゃうぞ!」

 やった、愛ちゃんにウケた。

 因みに隣のカップでは侑ちゃんが爆笑して咽たのでせつ菜ちゃんに背中擦ってもらってた。

係員「それでは出発しま~す」

愛「そーれぃ!」

 愛ちゃんは掛け声とともに勢いよくハンドルを回し始めた。

 それに合わせて、カップもどんどん回転速度が増してゆく。

愛「どう、歩夢。平気?」

708: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/30(日) 22:42:47.18 ID:tSVF5XU4
愛「OK! じゃあ、バイプッシュだー!」

 愛ちゃんは笑みをうかべ、さらに勢いよくカップを回した。

…………
………
……


愛「あ~、楽しかった」

せつ菜「愛さん、すごい回してましたね。歩夢さん、大丈夫ですか?」

歩夢「私は大丈夫だよ。寧ろ、侑ちゃんが平気?」

侑「うん、大丈夫~……」グッタリ

せつ菜「すみません……私も楽しくてついつい回しすぎてしまって……」

侑「私も途中まで調子乗っちゃったから……」

709: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/30(日) 22:55:35.04 ID:tSVF5XU4
愛「まったく、ゆうゆもだらしな――――――」

 揶揄うように言った愛ちゃんが侑ちゃんに近付こうとしたが、ふらついて、私の方に倒れてきた。

 とっさにそれを支えた私に、愛ちゃんが礼を言う。

愛「ありがとう、歩夢。あれ? 愛さんも調子乗っちゃったかな?」

 少し恥ずかしそうに言う愛ちゃんに、私は首を横に振る。

歩夢「私でよければまた支えるから、楽しそうな愛ちゃんをもっと見せて欲しいな」

 私がこっそり言うと、愛ちゃんは顔を赤くした。

愛「……よくそんな恥ずかしいこと平然と……」

 何か変なこと言ったかな?

 その後、少し休んでから次のアトラクションに行くことになった。

 愛ちゃんと少し仲良くなれたような気がした。

711: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/30(日) 23:28:50.99 ID:tSVF5XU4
次はどのアトラクションに行こうかな?

【観覧車】
【おばけやしき】
【コーヒーカップ】
【バンジージャンプ】

ピッ

【観覧車】

ピッ

【スキップ】

リアル―――――――――――――

歩夢「あとは観覧車に乗って、スチル回収して終了だね」

璃奈「翌日に休日練習の強制イベントが入るまでがここまでの一連の流れ」

璃奈「ちなみにここまでのダジャレは全て愛さん監修」

歩夢「知ってる……聞いたことあるのばかりだもん。……あと言ったことあるのも……」ボソッ

712: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/01/30(日) 23:35:51.06 ID:tSVF5XU4
璃奈「え? 歩夢さん、何か言った?」

歩夢「あ、ううん。なんでもないよ。そう言えば、このイベントって二年生だけだけど、果林さんルートやる場合はどうしたらいいの?」

璃奈「果林さんルートをする場合は、普通に果林さんが来る」

歩夢「え?」

璃奈「正確には、その時好感度が一番高いのが愛さんかせつ菜さんか侑さんなら二年生3人と。果林さんなら三年生3人とでのお出かけになる」

歩夢「あ、変わるんだね」

璃奈「うん。だから大丈夫。果林さんルートもお楽しみに」

歩夢「そうさせてもらうね。あ、強制イベント後に帰宅イベント入った」

璃奈「あ、それ菜々さんの逆床ドンみたいな中間イベント」

歩夢「逆床ドンって……変な言葉作っちゃだめだよ……」

璃奈ちゃんボード『じつはある』スマホミセナガラ

歩夢「あるんだ!」

721: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/02(水) 21:02:59.20 ID:csOsnMnv
ゲーム――――――――――――――
【帰り道】
愛「歩夢!」

歩夢「あ、愛ちゃん!」

愛「愛さんと一緒に帰らない?」

歩夢「うん、一緒に帰ろう」

愛ちゃんと一緒に帰ることになった。

…………
………
……

歩夢「そう言えば、愛ちゃんって他の部活の助っ人しているよね? GWは助っ人ないの?」

愛「あるよ。明日バスケ部の助っ人があるんだ」

歩夢「すごいね、愛ちゃんも同好会あるのにそうやって毎日体動かしてて」

723: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/02(水) 21:17:40.05 ID:csOsnMnv
愛「体動かすの好きだからね! それに、愛さんを頼ってくれるなら、できる限り力になりたいって思ってさ」

歩夢「流石、部室棟のヒーローだね」

 明日かぁ……確か何も予定なかったよね。

【応援行っていいかな?】
【頑張ってね!】

ピッ

【応援行っていいかな?】

愛「え? 来てくれるの?」

歩夢「うん、愛ちゃんさえよければ」

愛「嬉しいよ。よーし、愛さん、明日がんばっちゃうよ!」

 愛ちゃんの試合を見に行く約束をした。

724: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/02(水) 21:22:31.26 ID:csOsnMnv
【次の日 総合体育館】

愛「歩夢、来てくれたんだ!」

歩夢「約束したから。もうすぐ試合かな?」

愛「うん。アタシもさっそく試合出るから、応援よろしくね」

愛「あ、もし愛さん活躍したら、何かご褒美頂戴? 歩夢が何かしてくれるなら、もっとやる気でそう」

 ご褒美かぁ。

【考えておくね】
【ジュース一本でどう?】
【愛ちゃん活躍するに決まってるからなしです】

………

…………

ピッ

【考えておくね】

726: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/02(水) 21:28:43.36 ID:csOsnMnv
愛「言ったね? その言葉、忘れないでよ?」

「愛~! そろそろ試合だからおねが~い」

愛「はいは~い! じゃあ歩夢、行ってくるね」

歩夢「うん、頑張ってね!」

 その後、私も客席に移り、愛ちゃんの応援をした。

【試合後】

愛「いや~、勝った勝った!」

歩夢「大活躍だったね。かっこよかったよ」

愛「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいな。けど、いつもより活躍できた気がするよ。歩夢は勝利の女神様かもね。なんて」

歩夢「もう、愛ちゃんったらそんな調子いいこと言って。ご褒美期待してるんでしょ? 何も考えてないなぁ……何がいい?」

愛「え、本当にくれるの?」

728: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/02(水) 21:34:07.25 ID:csOsnMnv
歩夢「うん、愛ちゃん本当に大活躍してたもん」

愛「やった! じゃあ、えっと……あれ? 愛さんなんでこんなこと……」

愛「歩夢のこと、勝利の女神なんて言ったから……? 愛さん、もしかしてムッツリだった?」ボソリ

歩夢「ん? 愛ちゃん?」

 愛ちゃんがブツブツと何かを言っているが、上手く聞き取れなかったので呼びかけると、少し顔を赤くし、慌てたそぶりをした。

愛「いや、ほら、試合頑張ったらの喉からからでさ。そうだ。ご褒美はソーダにしよう!」

 なんちゃってとお道化た愛ちゃんに、私はクスリと笑みを零す。

歩夢「なんだ、そうだったんだね。わかった、買ってくるね」

 私はそう言って、その場を離れた。

 ジュースを買って戻ると、愛ちゃんはいつも通りだった。

735: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/04(金) 21:55:07.10 ID:QUqpKXAR
リアル――――――――――
璃奈(中間イベントの感想を聞いたけど、歩夢さんはノーコメントを貫いた、残念)

歩夢「うーん……どうしたんだろう……」

璃奈「どうしたの? 歩夢さん」

歩夢「GWの中間イベントが終わって、夏に向けて好感度上げようと思ってるんだけど……」

画面『歩夢さん、よければ一緒に帰りませんか?』

璃奈「さっきからせつ菜さんの出現率が増えてるね」

歩夢「そうなの。侑ちゃんに確認したら愛ちゃんほどじゃないにしろ好感度もすっごく上がってたし……」

璃奈「……知りたい?」

歩夢「うん。せつ菜ちゃんとデートしたわけじゃないからちょっと気になるな。教えて、璃奈ちゃん」

736: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/04(金) 22:19:19.32 ID:QUqpKXAR
璃奈「結論から言うと、パラ萌されてる」

歩夢「……ぱらもえ?」

璃奈「うん。簡単に言うと、パラメーターによる好感度バフ」

歩夢「えっと……つまり、【学力】と【魅力】のステータスが高いからせつ菜ちゃんにも好かれだしてるってこと? 【学力】はともかく、私の【魅力】値、そんな上がってる?」

璃奈「うん。因みに原因は二つ。一つ目が、侑さんとのデート頻度」

歩夢「え? 関係あるの?」

璃奈「厳密には、デートだけなら問題ない。けど、歩夢さん、最初に買った眼鏡をはじめ、侑さんの勧めで愛さんの必要ステータスに加えて【魅力】も上がるアイテム買ってるから」

歩夢「あ、確かに……けど、アイテムも高いから数は買ってないよ?」

璃奈「お値段するだけあって、一個一個の性能をそれなりに高くしてる。歩夢さんのプレイを見てると下方修正必要だけど」

歩夢「うーん。私も、もう少しアイテムを厳選すればよかったんだね」

738: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/04(金) 22:51:45.71 ID:QUqpKXAR
璃奈「そして、二つ目。歩夢さんは効率重視でパフォーマンストレーニングをやっているけど、実はそれは私たち開発陣からの罠。全てのステータスが普通のレッスンよりアップするからこればかりやりたくなるのはわかるけど、この練習で一番数値が上がるのは【魅力】」璃奈ちゃんボード『してやったり』

歩夢「それは菜々ちゃんルートの時にも聞いてたけど、そんなに上がっちゃってたんだ……まだ二周目だからステータスの加減がわからないなぁ……」

璃奈「見事に私たちの術中にハマってくれて嬉しい」璃奈ちゃんボード『にやり』

歩夢「菜々ちゃん、せつ菜ちゃんルートは序盤に苦戦して、愛ちゃんルートはステータス管理しないとせつ菜ちゃんと【学力】が被ってるから、トライアングラー……。そっか、菜々ちゃんルートでは【ダンス】の上昇値が抑えられてたから愛ちゃんの好感度の上昇値が少なかったけど、今は【学力】、【魅力】両方上がってるからせつ菜ちゃんの好感度の上昇値が多いんだね」

璃奈「流石歩夢さん。理解が早い。……あ、せつ菜さんの中間イベント入った」

歩夢「うそぉ!」

745: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/06(日) 03:23:33.43 ID:/X0HiNCK
ゲーム―――――――――――
【昼休み 屋上】
 今日は侑ちゃんも愛ちゃんも一緒にお昼を食べれないらしく、せつ菜ちゃんと2人でお昼ご飯を食べていた。

いい天気で気持ちいけど、……体が少しだるい……。

せつ菜「歩夢さん、どうしたのですか?」

歩夢「せつ菜ちゃん……なんだか少しだるくて……」

せつ菜「少し顔も赤いですね」

歩夢「え? うーん……体がほてってるとかはないはずなんだけど……」

せつ菜「大丈夫ですか? その他に具合が悪いとかは……」

歩夢「ううん、大丈夫」

 せつ菜ちゃんを心配かけまいと、笑顔を見せたが、それは逆効果だったらしく、せつ菜ちゃんは私に顔を近付けてきた。

せつ菜「失礼します」

746: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/06(日) 03:42:50.01 ID:/X0HiNCK
 目の前に近付いてきたせつ菜ちゃんの顔。

 私のおでこにコツン、とせつ菜ちゃんのおでこが触れた。

せつ菜「熱は――――――ないみたいですが……」

歩夢「せつ菜ちゃん、周りに人が―――――――」

せつ菜「そんなことより、歩夢さんの体調です。……歩夢さんはとっても頑張り屋さんなので、無理をしているのではないかと心配です。私も大好きなこととなるとついつい夢中になってしまいますが……休むのも、大事ですよ」

歩夢「……ありがとう。せつ菜ちゃん。ごめんね、心配かけて」

せつ菜「心配させてください。歩夢さんが元気じゃないと、私も元気がなくなってしまいます」

歩夢「ふふ、それは困っちゃう。私だって、せつ菜ちゃんから元気貰ってるんだよ。だから。せつ菜ちゃんの笑顔のためにちゃんと休むね」

747: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/06(日) 03:44:31.90 ID:/X0HiNCK
 今度は、ちゃんと微笑むことができたと思う。

 私がそう言うと、さっとせつ菜ちゃんの顔が離れた。

せつ菜「ズルいです、歩夢さん……そんなセリフ、言われたらときめいちゃうじゃないですか……」ボソリ

歩夢「え? 何か言った?」

せつ菜「何でもありません。では、歩夢さん。今日はしっかり休んで、明日、元気な姿を見せてください。保健室まで御送りします。周りの人にも見られてるので、早く行きましょう」

 せつ菜ちゃんはそう言って、私の手を引くのだった。校舎に戻っていく私たちを、複数人の生徒たちが見つめていたのでした。

 次の日、昇降口で菜々ちゃんに会った時に、私は笑顔でおはようと言うのでした。

755: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/08(火) 00:16:26.66 ID:z0u/WlkN
リアル―――――――――――
歩夢「……もう何も言わない……」

璃奈ちゃんボード『え~』

歩夢「……イベントには何も言わないけど……せつ菜ちゃん状態でイベントなんだね」

璃奈「うん。デフォルトだと、基本せつ菜さん」

歩夢「そうだったんだ。確かに、スクールアイドルしてるのはせつ菜ちゃんって考えるとそれが自然だもんね」

璃奈「うん。だから、デートしないで好感度が上がった場合のイベントは全部せつ菜さん」

歩夢「そう言う意味じゃスチルの回収もできていいけど……これ本当にどうしよう……せつ菜ちゃんの好感度上がりすぎてるなら愛ちゃんの好感度も上げなきゃ……ねえ、これ修羅場エンドとかないよね?」

璃奈「……」璃奈ちゃんボード『ふふふ』

歩夢「え、怖い怖い怖い」

757: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/08(火) 00:53:34.42 ID:z0u/WlkN
璃奈「冗談は置いといて、歩夢さんが考えるようなエンディングはない」

璃奈(案としてあったのは内緒)

歩夢「そうなんだね、良かった……。けど、今回は愛ちゃんルートで行くって決めたから困ったなぁ」

璃奈「まだ夏まで時間あるし、練習を切り替えればOK」璃奈ちゃんボード『b』

歩夢「それだけで平気なものなの?」

璃奈「うん。愛さんの好感度低いわけじゃないから、練習切り替えるだけで自動的にせつ菜さんの好感度の上昇値以上になる」

歩夢「そっか。じゃあ、ダンスレッスンに戻ろうかな?」

璃奈「それがいい」

歩夢「……本当に無いんだよね……?」

璃奈「ない。安心して」璃奈ちゃんボード『汗』

770: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/13(日) 04:00:50.05 ID:OxNWRpsK
ゲーム―――――――――――
【土曜日 バイト】
歩夢「いらっしゃいませ~。二名様ですね。こちらのお席へどうぞ~」

 今日はバイト。

 愛ちゃんと一緒に、がっつり頑張っちゃうよ。

愛「はいは~い。愛さん特製最強もんじゃ、お待ち!」

お客1「愛さんの特製もんじゃ好き」

お客2「愛さんのもんじゃ、本当に美味しいです」

愛「ありがとー」

 今日は休日ということもあり、お客さんがたくさん来ていて、私も愛ちゃんも店内を忙しく動き回っていた。

歩夢「ありがとうございました~」

愛「歩夢、ごめん。前通るね」

歩夢「あ、うん」

771: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/13(日) 04:02:31.46 ID:OxNWRpsK
 狭い席の間を、おしぼりを持った愛ちゃんとすれ違う。

お客3「それでですね、その時に――――――」

 ドンッ

愛「あっ」

 私の前を通り過ぎようとした愛ちゃんの背にお客さんの手が当たり、こちらに倒れてきた。

 愛ちゃんは私の背後にある壁に手を着くことで、衝突するのを免れた。

 私の視界は、愛ちゃんの顔で覆われる。

お客3「あ、ごめん愛ちゃん」

愛「平気平気。歩夢、大丈夫――――――」

 愛ちゃんの目と、私の目がバチリと合った。

 愛ちゃんはバッと私から離れ、ごめんと謝って、厨房へと戻って行った。

 耳が赤かったけど、お客さん多いし、動き回って熱くなっちゃったのかな?

777: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/14(月) 22:39:18.35 ID:s8whUuX6
【イベント発生(月) 放課後】

歩夢「今日も疲れたな……あ! 愛ちゃん」

 どうしようかな?

【お茶に誘う】
【一緒に帰る】
【声をかけずに帰る】

ピッ

【一緒に帰る】

歩夢「愛ちゃん!」

愛「お、歩夢! おつかれー!」

歩夢「うん。ねえ、愛ちゃん。良ければ一緒に帰らない?」

愛「いいね、一緒に帰ろう。カエルが鳴くから帰ろう」

歩夢「ふふ、じゃあ帰ろうか」

 愛ちゃんと一緒に帰ることになった。

778: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/14(月) 22:46:42.10 ID:s8whUuX6
【帰り道】

愛「そうだね。あ、これもせっつーが言ってたんだけど、なんか伝説もあるんだって。その教会で学園作った人が運命の人と再開して結ばれたんだってさ。だから、そこで好きな人に告白をすると永遠に結ばれる……だったかな」

歩夢「教会? ニジガクにそんなのあったっけ?」

愛「歩夢も知らないかぁ。アタシもせっつーに聞いてね。もう使われてないから誰も入れないようになってるらしいし、知らないのも無理はないらしいよ」

歩夢「そうなんだね、教会かぁ……けど、何で使われなくなっちゃったの?」

愛「せっつー曰く、設立当時の留学生のために作られたんだってー。お祈り用かな? 近くに大きな教会できたから使われなくなったみたいだけど」

歩夢「確かに、簡単に校内に関係ない人を入れるわけにはいかないもんね。じゃあ、そこまで大きな教会ってわけではないの?」

愛「じゃないかな?」

歩夢「教会かぁ、どんな感じなんだろう。少し気になるね」

愛「そうだね。あ、これもせっつーが言ってたんだけど、なんか伝説もあるんだって。学園作った人が運命の人と結ばれたんだってさ。だから、そこで好きな人に告白をすると永遠に結ばれる……だったかな」

歩夢「へぇ、ロマンチックなお話だね」

愛「ニジガク、結構こういう伝説あるらしいよ? 最近だと、妖怪ダジャレ女ってのが出るらしくて――――――」

歩夢「それって愛ちゃんのことだよね……?」

愛「おっと、バレた。バレンタインデーだけに」

歩夢「関係ないよ……」

 そのまま愛ちゃんとしゃべりながら帰った。

785: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/16(水) 22:30:49.19 ID:k7LynySy
【日曜日 デート】

【公園 入口】

愛「歩夢、お待たせ」

歩夢「ううん、私も今来たところだよ」

 今日は愛ちゃんとバトミントンをする約束をして公園まで来た。

愛「あ、歩夢。今日の服装、イイ感じだね! 動きやすそうで、愛さん好きだよ」

 やった、愛ちゃんに服装を褒められた。

愛「じゃあ、行こうか。道具は持ってきたからさ」

歩夢「ありがとう」

【移動】

786: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/16(水) 22:42:46.54 ID:k7LynySy
【公園】

愛「あ、かすみんのコッペパン屋さんだ」

かすみ「歩夢先輩、愛先輩、いらっしゃいませ~! かすみんに会いに来てくれたんですか?」

歩夢「こんにちは」

愛「やっほー、かすみん。せっかくだし、おやつに一つ頂こうかな? 歩夢は何がいい? 奢るよ?」

歩夢「ありがとう、御馳走になるね」

かすみ「ありがとうございます! どれにしますか?」

【かすみん特製チーズコッペパン(ダンス)】
【かすみん特製ハニーコッペパン(歌唱力)】
【かすみん特製野菜コッペパン(魅力)】
【かすみん特製ベリーコッペパン(学力)】

ピッ

【かすみん特製チーズコッペパン(ダンス)】

787: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/16(水) 22:49:32.66 ID:k7LynySy
愛「お、愛さんと一緒だ。かすかす、それ二つね!」

かすみ「かすかすじゃなくてかすみんです! お買い上げありがとうございます~」

愛「じゃあ、運動した後に食べようか」

歩夢「うん。じゃあ、かすみちゃん。またね」

かすみ「はーい。またかすみんに会いに来てくださいね~」

【移動】

【広場】

愛「じゃあ、遊ぼうか。はい、ラケット」

歩夢「ありがとう」

愛「じゃあ、いくよ~! そ~れ!」ポーン

 暫く打ち合い、体があったまってくると、愛ちゃんが一つ提案してきた。

788: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/16(水) 23:08:03.56 ID:k7LynySy
愛「歩夢、一勝負しない? ハンデつけるからさ」

歩夢「え? 勝負?」

【受けて立つよ】
【勝てる気がしません】
【ダジャレ攻めすればいい?】

ピッ

【ダジャレ攻めすればいい?】

愛「あ、降参するね」

歩夢「早い早い早い」

愛「愛さんダジャレ攻めされると笑っちゃうもん。ダジャレを言うのは誰じゃッてね! あははははは!」

歩夢「ははは……」

 この後頑張ってダジャレ言ってたら勝てた。

790: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/16(水) 23:16:36.81 ID:k7LynySy
愛「あーたくさん遊んだ。けど、もう少し遊びたいな。歩夢、もう少し遊ばない?」

【もう少し遊ぶ】
【帰る】

ピッ

【もう少し遊ぶ】

愛「いいね! じゃあ、アミューズメント施設行かない?」

【移動】

【アミューズメント施設】

愛「歩夢、何をして遊ぶ?」

ピッ

【ダーツ】

愛「いいね、行こうか」

【移動】

791: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/16(水) 23:24:49.95 ID:k7LynySy
愛「さー、今日も張り切って投げるよ! 1、2、3、ダーッ! なんちゃって」

 愛ちゃんが楽しそうで何より。

愛「さあさあ、さっそく遊んでこうか」

【やっぱりダーツってかっこいいね】
【マイダーツ買っちゃおうかな(価格:所持金の1/4)】
【ダーッと投げる。ダーツだけに】

ピッ

【マイダーツ買っちゃおうかな】

歩夢「愛ちゃんと来てたらダーツハマっちゃった。マイダーツ、買っちゃおうかな」

愛「お、いいじゃんいいじゃん! ハウスダーツ(貸し出し用)とやっぱりだいぶ違うし、自分の持つと、上手くなりたいなーってなるよ」

歩夢「そうなんだ。おすすめのってある?」

愛「あ~、実はアタシも詳しくはないからさ。一緒に歩夢が投げやすい奴店員さんに見繕ってもらおうか。店員さ~ん!」

 この後丁寧にダーツについて説明してもらった。

792: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/16(水) 23:36:04.32 ID:k7LynySy
 【マイダーツ】を手に入れた。

 暫く投げた後――――――

愛「歩夢もだんだん慣れて来たね~。投げる姿、かっこいいよ」

【優秀な先生がいるからかな?】
【愛ちゃんの方がかっこいいよ】
【今なら愛ちゃんにも勝てるかな?】

ピッ

【愛ちゃんの方がかっこいいよ】

歩夢「愛ちゃんの方がかっこいいよ」

愛「嬉しいこと言ってくれるね。けど、リップサービスで勝ちを譲るほど、愛さんは甘くないよ」

歩夢「本当にかっこいいって思ったんだよ。ダーツ投げる姿とか、きりっとした横顔とか」

愛「……本当に恥ずかしげなく褒めるよね……」

 愛ちゃんはふいと顔を反らした。

 フロアが少し暗かったので見にくかったけど、少し顔が赤かった気がした。

 この後たくさん愛ちゃんと遊んだ。

794: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/16(水) 23:42:13.64 ID:k7LynySy
愛「もうこんな時間かぁ。歩夢、送ってくよ」

 愛ちゃんが送ってくれることになった。

【帰り道】

愛「あ~あ、帰るのがもったいないなぁ」

 せっかくだから、何か聞いてみようかな?

【スポーツだと何が一番好きなの?】
【スクールアイドル始めたきっかけは?】
【恋愛について】

ピッ

【恋愛について】

愛「恋愛について……かぁ……。愛さん、そう言う経験ないんだよね……。だから難しいなぁ……」

795: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/16(水) 23:45:37.30 ID:k7LynySy
歩夢「難しいんだね」

愛「うん。まあ、今の愛さんは――――――」

愛「駄目だぁ。少し考えさせて」

 話していたら、あっという間に自宅の前に着いた。

愛「歩夢、今日は楽しかったよ。また遊ぼうね!」

【自宅】

歩夢「あ、愛ちゃんからメッセージだ」

愛『歩夢、今日は楽しかったよ! またデートしようね! 恋愛については少し考えてみるね』

 よかった。愛ちゃんも楽しんでくれたみたい。

 愛ちゃんと少し仲良くなれた気がした。

802: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/19(土) 21:14:14.11 ID:SrIluKpY
【発生イベント(月) 練習後】

歩夢「今日も疲れたな……あ! 愛ちゃん」

 どうしようかな?

【お茶に誘う】
【一緒に帰る】
【声をかけずに帰る】

ピッ

【お茶に誘う】

歩夢「愛ちゃん!」

愛「歩夢! お疲れ~。歩夢も今帰り?」

歩夢「うん。ねえ、愛ちゃん。良ければお茶して帰らない?」

803: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/19(土) 21:39:01.95 ID:SrIluKpY
愛「あ~……ごめん。愛さんこの後用事あるんだ……」

歩夢「そうなんだ……」

愛「また誘ってよ。その時は愛さんおすすめのお茶屋さんに連れてくからさ」

歩夢「うん。楽しみにしてるね」

愛「じゃあ、また明日ね?」

 愛ちゃんにお誘いを断られちゃった。

 今日はこのまま帰ろう。

811: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/20(日) 03:17:38.63 ID:+LkKWl3W
 

【発生イベント(水) 休み時間】
愛「歩夢!」

歩夢「あ、愛ちゃん!」

愛「探してたんだ~、見つかってよかった」

歩夢「え? 何か用事?」

愛「再来週の土曜日、バスケ部の助っ人なんだ。よかったら試合見に来てくれない?」

歩夢「試合?」

愛「うん。歩夢が見ててくれると調子いいからさ。どうかな?」

 どうしよう。

【行く】
【その日は用事が……】

ピッ

【行く】

歩夢「うん、絶対に応援に行くね」

愛「やった! ありがとー歩夢! また後で詳しい予定送るからさ」

歩夢「私も楽しみにしてるね」

 愛ちゃんの応援に行く(デートの)約束をした。

806: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/19(土) 22:07:19.25 ID:SrIluKpY
リアル――――――――――――
歩夢「放課後デートのお誘いは断られちゃったけど、また休日にダーツデートして……気付けばもう7月かぁ。約束した応援が最終デートで、その後に合宿かな?」

璃奈「うん、基本的な流れは菜々さんルートと同じ。好感度によっては多少前後するけど」

歩夢「じゃあ、あとは最終デートで【恋愛について】のお返事を聞いてから合宿、SIFなんだね」

画面『彼方「占い結果が出たよ! 先生曰く、学力、ばっちりOK! ダンス、ばっちりOK! だってさ~。今週は学力が上がりやすいみたいだよ」』

歩夢「ステータスもOKだね。……あ、洋服50%オフクーポン貰っちゃった」

璃奈「アイテムくれるかもランダムだから……。それはせつ菜さんルートやる時に活用して欲しい」

歩夢「うん、ありがたく使わせてもらうね。あとは、侑ちゃんで好感度確認……うん。これも大丈夫そう。このまま侑ちゃんとお買い物デートして……ふふ、もう、侑ちゃんったら毎回私にお洋服とか勧めてくれるんだから……これも買っちゃおう」ピッ

璃奈(侑さんのおすすめアイテム購入イベントも実はランダム発生のはずなんだけど……流石歩夢さん。今回ナンパ師にも出会ってないし……出現率少し上昇させないと)

823: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/26(土) 23:52:20.99 ID:0UC21Dot
ゲーム――――――――――――
【日曜日 総合体育館】

歩夢「愛ちゃん!」

愛「歩夢! 来てくれたんだね!」

歩夢「今回もレギュラー?」

愛「うん。愛さんもこの後の試合出るから、応援よろしくね!」

愛「あ、もし愛さん活躍したら、何かご褒美頂戴? 歩夢が何かしてくれるなら、もっとやる気でそう」

 ご褒美かぁ。

【今回はちゃんと考えておいてね】
【ジュース一本でどう?】
【愛ちゃん活躍するに決まってるからなしです】

ピッ

824: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/26(土) 23:57:47.50 ID:0UC21Dot
【今回はちゃんと考えておいてね】

愛「うん。ちゃんと考えておくよ」

「愛~! そろそろ試合だからおねが~い」

愛「はいは~い! じゃあ歩夢、行ってくるね」

歩夢「うん、頑張ってね!」

 その後、私も客席に移り、愛ちゃんの応援をした。

【試合後】

愛「いや~、勝った勝った!」

歩夢「大活躍だったね。かっこよかったよ」

825: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/27(日) 00:14:26.30 ID:K64ZqMK0
歩夢「もう、愛ちゃんったらそんな調子いいこと言って。……ご褒美、今回はちゃんと考えてる?」

愛「もち! 愛さんに――――――」

 そこまで言って、愛ちゃんは言葉に詰まった。

 そして、顔を赤らめて、

愛「愛さんに、かき氷奢ってほしいな! 愛友の皆が勧めてくれたかき氷屋さんがあってね、ふわふわのかき氷らしいよ?」

歩夢「ふわふわのかき氷? それ私も気になる。うん、一緒に行こう」

愛「よし、決定! じゃあ、愛さん着替えてくるから、ちょっと待っててね」

 私が返事をしたのを確認すると、愛ちゃんはロッカールームへと向かって行った。

愛「うぅ……あんなこと頼もうとしたなんて……愛さん、やっぱりムッツリだった?」ボソリ

 愛ちゃんがブツブツと何かを言っているが、上手く聞き取れなかった。

828: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/27(日) 00:38:02.06 ID:K64ZqMK0
【移動中】

歩夢「そう言えば、愛ちゃん。おやつはかき氷でいいとして、お昼はどうする?」

愛「え? お昼? あ――――――考えてなかったなぁ」

【お昼作ってきたんだ】
【近くのお店に入らない?】

ピッ

【お弁当作ってきたんだ】

歩夢「お弁当作ってきたんだ。天気もいいし、公園で食べない?」

愛「え? 歩夢の手作り? やった! ゆうゆに歩夢の料理美味しいって聞いてて食べたかったんだ」

歩夢「もう、侑ちゃんったら。けど、喜んでくれて嬉しいな」

愛「じゃあ、公園で海でも見ながら食べようよ」

829: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/27(日) 00:53:49.27 ID:K64ZqMK0
【公園】

愛「う~ん! 潮風が気持ちいね! 」

歩夢「お天気もいいね。はい、お弁当」

愛「ありがとう、歩夢。うわぁ、美味しそう」

歩夢「ふふ、じゃあ食べよう」

愛、歩夢「「いただきま~す」」

愛「あ、卵焼き美味しい!」

歩夢「よかった~、自信作なんだ。」

愛「だし巻きいいね。おにぎりに合うよ。唐揚げもおいしい!」

歩夢「愛ちゃん試合の後だから疲れてるかなって思って。たくさん食べてね」

愛「ありがとう歩夢! じゃあ、次は――――――」

831: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/27(日) 01:04:04.87 ID:K64ZqMK0
 この後、しっかりご飯食べて、かき氷もちゃんと堪能しました。

 私に奢ってって言ったのに、かき氷は愛ちゃんがおごってくれた。

歩夢「いいの?」

愛「いいの。歩夢と来れること自体がご褒美だからさ」

 愛ちゃんはそう言って、笑顔で「今日は送ってく」と言って、二人で帰ることになった。

 ……一人じゃ来辛かったのかな? 甘いモノ好きでも可愛いのに。

【帰り道】

愛「ねえ、歩夢。この間質問された【恋愛について】、私なりに考えてみたんだ」

 愛ちゃんはそのままゆっくりと語り始めた。

832: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/27(日) 01:45:44.66 ID:K64ZqMK0
愛「愛さんさ、友達とかはたくさんいたけど、そう言う意味でなんていうか、『特別』っていなかったんだよね。けど――――――」

歩夢「けど?」

愛「最近さ、友達とはなんか違う大切さ? を感じる子がいてさ。その子の前だと、愛さんの代名詞のダジャレとか言えなくなったり、顔が熱くなっちゃったり……胸がどきどきしたり……これが恋なのかなって……」

 愛ちゃんは、「子供っぽいかな?」と照れたように付け足した。

 私は首を横に振った。

歩夢「そんなことないよ。新しい気持ちに出会えるって素敵なことだと思う」

愛「ありがとう、歩夢。たださ……その特別な感情を持った子には愛さんの気持ちまったく気づいてもらえてなくて……」

歩夢「じゃあ、気付いてもらえるように頑張らないとね。私も応援するよ!」

愛「うん! 愛さん頑張るよ! 応援よろしくね」

834: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/27(日) 01:48:24.38 ID:K64ZqMK0
 愛ちゃんは笑顔でそう言って、その後何かをぼそりとつぶやいた。

愛「――――――手ごわいなぁ……」

歩夢「ん? 何か言った?」

愛「ううん、何でもないよ!」

歩夢「そっか、誰のことかなぁ……」

話していたら、あっという間に自宅の前に着いた。

愛「歩夢、今日はありがとう。また一緒に遊ぼうね!」

【自宅】
歩夢「あ、愛ちゃんからメッセージだ」

愛『歩夢、今日は楽しかったよ。またデートしようね!』

 よかった。愛ちゃんも楽しんでくれたみたい。

 愛ちゃんと少し仲良くなれた気がした。

 さあ、明日から合宿だ。頑張るよ!

840: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/27(日) 22:05:34.18 ID:K64ZqMK0
ゲーム―――――――――――――――
【部室】

侑「合宿だぁ!」

ピッ

【SKIP】

【合宿一日目 夕飯作り】

歩夢「箸休めで卵焼きも作ろうかな? えっと、味付けは……」

【甘目】
【だし巻き】

ピッ

【だし巻き】

歩夢「今回はだし巻きにして……よし、できた」

彼方「こっちもできたよぉ」

かすみ「デザートもOKです」

歩夢「皆、ご飯だよ~」

愛「うわぁ~! おいしそ~!」

侑「歩夢の料理は絶品だよ! 彼方さんもお料理上手なのは知ってるし、もうすっごい楽しみ」

841: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/27(日) 22:16:02.40 ID:K64ZqMK0
愛「歩夢は本当に料理上手だよね。お婆ちゃんも褒めてたよ。手際がいいって。カナちゃんもお料理上手だし、本当に楽しみ」

果林「ええ、とってもおいしそうだわ。食べ過ぎないようにしなきゃ」

「「「「「「いただきま~す!!」」」」」」

…………
………
……

侑「おいしかった~! 彼方さん、最高だったよ~」

せつ菜「かすみさんのデザートも最高でした。流石コッペパン屋の看板娘です!」

かすみ「デザートとコッペパン関係ないじゃないですか。けど、ありがとうございます」

 照れているかすみ、可愛いなぁ……。なんて思いながら二人のやり取りを眺めていると、不意に横から袖口を引っ張られた。

愛「歩夢。卵焼き今回もとても美味しかったよ」

歩夢「ふふふ、良かった。前に愛ちゃんがだし巻きの卵焼きをおいしいって言ってくれたの覚えていたの。愛ちゃんのためにこっちの味付けにしてよかった」

愛「……あ、ありがとう……愛さん、すっごく嬉しい……」

 愛ちゃんは少し顔を赤らめながら私にお礼を言った。

 私は少し甘目が好きだけど、愛ちゃんのためにだし巻き作ってよかった。

843: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/27(日) 22:29:51.17 ID:K64ZqMK0
【合宿二日目 午前、パフォーマンス練習】

ピッ

【SKIP】

【合宿三日目 夕方練習後】

侑「皆! 私、おっきなライブをやりたい!」

ピッ

【SKIP】

 大きなライブかぁ……。

 大丈夫かな? 私、まだ普通のライブすらやったことないのに……。

【深夜】

 寝れないなぁ……今日は最終日なのに……。

 時刻は既に、12時を過ぎていた。

 皆は既に眠っているようで、静かな寝息だけが研修室に木霊している。

 このままじゃ眠れる気がしないし、もしかしたら皆を起こしちゃうかもしれない。そう思った私は起き上がって、そのまま皆の眠る研修室から出ることにした。

844: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/27(日) 22:38:03.91 ID:K64ZqMK0
【屋上】

 波の音を聞きながら、深夜だというのに光り輝く東京のビル群をぼーっと見つめる。

「歩夢」

 不意にかけられた声。

 振り向くと、愛ちゃんが立っていた。

歩夢「……どうしたの? 寝ないと、明日に響よ?」

愛「それは歩夢もじゃん? どうしたの?」

歩夢「うん。少し不安になっちゃって……私、まだステージに立ったこともないから。こんな私がステージに立ってもいいのかなって」

愛「なんだ~、そんなことか」

歩夢「むぅ……そんなことって、何度もステージに立っている愛ちゃんには――――――」

愛「愛さんだって、もちろん初めてはあったよ」

歩夢「……ごめんね。変なこと言って」

愛「大丈夫大丈夫。人間不安になっちゃうことだってあるんだから」

845: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/27(日) 22:52:43.41 ID:K64ZqMK0
歩夢「……愛ちゃんの最初のステージはどんな感じだったの?」

愛「愛さんの?」

歩夢「うん」

愛「そうだなぁ……アタシだって不安が全くなかったわけじゃないんだけど……それにワクワクが勝っちゃったなぁ」

歩夢「ワクワクかぁ……愛ちゃんはすごいなぁ。けど、確かに、愛ちゃんのステージっていつも楽しそうで、見てると笑顔になれるもんね」

愛「でしょでしょ? 愛さん毎回一生懸命考えてるんだー。だから、そう言ってもらえるとすっごくうれしい! 皆に笑顔を届けるぞって気持ちでステージに挑むから、ステージで皆の笑顔を見ると、緊張なんて吹き飛んじゃうんだ! 」

愛「愛さんの届けたいものは笑顔だけど、歩夢は届けたいもの、ぶつけたいものってある?」

歩夢「私は……」

846: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/27(日) 22:54:55.60 ID:K64ZqMK0
【強くなれる、変われるんだという思いを届けたい】
【どんな状況でも諦めない心を、希望を皆にも届けたい】
【たくさんのありがとうを皆に届けたい】(選択不可能:ステータス不足)
【わからない】

ピッ

【強くなれる、変われるんだという思いを届けたい】

愛「あるじゃん! 歩夢が届けたい、不安なんかに押しつぶされない思い」

 愛ちゃんはそう言うと、私に近付き、そのまま私の額にキスをした。

愛「今、おまじないしたから大丈夫。愛さんがフォローするから、歩夢さん思いを、歌にのせて思いっきり届けてあげなよ! 愛さんにだって、歩夢の想いはこんなに届いてるよ」

 そう言うと、愛ちゃんは私の顔を見てにっこりと笑みを浮かべた。私もその笑顔につられてつい微笑んでしまう。

歩夢「ありがとう、愛ちゃん。勇気付けてくれて」

愛「アタシがしたくてしただけだから気にしないでよ。お礼はSIFで最高のステージを見せてくれることでいいからさ」

歩夢「うん」

 その後、決意を新たに、私は練習に励んだ。

 そして――――――

848: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/27(日) 23:01:08.62 ID:K64ZqMK0
【SIF 当日】

 今日はSIF、皆とのライブ。そして――――――私にとって初めてのライブ。

愛「歩夢! さあ、行くよ!」

 私は愛ちゃんと同じ会場でスタート。たぶん、侑ちゃんが気を使ってくれたんだと思う。

 私に手を伸ばす愛ちゃんの手を取り、私は大きく頷いた。

歩夢「うん!」

 愛ちゃんに手を引かれ、ステージに上がる。

 観客席には、すでにたくさんのお客さんで溢れ返っていた。

 沢山のお客さんが見守る中、私は愛ちゃんに紹介された。

 そして、簡単な紹介が終わった後に、私もマイクに向かって声を張る。

歩夢「こんにちは、上原歩夢です。早速ですが聞いてください。『Break The System』」

…………
………
……

849: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/27(日) 23:32:32.40 ID:K64ZqMK0
【校内】

 SIFが終わり、この後打ち上げの予定だけど、興奮冷めやらない私は最後までステージの撤収作業をしている侑ちゃんたちが戻ってくるまでの間、校内を散歩していた。

 先ほどまでの歓声が嘘のように、校内は静まり返っている。

 ああ、本当に楽しかったなぁ。

 スクールアイドルになってよかった。

 そんなことを考えながら、歩いていると、不意に窓の外に見慣れない建物が見えた。

 なんだろう、あの建物は?

 何かに導かれるように、私はその小さな建物を目指し、歩き始めるのだった。

【教会】

 建物の前にたどり着いた。

 月明かりに照らされたその建物の屋根には、十字架が立てられていた。

歩夢「ここって、もしかして愛ちゃんが言ってた――――――」

850: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/27(日) 23:39:06.64 ID:K64ZqMK0
 伝説の教会?

 入れるのかな?

 私は教会のドアに手をかけ、引いてみた。

 カギは、かかっていなかった。

 私はそのまま覗き込むように、教会の中に入る。

歩夢「……うわぁ……綺麗……」

 教会の中に入った私の目の前には、綺麗なステンドグラスが月明かりに照らされてキラキラと輝いていた。

 描かれているのは、王子様とお姫様。

 たしか、ここで学園の創始者の方が運命の人と再会して結ばれた。

 運命の人―――――――か。

 ある人の顔が思い浮かんだ。

「歩夢」

851: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/27(日) 23:39:45.92 ID:K64ZqMK0
 背後から、不意に聞こえた声。

 私は振り向いた。

 愛ちゃんが、そこには立っていた。

愛「歩夢」

歩夢「愛ちゃん……」

 私の前まで歩み寄る愛ちゃん。

愛「ここにいたんだね」

歩夢「うん。この建物が気になっちゃって。愛ちゃんは?」

愛「アタシは、ここに来れば歩夢に会える気がして」

歩夢「私に?」

 愛ちゃんは頷いて、少し神妙な面持ちになる。

愛「歩夢、アタシさ……伝えたいことがあるの。聞いて、くれないかな?」

852: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/27(日) 23:50:09.96 ID:K64ZqMK0
歩夢「え? うん」

愛「アタシさ、今さ、すっごくドキドキしてるんだ。歩夢を前にするといつもこう。愛さんが得意なダジャレだって、何にも思いつかなくなっちゃうんだ」

 え? それって、この間言ってた……。じゃあ――――――

歩夢「愛ちゃんがダジャレを言えなくなっちゃう人って、もしかして、私?」

愛「そうだよ。歩夢のこと」

歩夢「そうだったんだ。ってことはつまり……」

 愛ちゃんの好きな人って……

愛「そこから先は、アタシに言わせてよ」

愛「歩夢。アタシさ、歩夢のこと大好きなんだ。愛してる……って、言うべきなんだろうけど、今の愛さんに――――――この気持ちを持ったばかりのアタシに、本当の意味で他の友達に言うみたいに愛してるなんて言えない。だから、恋愛的な大好きを、私に教えて欲しい。これが今、アタシにできる最高の告白」

854: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/28(月) 00:00:58.00 ID:BgdOv+qI
 私は――――――

【頷く】
【キスで答える】
【断る】

ピッ

【キスで答える】

 私は何も答えず、愛ちゃんの唇に、私の唇を合わせた。

 すぐに離れて、愛ちゃんの顔を見ると、顔を真っ赤にして天を仰いだ。

愛「まったくさ……ズルいよ、歩夢。こういうこと、アタシからしたいなって思ってたのに……」

愛「お返し。目、閉じてよ」

 そして、私の顔へ愛ちゃんの顔が近づいてきて――――――

 もう一度私たちの影が重なると同時に、優しい鐘の音が一つ教会に響のだった。

856: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/28(月) 00:22:11.06 ID:BgdOv+qI
【エピローグ】

 あれから、数年の時経った。

 私と愛ちゃんはその後スクールアイドルをしながら順調に交際し、大学を卒業し、社会人となった今もお付き合いをしている。

 交際期間がそろそろ長いので、侑ちゃんは「早く歩夢のウェディングドレス姿が見たい」なんて茶化してくるが、私もまだ社会人一年目が終わったばかりだ。それを着るのは、まだ先の話だろう。

 ちなみに私は今はバイトを通して飲食店の経営に興味を持ったので、某ファミレスチェーン店に入社し、マネージャー候補として働いている。

 そして、今日はお休みで、愛ちゃんと何故かバンジージャンプをしに来ていた。

歩夢「けど、なんでバンジージャンプ?」

愛「いいからいいから! 最初アタシが飛ぶからさ、ここから見ててよ。あ、ちなみにここって日本一高いバンジージャンプ場らしいよ?」

歩夢「そうなんだ……」

私はジャンプ台の上で、ロープを装着する愛ちゃんを見ながら、ちらりと、その隣に建てられた看板を見た。

858: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/28(月) 00:32:24.53 ID:BgdOv+qI
私はジャンプ台の上で、ロープを装着する愛ちゃんを見ながら、ちらりと、その隣に建てられた看板を見た。

愛ちゃんの言っていたことは本当らしく、日本一高いバンジージャンプ台というのは本当らしい。

 私は今まさに飛び降りようとする愛ちゃんを見つめながら、ふと、思い出した。

彼方『プロポーズはどんな場所よりも高い場所から飛び降りながらすると叶う』

 彼方さんの言葉を思い出すと同時に、愛ちゃんが飛び降りた。

 それからすぐに聞こえてきた。

愛「歩夢~! 愛してる! 結婚して!」

 周りの人たちが注目する中、私は真っ赤になった顔を覆った。

 そして――――――

歩夢「占い、当たってたみたい……」

 私は呟き、戻ってきた愛ちゃんに返事の前に文句を言おうと心に誓うのだった。

Fin

860: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/28(月) 00:42:02.76 ID:BgdOv+qI
リアル――――――――――――――――

璃奈「これでテストプレイは2ルート終了。あとはせつ菜さんルートに―――――――」

歩夢「璃奈ちゃん……」

璃奈「は、はい……」璃奈ちゃんボード『ビクッ』

璃奈(歩夢さんの声、すっごい冷たい……)

歩夢「せつ菜ちゃんと愛ちゃん……。ううん、他の部員の皆もかな? この部屋の様子、見てるんでしょ? 呼んでくれない?」

璃奈「な、なんの――――――」璃奈ちゃんボード『目そらし』

歩夢「ゲーム始めたばかりの頃に、璃奈ちゃんが何か言った時に、せつ菜ちゃんの声と愛ちゃんの声が聞こえたよね? あと、お昼休憩した時にエマさんが言ってたよね? 「“菜々ちゃん”を攻略しないと」って」

璃奈「あれは画面を見れば――――――」

863: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/28(月) 00:50:23.10 ID:BgdOv+qI
 
歩夢「画面は侑ちゃんとのデートの後だから菜々ちゃんを攻略中だってわかる要素はなかったよ」

璃奈「あぅ……」

歩夢「音声も聞こえてるのかな? 愛ちゃん、せつ菜ちゃん。ダッシュ……ね?」

璃奈(歩夢さんの声の圧がすごい……)

ダダダダダダダダダダッ

歩夢「あ、来たみたいだね」

ガチャッ

愛、せつ菜「「申し訳ありませんでした!」」(土下座)

歩夢「何に謝ってるの?」ニコニコ

璃奈(歩夢さんの笑顔が怖い)璃奈ちゃんボード『ガクガクブルブル』

愛「あ、いや……一緒に遊んだ時のこととか結構しゃべっちゃったりしたし……」

せつ菜「開発会議で愛さんと張り合って歩夢さんとのデートエピソードを語ってたらシナリオ担当の皆さんに多数採用されまして……」

864: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/28(月) 01:00:32.41 ID:BgdOv+qI
愛「あ、せっつー! デートって!」

せつ菜「いいじゃないですか、デートでも!」

愛「じゃあ、愛さんもデートっていう!」

歩夢「二人とも、そんなことはどうだっていいの!!」

愛、せつ菜「」ビクッ!

歩夢「それより――――――」

せつ菜、愛「」ゴクリ……

歩夢「私って、普段からそんなに勘違いさせるようなこと言ってるかな……////////」カァ

愛(うん?)

せつ菜(え?)

866: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/28(月) 01:10:11.39 ID:BgdOv+qI
愛(せっつー、これって……)チラッ

せつ菜(ええ、チャンスですね。歩夢さんに私たちを意識して頂く……)コクリ

愛(だよねだよね)

せつ菜(はい、そうと決まれば……)

愛「そうだよ! 愛さん、こんなに歩夢のこと『大好き』になっちゃったんだから責任とってもらわないと!」

せつ菜「そうですよ、歩夢さん! 私だって歩夢さんのことを『愛しています』!」

歩夢「あ、あうぅ……」カオマッカ

果林「あら、もう告白が始まってるわ」

エマ「歩夢ちゃん顔真っ赤だねぇ……」

彼方「しかたがないんじゃない? 無意識に同級生二人を落としてたのと、結構恥ずかしいこと言ってたわけだし。彼方ちゃんは嫌いじゃないけど」

867: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/28(月) 01:15:53.55 ID:BgdOv+qI
かすみ「うぅ……かすみんもヒロインやりたかったですぅ……」

しずく「かすみさんは璃奈さんにギャルゲー出してもらって、それのメインヒロインを狙おう」

侑「……ずるい……」

ミア「侑?」

侑「せつ菜ちゃんも愛ちゃんもズルい! 歩夢が可愛いってずっと言い続けてたのは私なのに……最近私だって歩夢とデートできてないのに!」

歩夢「侑ちゃん!?」

栞子「……私だって歩夢さんとデートする適正……ありますよね?」

ランジュ「それを言ったら、歩夢は私の物よ! 全員セットでもいいけどね!」

歩夢「栞子ちゃん!? ランジュちゃん!?」

璃奈「あ、ちなみに栞子ちゃんとランジュさんは追加ルートで攻略対象になる」

歩夢「そんなフラグあった?」

璃奈「間違ってたけど、彼方さんが勧めてた台湾料理屋……これは中華料理屋に直さないと。と、公園のボランティア」

歩夢「あ、あ~! 全く気付かなかった!」

870: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/28(月) 01:22:34.09 ID:BgdOv+qI
果林「で、話を戻すと、歩夢は誰を選ぶの? 私も攻略対象なのだから、私でもいいわよ?」

歩夢「果林さん! 話反らせたと思ったのに! えっと……」

せつ菜「歩夢さん!」

愛「歩夢!」

侑「歩夢!」

果林「歩夢」

栞子「歩夢さん……」

ランジュ「歩夢ぅ!」

歩夢「ひっ……ひっ……////」

歩夢「ヒトリダケナンテ、エラベナイヨォーッ!//////」

871: 名無しで叶える物語(なっとう) 2022/02/28(月) 01:26:58.61 ID:BgdOv+qI
以上です。

最後駆け足になってしまいましたが、約三か月間お付き合いいただき、ありがとうございました。

また書くと思うので、その時はよろしくお願いします。

引用元: 歩夢「恋愛シミュレーションゲーム?」璃奈「名付けて『ときめき! ニジガクメモリアル』」