1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 00:43:45.67 ID:jMd0xdCg0
黒子「こんな所にお人形を捨てるだなんて、一体誰の仕業でしょうか」

通りを歩いていた黒子。彼女は道端に落ちてあった西洋人形を見つけ屈み込む。

黒子「にしても………」

人形「…………………」

黒子「…………………」ボーッ
黒子「何だかとてつもなく魅了されますわね。こんな高そうなお人形を捨てるだなんて」

黒子は人形を抱え上げる。ロングの金髪に青い瞳、ゴスロリにも似たドレスを着込んだその人形は、全長40cmほどと結構大きいサイズだった。

人形『こんにちわ私メアリー! 今日から貴女がお友達ね』

黒子「きゃっ!」


ド サ ッ


思わず黒子は人形を落としてしまった。

引用元: 黒子「あら可愛らしいお人形さんだこと」 人形「………………」 




3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 00:48:18.48 ID:jMd0xdCg0
黒子「ビックリしましたわ」

人形『仲良くしてね。仲良くしてね』

黒子「どうやらあらかじめ音声サンプルを入力した人形らしいですわね」ヒョイ

人形『貴女のお名前は? 私メアリー』

黒子「ふふ、私は白井黒子ですわ。ここで会ったのも何かの縁。連れて帰りましょう」

人形『よろしくねよろしくね』

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 00:53:20.80 ID:jMd0xdCg0
常盤台中学学生寮――。

黒子「ふぅ…ようやくジャッジメントの仕事が終わりましたの」

美琴「ただいまー」

黒子「あ、お姉さま! お帰りなさいまし! もう、遅いではないですか。どこへ行っていたのですか?」

美琴「べ、べべべ別にあんたには関係ないでしょ!」

黒子「チッ、またあの類人猿ですか」

美琴「qwせdrftgyふじこlp;//////////」

黒子「ま、いいですの」

美琴「ん? あれ? あの人形何?」

美琴は机の上に置かれた人形を指差す。

黒子「あれですの?」ダッ

黒子は人形を抱え上げると美琴の前に持ってきた。

黒子「道端に落ちてましたの。可哀想だから拾って持ち帰ってきたんですの」

美琴「落ちてた、って…。随分、高価な人形に見えるんだけどなあ」

黒子「メアリーちゃんと黒子はもうお友達ですの。この子、とっても良い子なんですのよ。ねぇ? メアリーちゃん」

5: 一応ホラー系AA&下品ワード注意 2010/06/26(土) 00:59:34.56 ID:jMd0xdCg0
美琴「へー、意外。あんたもそういう女の子らしいところあるんだ」クス

黒子「失礼ですわね。これでも昔はよくお人形さんを集めていくつかのシリーズをコンプリートしたことありますの」

美琴「そうなんだ」

黒子「抱いてみます?」

美琴「え? あ、それはいいや」

黒子「どうしてです? こんなに可愛いのに」

美琴「んーいや、いいのよ。あんたが抱いてなさい(なんか、触れる気が起こらないのよね)」

黒子「一度ぐらいいいじゃありませんの。ほら」グイグイ

美琴「だから、別にいいって」

黒子「……………………」ジーッ

美琴「な、何よ?」

黒子「そんなに嫌がるなら別に無理して抱く必要はありませんわ。そんなお姉さまとはメアリーちゃんもお友達になりたくないでしょうし」フン

人形「……………………」

美琴「!」ゾクッ
美琴「…わ、分かったわ。ちょっと抱かして? ね?」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 01:04:17.26 ID:jMd0xdCg0
黒子「んーもう! お姉さまったら恥ずかしがり屋さんなんですから♪ はい」

美琴「あ、重いわね結構」

黒子「ほらメアリーちゃん。お姉さまに挨拶はどうしたのですか?」

人形「………………」

黒子「おかしいですわね。この子、音声サンプルが入力して自動で喋るのですが」

美琴「ふーん」

抱えた人形を見つめる美琴。人形は何も喋らず視線だけを彼女に据えている。

美琴「なんか人形にしてはブッサイクね……」ボソッ

人形「…………………」

黒子「はい? 何か仰いました?」

美琴「ん? いや、何でも。じゃ、この子返すわ」

黒子「分かりましたわ」

人形『こんにちわ私メアリー! 今日から貴女がお友達ね』

美琴「きゃっ!」

ド サ ッ

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 01:09:33.67 ID:jMd0xdCg0
黒子「あ!」

突如口を開いた人形に驚き、美琴は人形を落としてしまう。

人形『こんにちわ私メアリー! 今日から貴女がお友達ね』

黒子「な、何てことするんですのお姉さま!? メアリーちゃんはか弱い女の子ですのよ!!!」

そう言って黒子は人形を抱き上げる。

美琴「ご、ごめん。つい驚いちゃって」

黒子「次からは気を付けて下さいまし!!!」

美琴「ごめんって……」

黒子「まあいいですわ。さて、そろそろ就寝時間ですわね。一緒に寝ましょうかメアリーちゃん♪」

美琴「え? 一緒に寝るの?」

黒子「当たり前ですわ。メアリーちゃんは私のお友達ですもの。あ、もしかしてお姉さまもメアリーちゃんと一緒に寝たいとか?」

美琴「そ、そんなわけないでしょ」

黒子「そうですか。では私は眠らせて頂きますわ。お休みなさいませ」

美琴「お、お休み」

そう言うと黒子は人形を抱えてベッドに潜り込んだ。

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 01:16:35.76 ID:jMd0xdCg0
深夜――。

美琴「う、うーん……」

寝返りを打つ美琴。

美琴「…今何時かしら? ふぁーぁ」

ふと彼女は隣のベッドに目を向けた。人形を抱えるように黒子がすやすやと眠っていた。

美琴「まるで子供ね。まさか黒子のこんな姿見るとは思ってなかったわ。まあいいや寝よう」

ボフッと美琴は再び枕に頭をつける。



   ,, - 'i': : : : :゙:'ヽ. ::              :::'' ,, -'':゙:゙:゙゙:':'ヽ-,,
   'ヽ, |': :(●): :| 'ヽ:::            .::'.'/ |: :(●): :| ゙''-,,,,,:
 -=-,,,丶|,,: :'''': :,,リ,-,,,|::::            ://.,,,,,,,|: : :''''' : リ/゙-
゙・ ''゙゙, -・-゙'''''''''゙-=≡_丶           '''',ヾミミ゙゙''''__-'''_彡ヾ'''  ジイイイ.........





美琴「!!!!!!!!」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 01:21:31.58 ID:jMd0xdCg0


  バ  ッ  !


何かに気付いたように美琴が咄嗟に黒子の方に顔を向けた。

美琴「……………っ」

黒子「スヤスヤ……」

美琴「気のせい……よね? 今、人形がこっち向いてた気がしたけど……」

人形「………………」

美琴「疲れてるんだわ。早く寝ようっと」

美琴は今起きたことを忘れるように布団を頭から被った。

人形「…………………」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 01:26:46.87 ID:jMd0xdCg0
翌日・ジャッジメント第177支部――。

初春「で……」

黒子「?」

初春「白井さん、そのお人形さんは何ですか?」

黒子「何と言われましても、メアリーちゃんですが?」

支部に着くやいなや黒子は抱きかかえ持ってきた人形をデスクの上に置いた。

初春「いえ…名前を言われましても」

黒子「何か、人形を持ってきてはいけない規則でもありましたか?」

初春「別にそうじゃないですけど……」

黒子「ならいいじゃありませんの」フン

固法「ま、ちゃんと仕事やってくれるならね」

黒子「分かっていますわ、それぐらい」

初春「…………………」ジーッ

人形「…………………」

初春「(何だろ? このお人形さん見てると気分が欝になってくる…)」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 01:31:25.92 ID:jMd0xdCg0
固法「はいじゃあ休憩タイムね」

黒子「ふぅ、今日はいつもより仕事の量が多いですわね」

固法「文句言わないの」

初春「あ、そう言えば聞きました? 最近この近くに新しいお菓子屋さんができたんですよ」

黒子「あら、それは本当ですの?」

初春「ええ。とても評判らしいです」

黒子「それでは今からちょっと見に行ってみましょうか」

初春「いいですね! 行きましょう行きましょう! 構いませんよね?」

固法「仕方ないわね。だけど代わりに私の分のお菓子も宜しく頼むわね」

初春「はーい! ささ、レッツゴーです!」

黒子「まったく、初春ったら」

2人は支部を出て行く。

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 01:36:28.20 ID:jMd0xdCg0
固法「ふー…まだまだ子供ね」チラッ
固法「特に白井さん。まさかあの歳になって人形遊びの趣味があるとは思わなかったわ」

そう言って固法は黒子のデスクの上に置かれた人形に近付く。

固法「へー……でも結構精巧に出来てるのね」ジーッ

人形「…………………」

固法「まあいいわ。さて、と。白井さんたちどんなお菓子を買ってくるのかしら」

再び席に着く固法。

固法「楽しみね……と、そう言えば本部に電話しなきゃいけないんだったわ」ガタッ

立ち上がり、固法は黒子のデスクの前を通り過ぎ……

固法「………え?」
固法「あら?」

唖然とした顔で彼女は黒子のデスクを見る。
そこにはデスクトップ型のパソコンの側に大きな西洋人形が1体………

固法「……いない?」

黒子のデスクに近付き、固法はキョロキョロと人形を探す。

固法「え? どういうこと? ついさっきまでここに……」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 01:41:32.84 ID:jMd0xdCg0


  ガ   タ  ッ


固法「!?」クルッ


シイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン……………


固法「…………………」
固法「な、なに? 誰かいるの?」


ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ


固法「!!!!」クルッ


シーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン………………………………………


固法「ちょ、ちょっと。白井さん? 初春さん? もしかして私をからかってるの?」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 01:47:08.93 ID:jMd0xdCg0


  ダダダダ………
   

        ダダダダダ                    ピタッ............


                               ダダダダダダダダダダダダダダ

 ガタン!    
         シ

                 ダダダダダダダダ……                ネ


        ピタッ.........

                             ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 01:55:50.56 ID:jMd0xdCg0
固法「………っ」


ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ


誰かの小さな足音が響く。固法の顔が徐々に蒼ざめていく。

固法「…い、いい加減にしなさい! 貴女たち、あまり私を馬鹿にすると…」


ダダダタダ゙ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ


固法「!!」


ダダダタダ゙ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダタダ゙ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ.........


  ガ  タ   ァ ッ  !!


固法「!!!!????」クルッ

グラグラグラグラグラグラグラ

固法「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 02:01:02.78 ID:jMd0xdCg0
    ,lゾ  .〃   .,〃 ./  ,i";;;;;;;;./     ./     ,r'./     .,    ._/;;;;;;;;;;;;;;,,,./ ゛       . _,,-へ.iii
   .〃   ./l   、〃 ,ir / ;;;;;;; /    .,〃    .,ノン′  .,,ir'"  _/丶;;;;;;,ン'″    ,, ;;二二r‐''''、;;;;;;;.
   〃  .,ノ~;/  .,/./ .,ノ/ / ;;;;;;;;;;;;l  .,.. |″    ,i'ン"   ,ii'" .,..-'";;;;;;;;;;;,/゛  _,,,,,__ ,ir!'"       `'''″
  .il″ / ;;;;;/ ,ノ゙''゙,i彡'゙i/'";;;;;;;;;;;;;;;;;゙‐''"./     ,-/'" ,.. ;;/!"._./ ";;;;;;;;;;;.,./ _..-、., />'"゛
. ,i|′ ,/;;;;;;;;l゙./ ;;;;;;";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'|  ,.il!ン''/...-彡'',゙..-'";;;;;;;;;,..;;二―'",,/'!'"
// ./;;;;;;;;;iレ゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; / .,. |/‐ンン'∠゙‐'゙´;;;;;;;;;;;;,i;;iU゙‐'''^゙゙''″         _..i
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21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 02:06:32.91 ID:jMd0xdCg0
初春「ただいまぁ♪ 固法先輩、たくさんお菓子買ってきましたよー」

黒子「遅くなって申し訳ありませんの。随分混んでいまして……ってあら?」

初春「固法先輩? どこですか?」

黒子「おかしいですわね。まさか用事があって帰ったとか?」

初春「でも、コーヒーから湯気が出てますよ。きっとまだ支部の中に………」
初春「!!!!!!!」
初春「きゃああああ!!!」

黒子「初春!? どうしましたの?」ダッ
黒子「!!!!」

初春黒子「固法先輩!!!!」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 02:11:35.09 ID:jMd0xdCg0
病院――。

初春「先生!」

黒子「固法先輩は大丈夫なんですの!?」

カエル医者「大したことはないよ。ちょっとした脳震盪で気絶してるだけだからね?」

初春「よかったー」

黒子「それは安心しましたの」

カエル顔の医者の前で、黒子と初春は安堵の息を吐く。

カエル医者「問題は怪我の原因だね? 頭からちょっと血が流れてたけど、何かがぶつかったのかな?」

初春「たぶん、固法先輩が倒れてた時に、側に小さな花瓶の破片が散乱してましたから、それが原因かと……」

カエル医者「なるほどね? 今度からは高いところに割れやすい物は置いておかないほうがいいよ?」

初春「でも……そんな高い場所に花瓶とか置いてあった覚えがないんですけど……」

黒子「しかし、どの道固法先輩が無事で良かったですの。先生、ありがとうございます」

カエル医者「いやなに。ところでだが……」

黒子「はい?」

カエル医者「その人形は君のかね?」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 02:16:13.73 ID:jMd0xdCg0
カエル医者が黒子の手元を見る。
彼女の胸の中には1体の西洋人形が抱えられていた。

黒子「ええ。メアリーちゃんと言うんですの。可愛いでしょう?」

カエル医者「……そうだね」

黒子「?」

カエル医者「じゃ、僕はもう1度固法くんの様子を見てくるよ」

初春「あ、私も行っていいですか?」

カエル医者「いいよ。君はどうするね?」

黒子「私は固法先輩が起きた時のために、何か元気のつくものを買ってきますわ」

カエル医者「分かった。では行こうか?」

初春「はい」

踵を返し、初春とカエル医者は病室へ向かっていった。

黒子「さて、メアリーちゃん。私たちは売店に向かいましょうか」

人形「…………………」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 02:21:25.30 ID:jMd0xdCg0
黒子「何を買っていってあげましょうかね。メアリーちゃんは何がいいと思いますの?」

人形「…………………」

黒子「なるほど。それは名案ですわね。ではこちらのメロンを…」

上条「あれ? 何やってんだ白井?」

黒子「!?」クルッ

上条「お?」

黒子「あ、貴方は……! どうしてここにいるんですの!?」

上条「どうして、って言われましてもね。上条さんにとったら病院っていうのは第2の家みたいなもんなのです」

黒子「あらそうですの。それは大変ですわね。では私はこれで」

上条「おいおいそれだけかよ。冷てぇなぁ」

黒子「生憎と私、お忙しいので」

上条「そうですかい。って言うか、その人形なんなの? 随分大事に抱えてるけど」

黒子「まあ貴方。お姉さまだけでなく私のメアリーちゃんにまで手を出すおつもりなのですか?」

上条「は? メアリーちゃん? その人形の名前か?」

黒子「そうですわ。メアリーちゃんは私の大事なお友達ですの」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 02:26:09.48 ID:jMd0xdCg0
上条「へぇ…(御坂だけかと思ったが、こいつも意外と子供っぽい趣味あるんだな)」
上条「結構よく出来てんじゃん。ちょっと見せてくれよ」

黒子「あ、貴女にメアリーちゃんを触らせるほど私は愚かではありませんわよ!」

上条「いやぁ別にいいじゃん」

そう言って上条は人形に手を伸ばす。

人形『こんにちわ私メアリー! 今日から貴女がお友達ね』

上条「うお!」ビクッ

人形『仲良くしてね。仲良くしてね』

上条「なんだ、自動で喋る機能がついてんのか」

黒子「なんですのメアリーちゃん。何が言いたいんですの?」

人形「…………………」

黒子「え? この人には触れられたくない?」

上条「はぁ?」

人形「…………………」

黒子「ふむふむ。この方は顔を見てるだけで嫌な気分になると」

上条「???」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 02:32:28.36 ID:jMd0xdCg0
黒子「そうですわね。では私たちは退散するとしましょうか」

上条「いや、ちょっと待て……。何言ってんだお前?」

黒子「触らないで下さいまし! メアリーちゃんが嫌がってますの!!!」

上条から人形を離す黒子。

上条「嫌がってる、って…。お前、そいつと会話でも出来んのかよ?」

黒子「さ、帰りましょうメアリーちゃん。いつまでもこの方の側にいたら危険ですからね」

上条「おいおい」

そう言って黒子は踵を返す。

黒子「ではごめんあそばせ」アッカンベ

上条「」

人形を抱えたまま黒子は去っていった。

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 02:37:26.76 ID:jMd0xdCg0
インデックス「とうまー」

上条「ん? おお、インデックス」

インデックス「もう! どうしてとうまは目を離すといつも女の子と一緒にいるのかな!?」

上条「何かその言い方だと俺が甲斐性なしみたいなんですけど」

インデックス「まあいいや。今更怒っても無駄だもんね。それより……」

上条「?」

インデックス「今のあの子が持ってた人形は何なのかな?」

上条「さぁ? 知らねぇよ。なんか『メアリーちゃん』とかいう名前らしいけど。にしてもあの白井が人形遊びとはなぁ。意外だな。……で、あの人形がどうかしたのか?」

インデックス「うーん……まあ特に何でもないんだけど…(何か嫌な感じがしたはずなんだけど…)」

上条「じゃあそろそろ帰ろうぜ」

インデックス「うん……」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 02:43:47.79 ID:jMd0xdCg0
翌日・佐天の家――。

美琴「でも、固法先輩が無事で良かったわね」

初春「ええ。もう今日にはジャッジメントに復帰してましたから」

黒子「無理しなければいいんですが」

佐天「でも、結局固法先輩の怪我って何が原因だったんですか?」

机の周りに座る4人。
黒子の胸には相変わらず人形が抱えられている。

初春「うーん、多分高いところに置いてあった花瓶が落ちてきて頭に当たったと思うんですけど」

美琴「危ないわね。今度から割れ物は上のほうに置かない方がいいわよ?」

初春「それなんですけど、私の記憶では花瓶はもっと低い位置にあったはずなんですよね」

佐天「誰かがイタズラしたんじゃないの?」

初春「でも、あの時支部にいたのは固法先輩だけだったし」

黒子「メアリーちゃんも支部に残っていましたわよ」

美琴佐天初春「え?」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 02:49:46.09 ID:vPttzO7E0
3人の視線が黒子に注がれる。

黒子「メアリーちゃん、あの時、固法先輩がどうなったか詳しく覚えていますか?」

そう言って黒子は抱えている人形に話しかける。

美琴佐天初春「…………………」

黒子「残念ながら、メアリーちゃんは何も見ていないそうですわ」

美琴「え……あ…そ、そうなの…ふーん…」

初春「そ、それは残念です……ね…」

対応に困る美琴と初春。しかし、

佐天「えっと、白井さん? さっきからそんな古くさい人形なんて抱えて何やってるんですか?」

黒子「…っ!」ギロリ!!!

佐天「!!」

黒子「メアリーちゃんは古くさくなどありません! この子は私のれっきとしたお友達ですの!!」

佐天「え? ええええ!?」

黒子「ごめんなさいねメアリーちゃん。メアリーちゃんはとても可愛らしい女の子ですわよ?」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 02:56:53.51 ID:vPttzO7E0
佐天「えーっと……」

助けを求めるように佐天は美琴と初春に視線を流す。しかし2人とも目を逸らしてしまう。

黒子「謝って下さいまし佐天さん!! メアリーちゃんが泣いてるじゃありませんか!!!」

佐天「な、泣いてる……?」

黒子「佐天さん!!!!!」

佐天「!」ビクゥ

人形「…………………」

佐天「え、あ…その、ごめん……変なこと言っちゃって」

黒子「心が篭っていませんわ!!」

佐天「えー…」

美琴「ちょ、ちょっと黒子…」

初春「も、もういいじゃありませんか」

黒子「いけませんの!!!」

美琴初春「ひっ」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 03:02:37.88 ID:vPttzO7E0
黒子「メアリーちゃんは私のお友達ゆえにとても美しく気高く誇り高く女らしく可愛らしく聡明で知的で人類にとって最高の
遺産であるというのにどうして佐天さんはその価値が分からないんでしょうかっていうかあの類人猿も気安くメアリーちゃん
に触れようとしやがって次見つけたら口の中に金属矢をテレポートしてやりますのああ何て可哀想なメアリーちゃんなんで
しょう黒子はとても胸が痛みますのお姉さまも初春も何故それが理解出来ないのでしょうかどうしてこうメアリーちゃんに
近付く女はここまでガサツで人の気持ちが全く分からないのか私がメアリーちゃんにとって代わっておしおきしてその身に
分からせてやったほうが手っ取り早いような気がしますわああもう何もかもがムカつきますわもうテレポートを使ってそこら
へんの人間どもを片っ端からぶっ倒していかなければ気が済みませんのどいつもこいつも腹が立つような顔しやがってからに
つぅかマジうぜぇしこの女どもそこんとこ分かってんだろうな何がビリビリだよしかも今時ツンデレですかマジ受けるんですけど
でおたくはどうして頭にお花を生やしてるわけどうみてもそれ恥ずかしいからつーか見ててイライラしてくるんだけどぶりっこが
そしてお前はいつも自分のこと無能だ無能だウジウジしやがっててめぇは男どもに自慢の    でも見せてストリップしてろ
ホントメアリーちゃんを理解しようとしないお前らアバ  は死刑に値するんだよクソヤロウがビ  がゲロでもぶちまけてやがれ
●●●くせぇんだよチクショウのフンにも劣るてめぇらは」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 03:08:20.93 ID:oRvFtPek0
佐天「……しらい……さん……?」

黒子「佐天さん」

佐天「は、はい!」

黒子「謝って下さいまし」

佐天「え…あ…ご、ごめんなさい…」

黒子「土下座を忘れてますの」ニッコリ

佐天「え、えええええ!?」

美琴「ちょっと黒子!! あんたいい加減に……」


黒子「 <●> <●> 」ジーッ

人形「 <●> <●> 」ジーッ


美琴「あ…う…」

黒子「佐天さん」

佐天「はい!」

黒子「  ど  げ  ざ  ♪  」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 03:13:21.16 ID:oRvFtPek0
佐天「す、すみませんでした……」

初春「……」ガクガクブルブル

黒子「宜しいですわ」

佐天「………………」

黒子「ん? 何でしょうメアリーちゃん?」

人形「………………」

黒子「まあ、それはそれは。いいことですの」
黒子「お姉さま、初春」

美琴「え?」

初春「……」ガクガクブルブル

黒子「そろそろお暇しましょう」

美琴「な、何で?」

黒子「メアリーちゃんが佐天さんと一緒にいたがってますの」

佐天「えっ」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 03:18:26.31 ID:oRvFtPek0
黒子「はい佐天さん。きっとメアリーちゃんは佐天さんとお友達になりたくて残りたがってるのですわ」

黒子が人形を佐天に渡す。

佐天「ちょ、ちょっと……」

黒子「ではごゆっくり」

佐天「ま、待って……!」

1秒後、黒子は美琴と初春をつれテレポートで消えていた。

佐天「あ………」


シイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン.........


佐天「ひっ!」


ド  シ  ヤ

人形を投げる佐天。

佐天「な……何なのもう………」

人形「………………………」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 03:23:44.16 ID:oRvFtPek0
その夜――。

佐天「う……うーん…」

ベッドで寝返りを打つ佐天。

佐天「ね……寝れない……」
佐天「お、重い………」

ふと、佐天は目を開けてみた。
そこには………

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 03:28:38.25 ID:oRvFtPek0
     |||||||||||||||''|||||||||||||゙|||||゙|||''|||||'゙||||゙||||||||||゙||||||||||||||||||||
     |||||||||||||゙ || |||||||゙||' ||゙ ゙|| '||| ||| ゙|||||||゙ |||||||||||||||||||
     |||||゙||||||゙ || ||||| ||  | || | |'||  ||  ゙||||゙  ||||||||||||||||||
     |||| |||||__,,,|- ||| | '''|/| | | |\,,|''' ||| ,,,,,,||゙||| ||゙゙゙||||||
     ||||/|||゙ ,,,|,,|||--・''''゙゙  ゙  |  |・- |- ,,,,,,|| || ||  ||||||
     |||| ,,|||-'''  | |   ::::::    ,.::::   |   |'''|-| 丿||||
     |||| ''' ゙  ,,,,,,,,,,,   :::::    .:::''         ゙''- |||
     | リ三,, - 'i': : : : :゙:'ヽ. ::   :::'' ,, -'':゙:゙:゙゙:':'ヽ-,, 彡 |||
       'ヽ, |': :(:::::): :| 'ヽ:::  .::'.'/ |: :(:::::): :| ゙''-,,,,,:::|| 
     -=-,,,丶|,,: :'''': :,,リ,-,,,|::::  ://.,,,,,,,|: : :''''' : リ/゙-ヾ 丿
    ゙・ ''゙゙, -・-゙'''''''''゙-=≡_丶 '''',ヾミミ゙゙''''__-'''_彡ヾ'''' /ソ  
    ''|,  ゙       ゙゙,-'''゙   ヽ-     ̄   ゙゙  | ,ノ゙ キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
    ゙ヽ,   ,,,,      //   ,ヽ       .,,,  ,||||||
    ||||i,,  1゙゙,,-ヽ,,,,   ,/゙゙..  :ヽ,     ..,,,,,゙゙゙リ /|||||||
    |||||ヽ ゙'' |ヽ''・,,,','-  ''''ヽ,,-''''゙ ,,,,:/.,,,./:リノ 丿||||||
     :|| |||iゝ   fリt^-'',',,・-..,┬,,,,...--・・,゙゙_ リ//  /||| リノ
       ||||ゝ,,丶\::v || |:∥ -__w ヽリ゙リ゙|j:∥//  /|リ
        ヽヾゝ''ヽヽ::,, --v,∥ :リ,,リ,゙,,,,,::://ノ /リ
          ヾ|ヽ,゙ヽヽ,,   ''|'''_  :::ソ/  /リ
           | ゙ヽ.\゙Vri ri | ∥iヾソノ  / |
           |   \,゙' ,,゙''''''゙゙''''''゙゙/ /   |
           |    \ ゙゙'''''゙゙'''''''゙ /    |
                 ゙'ヽ-----''゙゙

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 03:33:19.45 ID:oRvFtPek0
佐天「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


佐天「はっ!!」

ガバッ!!

佐天「ハッ……ハッ…ハッ…ハッ……ハッ…ハァ…ッ…ハッ……ハッ…ハッッ…ハッ…ハッ…ハッ」


シイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン...............


布団の上を佐天は確認する。

佐天「夢……か……」
佐天「はは……馬鹿みたい……」

ボ フ ッ

佐天「もう一回寝よう」

人形「(●)(●)」ジーッ

と、再び仰向けになった佐天の目に映ったのは、彼女に寄り添うように座る一体の西洋人形だった。

佐天「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

48: >>45変わってませんよ 2010/06/26(土) 03:39:05.46 ID:+nimEBGI0
人形「……………………」

佐天「あ……ゥ……ヒ ャ……ア…ア」

ガ  タ  ン ッ  !!

ベッドから転げ落ちる佐天。

人形「…………」キリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリ

人形の首が佐天の方に向く。

佐天「イヤ……ヤメテ……コナイデ………」


人形「 <●> <●> 」ギョロリ!!!!


佐天「ぎィヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」


ガ  タ  ンンン!!


佐天は勢い余って部屋を飛び出していく。

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 03:47:29.94 ID:+nimEBGI0
常盤台中学女子寮――。

プルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル

美琴「ん……なぁにぃ? ……こんな夜遅くに……」

プルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル

美琴「もう……うるさいわね…」

プルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル

美琴「はい、もしも……」

『御坂さん! 助けて!!』

美琴「……誰?」

『やだ!! 来ないで!!! いやぁぁぁぁ』

美琴「佐天さん?」

ガバッ!

美琴「佐天さんなの!?」

『あたしシが悪かったかネら……もう来ェないでエエェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェエエ』

51: >>50さあ。まだ結構あるかも 2010/06/26(土) 03:53:12.79 ID:+nimEBGI0
美琴「佐天さん!! どうしたの!? 佐天さん!!!」

『追っかシけてくネるの!!』

美琴「何が追っかけてくるの!?」

『いやぁ!! ごめシんなさい!!! もう許してええええネええええええエええ!!』

美琴「佐天さん!!」

『にんぎょ……



ブ
        ッ 
   ツ




53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 03:58:17.28 ID:+nimEBGI0
美琴「佐天さん!?」


ツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツー..................


美琴「佐天……さん………」


















黒子「…………………………」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 04:03:34.46 ID:+nimEBGI0
翌日・病院――。

美琴「佐天さん!!」

初春「大丈夫ですか!?」

ガラッ!!

病室に駆け込んでくる美琴と初春。2人はベッドの上に佐天を見つける。

美琴「佐天さん、昨日一体何があったの!?」

初春「私、佐天さんが病院に運ばれたって聞いてとても心配だったんですよ」

佐天「………あー……」

美琴初春「?」

佐天「………う?………」

美琴「佐天さん?」

美琴と初春の呼びかけも空しく、佐天は空ろな目で虚空を見つめている。

カエル医者「ちょっとした放心状態なんだよ」

ふと、後ろから声を掛けられた。2人が振り返ると、そこにはカエル顔の医者が立っていた。

美琴「先生!」

59: >>54あるよ 2010/06/26(土) 04:08:34.13 ID:+nimEBGI0
初春「佐天さんは、大丈夫なんですか!?」

カエル医者「心配ないよ。すぐに戻るから」

美琴初春「よかったぁ……」

カエル医者「ただ、昨日何があったのか分からなくてね? 通行人から道端で女の子が倒れてるって通報があってすぐに救急車を寄越したんだが、彼女、その時からずっとこんな調子でね」

佐天「おにんぎょうさん!!」

美琴初春「!?」

佐天「えヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘ♪ おにんぎょうさん!! かわいい!! あたしとあそびましょ!」

美琴「にんぎょう……?」

佐天「むふふ。あたしはるいこっていうの! いっしょにあそびましょうね♪」

初春「佐天さん……」

佐天「ふええええええええええええええええん!! いやだあああああああああああああああああ」

美琴初春「!?」

佐天「ああああああああああああああん!! ママぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

カエル医者「………心配ないよ。一時的な症状だから。ね?」

美琴初春「……………はい」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 04:13:31.41 ID:+nimEBGI0
美琴「『呪いの西洋人形?』」

初春「はい、ネットで見かけたらそんな都市伝説を見つけて……」

病室の外で、ヒソヒソと話す美琴と初春。
初春の言葉を聞き、美琴はチラと病室の中の佐天を窺った。

佐天「あははぁ♪ じゃ、こんどはあたしがおかあさんやくね!」

初春が佐天を見ながら説明を続ける。

初春「なんでも、その人形を手にした人の周りで不幸が起きるとか何とか……」

美琴「でも、呪いだなんてそんな非科学的な……」

初春「私もあんまり信じられないんですけど、ネットに書いてあったその人形の外見の特徴が、どうも似てるんです」

美琴「……黒子の…メアリーちゃんに?」

初春「はい……」

美琴「…………………」

初春「なんとか、白井さんから人形を取り上げられませんか? 別に呪いとかを肯定してるわけじゃないですけど、このままだと白井さんも変な風になりそうで……」

美琴「取り上げる、ったって……」

初春「だって、人形を手にしてから白井さん、変になってるじゃありませんか」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 04:18:23.07 ID:+nimEBGI0
美琴「確かに、そうだけど……」

初春「呪いが本当にあるのかどうかは知りませんけど、何らかの心理的作用が白井さんにネガティブに働いているのかもしれません。だとしたら、このまま悪化する可能性が少しでもあるなら、早目に不安の芽は摘んでおくべきです」

美琴「………うん」

初春「最悪の場合、人形を燃やしてでも取り上げるべきです」

美琴「………………」

初春「御坂さん……」

美琴「分かったわ。何とか黒子からあの人形を取り上げてみるわ。でもその前に、一応助っ人も呼んどいたほうがいいわね」

初春「お願いします。私は一度、佐天さんの寮へ行ってみて何かおかしな痕跡は無いか調べてきます」

美琴「ええ、お願い」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 04:23:28.06 ID:+nimEBGI0
美琴と黒子の部屋――。

カーテンも締め切った真っ暗闇の部屋の中、黒子は円形に配置した数本の蝋燭の中心にいた。
その手の中にあるのは、一体の西洋人形だ。

黒子「ヒトォツ……フタァツ……コレデ、ノコリハ、アトヒトツ」

人形「…………………」

黒子「ミッツメニハ、ヒトノタマシイガ、ヒツヨウ………」

人形「…………………」

黒子「ウフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ」

黒子「心配しないでメアリーちゃん。固法先輩の怪我と佐天さんの放心状態で貴女がウゴクためのチカラは手に入れましたわ。でも、残りヒトツ……。タマシイがタリナイ」

人形「…………………」

黒子「お姉さま? メアリーちゃんはお姉さまがキライですのね? お姉さまのようなケガレタタマシイはいらないと? では、ダレがいいんですの?」

人形「…………………」

黒子「分かりましたわ。でもその前にもうすぐお姉さまが帰ってくるはずですの。だから、待ち伏せして……」

人形「…………………」

黒子「そうですわよね。まずはキョウキが必要ですわよね」
黒子「ウフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 04:29:06.30 ID:1Gm9JqNp0
とある公園――。

上条「フフフン♪ フフフン♪ フンフンフーン♪」

美琴「ねぇ、ちょっとあんた」

上条「ゲ、御坂……」

美琴「何そのあからさまに嫌そうな態度」

上条「ちょ、勘弁して下さいよ。上条さん、今から特売セールに行かなきゃならないんすよー」

美琴「その前に、一つ頼みたいことがあるんだけど?」

上条「頼みたいこと?」

美琴「そ。ちょっと最近、黒子が変なのよね」

上条「変?」

美琴「なんっていうか、どこからか拾ってきた人形に夢中なのよ。肌身離さず抱えて……」

上条「別にいいじゃねぇかそんなこと。それより俺は特売セールに……」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 04:34:14.43 ID:1Gm9JqNp0
美琴「でも、その人形に入れ込み過ぎなのよね。まるで人形が生きてるように話すんだもん。それでみんな気味悪がってさー」

上条「そういえば……」

上条は思い出す。病院で黒子と会った時のことを。

美琴「で、黒子が人形手にしてからおかしなことがよく起こるし……」

上条「おかしなこと、ね……(そういやインデックスが、白井の人形見た時、変なこと言ってたな)」

美琴「そういうわけでちょっと協力してほしいんだけど?」

上条「(まさか、魔術関連の何かじゃないだろうな……)」

美琴「ま、嫌なら別にいいけどね。この話は忘れていいわ」

上条「いや」

美琴「ん?」

上条「一応話、聞かせてくれ」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 04:39:13.06 ID:1Gm9JqNp0
その頃、初春は佐天の寮にまで辿り着いていた。

初春「佐天さんに昨夜何があったのか……。調べてみたら分かるかも」

彼女はエレベーターを使い、佐天の部屋がある階に上っていく。

初春「都市伝説のサイトに載ってあった西洋人形……あれを白井さんが手に入れてから、白井さんの周囲で不幸なことばかり起こってる」

やがてエレベーターは件の階に到着する。

初春「そして白井さん自身もおかしくなってる」

初春は佐天の部屋に近付く。

初春「何とかして白井さんを元に戻さないと」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 04:45:18.20 ID:1Gm9JqNp0
常盤台中学学生寮――。

美琴「私たちの部屋は208号室よ」

上条「ああ……」

2人は大きくて静かな廊下を歩く。

美琴「い、言っておくけど、私の部屋に来るからって変なこと考えないでよね!」

上条「(インデックスに電話してみたけど、そういやあいつ今、イギリスに帰ってるんだっけか…)」

美琴「こ、今回は特例よ特例。そこんとこ分かってんでしょうね?」

上条「(クソー…白井の人形っていうのが魔術関連のことじゃなきゃいいんだけど…)」

美琴「ちょっと、聞いてるのあんた?」

上条「ん? え? 何だっけ?」

美琴「……ハァ、もういいわ」

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 04:50:25.92 ID:1Gm9JqNp0
コツコツコツコツ

上条「ん? 何だ?」

美琴「足音……はっ!」

上条「どうした?」

美琴「まずい、寮監だわ! あんた、先行ってて!」

上条「は? 何で?」

美琴「いいから早く行きなさい! そこの角を曲がるのよ!!」

上条「わ、分かったよ。行きゃいいんだろ?」

そう言って上条は角を曲がり走っていく。

寮監「なんだ御坂、今男の声が聞こえたような気がしたが」

美琴「さ、さあ? 気のせいじゃありません? ホホホホホ」

上条「…………(そっか、確か寮内に男は入れないんだっけ?)」
上条「なら、急ごう!」

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 04:56:21.53 ID:wwZ2n/+J0
208号室――。

ガチャッ

上条「あれ? 開いてるのか……」

ドアを開け、上条は部屋の中を見回す。

上条「何だこれ? 暗いなあ。カーテン閉め切ってんじゃん」パチッ

手探りで壁に手をやり、上条は電気を点けてみた。

上条「何だ、白井のやついないじゃんか」
上条「ん?」
上条「あれか。白井の人形ってのは」

奥の机の上に西洋人形を見つけ、上条は近付く。

上条「改めて見てもよく出来てんなぁ。御坂の話じゃ、拾ったものらしいけど。こんな高価なもの捨てる奴もいるもんなんだあ。贅沢者め」

そう言って上条は人形に手を伸ばしてみた。

人形『こんにちわ私メアリー! 今日から貴女がお友達ね』

上条「うわぁっ!!」

ガタガタガターン!!

人形『仲良くしてね。仲良くしてね』

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 05:01:18.39 ID:wwZ2n/+J0
上条「クッソー、びびらせやがって……」

人形『貴女のお名前は? 私、メアリー』

上条「何だよこいつは」

人形『こんにちわ私メアリー! 今日から貴女がお友達ね』

上条「やけにうるさいな。フルパワーの電池50本でも入れてんのか?」

人形『こんにちわ私メアリー! 今日から貴女がお友達ね』

上条「まあいいや、とにかくこの人形を持ち去らないと……」

スッ、と上条は人形に右腕を伸ばした。











黒子「何やってますの?」

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 05:06:22.99 ID:wwZ2n/+J0
上条「!!!!!!!!」ビクウゥゥゥゥゥゥゥゥゥウッ!!!!

振り返る上条。
すると、彼の目を今まさに突き刺さんと、1つの包丁が眼前にまで迫っていた。

上条「!!???」

バッ!


ドスウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!!!


間一髪、上条は回避し、包丁は床に突き刺さった。

上条「白井!!??」

黒子「コンのクソヤロオオがああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

ブンッ!!

上条「うわ!!」

黒子「勝手に人のメアリーちゃんに汚い手で触れようとしてんじゃねぇですわよ!!!!!!!!」

ブンッ!!

上条「やめろ、白井!!」

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 05:11:19.27 ID:wwZ2n/+J0
鬼のような形相で、黒子は上条に向かって包丁を振り回す。

黒子「この蛆虫以下の●●●野郎がああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

上条「待て、落ち着け!! 包丁を下ろせ!!!」


ザシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!


上条「ぐあああっ!!!!」


ド  バ   ッ  !!!


プシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!!


上条の左腕から血が勢いよく飛び散った。

上条「クソッ……馬鹿な真似はやめろ」

黒子「あはははははははははははははは。血! 血ですわ!! 血が吹き出ましたの!!!! あはははははははははははははははははは」

ペ ペ ペ ペ ペ ペ ペ ペ ペ ペ ペ ペ ペ ……

そう言って黒子は包丁についた血を舐める。

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 05:16:24.54 ID:wwZ2n/+J0
黒子「あんっ♪ なかなか意外にも美味ですわぁ。何だか興奮してきましたの…ハァハァ…」

上条「(く、狂ってやがる……)」

黒子「にしてもゴキブリ並になかなかしぶといですわねぇ、このイカレ●●●○○野郎は……」

上条「ハァ……ゼェ……」

黒子「そォォォォだ! いいこと思いつきましたの! この包丁を貴方の心臓にテレポートしたら、一体どうなるんでしょうねぇぇぇぇ??」


ニ  ヤ  ァ


上条「!」ゾクゥッ

黒子「………」ニヤニヤ

上条「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」

飛び出し、黒子に右腕を伸ばす上条。

黒子「そう来ると思ってましたわぁ!!」

ドガッ!!!!!

上条「くぁwせdrftgyふじこlp」

黒子「あらぁ? 殿方に コ コ の刺激はきつ過ぎましたかぁ? あははははははははははははははははははは!!!!!」

88:   2010/06/26(土) 05:21:32.15 ID:wwZ2n/+J0
床に倒れ、上条は●●を押さえながらもがき回る。それを見て黒子はニタニタと楽しそうに笑う。

黒子「さぁて、おねんねの時間ですの♪」

包丁を舐めると、黒子は一気にそれを振り下ろした。

上条「!!??」

ドガッ!!

間一髪、上条は左手で黒子の腕を掴む。

上条「や、やめろぉぉぉ……」

黒子「うるせぇですの!!!! 貴方みたいなブーブーうるせぇ奴は豚とxxxxしてろですの!!!!!」

ブンッ!! ブンッ!!

上条の顔に向かって何度も包丁が振り下ろされようとする。
それを上条は必死に抵抗することによって、紙一重で避けている。

上条「殴るぞ! 殴ってもいいのか!?」

黒子「やれるもんならやってみなさい!!! あははははははははははははははははははははは!!!!!」

上条「くっ、悪いな!」

ドカッ!!

黒子「きゃん!!」

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 05:26:21.41 ID:wwZ2n/+J0
ドサッ

上条に殴られ、黒子はその場に崩れ落ちた。
慌てて上条は立ち上がり、痛む左腕を押さえながら、黒子を見下ろす。
どうやら彼女は気絶したようだった。

上条「ハァ……ハァ………」

黒子「…………………」

上条「ハァ……ゼェ……」

黒子の側に落ちてあった包丁を見つけた上条は、それを取ろうと手を伸ばした。

黒子「 <●> <●> 」ギャン!!!

上条「!!!!????」

黒子「あっはぁ♪ 油断大敵ですのよ♪」

瞬時に包丁を握った黒子が上条に突進する。

上条「クソッ!!」

バンッ!!

美琴「黒子!!!」

その時、部屋の扉が開かれた。

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 05:31:14.49 ID:wwZ2n/+J0
美琴「!!??」

そこで美琴が見たものは、手にした包丁で今にも上条を突き殺そうとする黒子の姿だった。

美琴「やめなさい!!!!」

ビリビリビリッ!!

電撃が飛ばされる。

黒子「!!??」

振り向く黒子。
そして、電撃が彼女に直撃した。

バチバチバチッ!!!

美琴「…………ハァ……ハァ…」
美琴「!!??」

しかし、そこに黒子の姿はなく、ただ上条が右手を突き出し立っているだけだった。

上条「クッ……ちょっとは手加減してくれよ……ったく」

上条はヘタヘタと腰をその場に降ろす。

美琴「大丈夫!?」ダッ

上条「ああ……」

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 05:36:33.34 ID:wwZ2n/+J0
美琴「左腕、怪我してるじゃない!! 早く手当てしないと!」

急いで美琴は箪笥から応急箱を取り出した。

上条「これぐらいの怪我は日常茶飯事だ。それより白井だ。あいつ、テレポートでどっか逃げやがったぞ」

美琴「どっか、ってどこ?」

上条の腕を手当てしながら、美琴は訊ねる。

上条「分からねぇよ、そんなの……くっ。ただ、今のあいつの精神状態で街へ出たら、どうなるか……」

美琴「そ、そんな……どうしよう……テレポーターのあの子が犯罪でも犯したら、捕まえようがない……」

上条「いや、待て。これは俺の推測だけど……もしかしたらあいつ、知り合いのところに行ったのかもしれない」

美琴「知り合い?」

上条「ああ。考えてもみろよ。あいつが人形を手にしてから、危ない目に遭ったのって全部、あいつの周りにいた人間じゃないか」

美琴「!!」

上条「固法、っていうジャッジメントの先輩に、佐天っていう友達……。これはただの勘だが、その勘が正しければ、次もきっと白井と仲の良い誰かが……」

美琴「まさか!!」

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 05:41:22.64 ID:wwZ2n/+J0
上条「どうした?」

美琴「まずい……それが本当だったら、あの子きっと次は……」

上条「心当たりがあるのか?」

美琴「多分だけど……どうしよう? ねぇ、どうしよう!? これ以上、誰かが傷つくなんて…あの子が誰かを傷つけるなんて嫌だよ!」

美琴は涙目で訴える。

上条「落ち着け。こっちには人形があるんだ。俺たちが人形を手にしてる限り、あいつは迂闊に人に手は出せないはず」

そう言って上条は立ち上がり、机の上を見た。

上条「何!!??」

美琴「ど、どうしたの………え!?」

そこに、西洋人形は無かった。

99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 05:46:35.07 ID:wwZ2n/+J0
佐天の寮――。

初春「うーんと……やっぱり何も無いなぁ……」

佐天が放心状態になったことを受けて、白井が持っていた人形が怪しいと踏んだ初春は佐天の寮で、何か事件の痕跡は無いかと調べている最中だった。

初春「……にしても、あの人形、一体正体は何なんだろう」

首を傾げつつ、初春は四つん這いで部屋の隅を探してみる。

初春「呪い……本当にそんなのがあるのかなぁ?」

ガサゴソ

初春「む。何か発見! って、何だスーパーのチラシか……」
初春「やっぱり私の勘違いだったのかなぁ?」
初春「だって、よく考えてみたら呪いなんてあるはずないもんね。あははは」











黒子「……………………」

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 05:51:16.55 ID:wwZ2n/+J0
プルルルルルルルルルルルルル

美琴「……………」

上条「どうだ!?」

美琴「ダメ、出ないわ!」ピッ

携帯電話をしまう美琴。
今、上条と美琴の2人は大通りを駆けていた。

美琴「何か、あったのかもしれない……」

上条「となるとやっぱり、白井の次のターゲットは……」

美琴「初春さん……無事でいて」

不安にかられ、2人は全速で走る。

102: サルった 2010/06/26(土) 06:01:15.61 ID:wwZ2n/+J0
初春「はっ!?」

目を覚ます初春。

初春「………何……これ……?」

痛む腕と、僅かに揺れる身体に違和感を覚え、彼女は恐る恐る足元を見下ろしてみた。

初春「白井……さん?」

何故か今、初春は上に伸ばされた両腕を締められ彼女の身体は天井から吊り下げられていた。ブラブラと揺れる足元には、奇妙な呪文が描かれた円陣と、その中央に見覚えのある西洋人形が、そしてその側に白井がうずくまっていた。

黒子「あぁら、初春。お目覚めですのね♪」

振り返った黒子が仰ぐような形で初春を不気味な笑顔で見る。

初春「白井さん……な、何やってるんですか? 私、どうして……」

ギシギシ

初春「つっ…」

黒子「きつく縛ったので逃げるのは無理ですわよ」

初春「いや、その…何の冗談なんですか? 早く降ろして下さいよ……ねぇ」

黒子「ダァメ♪」

初春「え………」

104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 06:07:26.91 ID:wwZ2n/+J0
黒子「貴女は今から行うギシキに必要不可欠なんですの」

初春「………儀式?」

黒子はそれだけ言うと、再びうずくまり円陣の中央の西洋人形に話しかけ、手元から何かを取り出した。

黒子「さぁ、もうすぐですわよメアリーちゃん♪ …イモリのエキスに、毒草、塩水に、炭……」

何やら得体の知れないものを、黒子は人形の口に次々と入れていく。

初春「し、白井さん?」

黒子「うふふふふふふふふふふふふふふふ。これでギシキは成功するはずですの。ああ、何て私はメアリーちゃんの優秀なシモベなのでしょう。あっはぁ♪ もしかして真理の扉なんか開いちゃったりして。どこぞの錬金術師など私の足元にも及びませんわぁ」

初春「お願いです白井さん。降ろして下さい……何でもしますから……」ガタガタブルブル

黒子「あ、っと! もう一つ大事なものを忘れていましたわね。私ったらおドジさん♪」

そう言って彼女は太ももに装備した革ベルトから一本の金属矢を取り出し、ペロォと舐めた。

初春「!?」

黒子「タマシイのコウカンに必要なもの。それは、イモリのエキス、毒草、塩水、炭……そして…」

黒子「  ●  ●  の  生  き  血  」

初春「!!!!!!!!!!!」

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 06:13:46.62 ID:wwZ2n/+J0


ザシュッ


初春「きゃああああ!!!」

トロォォォォ……

黒子が金属矢で傷つけた初春の足から一筋の血が流れ落ちる。
靴下は既に脱がされていたのか、流れ出た血は初春の足に沿うように伝っていき、やがてそれは丁度、真下に寝かされていた人形の口の中に入った。

黒子「これで全ての準備は整いましたの!」

初春「あううう……グスッ……エグッ…白井ざ…ぁん」

泣きべそをかく初春の頬を下から撫でるように黒子は言う。

黒子「何を泣いているんですの初春? これはとても喜ばしいこと。今宵、貴女のカラダはメアリーちゃんのものになるのだから」

初春「!!!!????」

112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 06:19:54.38 ID:wwZ2n/+J0
黒子「では、始めましょうか」

その言葉を合図にするように、円陣が光り始める。
そして、下に寝かされていたはずの人形が起き上がり、浮かび始めた。

初春「あ……うあ……」

黒子「メアリーちゃんと初春のタマシイのコウカンギシキを!」

黒子が両腕を広げる。
初春の手前にやってきた人形が彼女を見据えた。



人形「 <●> <●> 」ギャン!!



初春「やだ………やめて……いやぁ……」

黒子はその光景をニヤニヤと見つめていた。

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 06:24:14.33 ID:wwZ2n/+J0
美琴「ハァ……ハァ……ったく、何なのあいつったら……」

黒子を止めるため、街を走っていた美琴だが、今になってようやく佐天の寮に辿り着いたのだった。

美琴「何でこのエレベーター、来ないの!? つーかあいつ、いきなり『電話で助言を聞く』とか言って公衆電話に走っていったけど、誰に助言なんて聞くのよ」

イライラと美琴は愚痴を零す。

美琴「もう! エレベーター遅すぎ! 階段で行くか!」

彼女は階段を上っていく。

美琴「もう少し。もう少しで佐天さんの部屋よ」
美琴「あった、ここだ!」

そして美琴は目的の部屋の前で足を止めた。

美琴「初春さん!」

ガチャッ!!

部屋の中は真っ暗だった。

美琴「………………」

シイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン………………

しかし、その部屋の中央に誰かが立っている気配があった。
背中を向けているがその姿には見覚えがあった。

114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 06:29:17.54 ID:wwZ2n/+J0
美琴「初春さん!!」ダッ

美琴の呼びかけに応じ、その人物が振り向いた。

初春「御坂さん……」ニッコリ

美琴「初春さん、良かった。無事だったんだ」ホッ

初春「そうですよ」ニコニコニコ

美琴「黒子は? 黒子、ここに来なかった?」

初春「来てますよ」ニコニコニコニコニコニコニコニコニコニコニコ

美琴「え?」

初春「すぐ後ろに」ニコニコニコニコニコニコニコニコニコニコニコニコニコニコニコニコニコニコニコニコニコ

美琴「…………っ」








黒子「お・ね・え・さ・ま」ニヤァ

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 06:34:21.05 ID:wwZ2n/+J0
上条「クソー、遅くなっちまった! 御坂に佐天さんの寮の場所、聞いといて良かったぜ」

一足遅れて、上条は佐天の寮の階段を駆け上っていた。

上条「インデックスに電話で人形のこと話してみたけど、結局何も分からなかったな…」
上条「色々と調べてくれるらしいけど、インデックスの記憶にも無いってことはあの人形は魔術関連じゃないってことか!?」

ようやく上条は佐天の部屋がある階に辿り着いた。

上条「じゃあ、一体何なんだ? 本当に呪いだとでも言うのか!?」

そして彼はとある部屋の前で立ち止まった。

上条「ここだ!」

ガチャッ!

上条「御坂! 初春さん!」
上条「!? 御坂!?」

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 06:39:16.99 ID:wwZ2n/+J0
室内に入った上条は、部屋の隅で縛られている美琴を見つけた。

上条「御坂!!」

美琴「んーっ! んーっ!!!」

上条「何でレベル5のお前がこんなことに…。待ってろ。今解いてやる」

上条は美琴の口を覆っていたガムテープを剥がす。

上条「大丈夫か!?」

美琴「後ろーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

上条「えっ?」クルッ

初春「死ねええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!」

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 06:46:26.15 ID:wwZ2n/+J0
振り向いた上条が見ると、そこには机の引き出しを持ち上げ今にもそれを振り下ろさんとする初春の姿があった。

上条「うわっ!」

ドガッ!!

上条「危ね!!」

初春「この下卑たカスヤロウがぁぁああああああああああああああ!!!!!!」

ブンッ!

上条「やめろ! 君が初春さんなのか!?」

美琴「気を付けて! そいつは初春さんだけど、中身が人形なのよ!!」

上条「はぁっ!?」

ブンッ!

上条「うおっ!!」

黒子「要するに、カラダは初春ですが、タマシイはメアリーちゃんですのよ」

上条「何!?」

ふと見ると、初春の後ろから黒子がニヤついた顔で出てきた。

上条「白井!?」

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 07:01:41.94 ID:wwZ2n/+J0
黒子「残念ですが、この子はもう初春ではありませんの。今はれっきとしたメアリーちゃんですの」

上条「な、何言ってるんだお前……?」

初春に絡みつき、彼女の頬に自分の顔を至近距離で近付け黒子は言う。

黒子「ですわよねぇ? メ  ア  リ  ー  ち  ゃ  ん  」

初春「こんにちわ私メアリー! 今日から貴女がお友達ね」

上条「!!!!????」

初春「仲良くしてね。仲良くしてね」

上条「なっ……」

初春「貴女のお名前は? 私メアリー」ニヤァ

上条「馬鹿な……」

黒子「あら? それほど驚きませんのね? 普段からこういった非日常的なことに遭遇でもしてるのかしら?」

上条「白井………」

黒子「ち・な・み・に」
黒子「初春のタマシイは今、あっちですの」

上条「え?」

123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 07:06:25.46 ID:wwZ2n/+J0
黒子が指差した方には、壁にもたれかけられた一体の西洋人形があった。

人形『こんにちわ私メアリー! 今日から貴女がお友達ね』

上条「そんな……」

人形『仲良くしてね。仲良くしてね』

美琴「危ない!!」

上条「!!??」


ド  ガ   ッ  !!


上条「ぐはっ……」

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 07:11:12.99 ID:wwZ2n/+J0


ド  サ  ッ


別の方に意識を取られていた上条は、初春が振り下ろした引き出しに顔を殴られそのまま崩れ落ちてしまった。

美琴「当麻!!」

黒子「お姉さま」

美琴「!!!」

近付いてきた黒子が片膝を床につき、美琴の顎にそっと指を触れ彼女の顔を上げさせた。

美琴「どうして……黒子、どうしてこんなことするの? ……グスッ」

黒子「どうしてもと言われましても……私のお友達、メアリーちゃんの為ですし」

初春「………」ニヤニヤ

美琴「やめてよ……初春さんも正気に戻ってよ」

初春「黙れブーーーーーーーーーーーーーーーーーース!!!!!」

126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 07:17:05.97 ID:wwZ2n/+J0
美琴「うっ……ひうっ……ひぐっ……」

黒子「メアリーちゃん、お姉さまのこと相当嫌ってますのよ。ここまでお姉さまが怪我を負わなかったのは、私が敢えて止めていたからですの」

美琴「やめてよ黒子……こんなの、私が知る黒子じゃない………」

黒子「…」ピクッ

美琴「いつもの黒子は、もっと可愛くて、凛々しくて、とても良い後輩なのに……」

黒子「…」ギリッ
黒子「どの口がほざいてやがんだ! ああああ???」

ギリリッ!!!

美琴の顎を掴んでいた黒子の手に力が篭り、美琴は強引に顔を引っ張られた。

美琴「あうっ!」

黒子「なぁぁぁぁにが可愛くて凛々しくて良い後輩なんですの!!?? あああ!!?? てめぇ、いつも私をぞんざいに扱ってたくせによおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

美琴「違う! あれは違うの!!」

黒子「どうせ私の存在があつかましかったんでしょうね!!! ええ、そうでしょうね!!! さすが傲慢な性格もレベル5ですわねお姉さまは!!!!!」

美琴「あつかましくなんてない!! むしろ大事な後輩だって思ってる!!!」

黒子「なら私をあんな風に扱わねぇでしょうがああああああああああああ!!!!!」

128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 07:22:22.59 ID:wwZ2n/+J0
美琴「違う……ヒグッ……やめて…」

黒子「お姉さまはあの殿方が大好きですもんねー。私が目障りなのは当然ですよねー?」

そう言って黒子は倒れている上条を指差す。

美琴「それは……うう」

黒子「まぁ、毎日出会い頭に電撃を食らわしてるお姉さまがあの殿方に好かれてるなんて都合が良いこと、あるとも思えませんが?」

美琴「グスッ……」

黒子「でも、お姉さまがこの私よりも上条さんを好いているのは事実。どうせ、いつも私の愛のアピールを拒んでるお姉さまも上条さんの前では簡単に  開いて ン ン●ぎまくるんでしょうねぇ~」

美琴「酷いよ黒子ぉ……」

黒子「分かりましたわ。なら、その望み叶えさせてあげましょう。傲慢ちきなお姉さまのために!!」

美琴「え!?」

黒子「メアリーちゃん」

初春「はーい」

黒子に声を掛けられると、初春は倒れている上条を見つめた。

上条「う……」

しばらくすると、上条がモゾモゾと動き始めた。

129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 07:27:17.09 ID:wwZ2n/+J0
美琴「当麻!!」

黒子「…」ニヤニヤ

上条「……………」

ユラリと立ち上がる上条。

美琴「当……」

そこで、彼女の言葉は途切れた。振り向いた上条の目があまりにも生気が無かったからだ。

上条「おおおおお……」

ゆらゆらと、上条が美琴に近付く。

美琴「当麻……?」

黒子「ほぉら、お姉さま。待ち望んでた瞬間ですよ」

美琴「な、何を……」

黒子「今から上条さんが、お姉さまの身体を無茶苦茶に愛 し貪り尽くしてくれますわ」

美琴「!!!!!!!!」

上条「ああ………ううう…」

美琴「や……やだ。やめてよ当麻! ウソだよね!?」

132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 07:32:35.66 ID:wwZ2n/+J0
上条「がああ……ぐうう…」

美琴「お、お願いだからやめてよ!!」

美琴は電撃を発して必死に縄をほどこうとする。が、能力がそもそも使えなかった。

黒子「無駄無駄。呪いを前に超能力など何の効果も発揮しませんの。でなければ、レベル5のお姉さまが今まさにこんな状態になってるはずがないでしょう?」ニヤニヤ

美琴「そんな……やだよ、こんなのって! 黒子! やめさせて! お願い!!」

黒子「なぁに言ってらっしゃるの? ずぅっと上条さんとこうなることを夢見てたんでしょう?」

美琴「違う! こんな形でなんて……」

黒子「ふん、そう言いながら本当は喜んでるくせに。まったくこのビ  はとんだアバ  ですわね」

上条「あああああ」

初春「ヤーれ! ヤーれ! ヤーれ!」

美琴「やだぁ……」

黒子「ま、私としてはどっちでもいいですし。好きだった男に●●●されるのも一つの愛の形では?」

美琴「ふぐぅ……やだぁ……」

黒子「ほら、早く股を開きなさいな。人生で初めての瞬間ですのに。上手くいけば上条さんの子供を孕めるかもしれませんわよ? あはは」

初春「ヤーれ♪ ヤーれ♪ ヤーれ♪」

133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 07:37:21.61 ID:wwZ2n/+J0
美琴「グスッ……当麻ぁぁ……」

涙を流す美琴。

ガシッ

美琴「ひっ!!」

遂に、上条が美琴の両肩を掴んだ。

美琴「やめて……お願い……」ガクガクブルブル

上条「ああああああああ……」

初春「ヤれ! ヤっちまえ!! 薄汚ねぇ  豚をxxxxしまくれ!!」

黒子「………」ニヤニヤ

美琴「とうまぁ……」




上条「なーんてな」




美琴「え?」

135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 07:42:17.19 ID:wwZ2n/+J0
黒子初春「!!!!????」

上条「何でお前、泣いてんだよ?」ニヤッ

美琴「……当麻?」

黒子「な……ななななななな???」

上条「お前に泣き顔なんて似合わねぇのによ」

美琴「あ……」

黒子「ど、どういうことですのこれは!!!!!?????」

初春「何で!? 何で私の呪いが効かないの!?」

美琴の肩に手を置きながら、上条が振り返る。

上条「こいつとこいつの世界を守るって約束したのに、それを自分で破るわけがないだろ?」

美琴「当麻ぁ……」パァァ

上条「もちろん、その世界には……!」

不意に、上条が勢いをつけて黒子と初春に向かって飛び出した。

黒子「!!!!????」

上条「お前も含まれてんだよ!! 白井!!!」

137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 07:47:18.56 ID:wwZ2n/+J0
黒子「なっ!? くっ!?」

慌てた黒子が太ももの革ベルトに手を触れる。1秒後、3本の金属矢が上条の心臓を貫くべく、彼の胸の前に出現した。

パシィッ!!

しかし、上条は3本の金属矢を瞬時に左手で掴み取った。

黒子「何ですって!!!!????」

黒子の眼前に上条が迫る。

黒子「助けてお姉さま!」

上条「加減してやるから我慢しろよ!!」

バシッ!!

黒子「きゃん!!!」

ドサッ

軽くだが、上条に殴られた黒子がその場に崩れ落ちた。

初春「黒子!!」

上条「……」ギロリ!!

初春「ひっ!!」

138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 07:52:52.07 ID:FXCsewtJ0
上条「よくもさんざんやってくれたなぁ!!」

初春「やめて!! 私はただ友達が欲しかっただけなの!!!!」


グワシィィッ!!!!


上条の右手が初春の顔を掴む。

初春「あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」


プシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!!!!


初春「あ……あ……あ………」

ガクン!

全身から湯気を発し、やがて初春もその場に崩れ落ちた。


プシュウウウウウ……ドロドロドロ……


と、同時に壁にもたれかかっていた人形が湯気を上げて溶け始めた。

139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 07:57:13.80 ID:FXCsewtJ0
美琴「人形が………」

上条「ハァ……ゼェ……ハァ…」

人形『わた……メア……ちゃん……なか……してね……』
人形『メア……ちゃん……し…て…ね』
人形『メ……し……ね』
人形『し…………ね』


ボ  ト  ッ


溶解した人形は遂に姿を崩した。

美琴「………黒子!!」ビリビリッ

呪いの効果が消えたのか、電撃で縄を焼き消した美琴が倒れた黒子に近付いた。

美琴「黒子!!」

気絶した黒子を、美琴が抱え上げる。

上条「一応加減はしたつもりだ。悪いな」

美琴「ううん。あんたには感謝してるわ」

141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 08:02:46.81 ID:cAdn85hm0
上条「そっか」ニコッ

美琴「ありがとう」ニコッ

黒子「う…ん……お…姉さま……?」

美琴「黒子!?」

黒子「お姉さま……私……」

美琴「大丈夫!?」

黒子「私……お姉さまに酷いことを……」

空ろな目で黒子はゆっくりと言葉を紡ぐ。

美琴「いいのよそんなこともう……。私、黒子が元気ならそれでいいの…」

ギュウと美琴は黒子を抱き締める。

黒子「おねえ……さま…」

上条「そいつ、俺に殴られる前『助けてお姉さま』って言ったんだぜ?」

美琴「え?」

上条「状況からして『助けてメアリーちゃん』って人形に助けを求めることも出来たのに。結局そいつは、最後まで人形よりお前を信じてたってことだ」

美琴「黒子………」

143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 08:07:23.30 ID:cAdn85hm0
上条「…」フッ

初春「う……うーん……」

美琴と上条が黒子に注意を向けてる中、部屋の隅で倒れていた初春が目を覚ました。

初春「あれ? 私、一体何を……」

はっきりとしない意識で室内を見回す初春。

初春「あ、白井さんに御坂さんに……誰だろあの男の人?」

黒子「おねえ……さま」

美琴「黒子ぉ」

上条「これで一件落着だな」

初春「………………なんか蚊帳の外なんですけど…」

144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 08:12:16.98 ID:cAdn85hm0
翌日・ジャッジメント第177支部――。

黒子「ホンットーに申し訳ありませんの!!」

深々と礼をする黒子。

佐天「だから、もう大丈夫ですってー」

固法「終わったことはいつまでも気にしないの」

黒子「でも、怪我を負わせたり放心状態にさせた原因は私にありますし……」

固法「だけどあれは白井さんが自らの意思でやってたんじゃないでしょ?」

黒子「ええ…今でも思い出すと、何故自分があんなことをしてたのかサッパリ分からなくて……。でも、固法先輩たちに酷い目に遭わせたのは事実ですし」シュン…

固法「だから気にしてないわもう」

黒子「特に、初春にはとても怖い目に遭わせてしまいましたわ」

初春「確かに怖かったですけど、そもそも記憶が抜け落ちてて今一つ実感が無いんですよね。でも私は白井さんとこうやってまた一緒に話せるだけで嬉しいです」ニコッ

黒子「初春……」グスッ

佐天「にしてもあれ、ホントに能力による仕業だったんでしょうかね?」

固法「やっぱり能力というよりかは呪いに近いものだった気がするけど、ここは学園都市だしね? ナンセンス過ぎるわね」

初春「能力者の仕業だとしても犯人はどこの誰なんでしょうかね」

146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 08:18:13.91 ID:cAdn85hm0
黒子「そ、そうですわね。オホホホ」

黒子は思い出す。昨日のことを。
事件が解決した後、上条の知り合いという人物がイギリスから電話越しで説明してきたが、あの現象は魔術というよりも呪いに近いものだとか。
魔術と言われても黒子や美琴はさっぱり理解出来なかったが、ようはそういったオカルト的な未知なることもこの世に存在しているらしい。
上条の提案で一連の事件の原因は、超能力の仕業によるものとすることになったが、そのお陰でこの事件は犯人が絶対に見つからない本当の都市伝説になってしまったのだ。

黒子「(呪いが都市伝説に。この学園都市では意外にも過去にそういったことがいくつも起こってるのかもしれませんわね…)」

佐天「そういや御坂さんはどうしたんだろ?」

初春「あ、何でも昨日事件解決に尽力してくれた高校生の人に感謝を言いにいったらしいですよ」

固法「へぇ、あの御坂さんがね? これは、からかいがいのある話を仕入れたわね」フフフ

黒子「高校生……ってまさかお姉さま、あの類人猿のところへ!? いけませんわお姉さま! お姉さまの貞操が危な………」

初春「ど、どうしました白井さん?」

黒子「フン、まあ……」

黒子は笑顔を見せ、窓の外に目を向ける。

黒子「今回だけは特例として、お2人だけにしておきますか」

147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 08:23:17.27 ID:cAdn85hm0
とある公園――。

上条「結局、昨日のあれは魔術じゃなくて呪いだったのか。インデックスによると、呪いも魔術に近いものらしいけど、人間の意思が介在してないものについてはカテゴリー外だとか……」

トボトボと、上条は家に向かって帰宅する。

上条「だからインデックスでも分からなかったんだな」
上条「にしても、昨日、白井と初春さんを病院に連れて行った時、カエル顔の先生が言ってたことが気になるな…」


   ――カエル医者「実は数年前も同じような事件が起こってね?」――

   ――上条「マジっすか!?」――

   ――カエル医者「その時も女の子が同じ人形を抱えていたんだよ」――

   ――上条「過去にも同様のことが起こったんですか」――

   ――カエル医者「あの時は、死者1名、後遺症を患った者1名、重傷患者3名も出るほどだったんだ」――

   ――上条「…………………」ゾクッ――

   ――カエル医者「まさかあの人形をまた見るとは思わなかったし、同じことが起こるとは予測出来なかったからね。でも、今回は誰も死ななくてよかったね?」――


上条「呪い、ね………」

149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 08:28:57.13 ID:Ftnp32kO0
ビリビリビリッ!!!!

上条「どぅわ! 危ね! い、いきなり電撃撃ってくるなよ!!」

美琴「あんたが何度声掛けても反応しないからでしょ!」

上条「呪いより御坂のほうが怖いな」ボソッ

美琴「何ですって!? お望みなら呪いより怖い超電磁砲食らわせたろか」

上条「それが後輩の命の恩人に対して言う言葉ですかねー?」

美琴「うっ…ま、まあ昨日のことは感謝してるわ…。ホント、黒子も初春さんも危なかったから……」

上条「………まあ誰も死ななくてよかったよ。俺の右手が無かったらどうなってたか」

美琴「……あ、ありがとう……」ボソッ

上条「あー? 聞こえんなー?」

美琴「あ、ありがとうって言ってんの!」

上条「まあ礼なんてどうでもいいけどさ。それより一つ聞きたいことがあんだけど?」

美琴「な、何よ?」

上条「昨日、佐天さんの部屋でお前と白井が会話してた内容だけど…」

美琴「?」

151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 08:33:49.60 ID:Ftnp32kO0
上条「お前って俺のこと好きなの?」

美琴「なっ!!??//////////////////」

上条「確かそんな話してたよなぁ?」

美琴「そそそそそそそそそそそそんなわけけけけけけなななななな////////(そっか! 昨日、こいつ意識はずっとあったんだ…)」

上条「何だ、やっぱり俺の記憶違いか。………ちょっと残念」

美琴「………え?」

上条「…………………」ジーッ

美琴「あ……え……?(な、何この超展開!? もしかして当麻も私のことが? え、ウソ……ホントなの!? からかってるんじゃ……いや、でもこいつの目、結構本気だし……)」

上条「………………」

美琴「…あ、あの……じ、実を言うと…私、当麻のことが…/////// ……って、えっ!!??」

女の子「ありがとうございます。ここら辺の道、全然分からないので」

上条「いやいや大丈夫っすよーこの付近は上条さんの庭みたいなものですからねー」ヘラヘラ

女の子「ではまたこれで。バイバイ♪」

上条「バイバーイ♪」テレテレ

美琴「………………」ビリビリッ

152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 08:38:18.06 ID:Ftnp32kO0
上条「ふぅ、いやぁ一仕事終えた後の女の子の笑顔っていいもんですねー……って、御坂さん? 何をそんなビリビリしていらっしゃるんでしょうか?」

美琴「…………う」ビリビリッ

上条「ひっ」ビクッ

美琴「うるさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!/////////////////」ビリビリビリッ!!!!!

上条「ぎゃあああああああああああああああああああ」

美琴「ふざけんじゃないわよあんたいつも私のこと馬鹿にして……って逃げるなあああ!!!!」

上条「ならその電撃を止めてくださあああああい!!!! 死んじゃいますって!!!!」

美琴「知るか! って言うか寧ろ死ねえええええええええええええええええ!!!!!!!!」ビリビリッ

上条「やっぱり呪いよりこええええええええええ!!!!!!!」

美琴「もう一遍言ってみろゴルアアアアアアアアアアアアア」ビリビリビリッ

上条「うぎゃああああああああああああ」

こうして今日も上条の一日は呪いよりも怖い美琴に追いかけられて終わるのだった。

156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 08:44:36.74 ID:Ftnp32kO0
学園都市・とある通り――。

「あ……ねぇ。この子、持ち帰ってもいいでしょう? ってミサカはミサカはお願いしてみたり」

「人形? そンなもン持って帰っても汚ねェだけだぞ」

「お願ぁい」ウルウル

「チッ、分ァったよ。好きにしろ」

「やったーって、ミサカはミサカは貴方の優しに感激してみたり」

「ほら、道草食ってないで行くぞもう」

「はぁい!」

少女は胸に人形を大事そうに抱え、少年と共に帰路に着く。

人形『……………………』







人形『 <●> <●> 』ゾンッ!!

159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/26(土) 08:47:16.59 ID:Ftnp32kO0









          ――こんにちわ私メアリー! 今日から貴女がお友達ね――









                                                         終わり