1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 22:32:32.52 ID:CaSGdHXu0
勇者「あ、マコちゃん、久しぶり」

魔王「…あなた良くここまで来れたわね」

勇者「マコちゃんに会いに来たんだよ」

勇者「小さい頃以来だね」

魔王「あなたは今でも十分子供よ」

勇者「むっ、そういうマコちゃんこそ全然成長してないくせに」

魔王「あなた、人が気にしてるとこを…!」ガオー

引用元: 勇者「マコちゃん、ボク来たよ♪」魔王「あなたね…」 



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 22:35:45.20 ID:hog3Jj910
勇者「でも、本当に変わってないね、マコちゃんって」

魔王「十分変わってるでしょ」

魔王「あなたは勇者、私は魔王」

魔王「過去がどうだったであれ、今は敵同士なのよ」

魔王「あなたがここに来た理由、忘れたわけじゃないでしょ?」

勇者「…?ボクはマコちゃんに会いに来ただけだよ」

魔王「その魔娘ちゃんって呼ぶのやめなさい!恥ずかしいから!」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 22:37:06.88 ID:hog3Jj910
 

勇者「あ、そうだ」

勇者「マコちゃんに会ったらあげようとお土産持ってきたんだった」

勇者「ちょっと待っててね」

魔王「もういっそこっちから仕掛けようかしら」

魔王「いや、でも昔の情もあるし…」

勇者「あ」

魔王「何?」

勇者「…始まりの村から持ってきたお花、枯れてバサバサになっちゃった」ジワッ

魔王「当たり前でしょう……」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 22:38:38.51 ID:hog3Jj910
勇者「え、どうしよう。何か他にないかな」アセアセ

魔王「あなた人の家に引越祝いに来たの?」

勇者「え?ここ新しい家なの?」

魔王「お城ね。魔王城」

魔王「いや、新しいっていうわけじゃないけど、この前大々的に修理したのよね。家具とかも新調して」

魔王「パパの頃の城は流石に飾りとかもダサかったから色々替えたし」

勇者「マコちゃんのお父さんって面白かったね」

勇者「村の収穫祭の時に骸骨の首飾りとかしてきてたからね」

魔王「あの時はさすがの私も引いたわ」アレハナイワー

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 22:42:19.43 ID:hog3Jj910
勇者「そうなんだ。なんかお城がマコちゃんっぽいって思ったらマコちゃんが飾ったんだね」

魔王「分かるの?」

勇者「うん、ほら、床のカーペットとかピンク色だし」

勇者「マコちゃんピンク色好きだったもんね」

魔王「お父さん代の側近を説得するために私がどれだけ苦労をしたものか」

魔王「いいでしょ」

勇者「流石にピンク色のカーペットはないんじゃないかなぁ」

魔王「」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 22:44:45.00 ID:hog3Jj910
勇者「でも、今着てる服はすごく似あってると思うよ」

勇者「マコちゃんにぴったりだよ」

魔王「そ、そう?」

勇者「うん!」

勇者「昔の骸骨の山を縫い取った服よりずっと似合ってる」

魔王「今思うとパパは本当に骸骨が好きだったわ」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 22:46:17.12 ID:hog3Jj910
魔王「ってそうじゃないでしょ!」

魔王「あなた自分がなにしに来たかわかってるの?」

勇者「あ、そうだった!」

勇者「あのね、これあげる」

魔王「何よ、その瓶」

勇者「飲んだら分かるよ」

魔王「そう言って、実は教会で作ってきた聖水とかなんじゃあ…」

勇者「これ通りすがりの商人さんから買った豊 になるエキス」

魔王「ちょっと貸しなさい」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 22:48:09.15 ID:hog3Jj910
魔王「なんでこんなもの買ったのよ」

勇者「マコちゃんが喜ぶかなぁって思って」

魔王「……私の胸が成長していないだろうと思ってたわけね」

勇者「……」コクリ

勇者「…怒っ…た?」アセアセ

魔王「あなたのそういう性格ほんと気が狂っちゃうわ」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 22:50:18.95 ID:hog3Jj910
勇者「ねえ、飲んでみて、早く飲んで」wktk

魔王「というかこれ本当に大丈夫なのでしょうね」wktkスンナー

勇者「……わかんない」

魔王「わからないもの飲ませる気?」

勇者「だって自分で試せるわけじゃないし…」

魔王「それはそうだけど…」

魔王「というかあなた仲間はどうしたのよ、仲間」

勇者「仲間?」

勇者「えっとね、今外で側近さんと戦ってる」

魔王「側近まだ生きてるの?」

勇者「なんでそんなこと聞くの?」ヘンナノー

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 22:51:43.71 ID:hog3Jj910
側近「ま、魔王さま、申し訳ありません。私が未熟なせいで勇者の侵入を止めれず…」

女戦士「魔王!まだ生き生きしてるじゃないか」バイン

女盗賊「やっぱあのヘタレな勇者一人じゃ無理だったのよ」バイン

女僧侶「勇者さま、お手伝いします!」バイン

勇者「あ、皆来た!」

魔王「」

魔王「」ペターン

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 22:53:37.45 ID:hog3Jj910
魔王「…飲むわ」

魔王「飲んであげればいいでしょ!」ゴクゴク

戦士「なんだあれ」

魔盗賊「魔王がドーピングするなんてずるいじゃない!」

魔王「うっ、か、体が…」

勇者「マコちゃん大丈夫?」

魔王「よるな!」

勇者「わわっ!!」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 22:55:25.01 ID:hog3Jj910
魔王「お前…私に毒飲ませたなー!」

勇者「ち、違うよ!ボクそんなこと…」

魔王「うっ……体が……熱くて…もう……」

側近「魔王さま!」

女戦士「勇者には行かせないよ!」

側近「ええい、退け!魔王さま!」

魔王「うっ…ああああああ!!」


17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 22:57:21.99 ID:hog3Jj910
まおうの ばーすとが 20 あがった。▼

まおうの かっぷが C に なった。▼




魔王「え……本当に?」

魔王「本当に大きくなったわ?」

勇者「やったね、マコちゃん」

魔王「あはっ!何これすごい。胸が揺れる」

魔王「あはっ、なんか肩凝ってきた気がする」

魔王「ねー、勇者これ見て、もうペタンコじゃない」

勇者「よかったね、マコちゃん」

僧侶「なんでしょう、あれ」

戦士「なんか勇者が魔王と仲良く話し合ってるんだが」

盗賊「なによ、あれぐらいで偉そうに…あんなの私に比べたら胸のうちにも入らないじゃない」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 23:00:10.84 ID:hog3Jj910
勇者「あ、皆、無事だったんだ」

戦士「やっとこっちに話かけてきたか」

僧侶「勇者さま、魔王から離れてください、危険です!」

勇者「え、なんで?」

盗賊「いいから早く来なさいよ、馬鹿!」

勇者「うーん…マコちゃんちょっと待ってね」

魔王「あはっ!縄跳びとかやったらどうなるかな」キコエナイ

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 23:05:01.37 ID:hog3Jj910
勇者「どうしたの、皆そんなに慌てて」

戦士「どうしたのも何もないだろ」

戦士「何魔王と仲良さそうに話してるのさ」

勇者「だってマコちゃんと昔幼馴染だし」

僧侶「…はい?」

勇者「ほら、いつも言ってたでしょ。マコちゃんって、昔居なくなったボクの友だち」

盗賊「いえ、ちょっと待ちなさいよ」

盗賊「あんたが言ってた幼馴染って人間じゃなかったの?」

勇者「……ボク盗賊ちゃんが何を言ってるのか分かんない」

盗賊「」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 23:07:37.36 ID:hog3Jj910
僧侶「ちょっと整理してみましょう」

僧侶「勇者さまは魔王を『倒す』ためにここにきたんですよね」

勇者「ううん、マコちゃん『会いに』来た」

僧侶「それでそのマコちゃんっていう幼馴染が魔王って知ったのはいつですか?」

勇者「うんとね、城に行ったら王さまが魔王の城を王族の秘宝の水晶玉で見せてくれてね」

勇者「その魔王って人がマコちゃんのお父さんで」

勇者「あの時魔王の隣にマコちゃん居たから」

勇者「あ、あれマコちゃんだって思って」

勇者「それで会いに行くって言った」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 23:10:05.92 ID:hog3Jj910
戦士「いや、じゃあ今の話だと魔王とマコちゃんって別人じゃん?」

勇者「でも、あの娘マコちゃんだよ?」

勇者「しかも魔王って自分で言ったし」

盗賊「元あった魔王はどうなったのよ」

勇者「わかんない」

僧侶「もしかしたら魔王の呪いにかかってるのかもしれません」

僧侶「自分が魔王だと思い込ませて、その間私たちをはめようとする罠なのかもしれません」

盗賊「なるほど、一理あるわね」

勇者「えー、でもマコちゃんのお父さん良い人だったよ?」

勇者「着る服とか家のインテリアとかはそういう感覚は全然だったけど」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 23:11:41.18 ID:hog3Jj910
僧侶「つまり、勇者さまのいうことは」

僧侶「あの人が魔王の娘であるということですか?」

勇者「……そうだね」

僧侶「ならあの人は魔王のフリをしてるのでしょうか」

戦士「魔王はどうしたんだ?」

勇者「ちょっと聞いてくる」

勇者「ねえ、マコちゃん」

盗賊「ちょっ、あんた待ちなさいよ!」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 23:14:07.72 ID:hog3Jj910
勇者「マコちゃん」

魔王「うん?何?」ニヘヘー

勇者「おじさんはどこ行ったの?」

魔王「……私が魔王なのを見たらわからないの?」

魔王「死んだわよ」

勇者「あ……ごめん」

魔王「別に謝る必要はないわ。年だったのよ」

勇者「でも……」

魔王「あなたがテンション下げることじゃないって言ってるでしょ」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 23:17:08.40 ID:hog3Jj910
魔王「パパは死んで、私が次の魔王になったわ」

魔王「あなたが見たというお城での映像は、多分それ以前のものなのでしょうね」

勇者「じゃあ、その時マコちゃんはまだ魔王じゃなかったんだね」

魔王「そうなるわね」

勇者「そうなんだ…」ホッ

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 23:22:39.46 ID:hog3Jj910
魔王「と、もうこれで昔話は十分にしたでしょ」

魔王「仲間も揃ったわけだし、かかってきなさい」

側近「魔王さま、私はまだ…!」

魔王「黙りなさい」

魔王「ここからは魔王と勇者の戦いよ。負けたあなたは引っ込んでなさい」

側近「……」

魔王「さあ、勇者たちよ、かかってきなさい」

魔王「せいぜい私を楽しませることね」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 23:26:46.48 ID:hog3Jj910
戦士「うっ!これが魔王の気迫か。体が痺れる」

僧侶「凄い魔力です。流石は魔王というだけはありますね」

盗賊「勇者、何してるのよ!そんな近くに居たら一撃よ?」

勇者「……」

戦士「駄目だ!あいつ魔王の気迫で動けないんだよ!」

僧侶「勇者さま!」

勇者「……」

魔王「その程度なの、勇者」

魔王「このぐらいで体が動かせないぐらいじゃ、私に指一本も触れないわよ」

勇者「…あのね、マコちゃん」

勇者「ボク、戦いに来たわけじゃないよ」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 23:31:04.27 ID:hog3Jj910
魔王「まだそんなこと言うの?」

勇者「ねえ、マコちゃん覚えてる?」

勇者「ボク、昔凄く弱かったよね」

勇者「そんなくせに、ボクは魔王になるんだとか言ってたよね」

魔王「昔話はもう良いわ!」

勇者「いや、聞いて!」

勇者「ボクは確かに願ったように勇者になったよ」

勇者「でもそれは魔王を倒すためじゃなかった」


33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 23:37:40.98 ID:hog3Jj910
~~~~~~回想~~~~~~~~

パパ(当時の魔王)「我が娘よ!」

魔王「略して魔娘ちゃんよ!」

魔娘「略せてないでしょ」

魔王「今からパパは人間界へ行く」

魔娘「あっそ、いってら」

魔王「魔娘ちゃんも来るのだー!」

魔娘「なんでよ。どうせまた戦争しに行くんでしょ」

魔娘「私はそういうのは好きじゃないの」

魔王「今回は戦争ではないぞ。魔娘ちゃんよ」

魔王「偵察である」

魔娘「偵察?」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 23:39:44.00 ID:hog3Jj910
魔王「いかにも!」

魔王「人間の村で生活しながら、奴らと生活しながら情報を得るのだ」

魔娘「なんでそれをパパが直々にしないといけないわけ?」

魔王「暇だからな!」キリッ

魔娘「パパのテンションにはほんとついていけないよ」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 23:44:24.22 ID:hog3Jj910
魔娘「城はどうするのよ」

魔王「側近に任せる!」

魔娘「軍の統率とかは?」

魔王「側近に任せる!」

魔娘「変装とかh」

魔王「側近に任せる!」

魔娘「…側近、もうあなたが魔王で良いわ。このおじさんは村人Aでもやらせなさい」


37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 23:51:51.18 ID:hog3Jj910
始まりの村

魔王「ここが人間どもが住む村だ!」

魔娘「…パパ、情報収集とか言ってなかった?」

魔娘「ここ凄く田舎っぽいんだけど」

魔娘「もうちょっと王都みたいな所の方が良くない」

魔王「王都には王族どもの魔方陣が敷かれてあるからな」

魔王「危険が多すぎる」

魔王「それに、ここも良いではないか。空気も美味しいし」

魔王「殺風景な魔界とは大違いだ」

魔王「いつまでもここで住みたいぐらいだ」

魔娘「パパ実は魔王とかやめたいんじゃないの?ほんと側近に全部任せてパパは村人Aになりたいの?」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 23:59:28.90 ID:hog3Jj910
 
魔王「既に俺と魔娘ちゃんには魔法をかけておいた」

魔王「連中には、俺たちがまぎれもなく人間に見えるであろう」

魔娘「住む家とかはどうする気?食うのは?」

魔王「心配は要らん!ちゃんと手配しておいた。俺たちは今日ここに引っ越ししてくることになっている」

魔王「飯のことは魔娘ちゃんのママ役のメイドにやってもらおう」

メイド長「重役を任されて光栄です。精一杯務めさせて頂きます」

魔娘「まぁ、メイド長なら安心できるでしょうね」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 00:02:07.49 ID:wSrD1Qxt0


勇者「……」

子供A「勇者、なにやってんだ?」

勇者「こんな所に家あったかな」カシゲル

子供B「ん?何いってんだ。ずっとその家空いてただろ」

勇者「ここに家なんかなかったよ?ここ空き地だったよね?」

子供C「寝ぼけてんのか?」

子供D「相変わらず変な奴だぜ。おい、ボクたちはあっちであそぼ」



勇者「うーん……」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 00:04:48.31 ID:wSrD1Qxt0
 
勇者「」コンコン

勇者「誰も居ない…かな」

勇者「…皆はそう言ったけど」

勇者「やっぱここに家なんてなかったよ?」

魔娘「あなた誰?」

勇者「ふえ?」

魔娘「なんで人の家の前に立ってるの?」

勇者「え?この家の娘なの?」

魔娘「そうよ」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 00:07:37.80 ID:wSrD1Qxt0
自分眠いのでコメントとかあったらバリバリくれたら嬉しい

魔娘「今日ここに引っ越してきたのよ」

勇者「そうなんだ……」

勇者「でも、ここって昨日までは家なかったよ?」

魔娘「!(何この子、パパ、魔法失敗したんじゃないの?)」

勇者「…あ、でも新しい娘が来たって言ったら皆喜ぶね!」

魔娘「へ?」

勇者「あのね、ボク勇者って言うの!」

勇者「大きくなったら勇者になるのが夢なの!」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 00:12:12.69 ID:wSrD1Qxt0
魔娘「…え、ええ、そう(変な子だ)」

勇者「新しく来たから、ボクが村のこと紹介してあげる!」

魔娘「結構よ。私外出歩くのあまり好きじゃないから」

魔娘「わかったらさっさと消えなさい。私は疲れたから早く中に入って寝たいのよ」

勇者「でもまだお日様あんな高いよ?」

勇者「寝るのは夜でも良いよ。昼に寝たら夜眠れなくなっちゃうよ」

魔娘「あなたと関係ないでしょ?」

魔娘「とにかく、もう消えて」


53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 00:20:08.47 ID:wSrD1Qxt0
勇者「え、でも……」

勇者「あ、そうか。引越ししてきたばかりで疲れてるもんね」

勇者「ごめん、気づけなかった」

勇者「じゃあ、明日また来るね。その時はちゃんと村のこと紹介してあげる」

魔娘「(面倒くさい。でも、あまり断ってばかりでも怪しまれるかもしれないし)ええ、お願いするわ」

勇者「あ、そういえば、名前って何なの?」

魔娘「名前?名前は特に…」

魔王「魔娘ちゃんよ!」

魔娘「!!」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 00:26:39.95 ID:wSrD1Qxt0
魔王「疲れたって先にいってしまうかと思えば家の前で何をしているのだ」

勇者「名前マコちゃんって言うんだ!」

魔娘「違っ!あれはパパが勝手に……その魔娘ちゃんって呼ぶのやめてよ!」

魔王「良いじゃないか。他に呼ぶ名もないだろ」

魔娘「そんなの最初から必要ないからないに決まって…」

勇者「じゃあ、またあしたね、マコちゃん!」

魔娘「ちょっと待ちなさい、あな……もう行っちゃった」

メイド長「魔王さ……旦那さま、城から家の家具などを調達してきました」オモッ

魔娘「あなたはなにやってるのかと思ったら力仕事なの?」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 00:31:25.48 ID:wSrD1Qxt0
翌朝

勇者「マコちゃん、あそぼー」コンコン

メイド長「あら、あなたは昨日ひめさ…魔娘ちゃんと話していた」

勇者「勇者って言います」

メイド長「魔娘ちゃんは朝起きるのが遅いです。良ければ起きるまで家の中でくつろいでてもらいましょう」

勇者「ほんと?ありがとう、メイドさん」

メイド長「……!!」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 00:34:27.95 ID:wSrD1Qxt0
魔娘「ふああ……眠い…」

魔娘「…あ、そうだった。今日から人間の村で生活するんだったわね」

魔娘「まったくパパの気まぐれのせいで面倒臭いったらありゃしないわ」

魔娘「メイド長、朝食は…」トコトコ

勇者「あ、マコちゃんだ」

魔娘「!!」

魔娘「な、なななんでここに居るのよ!」

勇者「だって約束したし」

メイド長「魔娘ちゃん、人の前で下着姿なんてはしたないですよ」

魔娘「いや、そもそもなんで家に入らせたのよ!」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 00:38:35.49 ID:wSrD1Qxt0
魔娘「朝からひどい目に会ったわ…」

勇者「えっとね、まずどこから行こうかなぁ」

魔娘「こんな田舎に大して見せるものもないでしょ」

勇者「ええ、そんなことないよ」

勇者「ここって凄く楽しい所だよ」

魔娘「良くこんなところで生きてるわね。つまらなさそうだけど」

勇者「遊ぶ所いっぱいあるよ」

魔娘「どんなよ」

勇者「うーんとね、こっち来てみて」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 00:41:29.95 ID:wSrD1Qxt0
魔王「魔法が効かない子供?」

メイド長「はい、人間たちにわたくしのことは姫君の母親に見えるようになってたはずですが」

メイド長「彼は私のことをメイドって呼んでいました」

メイド長「しかも姫君の話では、この家についての暗視にもかかってなかったとか」

魔王「…あの童が、もしかしたらな……」

メイド長「なんでしょうか」

魔王「…アレはもしかしたら勇者なのかもしれない」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 00:44:11.31 ID:wSrD1Qxt0
メイド長「勇者ですか?しかし、この村に勇者の血を引くものは居なかったはずでは…」

魔王「いや、勇者というものはなかなか不思議でな」

魔王「別に血の繋がりにこだわるってわけではない」

魔王「こんな田舎だとたまにあるんだよ」

魔王「森や湖とかで、他の人間どもには見えないものを見てしまう人間が産まれる」

魔王「そういう奴らは、後々勇者になる可能性が高い」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 00:52:27.86 ID:wSrD1Qxt0
魔王「昔は妖精は精霊なども良く人間の前に姿を表したが」

魔王「近代化だのなんだのしてるうちに自然は完全に人間どもと縁を切ってしまった」

魔王「それからは人間どもには精霊や妖精など自然から力を得る生き物たちの姿が見えなくなった」

魔王「でも、この世界にはまだ勇者が必要だし、勇者はそういう自然を力にしなければならない」

魔王「そうやってたまに産まれる自然に愛される連中は魔族の魔法に耐性を持っているんだ」

魔王「勇者としてはぴったりのスペックだろう」



67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 00:55:08.23 ID:wSrD1Qxt0
魔娘「ねぇ、ここどこよ。もう村から大分はぐれてるわよ?」

勇者「あれー、おかしいな…いつもならそろそろ皆出てくると思ったんだけど……」

魔娘「…(ここって、かなり清いところね。精霊とか妖精などの気配を強く感じるわ)」

勇者「ねー、皆どこに居るの?」

魔娘「……まさかね」

勇者「うーん……ごめんね。今日なんか皆どっか行っちゃったかな」

魔娘「…こんな所に誰が来るというのよ」

勇者「うんとね…ちょっと言いにくいんだけど」

勇者「ボク、森に住んでる人たちのこと見えるんだ」

魔娘「(やっぱりというか……なるほどね)」

魔娘「(道理でパパの魔法も効かなかったわけだわ)」

魔娘「悪いけど、私と一緒に居ると奴らは出てこないわよ」

勇者「ふえ?」

魔娘「皆怖がってるのよ。私のことをね」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 00:59:28.11 ID:wSrD1Qxt0
勇者「マコちゃん、怖くないよ?」

魔娘「そんなこと言うのは、あなたぐらいのはずよ」

魔娘「私がその気になれば、この森を燃やしてしまうことなんて一溜りもないんだから」

勇者「え?」

魔娘「でも、まぁ、あなたが見たいというのなら見せてあげましょう」

魔娘「…おい、お前ら、早く出て来い!でないと全部燃やすぞ!」メラ

勇者「!」

魔娘「3まで数えてあげる。出てくるか焼き死ぬか選びなさい」

勇者「あ、やめて!皆のことイジメないで!」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 01:04:45.01 ID:wSrD1Qxt0
魔娘「1!」

勇者「ねえ、やめて、お願い」

魔娘「2!」

勇者「ボクが謝るから、森燃やしちゃ駄目!皆居るとこなくなっちゃう!」

魔娘「3!」

精霊「やめてください!」

勇者「!」

魔娘「ほら、やっと出てきた。最初からそうしたら良かったじゃない」

精霊「……どうしてこんな所に居るのですか?」

魔娘「私はそのつもりじゃなかったわ。この子が連れてきただけ」

精霊「勇者……あなたがこの方を連れてきたのですか?」

勇者「う、うん……あの、ごめんなさい。こうなるって知らなくて」


――勇者ちゃんが危ない奴連れてきたよ
――森が燃やされそうになった
――勇者ちゃん酷い
――勇ちゃん嫌い

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 01:08:42.63 ID:wSrD1Qxt0
魔娘「随分と好き勝手言ってくれてるわね。出てくることも出来ない臆病な者どもが…」

精霊「皆静かになさい!勇者ちゃんが悪いわけではありません」

――人間皆私たちのこと虐める
――勇者ちゃんは違うと思った
――勇ちゃんはずっと友だちだって思ったのに

勇者「あ、あの、ボクは…」アセアセ

魔娘「これでわかったでしょ?」

魔娘「私と一緒に居るだけで皆があなたまでも避けるようになるのよ」

魔娘「わかったならもう私にかかわらない方が良いわ」

勇者「あ、マコちゃん」

勇者「……行っちゃった」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 01:11:09.72 ID:wSrD1Qxt0
――危ない人帰った
――勇者ちゃんまだ残ってる
――勇者がまた怖い奴連れてくるかもしれない
――勇者ともう遊ばない

勇者「そ、そんな……!」

精霊「皆静かに!」

精霊「勇者ちゃん、ごめんなさい。皆怖がっているだけです」

精霊「しばらくはここに来ない方がいいかもしれません」

勇者「…どうして皆マコちゃんのこと怖がってるの?」

精霊「……あの方は魔物の頂点、いつから魔王になるお方です」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 01:14:50.60 ID:wSrD1Qxt0
勇者「…魔王?」

精霊「今は人間界に住んでると言っても我々も広く言えば魔族」

精霊「魔王の機嫌を損ねては私たちみたいなか弱い存在は一溜りもありません」

精霊「ですから最初から勇者ちゃんが来たことをわかってても前に出てこれなかったのです」

勇者「……もうボクと遊んでくれないの?」

精霊「……勇者ちゃんがとても良い人間だとはわかっています」

精霊「そんな勇者ちゃんにだから言いますが」

精霊「あの方には近付かない方が勇者ちゃんの身のためにもあります」

勇者「………」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 01:22:21.72 ID:wSrD1Qxt0
勇者「つまり、皆マコちゃんが強すぎるのが怖くて出てこないんだよね」

勇者「皆のこと傷つけるかもしれないから怖がるんだよね」

勇者「じゃあ、ボクがマコちゃんより強くなったら」

勇者「そしたら、ボクともマコちゃんとも遊んでくれる?」

精霊「勇者ちゃん…あなたがあの方に勝つのはとても不可能なことです」

勇者「出来るよ!」

勇者「今はまだボク弱いけど、ボク頑張るよ1」

勇者「ボク勇者になるから、そしてマコちゃんほど強くなったら、その時は一緒に遊んでよ」

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 01:26:13.02 ID:wSrD1Qxt0
精霊「勇者ちゃん……あなただけなら、いままでのように私たちが友だちになってあげます」

精霊「あの方は常に孤独でなければならないお方」

精霊「勇者ちゃんが関わる必要がないお方です」

勇者「必要だよ」

精霊「?」

勇者「ボク、あの目知ってるよ」

勇者「あの何事にも関心がない目」

勇者「誰にも本当に心を広げない目」

勇者「なにもかも面倒くさいって目」

勇者「昔の、皆のこと会ってる前のボクみたいな顔してるよ」

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 01:31:51.30 ID:wSrD1Qxt0
勇者「だからボクはマコちゃんがそんな顔しないように友だちになってあげたい」

勇者「だから、お願い、助けて」

精霊「……」

精霊「勇者ちゃん」

精霊「あなたは人間から逸れた能力を持った人でした」

精霊「その能力のせいで人間たちはあなたを避けました」

精霊「もしかすると、私たちも魔王に向けて同じ仕打ちをしているのかもしれません」

精霊「…この森を代表して、あなたに神さまのご加護があることを祈ります」

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 01:37:14.58 ID:wSrD1Qxt0
~~~~~~~~~回想終わり~~~~~~~~~~

魔王「そう、それからあなたは毎日私の家に来て勝負を挑んできたわね」

魔王「パパの死ぬ前の最後の気まぐれが終わるまで、あなたは毎日のように私の家に来て私に喧嘩を売った」

勇者「ボクはマコちゃんとあの森に行きたかったよ」

勇者「マコちゃんが一人じゃなくても良いってことを見せてあげたかったんだよ」

勇者「ボクが精霊たちを見た時にそう思ったように…」

魔王「ふっ、くだらないわ」

勇者「!」

魔王「私は独りでも全然大丈夫よ!」

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 01:41:28.51 ID:wSrD1Qxt0
魔王「私は魔王よ。たった一人にして魔族、いえ、生き物全ての頂点!」

魔王「私はいつも一人でいつづけなければいけない」

魔王「たかが子供の頃思いついた考えだけで私との戦いを怪我すつもりだったら、もう昔の情なんて必要ないわ」

魔王「ここで塵となりなさい!」

僧侶「勇者さま!」

勇者「大丈夫だよ」

勇者「ボクは負けないよ」

勇者「ボクは、強いから」

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 01:48:58.61 ID:wSrD1Qxt0
魔王「せめての情けよ。一瞬で終わらせてあげるわ」

勇者「ボクは…マコちゃんに勝つよ」

勇者「勝って皆の所にマコちゃんを連れて帰るよ」



1.魔王が勝つ

2.勇者が勝つ

>>87

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 01:51:47.99 ID:HGc5MOBv0
ここで安価とかなめてんのか 安価なら1

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 01:57:09.51 ID:wSrD1Qxt0
魔王「あなたはやっぱり弱いわ」

勇者「あ……」

魔王「これでも手加減してあげた方よ」

魔王「胸を大きくしてくれた分のお礼で、命ぐらいは助けてあげてもいいわ」

勇者「……殺して」

魔王「…は?」

勇者「殺して」

魔王「…何言ってるのよ、あなた」

魔王「せめての情けで言ってあげてるつもりなのよ?

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 02:00:27.16 ID:wSrD1Qxt0
戦士「勇者を放せ!」

魔王「外野は引っ込んでろ!」

戦士「うぐっ!」

盗賊「戦士!」

魔王「あなた…自分が言ってる意味わかってるの?」

魔王「昔のようなごっこじゃないのよ」

魔王「ここで死んだらもう私に二度と挑むことなんて出来ない」

魔王「私なんて構わずに勇者なんてやめてしまいなさい」

魔王「始まりの村に戻って普通の子供みたいに生きて」

魔王「正直な話、あなたと一緒に過ごしたあの村での記憶は」

魔王「私にとって最高に楽しかった日々だったわ」

95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 02:03:33.17 ID:wSrD1Qxt0
魔王「だからあなたが私のことを可哀想に思ってくれてるのなら」

魔王「あなたが私の分までその楽しい日々を過ごしなさい」

魔王「私を助けることなんてあなたに出来たものじゃないわ」

魔王「だから」

勇者「もう…ないよ」

魔王「え?」

勇者「……もう…ないよ…始まりの村…は」

魔王「……へ?」

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 02:08:29.16 ID:wSrD1Qxt0
魔王「…ちょっと、この子なに言ってるんだかわからないわ」

魔王「誰か説明してちょうだい」

魔王「始まりの村が…

僧侶「始まりの村はもうありません」

魔王「それは聞いたわ!」

僧侶「!」

魔王「だからどういう意味なのか聞いてるじゃない!」

魔王「何?村が居ないって何をどうすればそうなるのよ?

魔王「皆団体で引っ越したの?地震でもあって全部地の底に落ちたの?」

勇者「………」

魔王「なんか言いなさいよ!なんであなたの故郷が居なくなったのよ!」



側近「先代さまのご命令でありました」

魔王「…!」

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 02:11:32.03 ID:wSrD1Qxt0
魔王「…いつよ」

側近「先代さまが亡くなられる前に」

側近「以後姫君、魔王さまの邪魔になるような者は抹殺せよとのことで」

側近「勇者となれる者が居たその村をドラゴンたちで一気に集中砲火」

側近「始まりの村は姿も無く消え去ってしまいました」

勇者「…森の皆がボクを庇ってくれた」

勇者「でも、森も燃えてしまって、皆居る所を無くしちゃって…」

魔王「……」


99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 02:17:04.53 ID:wSrD1Qxt0
勇者「村にも何も残ってなかった」

勇者「人たちも、皆死んじゃって……」

勇者「森でボクの真下にあったお花だけが残ってる唯一のものだった」

勇者「その花をマコちゃんに見せたくて、ここまで来たの」

勇者「でも、花もいつの間に枯れていて」

勇者「ボクには、マコちゃんに勝つ力もないよ」

勇者「マコちゃんを助ける力もないし」

勇者「コレ以上、生きて行く理由もないよ」

勇者「ボクはただ会いに来ただけだよ」

勇者「ボクの村のことを知ってる最後の友たちを……」

勇者「もうコレで十分だよ」


101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 02:22:51.73 ID:wSrD1Qxt0
魔王「……それだったの?」

魔王「結局、私に復讐するために来たわけ?」

魔王「自分の村を無惨に壊した私とパパに復讐したくて勇者になったわけ?」

勇者「違うよ」

勇者「言ったでしょ。会いたかっただけって」

勇者「そして、出来れば、助けたかったよ」

勇者「マコちゃんも、そしてボクも……」

勇者「でも、もう駄目。疲れた」

魔王「……」

勇者「でも、」

勇者「最後にマコちゃんのこと会えてよかったよ」

勇者「マコちゃんはきっと皆に愛される良い魔王になるよ」

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 02:28:45.83 ID:wSrD1Qxt0
勇者「そういえば、ボク勇者だったね」

勇者「勇者が負けちゃうと、人たちはどうなるんだろう」

勇者「皆殺されちゃうかな」

魔王「……」

勇者「あのね、お願いがあるの」

勇者「ボクの死体は、始まりの村の森があった所に置いてほしいの」

勇者「皆と同じ場所で……眠りたいから」

魔王「……」

勇者「…ありがとう、マコちゃん。ボク、マコちゃんにまた会えて嬉しかった♪」

魔王「……」

105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 02:36:41.41 ID:wSrD1Qxt0
勇者は最後に笑っていたと伝わる。

勇者を殺した魔王は、勇者の遺言の通りに彼を森があった場所に埋めた。

それから魔王本格的な人類殲滅を始めた。

勇者を失って心理的に劣勢であった人間たちは、ちゃんとした抵抗も出来ずに次々と魔族の獲物にされるばかりだった。

やがて地図に人類の土地がなくなった時、

魔王は始まりの村に戻った。

106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/03(土) 02:37:26.73 ID:wSrD1Qxt0

魔王は勇者の墓の前で自分の魔力を全て使って、

その場に森を作ったと言う。

魔力を使い果てた魔王の果てがどうであったか知る者は居なかった。

魔王の魔力で育った森は、とっても鬱蒼で誰も通ることも出来ず、その森を再び燃やそうとする不忠な者も居なかった。

ただ一つだけ祈りたいことは、

いつかその場にあった村の最後の生き残りであった二人が、

現世で互いを救うことが出来なかった分、

あの世ではもっと幸せであって欲しいということ。

ただそれだけだった。

終わり