男「え?なろうで書籍化して作家になりたい?」妹「……」コク
妹「あんちゃんにイラスト書いて貰いたい……」
男「確かに俺はプロのイラストレーターだが……」
妹「……あんちゃん最近暇してるから、お仕事ないのかなって」
男「地味に傷を抉るようなこと言うのやめてくれる?遠まわしに俺の絵に需要がないって言われてるみたいで嫌なんだが?」
妹「サンダガ」
男「へ……?」
妹「あんちゃんがナンダガって言ったから似たような語感のサンダガって言ってみただけ……」
男「お前俺のこと馬鹿にしてるだろ?」
妹「し、してない。それより、早く書籍化したい……」
男「なんでもいいんだが、厳しい道だと思うぞ?」
男「へぇどんなタイトルだ?」
妹「えっとね……『おっさんの俺が追放されたんだが無敵になって復讐してザマァするんだが? ついでにハーレム作って子作りするんだが?』かな」
男「誰が見るんだよそんなの」
妹「でもなろうのトレンドを抑えるとこうなるから……」
男「世も末だな……。っつかお前おっさんの気持ち分かんのかよ?」
妹「わ、わかんないけど、そこはあんちゃんの協力が……」
男「ハーレムで子作りとかもお前に理解出来んの?」
妹「それもあんちゃんが……」
男「はぁ。あのなぁ俺はまだ27歳だからオッサンじゃないし、童貞だから子作りもハーレムも分からん」
妹「27なんておっさんだよもう……」ボソッ
男「なんか言ったか?」
男「だから何て言ってんだお前」
妹「ううんなんでもない。それよりもう3話くらい書いてみたから感想ちょうだい」
男「まぁそれはいいんだが……」
妹「はい」カチカチ
男「ふむ」
妹「どう? おっさんが追放された所から出だしなんだけど……」
男「……取り合えず思ったんだが」
妹「うん」ワクワク
男「若者パーティーにおっさんが一人混じってる段階で普通に考えて追い出されて当たり前じゃね?」
妹「えっ」
男「自分の立場で考えて見ろよ。例えば同い年くらいの女の子たちで女子会してたとする。んで、その中に40歳のババアが割って入って来たとする」
妹「……」
男「場違いじゃね?って指摘しね?ある意味追い出すの優しさじゃね?」
妹「で、でもそれが流行ってるから……」
男「……世の中狂ってるのかもな」
ただ悲しくなりそう
男「おう。んで、次の2話目なんだが、なんでいきなり女を発情させるスキル使って子作りしたの?」
妹「だって、エ口がないと……」
男「お前これ主人公が40歳のオッサンで相手の女の子が15歳ってなってるが絵面考えて見ろよ」
妹「……」
男「いいか? 40歳のオッサンが怪しげな術で15歳の女の子の同意も得ずに子作りしてるワケ。お前これどう思う?」
妹「ヤバイね……」
男「だろ? まだ男が20代くらいならギリありえるかも知れんが、40歳のオッサンはヤバイって」
妹「でも人気……」
男「ねぇなろうってどうなってるの? 読者の皆さま大丈夫なの?」
男「俺はお前がワケの分からんオッサンもので書籍化作家になるよりも、普通の男と結婚して幸せな家庭を築いて欲しいよ」
妹「あんちゃんの為を思って考えたのに……」
男「俺のことを考えるなら今すぐバイトの面接にでも行って引きこもりから脱出してくれ」
妹「それが出来ないから色々考えてるじゃんっ……」
妹「あんちゃんの為になって、私も働けるっていう、そういう素晴らしい発想なのに」
男「……」
妹「なんでぇ……」涙ポロポロ
男「ま、待て。分かった。分かったよ。協力しよう。書籍化目指そうな? な?」
妹「う゛ん゛……」ヒックヒック
妹「う゛ん゛……」
妹(あんちゃんってやっぱチョロイわ……)
男「さぁ書籍化目指して投稿開始だな!」
妹「もう少し書き溜めてから投稿するね」
男「うん? なんか泣き止むの早くね?」
妹「そんなことないよ。それより、20話くらい書き溜めて初日に10話くらい一気にいくつもりなんだけど……」
男「お、おう」
数日後
妹「じゃあ一気に投稿するね」カチカチカチ
男「どうなることやら……」
翌日
妹「あんちゃん見て見て!」
男「ん?」
妹「今日間総合ランキングで100位になったよ!」
男「ふむ……。どのくらいの順位だと書籍化になるんだ?」
男「でも5位以内のポイント凄いぞ? さすがにそこまで行くのは無理なんじゃないか?」
妹「取り合えず更新頻度が命だね。今日は5話いくね」
男「無理じゃねーかなぁ」
翌日
妹「あんちゃんあんちゃん!」ユサユサ
男「なんだよ寝かせろよ……」
妹「もうお昼過ぎてるよ!それより見て見て!」カチカチ
男「なんだってんだよ……」
妹「日間ランキングで今9位なの!」
男「え? マジデ?」
男「どんな感想ついてるんだろうな。順位上がってるし『面白い』とかか?」
妹「わくわく」カチカチ
感想:
おっさんの欲望丸出しでキモい。作者は絶対に童貞のオッサン。
妹「……」
男「……」
妹「……なに、これ」
男「……おっさんだと思われて、人格攻撃されてるっぽいな」
妹「……う、うん」
更に翌日
男「ほー。凄いな1位になったじゃん」
妹「あんちゃぁぁん」涙ポロポロ
男「どした」
妹「感想が酷いんだよぉ」
男「だから気にするなって。つかどんな感想だよ」カチカチ
感想:
こんなゴミが1位とかなろうも終わりだな。
感想:
おっさんさぁ、こんな願望丸出し話書いてて悲しくならないの?
感想:
キッモ。軽蔑する。作者は精神病院行った方がいい。
妹「うぇぇぇぇ……」
男「こりゃ酷い……」
妹「や゛め゛な゛い゛っ」
妹「私とあんちゃんの未来が掛かってるからっ!」
男「お、おう」
二週間後
妹「酷い感想に耐えて2週間……ポイントは10万超えたけど……」
男「凄いな。月間1位じゃん」
妹「書籍化の話が全然来ないの! どうして!」
男「内容が内容だからじゃね……?」
男「いや先週くらいに話を聞いたから」
妹「どうせネットで適当に見聞きした話でしょ!」
男「いやラノベの編集から」
妹「え……?」
男「だから俺イラストレーターじゃん。ラノベのイラストも書いてたことあるし。っつか1シリーズ今抱えてるし」
妹「うそうそ! どこのレーベル?」
男「落雷文庫」
妹「超一流レーベルじゃん?」
男「そうなのか?」
男「んなことないが……」
妹「じゃあ私のこれ書籍化出来るように話通してよ!」
男「まぁ妹の為だと思って一度は声掛けて見たぞ。その為に話を聞いたんだからな」
妹「それでそれで!?」
男「まずラノベは少年少女がターゲット層だからオッサン主人公って時点でマイナス」
妹「うぐっ……」
男「次にいきなり催眠子作りみたいな話がコンプラ的にNG。理由が分からんが好かれるのとかは別に構わないらしいが……さすがに催眠子作りは駄目らしい」
妹「ぐはっ……」
男「ただ大人向けのレーベルならワンチャンあるかもだから打診待てば?って話だった」
男「まぁただ今の段階で打診来ないなら多分ずっと来ないっても言われたが」
妹「えっ!?」
男「いわゆる誰もが知ってるレーベルは主人公がオッサンってのと催眠子作りな時点で取らないらしい」
妹「……」
男「で、大人向けのレーベルは新興が多くて打診合戦みたいなとこがあるから、日間5位以内に入ったら即打診がほとんどらしい」
妹「それって……」
男「つまりもうお前の作品に打診来ない確率の方が高い。来るならとっくに来てるハズだと」
妹 ピクピク
妹「ふ、ふふっ……」
男「どした?」
妹「諦めないよ私は……」
男「は?」
妹「次はジャンル変えて頑張る……」
男「そ、そうか」
一週間後
妹「あんちゃん次は現実恋愛ジャンルで書こうと思うんだけど……」
男「タイトルは?」
妹「えっと……『陰キャでいじめられっ子だった俺が転校したら美少女だらけのクラスに入ってモテモテでついでに元のクライスメイトたちにざまぁします』なんだけど」
男「……」
妹「今度は高校生だし催眠子作りでもないから大丈夫でしょ?」
男「……多分無理だと思う」
男「なんかこう……だってその……売れそうにないし」
妹「でもこれだと間違いなくポイント取れるよ!」
男「お前は書籍化するのが目的なの?それともポイントを取るのが目的なの?どっちなの?」
妹「しょ、書籍化だけど……」
男「俺も一応は編集から話をまた聞いてみたんだが、なろうから書籍化した現実恋愛ジャンルの売れたタイトル知ってる?」
妹「し、知らない……」
男「『上の階の小悪魔に駄目にされました』とか『後輩キャラの俺がモテまくるのはおかしい』とかそういうタイトルらしいぞ?普通のラノベっぽいタイトル」
妹「そ、そんなんじゃ今のなろうじゃポイント取れないってば!」
男「それは確かに指標の一つとして見ているらしいが……だが出版社ってのは営利企業なんだ」
男「売れるか売れないかが全てだ。どんだけネット上で人気があっても売れそうにないのはスルーなんだよ」
男「当たり前だがな」
妹「あ、あんぢゃんの意地悪……」ヒックヒック
男「な、泣くな泣くなだから泣くなって」
男「俺にもどうにも出来んって。とりま商業で売れそうなタイトルでポイント取るしかないだろ」
男「やるだけやってみようぜ?」
妹「……う゛ん゛」
二週間後
妹「……」
男「ま、まぁそのこういう時もあるさ」
妹「……あんちゃんの言う通りに普通のラノベっぽいタイトルで連続更新までして頑張ったのに」
男「だから気にするな」
妹「500ポイントしか取れなかった……」
妹「……駄目だよやっぱタイトルが駄目なんだよ」ブツブツ
男「次作の構想練れたら相談しろよ?」
妹「……役立たずが」ボソッ
男「なんか言ったか?」
妹「なにもいってないよ」
一週間後
妹「あんちゃん次のタイトル考えたよ」
男「そうか。どんなのだ?」
妹「取り合えずハイファンタジーと現実恋愛で一つずつ」
男「ほうほう」
妹「ハイファンタジーの方が『おっさんの俺が若返ったのはいいんだが追放されてしまった。~ざまぁ&復讐しながらのハーレム作り~』」
男「……」
妹「現実恋愛の方が『陰キャの俺が実は古武術の使い手で影ながら美少女守ってたのがバレたらモテた。~学校の美少女たちが俺を狙ってるんだが!?~』」
男「……あのさぁ」
妹「だって……ポイントが無ければ声なんて掛からないし」
男「ポイントが低くても売れると思えば声掛けるってよ」
妹「……そんなのウソだよ。ポイントだけ見てるって言ったら叩かれるからそれ気にしてるだけだよ」
男「捻くれすぎだろ。あんちゃんの言うことが信じられないか?」
妹「一回信じたけど500ポイントしか取れなかったし」
男「……」
妹「……」
ぶっちゃけ俺した事があるが今のなろうで出来る気がしねぇや
疲れた
あとは想像に任せるわ
コメント一覧 (9)
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- 2020年09月28日 10:31
- この創作自体がなろうだし一番キモい
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- 2020年09月28日 11:58
- 一般になろうと揶揄されるやつは底辺層の最近書き始めましたタイプに多い
しかしタイトルをわかりやすくした方が読まれる・売れるから書籍がなろうっぽいタイトルだらけになって辟易する層があるのもわかる
書籍化打診したら中身が商業作品の名前変えただけみたいなやつなのもあるし本当魔境だよ
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- 2020年09月28日 12:10
- あのさあ…
何で女が男性向け書くんや?
女が書くのは、実は超美少女の自称普通の女の子が、
金持ちのイケメンどもに「こいつ面白い女だな」と思われるストーリーやぞ
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- 2020年09月28日 12:16
- 真剣に目指すなら誘いを待つよりこちらから出版社の賞に応募した方が良くない?
何回も送れば編集に名前覚えられたりするかもだし
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- 2020年09月28日 13:17
- 自分が書籍化したことアピールしたかっただけだろ
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- 2020年09月28日 14:40
- ぶっちゃけ俺がコミカライズとアニメ化までしたけど
どーなんだろな?
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- 2020年09月28日 20:52
- 逆エ○まんが先生かな
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- 2020年09月30日 05:26
- 古武術のラノベはちょっと気になった
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- 2020年10月04日 13:57
- 今のなろうは実際一位ヤバイんだよなぁ
昔のなろうはどうやったんやろうか